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トップランディング - (2019/11/18 (月) 00:39:13) の編集履歴(バックアップ)


トップランディング

【とっぷらんでぃんぐ】

ジャンル フライトシミュレーター
対応機種 アーケード
発売・開発元 タイトー
稼働開始日 1988年
判定 良作
ポイント フルポリゴン
ゲーム的なフライトシムの金字塔


概要

フライトシム『ランディングシリーズ』の二作目。全8ステージ。
前作『ミッドナイトランディング』から自由度が上がり、大ヒットを飛ばした。


ゲームの進め方

  • 1:コインを規定数入れて、操縦桿とスラストレバーを画面に表示された青い目印に合わせ、スタートボタンを押す。
  • 2:離陸ステージが始まるので、画面の指示に従う。
    • 成功すれば、残り時間から得点が加算される。ここでの得点も一応最後のリザルトで表示される。
  • 3:着陸する空港を操縦桿選び、スタートボタンで決定し、着陸ステージを始める。
  • 4:成功すれば着陸結果が表示され、どこで減点されたかが表示される。
    • 着陸した後は一切の操作が出来なくなる。多少斜めに着陸しても直進するように補正が掛かるが、余りに滑走路を横切るように着陸すると、確実にコースアウトしてしまう。
    • 天気・風速次第では適正速度でもオーバーランする危険も。
  • 5:失敗or全8ステージクリアーすれば、リザルト(とネームエントリー)が表示される。
  • 6:エンディング。失敗した場合はそのままゲームオーバー

ゲームの進行

インターフェイスの調整

  • スロットルと操縦桿をスタート位置にセットする場面から始まる。*1

離陸ステージ

  • 制限時間内にタキシングし、離陸して一定の高度に到達させる。
    • 失敗しても着陸ステージには行けるので、即ゲームオーバーのような事態は起こらない。

ステージ1

  • 練習機でのプレイとなる。無風で着陸は容易だろう。

ステージ2

  • 小型旅客機でのプレイとなる。風速は1~2mで風向きの変化は無い。ここから操縦桿を横に動かさないとクリア出来なくなるので、ここでコツを掴もう。

ステージ3

  • 同じく小型旅客機でのプレイかつ風向きの変化は無いが、風速が2~3mに増加している。

ステージ4~6

  • 中型旅客機になり、巡行速度が上がり、操作性が悪くなる。風速も4~6mに増加し、風向きの変化も加わる。因みに3~4回変化するタイミングがある。

ステージ7~8

  • 大型旅客機になり、更に巡行速度が上がり、操作性が悪くなる。しかも風速の初期値は8m前後となり、風向きは(無風になる事もあるが)最大15mと台風クラスになる。そして風向きは5~6回変化する為、その都度的確な操作が必要となる。

空港

今作では好きな順番に攻略可能。

名称 空港 開始高度 開始残距離 着陸滑走路
東京 東京国際空港 2,500m 13,558m 34L
大阪 大阪国際空港 2,300m 13,558m 32L
福岡 福岡国際空港 2,300m 12,558m 16
ワシントン ダレス国際空港 2,000m 12,060m 1R
サンフランシスコ サンフランシスコ国際空港 2,000m 10,000m 28R
シドニー シドニー国際空港 2,000m 11,000m 34L
リオ・デ・ジャネイロ リオデジャネイロ国際空港 2,000m 12,300m 33
パリ ドゴール空港 2,000m 10,260m 26L

この中で確実に最も難しいのは滑走路が2,700mと短く、オーバーランする危険性が他と比べて高い「パリ」である。最初の方かつ雨でない時に選択する事が非常に望ましい。
日本の3空港の中では滑走路が2,800mと短めな「福岡」がやや難し目。


減点項目

着陸さえすれば次に進める為、ハイスコアを競う以外は特に気にしなくても良い。
但し、全ステージ100点クリアーは相当難易度が高い。逆に全ステージ0点クリアーもまた同じ位難しい。

