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ブシドーブレード - (2022/05/08 (日) 07:52:28) のソース

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*ブシドーブレード
【ぶしどーぶれーど】
|ジャンル|アクション|&amazon(B000069SX5)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|スクウェア|~|
|開発元|ライトウェイト|~|
|発売日|1997年3月14日|~|
|定価|5,800円(税抜)|~|
|廉価版|レジェンダリーヒッツ:2007年1月25日/1,575円|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|果し合いの臨場感を味わえる&br()武士道に反することをすると…&br()早すぎた実験作&br()斬新すぎるシステムだらけだが一応良くまとまっている|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
『[[ファイナルファンタジーVII]]』の大ヒット後、スクウェアはその地位に甘んじず(もしくは甘んじて)他のゲーム会社の開発陣を吸収、または後押しして、FFに変わるヒット作品を作り出すべく様々な実験作を世に送り出していた。~
この対戦アクションゲームもそのひとつである。当時としては非常に珍しいコンビニ専売だったので、それなりに話題にはなっていたが…?

**ストーリーモードのあらすじ
時は1990年代頃の日本。&br;
「鳴鏡心当流」という剣術の道場「鳴鏡館」には、暗殺集団「陰」という裏の顔が有った。&br;
各々の理由により「陰」を裏切った主人公(プレイヤーが選択したキャラ)は組織からの逃亡や報復を図り、追手となった元仲間達との死闘を繰り広げる。&br;


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**特徴
-身体ダメージシステム
--このゲームの最大の特徴は急所に当たれば即死が基本という''「一撃死」''がいつでもありうる、まさに''真剣勝負''を体現したシステムにある。
---体力等を表すゲージ類は''一切存在しない。''
--致命傷を免れた場合、ダメージを受けた部位の機能が低下する。つまり腕を斬られると攻撃速度が、足を斬られると移動速度がどんどん落ちてゆく。
---特に深刻なのが「左腕」と「膝から下」。~
左腕を斬られると後述の目潰しやサブウェポンの投擲が不可能になる。さらに両手持ちの武器使用時は片手持ちを強いられ、性能が低下する。~
膝から下を斬られると立ち上がれなくなる。詳しくは足部負傷時の行動を参照。
---何度も攻撃を喰らうとダメージが蓄積し、それに応じて動作速度も低下していく。ただし致命傷にならない攻撃ならば何百回斬られても決して死ぬことは無い。
--爽快なコンボ等は存在せず、立ち回りでの防御と回避、武器さばきとそこからの一瞬の攻めにゲーム性が集約される。
--一勝負が短いので友人との百本勝負なども気軽に出来る。

-360°自由に走り回れるフリーランニングシステム
--好きなだけ走り回れるのは解放感がある。更にその状態から直接攻撃を繰り出すことも出来るため、辻斬り気分を味わえる。
--ストーリーモードは幾つものマップが繋がった広大なフィールドが舞台となっており、最奥地まで走って到達することも真EDの条件の一つとなっている。
--十メートルほども高さがある陸橋から飛び降りて追っ手を巻くといった、1vs1の対戦アクションとは思わせぬ大胆なアクションまでとれる。

-介錯
--足を負傷した状態でセレクトボタンを押すと''「苦しい…はやく介錯を…」''等のセリフと共に勝負を捨て降参する。&br;
その後はその場に正座したまま一切の操作を受け付けなくなり、放置していても降参したプレイヤーの敗北となる。
--相手が致命傷を与えられずに仕留め損ねた場合に限り、試合続行となる。

-ストーリーモード
--あらすじは前述した通り「暗殺集団を組織している道場から抜ける為の戦い」である。&br;
ストーリーの内容は非常にハードだが、敗北後のコンティニューは何回でも可能。(完全回復状態で敗北した戦闘から再開)
--ボス戦へと進む条件は2種類存在。&br;
従来の格闘ゲームのように「追手(=自キャラ以外の5人)全員を倒す」か、本作ならではの「秘密の通路への到達に成功した上で戦闘中のキャラを倒す」か、いずれかを達成するとボスキャラ達との連戦に突入。最終ボスを倒すとエンディングを迎える。
---詳細は後述するが、武士道に反した行動をとって勝利してしまうと…。

