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スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness- - (2018/07/29 (日) 21:44:28) の編集履歴(バックアップ)


スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-

【すたーおーしゃんふぁいぶ いんてぐりてぃ あんど ふぇいすれすねす】

ジャンル RPG

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トライエース
発売日 【PS4】2016年3月31日
【PS3】2016年4月28日
価格 7,980円(税別)
判定 黒歴史
ポイント 過去作の良いとこどりだが使い回しも多い
シームレスなバトル・イベント
最大7人パーティでのバトルだがイマイチ
ゲームバランスも大味すぎる
シリーズ恒例要素の劣化・縮小
ストーリーは安定したが、規模・ボリュームは低下
スターオーシャンシリーズリンク


概要

トライエースが制作するスターオーシャンシリーズの5作目。前作『スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-』からは7年ぶりとなる新作。
時系列は『スターオーシャン セカンドストーリー』(『2』)と『スターオーシャン Till the End of Time』(『3』)の間に位置する。メインの舞台は惑星フェイクリード。過去作をプレイしていなくてもあまり問題はない。

プロデューサーは『3』のファンを自称。
発売前は暗にとあるゲームのアンチテーゼ的な内容にするかのような展開を行っていたが、その実態は…。

プロローグ

宇宙の深淵は、人間たちの平穏を許さないのか――
宇宙暦537年 1人の少女をめぐる戦いの物語が、その幕を開ける。 

地球を飛び出して数世紀、幾多の苦難を乗り越えた人類は、
『銀河連邦』の設立と拡大により、統一された秩序と平和を手に入れようとしてきた。
しかし、ここにまた、新たな争いの火種がくすぶり始めたのだ。 

地球から6000光年以上離れた未開惑星『フェイクリード』。
多くの事例がそうであるように、歴史のうねりは辺境の一惑星から起ころうとしていた。 

『レスリア王国』。
三方を囲まれ、温暖な気候、風光明美かつ豊かな土壌にめぐまれた、大陸を代表する大国である。
しかし、近隣諸国に比しても強大な国力に支えられてきたはずのこの国の人々が、
今、平穏を脅かされつつあった。 

呪印による動物たちの凶暴化、さらには、『エイタロン』を名乗る強盗団が辺境地域を荒らしまわり、
レスリアは『暗黒の7年間』と呼ばれる不安定な時期に陥ったのだ。
王国の南端に位置する村『スタール』も、滅亡の危機に瀕していた。 

この危難に対し、1人の青年が立ち上がる。フィデル・カミューズ――――
王国剣術指南役を父にもち、自らも道場の師範を務める剣士である。
彼は旅立つ。兄妹同然に育った幼馴じみのミキとともに。 

しかしそれは、星の運命をも動かす戦いの日々への旅立ちともなったのだった。 

システム・新要素

シームレスなバトル・イベント

  • 本作の目玉要素。マップのクオリティの高さをそのまま維持しながら、マップの移動から画面切り替えを挟まずバトルに入る。かつて同社が開発した「インフィニット アンディスカバリー」もまた移動と戦闘がシームレスとなっていたが、本作では移動・イベント・戦闘それぞれの切れ目をなくしたシームレスを実現している。
    • 敵の徘徊範囲(=戦闘フィールド内)に入ると敵に対してターゲットカーソルが出現、その状態で□・○・×ボタンのいずれかを押すと「 BATTLE START 」表示ともに戦闘開始となる。無事に全ての敵を撃破すれば「 FINISH 」と表示されバトルが終わり、取得経験値やドロップアイテムを表示しつつそのままフィールド移動へと切り替わる。
    • 敵に気付かれていない(敵が「!」のアイコンを出していない)状態で戦闘を仕掛けると「 ADVANTAGE ATTACK 」となり、味方全員に物理&魔法攻撃力上昇の効果が付与された状態で戦闘となる。
    • 一方でこちらに気付いた敵の攻撃を先に受けると SURPRISE ATTACK となってしまい、味方全員の物理防御力が低下した状態での戦闘を強いられる事となる。
  • バトルシステム
    • 「三すくみの戦闘アクション」などといった『3』のものをベースにした要素が入っている。
    • パーティーメンバー全員がバトルに参加し、最大7人パーティとなる。
      • そのうち操作できるキャラクターはリリアを除く6人。また、スポット参戦キャラがストーリーに応じて加入することもある。
    • ロールというキャラクターのAI制御と強化という要素がある。
      • 大別して攻撃・防御・回復・サポート・特殊の計5種類に分けられていて1キャラ4つまでセット可能。
      • 一部の行動を多く使うようにしたり、なるべく使わないようにすることができる。AIに対してどんな行動を取らせるのか決められる。
      • AI制御だけでなく、「属性攻撃を確率で吸収する」「獲得経験値やフォルを増減させる」といったパッシブスキルしての役割も持つ。
      • セッティングしているロールのレベルを上げると新たなロールが生み出される仕様になっている。
    • リザーブラッシュは超必殺技のようなもの。各キャラに1つ用意されている。
      • 最大で5本まで溜めることができるリザーブゲージが1本でもあれば発動可能で、R2+○ボタンでリザーブラッシュを発動できる。
      • 演出は画面が一度暗転しリザーブラッシュを使うキャラが喋る→通常のバトルフィールドに戻って無敵状態で攻撃開始…といった具合。
  • フィールドでも、メンバー全員(最大7人)が主人公の周りをついてくる。
    • フィールドの先頭は主人公固定。
  • イベントも暗転せずにシームレスに展開する。一定の位置まで来ると、キャラ同士が会話をはじめて動作を行う。
    • イベント中は主人公のフィデルを操作することが可能。
      • パーティスキルでエモーションを開放すると、フィデルを操作して様々なポーズ・リアクションを取らせることができる。

クエスト

  • 街の人々から依頼を請け、達成する事で報酬が貰える。街中に設置されてる掲示板を調べると一覧が表示され、そこから受注する依頼を選択する事になる。
  • 種類はモンスターの討伐やアイテムの納品、僅かな探索など。