減点項目 減点点数 解説
蛇行 10 大きく蛇行した際にその都度減点される。意外とこの判定はシビアである。
急降下 10 急激に降下した際にその都度減点される。
急上昇 10 急激に上昇した際にその都度減点される。
接地点 1~30 接地点から大きく外れて着陸した際に減点される。これも判定はシビアである。
機首上げ 1~30 着陸時に機首が下に向く形で着陸した際、角度次第で減点される。
着陸速度 1~30 オーバースピードで着陸した際、速度次第で減点される。滑空飛行さえすればまず減点されないだろう。

筐体説明

前作からのデラックス筐体に加え、アップライト筐体が新登場した。

デラックス筐体

  • 可動式で、体感型の大型筐体である。半密閉式で、ドアが閉まらないとコインを入れてもゲームは始まらない。筐体外部の後ろにはプレイ画面と同じ映像を映して、プレイ状況が確認出来るモニターがある。

アップライト筐体

  • その名の通り、立ってプレイするタイプの筐体である。モニターが筐体の内側に入っており、外側がやや歪んでいるように立体的に見えるようになっている。

評価点

  • 当時の出来る限りの技術で描かれた3D空間
    • ポリゴンで表現された数々の風景は、テクスチャも貼られておらず、無骨で殺風景ながら味があり、雰囲気を盛り上げるのに一役買っている。
    • 各地の地形はこれでも忠実に再現されている方。簡素的ながらも建物等のオブジェ等が正確に置かれている。
    • そのポリゴン空間を更に無限投影*2を利用したハーフモニターで表示して、どこまでも続く青空を表現している。
  • 浮遊感を味わえる絶妙な操作性
    • 着陸ステージでは処理落ちじみた挙動を示すが、それすらも絶妙な感じであり、面白味として味わえるゲーム的な操縦性。
  • 外注ながらBGMは良曲揃い
    • ZUNTATAが制作した音楽群も、快感と旅情的な要素を両立したような曲調で良曲。尚、実際は外注コンポーザーの1人としてタイトー作品に関わりのあった相澤静夫氏*3が楽曲制作を行っている。
    • デモタイトルやステージ1~3の曲は短いながらも「飛行機を操縦する」「空を飛ぶ」という男子心をくすぐるにピッタリの名曲。未だに動画サイトでもこの曲を聴くと胸熱!とのコメントも多い。
    • 各空港選択後のBGMはそれぞれ違い、中々のマッチングである。
    • ステージ1~3、4~6、7~8でBGMが違うのも雰囲気をやはり盛り上げるポイントである。
      • 意図的かは不明だが、後述でもあるステージ4~6と7~8のBGMは風向きが変わるタイミングをメロディで覚えやすい*4
    • エンディング曲は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のZUNTATAアレンジ。
  • 遊び方に幅がある
    • 通常の綺麗なプレイを行うと「オール100点クリア」を目指せるが、遊びこむと真逆の「オール0点クリア」でエンディングにいく等、懐の深いゲームでもある。

問題点

  • 難しい
    • 一番槍玉に挙がるのは、後半ステージの台風クラスの風速&何度も変わる風向きだろう。EASY設定ならまだ良いのだが…。
      • 風向きの変わるタイミングは一定なのでBGMでタイミングを合わせる…のが主流。
      • 大型機を操縦している為、操作性も悪く、それも相まって着陸は困難。クリアーしたいだけならオーバーランを防ぐ為にも得点を無視して急いで着陸させた方が良いだろう。
  • スラストレバーが離陸ステージ以外必要性が無い。
    • 出力を0%にしても下限速度がある為、滑空飛行であっても問題無い仕様である。寧ろ出力があるとオーバーランの危険が非常に高くなる為、着陸ステージでは極力使わないこと。
      • 後述の「滑走路直前までフルスロットルで、BGMが終わる前に着陸」「急上昇→急降下して着陸(リザルト画面で魅せるプレイ)」等の曲芸をする時位か。
  • メンテナンスがなっていない物が多い
    • ハーフミラーや凹面鏡の汚れが没入感を妨げる、操縦桿の緩みで不安定、傾くとドアが開く等発生。当時はタイトーには技術サービス部という修理専門部署が全国にあったが、直営店でもメンテナンスに長けた従業員がいないと追いつかない程の筐体だった。
    • 出回ってしばらく経つと、大きさの為かボウリング場やドライブイン、トラックステーションに設置される事が多くなったが、ことごとくメンテナンスが行き届いていなかった。