-チャンバラモード
--百人の敵と一人ずつ戦っていく。このモードに限り武器が打刀で固定される。そもそも一撃死が基本のゲームシステムに加え、途中で受けたダメージを回復する手段は一切用意されておらず、難度は非常に高い。こちらのモードも敗北後のコンティニューは何回でも可能。
--敵は特定の技しか振らないザコが大半だが、強力な技を使いこなすボスキャラも多数待ち構えているため一筋縄ではいかない。
--ゲーム難易度を"難"に、転倒率を"低"にした上でノーコンティニュークリアを達成すると、対戦モード限定で隠しキャラが解禁される。
---余談だが、本モードのザコ忍者が発する「後はまかせた!」という断末魔は、ゲーム中では珍しい「うめき声・叫び声ではない断末魔」である。スタッフの間でも印象に残りやすかったのか、『弐』においては、ザコ忍者の断末魔は「後はまかせた!」に一本化された。

-鍛錬
--練習モードでは武器が木製の模造刀になり、効果音等も変化する。サブウェポンは無し。
--真剣勝負ではない事を表現しているのだが、木製だから安全といえるかは疑問。武器の形状はそのままなので、かえって生々しさが増している。((殺傷力だけなら、木刀と真剣はさほど変わらないと言われることも多い。))

-オウンビューモード
--プレイ時は基本的に3人称視点のカメラワークだが、このモードに限り操作キャラの一人称視点のカメラワークで対戦ができる。&br;
方向キーの操作感覚も変化(例えば通常は左キーで後退するが、こちらでは下キーで後退するようになる)し、武器のコマンド技入力もそれに準じて変化する。
--PSのゲーム機を2台用意してケーブルで繋げば通信対戦モードによってプレイヤー同士でオウンビューモード対戦を行うことが可能になる。
---さらにこの通信対戦に限り「武家屋敷」という迷路のような専用のステージで対戦することになる。

-シリアスかつシュール、珍妙な世界観
--主人公達は剣術道場の門下生なのだが、その道場は裏で暗殺集団を組織しており、そこから抜ける為にかつての仲間と斬り合うというストーリーが強烈。武士というより忍者に近い。
--ほとんどのキャラクターはそれぞれ相手をひるませるサブウェポン(小柄や手裏剣などの所謂''「暗器」'')を携帯しており、そのまんま忍者のようなモーションや設定のキャラもいる。(チャンバラモードではサブウェポンは使用不可)
--そして何より、時代設定が''現代の日本''((発売時期を考えれば1990年代))である。そんな珍妙な世界観とは裏腹に、舞台設定等はなかなか凝っており、環境音もリアル。~
橋の下の人気のない場所で、時々車が通過する環境音をバックに真剣で斬り結ぶ姿はなかなかシュール。
--ストーリーモードのみ現代忍者風の衣装になる。自キャラが斬られたところに包帯が巻かれるなど芸が細かい。 
--キャラもまた珍妙な者が多く、武士道にハマった勘違い外国人はともかく、人斬りの快感に目覚めていく勤勉な学生や''元KGB''のくノ一など、 もはや時代錯誤を通り越して独特の世界観を作り出している。

-声優陣によるキャラクターボイス対応
--スクウェア発売のゲームでは『トバルNo.1』に続いて、キャラクターボイスに声優を起用している。
////スクウェア初の声優起用ゲームではないと思われるので訂正。トバルNo.1とブシドーブレードの間に発売された『プロロジック麻雀・牌神』で実況ボイスに起用された福井謙二氏は本職がアナウンサーなので除外しました。
//--スクウェア製のゲームに声優を起用したキャラクターボイスが対応されたのが本作が初となる。

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**基本システム等
-選択できるキャラは6人+隠しキャラが1人。隠しキャラ以外は決定後に武器を選択する。
--武器はキャラごとに得手不得手があり(西洋剣が得意で日本刀が苦手など)特定の組み合わせで使用できる固有技もある。
--さらに「腕力」「身体の大きさ」「足の速さ」などもキャラ毎に設定されており、武器との組み合わせで基本ステータスが変化することもある。

-使用できる武器は全部で8種類。その内の半分は何故か''西洋剣''である。さらに''金槌''という明らかに武術の武器ではない物もある。
--ストーリー上ではその使用技術共々、古くから道場に伝来されてきたものであり、製作者や製作時期なども設定されている。