その他

  • シリーズ恒例のバトルコレクション、アイテムクリエイション、プライベートアクションもしっかり採用。
    • バトルコレクションやプライベートアクションは過去作とほぼ同じ仕様だが、アイテムクリエイションはレシピを元にアイテムを作成する「レシピ合成」、所持しているアイテムの中から最大6個を選択して合成して1つのアイテムを作成する「クリエイティブ合成」、武器・防具・アクセサリーを合成してパラメータの強化を行う「装備強化」の三種に分かれている。
  • 初期難易度はEarthとGalaxyの2つ。Earthがイージー、Galaxyがノーマルに相当。
    • 最初に決めたら後で変更は出来ない。
    • クリア後はUniverseとChaosの難易度が2つ追加。

評価点

  • 特にPS4版に関して、グラフィックスは次世代機に移行しただけあって概ね良好。
    • 『4』の頃にあったマネキン風な部分が抜けたのは大きい。
    • キャラクターは『ストリートファイターII』などで有名なあきまん(安田朗)氏が手掛けていて、グラフィックも氏のイラストにある程度似せてある。
    • バストアップの2Dグラフィックはあきまん氏自身がドットを打っている。
    • 背景や建築物、オブジェクトの出来もキャラクター同様に良好。
    • 特にフィールドはPS3版と比べ、その質は雲泥の差。公式サイトにあるPS4版とPS3版の比較動画を見れば一目瞭然である。
      • それでもプレイに支障はない範囲であり、比較しなければPS3版でも十分良い映像でプレイ出来る。
  • マップの親切要素。
    • 行けない場所に×マーク、イベント場所は☆マークが付けられている。
    • 採掘や漁といった採取ポイントは近寄って決定を押すだけで採取可能となり、前作のように採取や採鉱動作をせずすぐ動ける。
  • 本作で新録のBGM
    • 後述するあまりに多過ぎる過去作BGMの再録(使い回し)という大きな問題点を抱えてはいるが、7年ぶりの本作で初披露となるBGMは『3』や『4』の雰囲気を維持している。曲単体のクオリティも十分で、シリーズの曲が持つ壮大さを存分に感じられることだろう。
    • 通常戦闘曲もフィールドとダンジョンで別々のものを用意している、ラスボス第一形態との戦闘では『3』の「The Divine Spirit of Language」に匹敵するハイテンションなエレキギターメインのBGMが流れるなど、戦闘関連の楽曲の作りこみも称賛に値する。
    • だからこそ、「曲は悪くないのに使い回しで評価を落としている」という点が実に惜しい所である。
  • 魅力的なキャラクター達。本作の評価の低さで着目されづらいが、味方キャラは皆魅力的である。
    • ヴィクトル、エマーソンの男性陣は、それぞれ違った方向性だが「良い大人」としてパーティを引っ張る。
      • ヴィクトルはクソ真面目で常に礼節を欠かさない人物だが、主人公の色々な依頼を快く引き受け、時にはコネを強引に使ってまで主人公に協力してくれるなど、ただの堅物ではない柔軟性を持っている点が魅力的。また、サブイベントでピーマンが嫌いなどの可愛い面を見せたり、からかわれて子供っぽくムキになったりという面もある。
      • エマーソンは、女好きな面があったりたまに失言癖が出たりするが、出自もあってか能力は高く決める時はバシッと決める。
    • 女性陣では、シリーズを通してもトップクラスに奇抜な格好をしたフィオーレが目立つ。
      • 服装が奇抜なだけで性格は至って常識的。口調・性格共に前向きで、苦境に陥ったり苦しんだりしている仲間を励まし、勇気付けることが多い。それでいて自分が困った時は、自分だけでできることは自分で解決しようとするし、自分だけで解決できないことについては肩肘張りすぎて問題を抱え込むこともなく、ちゃんと仲間を頼ることができる。要は考え方のバランスがいい。
      • 知識欲が旺盛で、後半は銀河連邦の新しい技術に関する知識を次々と吸収していく。
    • 他にも、ヴィクトルの部下やチャールズ・ディ・ゴールのクルーなど、パーティ入りしない味方キャラたちも全体的に有能で、部分部分を見ればストーリー展開が小気味良い。
  • アクの強いパーティメンバーが多かったSO4とは対照的。プライベートアクションを進めてくと強烈な個性を隠し持ってたことが判明したりもするが、SO5のパーティメンバーは皆基本的には常識人である。
  • シリーズお馴染みキャラ、ウェルチについて。
    • 性格やキャラデザが不評だった『4』から一転、デザインも『3』を継承したものになり、イベントに関しても良い意味でウザイと好評である。
    • 但し、そのイベント中は主人公達は一切喋らず無言でリアクションを取る形になってしまっているのは違和感があるが。
  • 7人パーティによるバトルを実現したこと。
    • 大抵のRPGは3~4人パーティであるなか、アクション性強めのバトルでありながら(多少は感じられるものの)ほとんど処理落ちもせず60fps(PS3版は30fps)で滑らかに動くこと、7人パーティという仕様をPS3でも動作するようにしたことは評価点といえる。
    • RPGではお決まりのツッコミどころである「なぜ仲間全員で戦わないのか」という問題点を、スペックとプログラムによって強引にかつ完璧に解決してしまったことは称賛に値する。
  • リザーブラッシュ(いわゆる超必殺技、秘奥義)の追加
    • キャラごとに固有の大技を1つずつ持っており、演出も十分にカッコいい。上記の様に発動時点で無敵状態になる上に、大半の状態異常を自動で治癒するという効果も備えているため、緊急回避の様な使い方も出来るなど使い勝手は良好。

問題点

バトル

  • 評価の高い『3』がベースだが、今作のバトルシステムはあまり良い評価は得られていない。
    • 主な原因は「三すくみ形骸化(大攻撃が強すぎ・ガードが弱すぎ)」、「エフェクト派手すぎ」、「双破斬ゲー」、「技の使い回しが多すぎ」の4つ。

三すくみ形骸化(大攻撃が強すぎ・ガードが弱すぎ)
この問題点は『3』でも課題として挙げられていたのだが、本作ではより悪化していると言える状態で、悪い面がかなり目立つ形となってしまった。