賛否両論点

  • 操縦桿を違和感ととるかどうか
    • 本来の飛行機の「押して引いて」ではなく「上げて下げて」の操縦方法はフライトシミュレータファンからは不評だったが、当時の空中操作系統*5と同じく「下げると上向き、上げると下降」なのは体感ゲームとしてはアリだった。
      • トップランディングだけではなく、後々の電車でGO!でもこの手の現実とゲームの乖離的な例は発生している。シミュレーターや職ゲーにつきまとう問題ではある。*6
    • 次回作「ランディングギア」では更に悪化したが*7、その次の「ランディングハイジャパン」でようやくフライトシミュレータに近い操縦桿となる。
  • 減点方式のスコア
    • タイトーの職ゲーは大体この減点方式の為このゲームだけではないのだが、狙うスコアの頭は見えているのでスコアを上げるというよりもミスをしない息苦しさがつきまとう。反対の見方をすれば、プレイの度に反省点がわかりやすいとも言える。
  • 外部モニターの存在
    • プレイヤーが閉じこもったコックピット内で遊ぶために、ギャラリー向けに同じ画面を後ろに配置して外に見せている。
    • これがないと、「どんなゲームかわからない」「プレイの様子がわからない」等発生するのはわかるが、プレイヤーからすれば「何の障害もなく自分の腕前を知らぬ間に、知らない人にまでも晒している」事になる。
      • 物凄いミス等をしてゲームオーバーになった時にドアを開けるとしっかり見られて恥ずかしかったなんて事にも。
      • ただし、外部に晒す事はそれほど重要でも無いと判断されたのか、後の同社の潜水艦ゲーム「バトルシャーク」ではギャラリーは殆ど画面が見えない作りだが外には出力させていない。*8また、後のIDEA版ギャラクティックストームは全く見えない仕様。

総評

テクスチャは無いながらも、フルポリゴンで再現された地形は当時として見れば優れた物と言えよう。
難しいとは言え総合的なゲームとしての面白さもあり、現存している筐体もほぼないため、もし幸運にも見かけたら是非一度は触っておいた方がいいだろう。


余談

  • オールクリアーするとランキングの名前の左に『バブルボブル』のキャラがランダムで表示される。
    • また、スタッフロールに『バブルボブル』のキャラが登場する。
  • 小さいながらも着陸ステージにおいてUFOが画面に登場する事があるが、残念ながら出現パターンは不明である。
  • このゲームはゲームとしての評価以外に、筐体が非常に大きいことで有名。600×1760×975(mm)という規格外の大きさ故に、稼動当時は筐体の中で眠るサラリーマンが度々目撃された。
    • この頃は大型筐体が置いてある店も多く、ダライアスアフターバーナーの椅子で寝ているサラリーマン(じゃない人も)に遭遇する事は多かった。当然店にとっては困った客だったが。
  • 当時の技術ではポリゴンを扱うにはCPUもGPUも、RAMも未発達故にトップランディング開発秘話では「当初は畳一畳分の基板が必要だった」と答えているが、実際の基板サイズは確かに大きめだが畳サイズには全く届かない。
  • この作品のオペレーション向け販促宣伝媒体として、85年度に制作された同社のLDゲーム『タイムギャル』の主人公・レイカのスチュワーデス姿の等身大ポップが作られ、直営店などの店頭に飾られ注目を集めた。
    • レイカはキャラクター人気から長らくタイトーのマスコットキャラクターとして扱われていたため、キャラ人気のあまりこのポップが盗まれるという事態も多発したらしい。
  • 裏技というか、「無意味だけど魅せるプレイ」も多数出来たのも魅力。一番有名なのは「離陸時に逆走してテイクオフ」。誘導のキャラが巨大化するのも笑いを誘った。これは、通常プレイ時のキャラが、逆走するとそのままのサイズで地平線に表示される為。
    • 他にも、「滑走路が横にも描かれている空港では隣の滑走路にも着陸できる」「フルスロットルでBGMが終わる前に着陸(高難度)」「強風時にコースアウトギリギリから旋回すると逆走着陸できる(超超高難度)」等、ギャラリー用モニターのある筐体だからこそ&ポリゴン空間だからこその魅せるプレイがある。