-武器には''「重さ」''の概念があり、軽い武器では重い武器の防御を崩せず、攻撃も防ぎきれない。
--防御を崩された場合、受身を取ることで隙を軽減できるが、取れる行動が限定される上に立ち直りが遅く、反撃に転じるのは難しい。
--そのため、どうしても重い武器を得意とするキャラが有利になってしまう。

-軽い武器を得意とするキャラは、側転・前転・後転などの移動技関連の固有技を活かして機動力を軸にした立ち回りで差をつける必要がある。
--相手との力の差が小さければ上段の構え(下記参照)でパワーを補える場合もあるので、相手に応じて使いこなしたいところ。

-武器の構えと基本的な攻撃手段はそれぞれ3種類用意されており、ボタンを押すことで切り替え可能。
--武器を弾かれにくい構えを取る上段、正面に武器を構えて相手と向かい合う中段、武器を低く引いた下段があり、出せる技は構えによって大きく変わる。
---上段の構えにのみ「武器重量以上の威力で攻撃が出せる」という特性がある。
--攻撃はワンボタンで気軽に行え、相手の頭を狙う上段、胴体を狙う中段、足を狙う下段と分かれている。さらに方向キーとの組み合わせで様々な技を繰り出すことができる。
---技の内容は実に様々で、基本攻撃からの切り返しによる連携やキャラクターによっては見栄えのある固有の必殺技も行える。

-構えや技のモーションなどの立ち回りの基礎となる部分は''キャラクターではなく使用武器によって決定される。''
--キャラクターはあくまで武器に追従する要素であり、武器選択こそが他のゲームのキャラクターセレクトに当たる部分と言える。
--ちなみに、キャラクターの死亡時のモーションも武器と構えごとに専用のものが用意されている。

-攻撃に対する防御もワンボタンで行えるが、それ以外にも武器による攻撃同士がぶつかり合うと鍔迫り合いになることがある。
--この状態になるとボタン連打で相手を吹き飛ばしたり逆に距離を離して仕切り直しといった行動ができ、更には相手に力負けして押されていると見せかけていきなり鍔迫り合いをやめて相手をもつれさせバランスを崩させて隙を作ったりといったフェイントも行える。
---普通に構え中の相手の武器に攻撃を当てた場合でもキャラクターのパワー差に関係なく怯ませることも可能。
---また、防御自体にも僅かだが隙があり、わざとギリギリの間合いで攻撃を空振らせて防御を誘発させ、終わり際の無防備な瞬間に連続攻撃を叩きこんで仕留めるといった芸当もできる。
--このため、パワーが無いキャラクターでも相手の間合いと攻撃を上手く見切ってタイミングを合わせれば積極的に隙を作らせることも可能で、形勢逆転のチャンスができる。

#region(登場武器の性能一覧)
-打刀(うちかたな)
--江戸時代に一般化した、一般的には刀と呼ばれる物。
--そこそこ武器重量がありリーチもそこそこ、連携技もそれなりにあるが、どちらかと言えば単発の一撃に重点が置かれており、力押しで勝つのは難しい。
--このゲームを代表する武器であり、一応は標準的な性能とされる。どのキャラもそこそこ扱えるが手練が持つと多くの派生技で差をつけることが出来る一振り。
--尖った部分が無く相手の得意を押し付けられると苦しい展開になりやすい。純粋に使い手の技量が問われる武器。
--チャンバラモードではこの武器に固定となるので、制覇を狙うなら扱いには習熟しておきたい。

-レイピア
--本来は刺突用の細剣だが、斬ることもできる。小さな剣だが刺突中心なので思っている以上に攻撃は伸びる。
--リーチとスピ-ド、豊富な連携技と突進技を兼ね備える。最小限の動きで的確に急所を狙い撃ちできるのが強み。
--反面、武器重量は皆無で相手の防御を崩せず、受け手に回ると脆い。スピードと手数を生かして華麗に攻めたい人向け。

-ナギナタ
--通常の薙刀と違い刃に枝があり、形状は十文字槍に近い。
--最長を誇る武器だが、構え方の関係でリーチはその長さほどではない。また全体的に動作が遅く、力押しにも向かない。
--相手が懐に飛び込みにくくなるため防御性能は高めだが、攻撃が遅いため近接戦闘では不利。
--構え自体の防御性能を生かしつつ、相手の間合いの外からの変則的な連携で翻弄することで真価を発揮するテクニカルな武器。