  • 小攻撃→大攻撃→ガードの三すくみは完全に形骸化してしまっている。序盤は三すくみも機能するが、中盤からは完全に崩壊する。
  • 主な原因は、ガードと大攻撃の関係。ガードは「小攻撃を防ぐことができる代わりに大攻撃には破られる」、大攻撃は「ガードを破ることができる代わりに、予備動作が大きく小攻撃に潰されやすい」という設定だったのだが…
    • 本作では中盤以降の敵が使用してくる大攻撃に、「異様に発生が早い」「攻撃範囲が広すぎる」といったものが多く、ガードをする前に被弾したりガードを簡単に破られてしまう。また、紋章術が飛んできても問答無用でガードを破られる。
    • 特にボスや大型の敵に見られるが、平気でガードができない大判定の範囲攻撃をしてくるのにも関わらず、鋼体や発生の速さ・攻撃範囲の広さにより、小攻撃で止めることができないという理不尽な敵も。
  • 全キャラの最大MPが過去作よりもかなり高くなり、スキル消費MPが少ないので全体的にバトルスキルの使い勝手は良いが、バトルスキルは小でも大でも発生速度が変わらないという仕様により、結局は強力な大バトルスキルを連発していればいいだけの大味なゲームバランス。
    • 同じバトルスキルを繰り返し使用してもキャンセルボーナスが発生するという仕様も、大攻撃バトルスキルの連発を後押ししている。『3』では小攻撃バトルスキルと大攻撃バトルスキルを交互に出さなければキャンセルがつながらないのに対し、本作では大攻撃にセットしたバトルスキルだけを連発しても繋がりボーナスも乗るという有様。キャンセルボーナスによるダメージ倍率が200%までと控えめで、200%までキャンセルした直後の隙が大きいというデメリットもあるにはあるが、ハッキリ言って焼け石に水である。
  • また、『3』にあった「ガッツ(行動力)」「大攻撃バトルスキルのHP・MP消費が%単位(DC版での追加要素)」という要素が本作には存在しないという点も大きな問題となる。前述の要素によって大攻撃スキルを連発させない様にしていたのに、『3』の戦闘を継承しつつその仕様をゴッソリ削ってしまってはバランスが崩れるのは必然といえる。
  • 総合して、後半は一部の攻撃を除いてガード自体がほぼ使い物にならなくなり、大攻撃(および大バトルスキル)が強すぎるという結果を招いた。
    • 「大攻撃で簡単にガードを破れてしまう」「バトルスキルは、小でも大でも発生速度が変わらない(大攻撃なのに発生が早い技になってしまう)」という2つの仕様が全体的に足を引っ張っている。
    • ガードに耐久値のような数値を設定して大攻撃や紋章術でも簡単には破られないようにしつつ、バトルスキルの発動速度や技後の隙の大きさも大小で差別化されていれば、もっと奥深いバトルシステムになったかもしれない。
  • 一応、3すくみで優位に立つ行動を行うとリザーブゲージが大きく上昇していくので、ボス戦の最中でも「ガードを多用するなら大攻撃でガードクラッシュを狙う」「相手の小攻撃に合わせてガードカウンターを当てていく」などの方法で効率よくゲージ回収していくことも可能。無敵状態になれるリザーブラッシュを効率的に発動出来るという点では確かに強力ではある。
    • しかし、実際の戦闘では大バトルスキルを連発していれば大抵の戦闘には勝てるので、簡単にクリアできてしまう。そのため、上記のゲージを稼ぐ立ち回りは「ボス戦でリザーブラッシュをするため事前にゲージを溜める」「ゲージによる補正で経験値やSPの稼ぎを効率化する」位の使い道に限られてしまう。

エフェクト派手すぎ

  • 初期のバトルスキルでも結構派手であり、酷いものだと画面全体を覆い尽くしてしまうものもある。
    • 画面全体が派手なエフェクトに包まれてしまうと、「誰がどこで何をやっているのかが全く分からない」という事態になる。
    • 一応、画面右上には敵味方の位置情報が見られるので、「誰かがその場所にいる」というのは分かるが、「具体的に誰が」「何をやっているのか」は分からない。
  • エフェクトの派手さと上述の三すくみとの相性が最悪で、誰が何をやっているのか分からないため、三すくみを意識しようにも、敵の行動に合わせて有利な行動を取ることができない。
  • エフェクトのショボさが批判されるゲームはいくつか見られるが、本作においては逆に「派手すぎるというのも考え物である」ということを証明してしまった。
+ トライエース作品お馴染みの隠しボス「イセリア・クイーン」戦。画面を覆い尽くすエフェクトの数々。同時に機能してない三すくみや双破斬だけが連発されてる様子もわかる。

双破斬ゲー

  • バトルスキルの中でもフィデルとヴィクトルが最初から使える「双破斬」が強すぎる。「双破斬ゲー」と呼ばれることも。
    • 出が早い・威力も高い・クリティカル率も高い・攻撃範囲がそれなりに広く複数の敵を巻き込みやすい・2発目でダウン確定、と初期のバトルスキルにしてはあまりにも性能が良すぎる。このため他のバトルスキルの存在が薄まっている。
    • 他のバトルスキルはクエスト報酬である特定のアイテムを使わないと覚えないので、人によっては更に使用頻度が上がってくる。
    • フィデルの場合、敵にフォグ(命中率低下)効果を付与できる「ショットガン・ボルト」や終盤で習得する「ヴァーティカル・エアレイド」など双破斬以外に使える技は全くないでもないが、双破斬の上記のアドバンテージを大きく上回るような要素があるわけでもない。結局双破斬を振り回していればなんとかなるケースがほとんどである。
    • 何故か『4』のエッジの初期技と同じモーションで発動後の隙が大きすぎる「鏡面刹」や、技の出が極端に遅く攻撃範囲も狭い「ストレイヤー・ヴォイド」など、首を傾げるような調整の技は多々見受けられる。

