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ALAN WAKE - (2019/07/02 (火) 19:13:43) の編集履歴(バックアップ)


ALAN WAKE

【あらん うぇいく】

ジャンル アクションサイコスリラー

対応機種 Xbox360
Windows XP~7
メディア DVD-ROM 1枚
発売元 【360】マイクロソフト
【Win】イーフロンティア
開発元 【360】Remedy Entertainment
【Win】Remedy Entertainment、Nitro Games*1
発売日 【360】2010年5月27日
【Win】2012年2月16日(パッケージ*2/Steam版同時)
定価 【360】7,140円
【Win】パッケージ版:7,000円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
廉価版 【360】プラチナコレクション:2012年3月8日/2,940円(ここまで税5%込)
配信 【360】ゲーム オン デマンド:2014年5月1日/3,024円(税8%込)
【Win】Steam:1520円(税8%込)
判定 良作

概要

『Max Payne』を手がけたフィンランドのデベロッパー、Remedyが送るホラーアクションアドベンチャー。
アメリカの架空の人気小説家アラン・ウェイクが休暇で訪れた街ブライトフォールズで怪奇事件に巻き込まれる姿を描く。
光と闇をフィーチャーした物語とシステム、何よりストーリーの見せ方のセンスの良さが評価された一作である。

ストーリー

スランプに陥っていた人気小説家アラン・ウェイクは妻であるアリスと共に休暇として湖畔の街ブライトフォールズを訪れる。
悪夢に魘されたり、ファンに纏わりつかれるなどでストレスを溜めるものの、美しいその景色に幸せな休暇を予感した。
だが、突如としてアリスがいなくなってしまい、悪夢のような体験が彼を襲うのであった。果たしてアリスは無事なのだろうか…。

特徴・評価点

ストーリーの見せ方と雰囲気

  • 本作では物語の要所でリアルタイムにアランのモノローグが入るという演出が行われ、まるで小説をなぞっているかのような気分が味わえる。
    • 中には特定のアイテムを入手しないと聞けないものもあったりと、作りが非常に丁寧で好感が持てる。
  • ストーリーはエピソードごとに分割されており、一度クリアしたエピソードはタイトルから自由に再プレイ可能。
    • 海外ドラマを意識しており、エピソード開始時には『24』などのように「これまでのアランウェイク」として前エピソードのあらすじを振り返る演出がある。なお、一度見たムービーも見返せる。
    • ちりばめられた謎、サスペンスな展開の連続と、とにかくストーリーの続きが気になる作りになっている。
    • 本編は全6章構成。発売後に追加シナリオの「The Signal」と「The Writer」がDLCとして配信されている*3
  • 会話は全て日本語字幕、吹き替え音声に対応している。訳のクオリティも高い。360本体の言語設定を変えることで英語でのプレイも可能。
    • 敵キャラも何らかの言葉を呟いているが、これらも全て吹き替えられている。セリフの途中で音声にエフェクトがかけられるなど「正常な人間ではない」演出もグッド。
    • なお、Steamで配信されているWin版も日本語完全対応なので、360・Winどちらで購入しても問題はない。
  • ゲームは昼間と夜中を繰り返して進む。
    • 昼間のステージもプレイアブルだが、敵は存在しないため非常に平和でホッとする。
      • 昼間に登場するNPCたちも魅力的なキャラクターが多く、彼らとのやりとりが楽しい。しかし、夜中になると彼らが狂気に侵され、アランを襲ってくる。このギャップがとにかく怖い。
      • 敵は自分に対し「殺意がある」としか分からない存在で、一見ただの人間が斧などで攻撃してくるだけなのに非常に不気味。
    • メインステージが夜中なので当然辺りは暗く、視界は不良。手に持つライトの灯りを頼りに進まねばならず、街頭や明かりの点いた家を発見した時の安堵感と再び暗闇の中に踏み出さねばならない恐怖がプレイヤーを苛む。
    • 光が存在することでより闇が強調され、さらなる恐怖を生む雰囲気の良さも本作の人気に寄与している。
    • 後発のWin版ではプレイヤーからの要望に答えてHUDを全てオフにする事も可能になり、より雰囲気を楽しめるようになった。