-金槌
--柄まで全て鉄でできた最重量武器。
--簡単にガードを崩すことが出来るトップクラスの破壊力と、相手のどんな攻撃にもひるまない鉄壁の防御を併せ持つ。
--両手でしっかりと握っているためリーチが短く、接近戦を強いられる武器。
--きっちりと防御を固め、頃合を見て至近距離から一気に力押しで押し切ってしまうスタイルが強力。
--扱いが苦手な辰美・蛍火は武器の重さに振り回され、特定の技で転倒して隙を晒してしまう。

-野太刀
--長大なリーチを誇る太刀。
--打刀と同様の単発の一撃に加え、初弾は遅いが出し切ってしまえば勢い任せに押し切れる連携技もあわせ持つ豪快な武器。
--リーチを生かした攻撃は強力ながら全体的な動作はかなり遅く、扱いにくさが目立つ。どちらかというと攻撃主体ではなく、間合いの見切りに自信のある人向け。

-セイヨーブレード
--ナックルガード付きの片手直剣。
--軽量の片手剣だが、リーチの短さの割に剣の振りは少々遅め。その分攻撃にそれなりの重さがある。
--この武器が得意なキャラは多いのだが、性能的に中途半端。軽い割には連携が不得手で死に技も多く、突き技は相応の強さがあるが、見切られると非常に脆い。
--真っ向勝負には弱い半面、間合いを詰めながら攻撃できたりフェイント的な技を備えている他、一番得意とする蛍火はバク転による高速後退ができたり遠距離からや相手の攻撃を回避しつつの奇襲を行える等、トリッキーな戦法も行えるので搦め手が得意な玄人向けな武器と言える。

-セイヨーツルギ
--日本刀を模した短いサーベル。
--リーチが短く武器重量も皆無だが、隙のない連携技で畳み掛けられる扱いやすい軽量武器。キャラによっては側転・高速後退などが出来る。
--打刀のスピードと手数をやや強化したような性能を持つが、間合いを離すと力負けしやすい。守りに入ると負けなので一旦接近したらそのまま押し切る必要あり。
--セイヨーブレードと名前が似ている為、選択時に間違えやすいが性能はまったく別物。

-騎士道ソード
--重さで叩き切る両手剣。
--リーチと武器重量、豊富な連携技も兼ね備えた扱い易い重量級武器。
--重さゆえの遅さ以外には弱点が少なく、適当に暴れ回るだけでも対処に困る。とはいえ隙がない訳ではないので油断は禁物。
--扱いが苦手な辰美・蛍火・御門は武器の重さに振り回され、特定の技で転倒して隙を晒してしまう。
#endregion

**地形が戦略に与える影響
-壁などに武器が当たると弾かれてしまうため、狭い場所で長得物は扱い辛い。
-竹林ステージの竹は、斬撃ではない攻撃(金槌とナギナタの先端の刃以外の部分)では斬れずに弾かれてしまう。
-地面が雪や砂などの場合、目潰しで相手をひるませる事もできる。この攻撃は武器で受けることができない。
--これらの隙はすべて受身で軽減できるため、反応さえできれば致命傷には繋がりにくい。

**足部負傷時の行動
-ダウンした後に全キャラ共通のモーションに変化。しゃがんだ状態で戦う羽目になり、ジャンプやフリーランニングはおろか、段差も上れなくなる。
--その状態でも攻撃や防御は可能。相手の足を狙って同じ土俵に引きずり込む事も出来る。
-既に重心が下がっているので、重心を下げるステップの動作を挟まなくても目潰しやサブウェポンの投擲が可能。
-移動は片足を引きずりながらになるため非常に遅いが、R2でさらに重心を下げる事により転がって移動できる。
--意外とできる事は多いが、きわめて不利な状態である事に変わりはないので、武士道らしく潔く降参してしまうのも一つの手。
---当時の攻略本では、足を負傷した対戦相手に対して、ダッシュでひたすら逃げ回ったり段差の上に陣取ったりして降参を誘うという卑劣な戦法が紹介されていた(勿論ネタとして)。