技の使い回しが多すぎ

  • 全体的に新規のバトルスキルが少なすぎる。過去作(特に『3』)で登場したバトルスキルが非常に多く、モーションもそれに合わせているので新鮮味が非常に薄い。
    • 主人公フィデルのバトルスキルだけ見ても、「空破斬」「双破斬」などのお馴染みエダール剣技と『4』のエッジの技「サイクロン・ブレード」に「ブレード・ライジング(のモーションをそのまま使用した鏡面刹)*1」、その他は全て『3』のフェイトの技の使い回しという有様。本作初登場となる技は一つもない
    • その弊害として、仮にもカミューズ流という歴史ある剣術の必殺技のはずなのに、ネーミングが日本語だったり英語だったりとあまりにも統一感がない状態となってしまっている(『2』のクロードも日本語と英語の必殺技が混ざってはいるが、あくまで我流剣術の域を出ていない彼の場合はここまで違和感が目立つ事はなかった)。
    • アンヌのバトルスキルはさらに酷く、全てのバトルスキルが『3』のクリフ・ミラージュ・マリアの技からの使い回し。リザーブラッシュすらもミラージュと同じ技。1つくらいはオリジナルの技があっても良かったのでは…
    • エマーソンのバトルスキルは「イバラネ」「ナルカミ」など『4』のレイミのバトルスキルをカタカナにしたものが主。しかし彼の場合も後半で『3』のマリアの技だった「グラビティ・ビュレット」が突然紛れ込む。統一性がなく違和感を禁じ得ない。せめて技名だけでも別のものを考えられなかったのか。
    • リザーブラッシュで発動する「イセリアル・ブラスト」は、本来『3』で登場するフェイトの特殊な境遇により放つことができたはずの技であり、そういった要素を持たないフィデルがこれを使うことには違和感を持ったユーザーも。
      • 初代から20周年という節目で発売した久々の新作なのでファンサービスのつもりなのだろうが、あまりにも今までと同じ技が多過ぎである。ここまで多いと『5』ならではのオリジナリティの乏しさやネタ切れ感が漂うだけになってしまう。*2

バトルに関する他の問題点

  • 一部戦闘が異常に飛び抜けて難しい。
    • 特に有名なのが「アンヌ防衛戦」と呼ばれるバトルでこれがやたらと難しく、多くのプレイヤーの心をへし折っていった。
      • 敵は無防備なアンヌを集中して攻撃する上、アンヌ自身も打たれ弱いステータスなせいで戦闘不能になりやすく、かつアンヌがやられると即ゲームオーバーという鬼畜仕様。
      • 順当に進めてきただけの状態ではまずここを切り抜けることはできないほどの超難度で、アンヌを打たれ強くする、速やかに敵を撃破する、後述のデッドマンを使う等の対策を強いられることになる。
      • ゲームオーバーからのリトライがなく、イベントスキップもできないので負けた時のやり直しがかなり面倒。
      • しかも一回切り抜けたから安心という訳ではなく、本編中で3度に渡りアンヌ防衛戦が立ちはだかる。まるで嫌がらせである。
    • 他の難所としてはある意味シリーズ恒例のスピキュールを使うデル・スール、高威力のガトリング砲や爆弾投下で蹂躙する雑魚敵のアヴェンジャーなどが挙げられる。
  • 「強制エスケープ」と呼ばれる現象について。
    • 主人公以外のキャラクターを操作してバトルに突入すると開始早々エスケープゲージがたまっていく。
      • 具体的な流れを示すと、「戦闘開始と同時に主人公の後方にいる仲間へと操作変更→変更先のキャラクターが戦闘区域の端っこにいるせいで逃走判定が発生する」という感じである。
    • エスケープゲージがたまりやすいせいで気づいたら逃走完了していることがしばしばある。
    • これは「フィールド・ダンジョン内の特定範囲がバトル時の行動区域となっている」「フィールド移動中に操作できるのは主人公のみ」「基本的に敵に近づいてプレイヤーがボタンを押すと戦闘開始する」「戦闘開始と同時に戦闘で使うキャラクターへと操作が変更される」などの要素が複合して起こる現象である。
    • 敵との戦闘を避けたい場合はむしろ利点として働くものの、主人公以外のキャラを使って戦いたい時はストレスの要因になりやすい。
  • ロール「デッドマン」の存在。
    • 様々なロールが存在する中でぶっちぎりで最強、むしろそれを通り越して開発側からすら半ばチートとも言われているのが「デッドマン」。『2』などに登場しているブラッディメイルのように時間経過で体力が減少していく代わりに、あらゆる攻撃に対して無敵になる。
    • かなり激しく体力が減少していくが、レベルを最大の3まで上げることによりだいぶ減少は緩やかになり、回復も十分間に合うレベルになる。回復役のミキにセットすれば簡単に絶対に死なないヒーラーが出来上がるし、本来防御力が下がり攻撃力が上がるロール「バーサーカー」のデメリットも一切なくなってしまう。
    • 難易度の高すぎる戦闘の救済措置として存在しているフシがあり賛否両論だが、多用するとどんな戦闘でもゴリ押しで突破できるため、戦闘の緊張感がまるでなくなってしまう。
    • 本作プロデューサーは発売前に「とあるチート級ロールを使って勝っても私は認めない」と豪語していた。このデッドマンを指していると思われるが、「だったらそんなもん実装すんなよ」と言いたい。
    • そもそも今作の戦闘バランスはあまりにも大味すぎる。そのような発言は、戦闘バランスをきっちりと調整してから行って欲しいものである。
  • 戦闘不能時の挙動
    • 本作で味方キャラが戦闘不能になった場合、蘇生アイテムor紋章術で回復してもらうまでその場で跪いて動けなくなるという仕様となっている。
    • 少なくとも死亡・意識不明という扱いではなくなっており、恐らく戦闘直後にイベントが開始しても違和感をなくすためのものと思われる。
    • しかし問題は、フィールドやダンジョンの移動中・戦闘前のイベントなどではキビキビと動くのに、戦闘が始まった途端にその場にうずくまってしまう点にある。さっきまでの元気はどうした
      • 戦闘不能状態のキャラが平然と動き回ったりイベントシーンに参加したり…という問題点そのものはある意味RPGの宿命ともいえるが、本作に関してはシームレスにしている分余計目立つ。
    • 戦闘終了後にHP1で復活するといった仕様にすれば簡単に回避出来たと思われる以上、作り込みが甘いとも取れてしまう。