光と闇を取り入れたシステム

  • 基本的な部分はTPSに近いが、以下のような独自要素もある。
    • LBを押しながら左スティックを入れると回避アクションが発動。うまく回避すると動きがスローになる演出が入る。そのままダッシュすることも出来るが、ダッシュし続けたり何度も回避すると息切れして動きが鈍くなる。
    • リロード時、Xを連打すると素早くリロード出来る。装弾数の多いリボルバーなどで有効。
  • Lトリガーで構えるようになっているが、この時フラッシュライトで敵を照らすことが出来る。ライトの光を当てると敵は怯み、ある程度照射することで闇(バリアのようなもの)を取り払って大ダメージを与えられるようになる。
    • なお、構え状態でなくてもフラッシュライトの効果はある(構えると強化される)。レティクルが表示されないので、照準の代わりとなっている。
    • 照射しつづけているとバッテリーを消費するが、照射をやめると徐々に回復していく。Yでバッテリーを交換すると素早く回復できるが、交換できるバッテリーは消耗品。
    • 武器の中には強烈な光を発して近くにいる敵全てに効果がある「閃光手榴弾」や「発炎筒」「フレアガン」といったものも用意されている。
  • ステージ内にある電灯などで照らされた場所に入ると素早くHPが回復出来る。また、光の中にいる限り敵は現れない安全地帯となっている。
    • 中には電源供給が断たれているものもあるが、どこかにあるジェネレーターを起動することで回復できる。しかし、ジェネレーターを起動するには時間がかかるので安全の確保も重要になる。
  • ステージにはフラッシュライトの光が当たると矢印などの落書きが浮かび上がることがある。この矢印を辿るとアイテムを入手できる。
  • 車内灯が点いている車は運転する事が可能。
  • このように、ゲーム全体を通じて「光」が非常に重要なファクターとなっており、光と闇の対比が強調されている。
  • なお、Win版もXInputコントローラーに対応しているので、上記の操作は全て適応できる。もちろん、キーボード+マウスの操作にも対応している。
  • 全体的にアランの動きが洗練されていない点も相俟って、戦闘の難易度はそこそこ高く感じる。
    • 敵は多数で攻めてくるため、取り囲まれたり光を照射している間に横から殴られることもしばしば。だが、そのギリギリ感が焦燥感や恐怖心を煽る一因にもなっている。
    • もちろんボス戦も存在するが、ボスは攻撃を当てると突然高速で移動し視界から消える。このため、常にどこから襲ってくるか分かりにくく一対一での戦いにも緊張感が生まれるようになっている。
  • やりこみ要素も豊富。
    • 前述の原稿集め、コーヒーポット回収、詰まれた缶を崩す、テレビ番組を視聴する…など達成率に関する要素が非常に多い。
    • 原稿集めは難易度ナイトメアでないと取得できないものもある。原稿は実際に読むことが出来、物語にも大きく関係する。

問題点

  • 回避アクション時に大きく画面がブレる。酔いやすい人には辛い。
    • また、回避するとカメラの向きも大きく変わるため進行方向が分からなくなったり、周囲を確認できなくなる事がある。
  • エピソードをクリアするたびに武器や弾薬が没収されてしまう。
    • 武器の種類が少なく、戦闘でやる事が限られているため、単調・作業的という声も。
  • 豊富なやりこみ要素だが、達成率や実績のコンプ以外の意味はほとんどない。
    • 特にあちこちに落ちているコーヒーポットは集めても特に何かあるわけでもなく、配置もけっこうおざなり。他の収集物はストーリーに関わったりラジオ番組を聴けるといった独自要素も用意されているので、あまり気にならないのだが。
  • 雰囲気や見せ方は良いが、ストーリーは難解という声も。
    • プレイ時間も他のTPSに比べると短め。
  • 難易度選択肢にイージーがない。
    • このゲームは最低難易度のノーマルでさえ敵は本気で殺しに来る(二手に分かれてくる、背後から襲ってくる、走って追ってくるという手段を多用する)為、この手のゲームに慣れている人間でさえ結構な緊張感を味わうことになる。この為自ずとプレイする人間をかなり選ぶゲームとなってしまっている。当然ながら受けるダメージが急上昇する難易度ナイトメアでの緊張感は相当のものとなる。

総評

良質な雰囲気や光と闇を強調した作風が多大な支持を得た良作ホラーアドベンチャー。
ストーリーと恐怖演出について高いレベルで纏まっており、良質なホラー映画や小説を読んだ読後感を想起させる作風に魅せられたプレイヤーも多い。
反面システム面に粗が多く、システムを改善した続編を望む声も多い。現在までに実現していないのが実に残念である。
スティーヴン・キングを意識した演出も多いので、彼が好きならプレイして損はないだろう。

余談

  • 上記の通り、本作はスティーヴン・キングからの影響を受けており、物語冒頭でもアラン自身がその名を出している。
    • 同様にスティーヴン・キングの影響が強い『SILENT HILL』と共通している部分がいくつかある。冒頭の霧と闇が立ち込める海岸線で車を運転中、突然目の前に現れた人物を轢いてしまうが、外に出てみると消えているという展開も同じ(その後の展開は大きく異なる)。
  • 後に戦闘に重点を置いたダウンロード専売の番外編『Alan Wake's American Nightmare』が発売された。
  • 当初はPC版もXbox360版と並行で開発が進められていたが、Remedy側の開発人員不足*4とマイクロソフト側でのXbox向け独占販売戦略絡みによりPC版の開発が一時凍結されたという経緯を経た上での発売となった。
    • その反動からか、Steamでの配信が開始されてから48時間でPC版の開発費と広告費を回収できた上に、Steamでのローンチセールスも1位という快挙を達成した。
  • 2018年9月には海外TVドラマシリーズの制作が発表された。カナダの映像制作プロダクションContradiction Films*5が制作を手がけ、ゲーム版のシナリオを担当したSam Lake氏もエグゼクティブプロデューサーとして参加するとのこと。
  • 2017年5月15日に本作で使用されている楽曲の使用許諾契約が終了することに伴い、パッケージ版・DL版とも一時販売停止となっていたが、2018年10月26日に楽曲ライセンスの使用許可が再度下りたことによりまずはPC版の販売が再開された。360版も遅れて再開するとのこと。
  • 2019年7月1日、Remedyが販売中の作品から得たロイヤリティ収入を投資家向けに報告する席上で、「マイクロソフトから『Alan Wake』シリーズの販売権を獲得した」と発表した。Remedyの公式見解によると今回の販売権獲得は「さらなるプラットフォームにも発売したいとなれば、自分たちの判断だけでできるようになった」と説明している。