**銃との戦い
-前述した隠しキャラ「シュヴァルツ・カッツェ」は、なんと銃の使い手。ストーリーモードにおいても、中ボスとしてプレイヤーの行く手を阻む。
--防御できないうえ当たればほぼ致命傷となる銃撃で攻撃でき、どんな攻撃にも怯まずガードできる鉄壁の防御を持つ((防御モーション自体の隙は普通にあるので、連続技まで完璧に防ぎきれるわけではない。))反則キャラだが、銃撃は軸ずらしに非常に弱く、フリーランニング中の相手を捉えるのはまず不可能。装弾数は10発でリロードには時間がかかるため、実質的には''「弾切れ=死」''。
--また膝から下を負傷すると勝手に降参してしまい、その場で負け扱いになってしまう。もっとも、これくらいのハンデは当
然とも言える。

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**評価点
-リアルさを追求した真剣勝負と演出
--従来の格闘ゲームと違い、現実の真剣勝負を忠実に再現したゲーム性はかなりの緊迫感がある。「この間合いで大丈夫だろうか」「次の敵はどう出るか」「ここで攻めるべきか」というように小細工無しの駆け引きはとてもリアルで盛り上がりやすい。
--フリーラーニングシステムによってフィールドを自由に動き回って自分に有利な場所に移動してアドバンテージを握れたりするので、「真っ向勝負は苦手だけど、地の利を活かせれば……」というように戦闘そのものの自由度の高さもリアル。
--この自由度の高さを活かしてプレイヤー同士の対戦では独自に色々なルールを追加することも可能で、友人同士で多彩な遊び方が楽しめる。
--さらに通信対戦を行える環境であれば一人称視点によってよりリアルな真剣勝負を楽しむことができ、白熱した勝負でとても盛り上がる。
--ストーリーモードにおいては身体ダメージシステムによって''受けた傷そのものは以降の戦闘でも残ったまま''になっており、ダメージを受けた部位には血の滲んだ包帯が巻かれて応急処置が施されているなど外見上の生々しいリアルな演出も逸品。
---また、あるステージでは泥溜まりとなった場所が存在し、そこに突っ込んでしまうと全身が泥だらけになってしまい、その後も泥塗れのままストーリーが続行するというリアルと言えばリアルだが非常に細かい演出も存在する。

-数々の爽快な『魅せる』技
--真剣勝負以外にも武器とキャラクターの組み合わせによる様々な技は見所があり、『円月殺法』による連続技や地面に突き刺した薙刀でアクロバティックに相手の背後に回り込む、目にも止まらぬ速さで連続突きを繰り出すといった必殺技はキャラクターと武器の個性を際立たせており、とてもかっこいい。
--そういった必殺技は隙が大きかったりと実用性そのものは低かったりするものの、その分『この必殺技で相手を仕留められたらカッコイイだろうな』という欲求は沸きやすく、リスクは高いがいざ決まった時の爽快感はとても大きい。
--ご丁寧に一回の対戦が終わった直後はその勝負での決め技がカメラワークを変えてリプレイされるため、さらに満足感がある。
--対戦モードの勝利後には武器ごとに決められた勝利ポーズを取るのでより勝利の余韻に浸れる。ただし、ポーズは対戦終了時まで立っていた場所で行うため、終了直前にジャンプをしていたりポーズ途中に段差から落ちてしまうと中断してしまい、締りが悪くなってかっこ悪くなるが逆に笑える場面にもなる。
---なお、この勝利ポーズが終了した後には武器の攻撃判定が常時発生したままになっているというバグが存在しており、壁際などで武器が壁に触れる位置でポーズを決めると弾かれて中断してしまうという上記同様にかっこ悪い姿になってしまう。しかもこの当たり判定は壁だけでなく、倒した相手にも適用されており……((薙刀や騎士道ソードなど、足元に届くようなポーズを取って倒した相手に触れると血飛沫が飛び散り、死人に鞭打つ爆笑必至な珍場面となる))。

-誰でもすぐ対等な勝負が出来るお手軽さ。
--格闘ゲームは初心者お断りになりがちだが、このゲームではとりあえず基本操作を覚えるだけで初心者でも上級者に一矢報いるチャンスが出てくるため、楽しむためのハードルが低い。
---異常な設定をシリアスにやっているというバカバカしい世界観も手伝って、気の合う友達同士などでプレイすればかなり盛り上がれる。