ストーリー

+ 一部ネタバレのため折り畳み
  • 『4』の原案を務めた則本真樹氏に代わり、本作のシナリオはシリーズ生みの親の五反田義治氏が原案から執筆まで手掛けている。加えて人を選ぶ内容だった『4』の反省からか、今回のストーリーは王道路線となっている。
    • キャラクターも王道で万人受けしやすいものが揃っており、人を選ぶキャラが多かった『4』とは対照的である。
    • しかしシナリオは全体的に起伏に乏しい。トライエース作品に付き物の電波、鬱、超展開こそほぼ無いものの、手堅くまとまり過ぎて今一つ盛り上がらない淡々としたストーリーになってしまっている。
  • 大まかな展開を突き詰めて言えば、「謎の少女リリアとその姉を巡る小競り合い」。
    • 幼女が特別な能力を持っていてそれを主人公たちが守るという内容は他RPGでも割とよく見られることなのだが、今作では「何やら墜落した謎の宇宙船の中から出てきたリリアを主人公たちが保護したのち、なぜか唐突に彼女を命懸けで守ると宣言する」という内容。縁もゆかりもなく見ず知らずの少女になぜいきなりそこまで肩入れするのかがよくわからず、プレイヤーは盛大な置いてきぼりを食らう。
    • おまけに、その際にリリアを返せと迫る乗組員とも戦闘になっている。確かにシナリオ上彼らは敵勢力であったわけだが、まったくの第三者である主人公たちにこの時点でそんなことは当然わかりようがない。にも関わらず、仮にも彼女の保護者と思われる立場の人間に剣を向ける。高圧的な態度で「(返せではなく)渡せ」と迫る上に力づくで奪い返そうとする相手を警戒するのは分かるが、もう少し主人公達がリリアを返すのを躊躇うような流れを作れなかったものだろうか。
    • 奪還されたリリアはその後再び敵勢力に拉致され、いったんは奪い返すがまた攫われ…といった展開を何度も何度もうんざりするほど辿ることになる。ワンパターンすぎる展開に多くのプレイヤーが辟易した。
  • ラスボスも中途半端。
    • 本作のラスボスは端的に言えば、敵勢力のタカ派の一将軍に過ぎない人間である。敵対勢力のトップとはゲーム終盤で和解することになり、トップの意向を無視して軍の大半を掌握して暴走する彼を鎮圧するために最終決戦に赴くことになるという筋書き。
    • 早い話が、『3』に登場したヴォックスのような中ボス的立場の人間が実はラスボスだったという展開。惑星を支配する独裁者、超文明が生み出した破壊兵器、宇宙の創造主など、曲がりなりにも風格があった過去作のラスボス達と比較してあまりにも小物臭さ全開である。
    • これまでのスターオーシャンだったら、ラスボスだと思われたその将軍を操っている存在が背後にいたり、あるいは宇宙の存亡がかかる真実を将軍が知ってしまいやむにやまれず敵対したなど、将軍との戦いを起点にスケールの大きい話が展開されていたのだが…。
      • これまでのスターオーシャンと比べてスケールが小さいだけに、ラスボス撃破後に黒幕が別にいるのではないかと予想したプレイヤーも、倒した後に普通にエンディングを迎えて肩透かしを食らったプレイヤーも、多かっただろう。
  • 惑星が1つ(しかも一地域)しか登場せず、非常にスケールが小さい。
    • その為、後述する舞台の狭さ、マップの少なさと言う問題に直結している。
    • 他のゲームでは舞台が狭くとも壮大な物語を展開しているケースもあるが、本作は上記のリリアやラスボスについてを見れば分かる通り、その位の規模の話で終わりである。『2』以降のような宇宙の存亡を賭けた戦いには到底発展しないし、雰囲気の近い『1』にも遠く及ばない。
    • また、未開惑星しか登場しない事から「SF要素が薄い」と指摘されることがある。
      • 「SF要素の薄さ」というのはこれまでのシリーズにおいても度々指摘されていたが、シリーズを追う毎にファンタジー要素と反比例でSF要素が増えて行き、『4』では宇宙船で様々な惑星を冒険するほどSF要素が強まっていた*3
      • しかし本作は『1』を彷彿させるファンタジー色の強い世界観である。その為、不満点に挙がる一方で、旧来のファンの一部からは「初代を彷彿させるノリ」と評されることもある。
        五反田氏も発売前のインタビューで「原点回帰を目指した」と語っており、この点はスタッフの意図した通りと言う事だろう。プレイヤーには賛否両論だが。
  • これらの理由により、今までと比べるとどうにも話の規模が小さく、盛り上がりに欠ける内容となってしまった。
    • トライエースのRPGは元々ストーリーの評価が低いものが多かったが、PS2時代は超展開シナリオというネタになるような部分があった。
      • 本作は良くも悪くも手堅い話であり、かつて「トライエースのゲームのシナリオは予断を許さない」といわれていた面影はほぼなくなっている。これが良点か難点かは人によるだろうが、スケールが大幅に縮小した事自体は、最新作としては頂けないのは間違い無いだろう。
  • 主人公フィデルのとある行動
    • ヴィクトルはフィデルの父から剣の教えを受けており、フィデルからすれば同門の後輩に当たるが、10歳近くヴィクトルの方が年上であり軍人ということもあってフィデルはそれなりに敬意を持った接し方をしていたが、中盤にヴィクトルが軍を抜ける覚悟をした際に 突然フィデルがヴィクトルを弟弟子扱いし、呼び捨てにする。 ヴィクトルがそう申し出たのならいいのだが、フィデルがそれでいいだろと言い出す始末*4
      • フィデルはシリーズ最年長主人公だが、この言い草は大人気ないと言わざるを得ない。確かにまだ23歳と若く、スタッフからも「成長過程」と言われているが、彼より年下の過去作主人公達は少なくともこのような暴挙に出る事は無かった。それだけ自分の父を尊敬していて、その弟子でもある事に誇りを抱いていたのかもしれないが、内心見下していたと思われても仕方がない。
  • トライエース恒例の隠しダンジョンについても、ネタに満ちたボス戦闘前と後の会話が無くなってしまい、ただ目の前に現れたボスを倒すだけという非常に淡白な内容になってしまった。
  • プライベートアクションについても数だけは多いが、中身の薄すぎる内容も多くなった。酷い例だと一言で終わってしまうものすらある。
    • そのため、キャラの掘り下げが非常に甘くなってしまっている。下記のイベントシーンの淡泊さもあって、キャラに感情移入しにくい。
    • また、仲間が一方的に話したり独り言を呟くだけのものも多く、主人公の存在感が薄い。
    • イベントが発生しない状態で話しかけた際も、従来はその街に関連した台詞や、PA発生直後であればそれについての話があったのだが、今回は「どうしたの?」「何か?」などと返されるパターンばかりで非常に味気なくなった。
    • 一応補足すると、イベントが味気ないのであってキャラクターの個性が薄いわけではない。実は相当な食いしん坊であるミキ、ネコ好きとオバケ嫌いを両立したアンヌ、実は腐ってたフィオーネなどなど、『4』のようにメインシナリオに絡まない範囲で強い個性を持っている。