-爽快かつシビアなチャンバラモード
--100人斬りを目指すチャンバラモードでは、1人ずつ現れる敵を椀子蕎麦のごとくテンポ良く斬り倒していく痛快さが楽しめる。
--その一方、どんなに順調に進んでいてもワンミスで倒されるという緊張感も有り、このモードは「一撃で倒せる/倒される」という本作のシステムを活かした面白さを提示している。

-良曲揃いなBGM
--BGMは和風テクノといった、重厚ながらもノリの良い曲が多く、曲自体のクオリティもさることながら独特の世界観にもマッチしている。BGMは(当時はARIKAに所属していた)細江慎治、相原隆行、佐宗綾子の3人が担当してる。((タイトル画面に「SOUND ©1997 ARIKA」と書かれているのはそのため。))
--ストーリーモードはシリアスな雰囲気を重視したためかBGMは一切流れず、風の音などの環境音のみになっている。

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**問題点
-操作の複雑さ
--出来る行動が多い分、操作系統はあまり洗練されているとは言い辛く、特にR1とR2を使った重心移動は理解しにくい。
--例えば、まずL1を押しながら方向キーでフリーラン、その状態でR2を押すと重心をさげてステップ、さらにその状態でR1で重心をあげてジャンプする。
---戦闘においてはジャンプの利用価値はあまり高くないとはいえ、ジャンプ一つにここまで手間取らせるゲームも中々ないだろう。
--サブウェポンを出す際も前とR2同時押しで屈んでから別のボタンを押して投げるという手間がかかる作りで咄嗟に使いづらい。
--よろけた時にR2で受身がとれるが、R1、R2を単体で押すと構え変更になってしまうため、武器によっては逆に大きな隙を晒してしまう危険もある。

-対戦バランスの悪さ
--これは開発者の意図であるが、キャラごとの性能差が激しい。開発者いわく''「熟練したキャラは相応に強くないとおかしい」''との事。
--他のメンバーに比べて経験不足で未熟なキャラとして描かれている男子高校生の「辰美」は唯一人サブウェポンを所持しておらず、その上セイヨーツルギ以外の武器ではまともに戦えない。((セイヨーツルギの使い手としては最強クラスである。))
--対処法が無い訳でもないが、一部の強力な技を連続して繰り出す行為も非常に厄介。格闘ゲームではよくある問題だが、このゲームの場合は特に深刻。

-選択キャラクターの制限
--上記のように操作できるキャラは6人と対戦モードでのみ使用可能な隠しキャラのカッツェだけとなっており、それ以外の中ボスは使うことができない。
---中ボスはいずれもカッツェ同様に『両刃の薙刀使い』サザンカ、『忍刀を操るくノ一』ホッキョク・ツバメと、固有の武器を装備していたり、『学ランと鉄ゲタを身に着けた番長』『鎧武者((御門のエンディングにも登場するので印象に残りやすい))』『バカ殿様』等と、個性あふれる面々ばかりでさらに専用の必殺技までも使用してくるので、見栄えも良く「こいつらを使いたかった」と惜しむ声が多い。

-立ち合いを成り立たせにくい
--いつでも構えを解いて走り回れるフリーランが原因で、立ち合いそのものが成り立たなくなってしまう事も多い。
--フリーランからの攻撃はスピードが速くそれなりに強力ではあるが、狙いがわかりやすく隙も非常に大きいので、慣れれば防御も反撃もたやすい。~
だが、走って逃げる相手には追いつけず、スタミナや時間制限などといった要素も皆無なので、結局どちらかが空気を読んで立ち止まるまで延々追いかけっこをするハメになる。
--防御タイミングが分からないとそのままダッシュ攻撃で決着がついてしまう事も多く、中途半端に操作を覚えたプレイヤー同士が対戦すると''ダッシュ攻撃だけで勝てるゲーム''と勘違いされやすい。