その他の問題点

  • ヒロインのグラフィック
    • 評価点でも述べた通りキャラグラに関しては概ね高く評価されているのだが、例外的にヒロインであるミキに関してはあまり良い評価を聞かない。一目見ればは分かるのだが、目と目の間が他のキャラと比べて離れすぎて見えるのである。
    • その見た目のせいで「ピンクマンボウ」だの「ウーパールーパー」だのかなりひどい通称で呼ばれる羽目に。公式サイトでも確認できるあきまん氏のイラストの時点で眼が離れて描かれているあたり、イラストを忠実に再現した結果ともとれるのが悲しい所である。
  • カメラについて
    • 移動や戦闘の時はカメラが小さな段差などでも自動で追従するせいで、特に上下に細かく揺れまくるカメラになっている。
      • そのせいで、カメラ感度調整しないと人によっては3D酔いでプレイが困難になることもある。一応、移動中でも戦闘中でもカメラは自分で動かせる。
    • 試遊版で「カメラワークが悪い」と指摘があったのだが、スタッフは発売前に「もっと良くなる」と発言。スタッフがカメラワークの悪さを理解しかねている節が見られる。
    • 移動でもバトルでも自分でカメラを操作できるので、気にならない人は気にならない。
  • シームレスイベントについて
    • 海外のオープンワールド系ゲームなどに見られる演出を意識したかのような、自然な流れでリアルタイムに進行するイベントシーンが特徴なのだが、イベントに入ったのかどうかも分かり辛く、キャラの動きの少なさ(見えづらさ)や感情の伝わり難さ、演出の地味さと言ったそれらの欠点まで踏襲しており、国産RPGらしいドラマチックな雰囲気が薄れている。
      • そもそも海外のゲームのそれはイベントとゲームが同時進行するスピーディさが魅力だが、本作の場合はゲームプレイが止まってしまうので意味がなく、演出を淡泊にしイベントを盛り下げる効果しかない。
      • 要は従来の国産RPGのイベントデモからカメラ演出をオミットしてオート進行にし、フィールド上で再生しているだけである。
      • 本作で実装されているスキル「エモーション」は、この淡白な演出をプレイヤーの介入により緩和するためのものと思われるが、その役割を満たしているとは言い難い。イベントシーンにおいてはエモーションで行う動作よりも、イベント中にフィデルが行う動作の方が優先されるためである。前作主人公が鬱状態になる時の動作を筆頭にネタに走ったモーションが相当数用意されているが、フィデルが会話に参加するたびに素の状態に戻られてしまってはおちおちネタプレイも出来ない。
    • 他のゲームのカットシーンのようにカメラは自動で動いてくれないので、手動で動かす必要があるが、ベストな位置に持っていくことが難しい。適切なアングルにしようと苦心していたらイベントなど見ている暇は無い。会話シーンに似た演出を採用した『ゼノブレイドクロス』と同様の問題だが、本作はイベントの殆どがこの形式な分、より深刻化している。
      • キャラの表情もまるで分からず、重要なキャラの動作をうっかり見逃す事も有り得、感情移入しづらい。
      • カメラ操作は主人公を中心に行うので、主人公ばかりが画面に映ってしまう。喋っているキャラにズームするのも一苦労である。
    • イベント中は動き回れる場合もあるのだが、その場合は移動エリアが制限され、赤い枠の外に出られない。会話の早送りもできないので2周目等ではストレスがたまる。
      • また、上記の通りカメラ操作は手動なので、適切なアングルにする為には適宜主人公を動かさなければならず、手間が掛かる。また、アングル調整の為に細かく動かしていると、主人公が挙動不審な人物に見えてしまう。
    • 従来のようなムービーのイベントもあるのだが、数は本当に僅か。最初のムービーイベントですら、主人公達が旅立ってから最初に立ち寄った街で宿泊した時である。それまでイベントも結構あるし、戦闘もそれなりにこなしている。
      • そのムービーも「寝坊したフィデルをミキが起こす」と言うもの。それまで全く無かったムービーが急に飛び出すので唐突に感じる上、何故このタイミングでこう言ったシーンをムービー化するのかも少々理解に苦しむ。ゲーム冒頭にこのようなシーンを入れた方が唐突感も無いし、主人公達の顔見せとしても機能したと思われるが。
      • 仲間との出会いなどの重要なイベントも悉くムービーが無い為、サブキャラの印象も薄くなりがち。ヒロインのミキやキーパーソンのリリアとて例外ではない。
    • 更にはイベントスキップもできない。上記の「アンヌ防衛戦」では全滅するたびに長めのイベントを何度も見させられる羽目になる。
      • 一応ムービーシーンのみスキップができるが、そもそもの数が少なすぎるためほとんど意味がない。
    • シリーズ恒例の艦隊戦についても、陽電子砲(『2』)やクリエイション砲(『3』)の発射演出、果ては高速機動をしながら戦闘を繰り広げるカルナス(『4』)など、様々な迫力あるムービーが存在した過去作品と違って艦内の様子しか映し出されない。
      • 一応、カメラは自動で切り替わってくれるが、外は映さず、ほぼすべての戦闘が味方側のセリフと艦内モニターに表示される戦況画面だけで繰り広げられる。さながら実況のような状態になっており、外の様子がまるでわからない。臨場感はあるかもしれないが、イベントとしては面白味の無いものに。
    • 各所で公開されているスクリーンショットは、さも従来通りのカットシーンであるかのような適切なアングルのものが殆ど。これらを見ただけでは今までのようにイベントを楽しめると勘違いしてもおかしくない。しかし実際にそう言ったアングルにするのは難しい、或いはそもそも不可能である。
    • シームレスは「開発側がイベント中の演出の作成の手間を省くために導入したのではないか?」と邪推してしまうほどであり、実際そう言った意見もある。
      • プロデューサーによれば、「国産RPGでよくある、イベントでプレイが中断される方式は没入感が削がれるから」と言う理由でシームレスイベントを採用したとの事。演出面が弱くなるのは承知の上で、プレイ感覚を優先した結果であると言う。
      • しかし前述したようにゲームプレイが止まる事に変わりは無く、ただ演出面を弱めてプレイヤーに余計な手間まで強いるだけにしかなっていないのが悲しい所である*5
      • グラフィックのクオリティは高く、キャラクターも会話中はしっかりと演技しているので、それを適切な位置で見たいというのがユーザーの本音ではないだろうか。
    • インタビューでは『4』で海外を意識し過ぎていた反省から、今回は国内外で受け入れられるJRPGとして勝負する。と言った旨が語られていたが、このシームレス演出やその他仕様など、前作以上に海外を意識している部分が見受けられるのが実状である。
    • イベントに入るとカメラが自動でキャラたちに寄ると同時に移動操作を受け付けなくなり従来通りに物語が進行、イベントの終わり際にはカメラが移動時と同じ位置まで引き移動に戻ったり戦闘に入る…という具合にすれば、シームレスな繋ぎとJRPGとしての物語の見せ方を両立で来たと思われるだけに、シームレスの長所が活かされていない本作の仕様が残念でならない。
  • 移動について
    • 今作は全体的に舞台が狭くなり、マップが数える程しかなく、代わりに1つ1つがやや広めになっている。
      • そのため、同じマップを何回も行き来する展開になってしまっている。プレイ時間の多くが移動で占められる。
      • 広いといっても戦闘システムの関係で道幅が広くなっている為であり、密度は無い。
    • ×ボタンでダッシュはDUALSHOCK4のコントローラではやりにくいという声が多い。