-ストーリーモードの罠
--ストーリーモードでは''「武士道に反する行い」''をした時点でバッドエンドが確定し、先に進めない。
---相手キャラが開幕時にセリフを言っている最中、段差をよじ登っている最中に攻撃を仕掛けるなど。((ラスボスに至っては10秒程に及ぶ前口上を言うので完全に隙だらけである。長々と喋ってる間に背後から斬られる姿は(バッドエンド確定ではあるが)多くのプレイヤーの笑いを誘った。))
---どういう訳か目潰しは卑怯な行為として認識されない。~
目潰しからのコンビネーション攻撃に''「闇夜討ち」''という名前が設定されているので、立派な剣術の技として認識されているのだろうか?
---バッドエンドの際には唐突に真っ黒な画面に縦書きで''「卑劣者 この先行かせず 鳴鏡」''など、数パターンの川柳がランダムで表示される。~
詠み人は流派の創始者である「神和斎(かんなぎさい)」。ゲーム中ではあまり触れられないが、ストーリー上では剣術の実践性を高める為に暗殺集団を組織した人物という設定。
---「暗殺という行為そのものが卑怯ではないのか?」と、当時のゲーム雑誌等でもツッコまれていた。
---余談だが、創作世界においては[[かの有名な暗殺拳>北斗の拳シリーズ]]をはじめ、真っ向勝負を仕掛けておいて暗殺と称する例はいくらでも存在する。時代劇でも「お互い合意の上での果し合いでない限り、正々堂々としていようと((正義側だと一人で名乗りを上げて相手の護衛に刀を抜かせている(そしてピンチに陥り主人公に助けられる)。悪役だと顔を隠して一人を取り囲む事も多いが(そして主人公に邪魔される)。))立派な暗殺」である(お役人が重犯罪者を切り捨てるのは例外)。
---最初の中ボスは、先述した拳銃使い「シュヴァルツ・カッツェ」であるのだが、
散々武士道精神を叩き込まれたプレイヤーが''ボス戦の開幕でいきなり射殺される''理不尽な有様は本作の風物詩といえる。(なお、ここで開幕前に攻撃をしても武士道に反するとみなされバッドエンドである)。

-真のエンディングの条件
--このゲームは(バッドエンドを除くと)各キャラ2種類ずつのエンディングが用意されており、うち片方は特殊な条件が課せられた"真のエンディング"となる。 
---その条件とは''「自分で秘密の通路を見つけ出した上でノーダメージクリアすると出現する隠しボスを倒す」''というもの。もはや完全に抜け忍である。
---『各キャラの得意な武器(=走るスピードが速い)でスタートし、逃げ切った後は強力な技を連発する』というプレイで意外となんとかなる。ある程度の練習は必要だが…。
---条件を満たしていれば前述の通り、ラスボスを倒した後に隠しボスが出現。これを倒すことで真のエンディングを迎えることができる。なお、隠しボスは出現しさえすればノーダメージで倒す必要はないので、傷を負ったからといってリセットしないように。
--なお、真のエンディングのルートに入っても、特に裏ボスとの会話も無く、裏ボスの正体も不明で、結局真相は謎のまま終わるキャラも居る。

-演出重視の弊害
--演出面にこだわって作られている反面、様々な弊害も生じている。
---同キャラ対戦不可。この点に関しては当時から他の格闘ゲーム等と比較して前時代的と非難されていた点である。
---ただし、前述の通りキャラは武器に追従する要素でしかないので、他の格闘ゲームと比較するなら「同キャラ対戦対戦は出来るが、追従する同システムを選べない」という表現が正しい。
--衣装は2種類あるが、モードにより衣装が固定されている所も不便さを感じるところ。((ただし、ストーリーモード中に2Pによる乱入対戦を行うことが可能で、ストーリーモードの衣装で対戦することは可能))

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**総評
良くも悪くも「リアルさ=ゲーム的な面白さ」''では無い''事を証明した作品である。~
一対一の戦いではあるのだが、いわゆる従来の格闘ゲームとはデザインもゲーム要素も根本的に異なっている。その上に重心移動や構えなどの操作の複雑さ、武器の種類の多さも手伝って、最初はそもそもどんなゲームなのかさえ理解しづらく、ゲーム性以前の部分でつまづく人も多かったようだ。~
このゲームを理解した者同士が対戦すれば、初代『[[サムライスピリッツ]]』に近い、この上ない緊張感が味わえるゲームとなっている。~
しかしながら他にもこうした実験的・斬新なシステムが多く出てきた時代にあっては単にクソゲー扱いされることも少なくなかったのである。今だからこそこのゲームを手に取って、実際にプレイしてもらいたい。
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