      • これは最近のゲームでもある『DARK SOULS 3』等でも同様であるが、右スティックでカメラ操作できるゲームでは相性は良いとは言えない。
      • ちなみにこの点は東京ゲームショウで指摘されてから取り入れられたものである。そのためか、早送りのようなモーションになっている。他ゲームは特定の条件を満たさないとダッシュすら満足にできないのもあるので、無いよりはマシかもしれないが…。
    • 終盤になってやっとワープ機能が使えるようになるが、いちいち宇宙船を経由しないといけないので手間がかかる。
  • 上記の舞台縮小に加えて、村や町の作りが手抜き感のあるハリボテ構造である。
    • 建物の外観はしっかり作りこむ一方で、民家などの施設にはほとんど入れないという簡略化が目立つ。
      • HD世代のRPGでは入れる建物の省略は珍しくない傾向ではあるが、シリーズ過去作は街中にちりばめられた小ネタを探すのも楽しみであった。
    • ショップも通りに置かれた露店形式となり室内フロアでの販売は一切なく*6、酷い町だと宿屋にしか入れない。おかげで町探索は外周を走るだけで終わる。しかも狭い。
    • 一方で入れる建物はPS2以前のRPGのように、どんな小さな家でも一々ロードを挟む。ドアの開閉モーションやSEも無い。なぜここをシームレスにできなかったのか・・・。
  • クエストについて
    • 今作のクエストは基本「掲示板で依頼を受け、掲示板で達成報告する」という淡白なものである。
    • 前作では依頼主と直接話す形式だったため、そこにちょっとした物語があったが、それがなくなり手間が減った分、作業感が増した。
  • ボリュームについて
    • メインストーリーを追うだけなら25時間程度でクリア出来てしまう。確かにシリーズ初期はそこまで長いストーリーでもなかったが、シリーズを追う毎にメインストーリーのボリュームも増していた。最新作としてはかなり短いと言わざるを得ない。
    • それを補うほどやり込み要素があるかと言うと、そちらも過去作よりもかなりグレートダウンしている。例を挙げるならば前作まで存在していた闘技場がない。闘技場のような形式で戦うサブダンジョンはあるが、それを代わりと呼べるかどうかは…。
    • クエストなどの寄り道を順次こなしていればクリアまでもそれなりの時間を要するが、前述した通りクエストは作業感が強い為、プレイ時間の水増しのようになってしまっている。
    • 尚、五反田氏は今まで書いた中で本作のシナリオが一番量があると語っていた。しかし実際はこの通りである。
      • 「どこまで収録できるか分からない」とも語っている為、相当の量が削られたとも考えられるが、だとしたらどれほど削られたのだろうか。
  • 技だけでなく、モンスターやBGMも過去作からの使い回しが目立つ。
    • モンスターはPS3で完全版を出したからか『4』の使い回しが目立ち、安易にモデルを使ってしまったために「その敵キャラの存在が矛盾している(様に見える)」という結果に。
      • 具体的に指摘すると、『4』で最初に訪れる惑星エイオスに生息している「アデファーガ」「ポリファーガ」という巨大昆虫が、なぜかフェイクリードにも棲みついている。この昆虫は『4』のラスボスも関係する特殊な物質がもたらす異常進化で生まれた「惑星エイオス独自の生物」のはずである。
      • チンケシーフやゲレルなど、星や年代を問わずシリーズ恒例と化している敵もいるにはいる。しかしこの系統の敵に関しては、500年以上経過した未来の他の惑星に易々といていい存在とは言いがたい。
      • トライエース恒例であるクリア後のEXダンジョン*7なら何がいても問題はなかったのだが、基本シリアスのメインストーリーの中に存在するのは不自然極まりない。
    • BGMは『3』『4』から、フィールド・イベント・戦闘を問わずかなりの曲数が使い回されている。曲のクオリティやチョイスにはほぼ問題はないので、本作がシリーズ初プレイという分には全く気にはならないのだが、シリーズファンからすると進めるたびに聞き覚えのあるBGMが流れてくるため興が削がれてしまう。
      • 再録の範囲を特に評価の高い戦闘BGMの数々や、『4』で収録された文字通りウェルチのテーマというべき「Good Morning, Miss Vineyard」くらいに留めておけば、シリーズ集大成として好意的に受け止められた可能性もあるだけに、使い回しの多さが目に付くこの現状は残念でならない。
      • 初回生産限定特典では戦闘BGMを『ヴァルキリープロファイル』(1・2)のものにカスタム出来るDLCが、e-STORE専売のアルティメットボックスには戦闘BGMを本シリーズの過去作(1~4)にカスタム出来るDLCが封入されている。DLCの内容自体は高く評価出来るのだが、DLCなしでの本作の使用曲を加味すると使い回しを目立たなくする為のDLCにも見えてしまうのが悲しい。
  • 声優、東地宏樹の不参加
    • シリーズファンにとっての不満点。東地宏樹氏はSOシリーズには欠かさず参加しており、新作は勿論、リメイクで他のキャストが変更されても東地氏は同役で続投するほどスタッフにはこだわりがあり、今となってはファンにも「東地宏樹はSOシリーズに必要不可欠なもの」と言われているほどのキャストである。しかし、今回はスケジュールが合わなかった等の理由により不参加となっている。
+ 以下、2016年3月29日、電撃PS『スターオーシャン5』発売直前生放送!にて語られた内容
  • 東地宏樹氏は今回出演していない。理由はそもそも過去シリーズでずっと東地氏を使い続けたのは、ファンサービスの一環もあったが、ぶっちゃけスケジュールが合わなかった。
  • 一応メインキャラの一人、エマーソン役に東地氏の出演候補には入れたが、エマーソンは女たらしのイメージが強く、硬派な東地氏のイメージに合わないという意見があった。もちろん脇キャラで出せないことはなかったが、脇キャラに出してもファンは喜ばないと思った。トライエースとも協議した結果、ユーザーは求めていると思うし、出ないことで違和感もあると思う。ユーザーからネガティブな発言が出るとは思ったが、本当にキャラクターに合っている声を選びましょうと。キャラクターを見回したときに、東地氏であるべきキャラクターというのがいなかった。
    • このように主な理由としては、スケジュールがそもそも合わず、その上で東地氏にふさわしいキャラクターがいなかったということが挙げられている。また内容を見ればわかるが、東地氏を起用しないことに対してファンから反感を持たれることは承知した上での判断だったようだ。
    • しかしながら、過去シリーズの要素をこれでもかとちりばめておきながら、何故かシリーズ恒例であったはずの東地氏は起用しなかったことにはやはり違和感がある。『5』が過去のシリーズの集大成ではなく、寄せ集めのような感じになってしまっているのには、このような細かいところにも原因があるのではないだろうか。
  • 武器グラフィックについて
    • 小さな不満点の一つだが戦闘時の装備グラフィックが固定になってしまったことを残念に思うファンも多い。
    • 「3」「4」では戦闘時の武器は、武器ごとの固有グラフィックが存在していた。
    • 特に「3」では本作にも出ている「鉄パイプ」などのネタ武器も存在しており、尚且つ武器強化で最強クラスの武器にすることも出来たため、見た目のインパクトととも相まってそれなりに好評だった。*8
    • 本作では「3」以上に見た目を重視したネタ武器が存在するのだが、装備してもグラフィックが変わらないため、強化してもイマイチ面白みに欠けており、前作で出来ていたことが何故出来ないのかと不満を持つ人もいる。

総評

シームレスバトル、多人数での戦闘などの新要素の追加に加え、過去作の良いとこどりによってシリーズの集大成を目指した様子は窺えるものの、
シリーズ経験者からすると看過し難い不満点が多く、逆に本作を許容できないというシリーズファンが多くなってしまった。
映像こそ良くなったが、技や敵キャラ、BGMなどに過去作の使い回しがあまりにも多すぎるため、集大成というよりは悪い意味での「寄せ集め」感が漂う。
シリーズを通して評価が高かったバトルシステムは不評。特に、『3』でも欠点として挙げられていた「大バトルスキル強すぎ、ガード弱すぎ」という欠点が解決できておらず、結果的に時代に追いつけていない印象を強く残した。
ストーリー・世界観のスケールも、従来とは比較にならないほど縮小化し、クリアまでのプレイ時間やクリア後のダンジョン等のボリュームも減少。
演出や仕様の面でも、流行りのオープンワールド的な演出やシームレス感を意識するあまり、従来の良さを殺している節が多々見受けられ、
「JRPGとして勝負する」と意気込んだ割には、JRPGで重視されるストーリーと演出が明らかに弱いと言う本末転倒な仕上がりとなっている。
結果、「シリーズ最低」と評されることすらあり、皮肉な事に『3』『4』が再評価されるキッカケにもなった。

一応、ストーリーについては胸糞悪い内容ではなく、王道で手堅いために評価出来る部分もある。
クソゲーと呼べるほど酷い仕上がりでもなく、問題点の多くも新規プレイヤーにとってはそこまで気になるものではないだろう。
かと言って、「満足」できるかどうかは微妙なところであるが…。

余談

  • ヒロインのミキはミニスカートを履いているので町中や戦闘中にパンツが見える。
    • 海外での発売にティーンの下着が見えるという点が問題視されたのか「パンツの面積を広げる」という修正を余儀なくされたという。
  • 主人公の髪が青、ヒロインはピンクと言うのは『1』と同じで、デザインの際に敢えてそう注文したとの事。
    • 偶然ではあるが、本シリーズの主人公の髪は奇数作が青、偶数作が金となっている*9。そこに気付いて今回は原点である『1』に肖ったと言う。
  • 本作の後にシリーズ歴代キャラが登場するクロスオーバー作品『スターオーシャン:アナムネシス』がiOS/Android用アプリとして配信開始された。ストーリーの時系列は本作の2年後。
  • 上述したように本作の悪評により、『3』『4』の再評価が進んだ。
    • そればかりが理由ではないだろうが、翌2017年には両作のHDリマスター版が発売される運びとなった。