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THE KING OF FIGHTERS XII - (2015/02/17 (火) 15:11:00) のソース

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*THE KING OF FIGHTERS XII
【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず とぅえるぶ】
|ジャンル|対戦格闘アクション|~|
|対応機種|アーケード(Taito Type X2)|~|
|販売元・開発元|SNKプレイモア|~|
|稼動開始日|2009年4月10日|~|
|分類|BGCOLOR(khaki):''黒歴史''|~|
|ポイント|KOF RE・BIRTH&br実に十数年ぶりにドット絵をフルモデルチェンジ&brグラフィックの美麗さは特筆に価するが、&br''それ以外の全ての要素がその犠牲となった''&br()ライバルなど、いない。(''悪い意味で'')|~|
|>|>|CENTER:''[[KOFシリーズ関連作品リンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/221.html]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要 
KOFシリーズの第12作目。前作『[[KOF XI>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1700.html]]』から4年ぶりの新作。~
前作で「KOFシリーズは1年に一作ずつ」という伝統が崩れたが、今作では更に間が空いている(前作は2年ぶり)。主たる理由は後述。~
今作は特にストーリーなど存在しない。
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**特徴・システムなど
-''全てのキャラドットを新規に書き下ろし。''それに伴い技の構成が変わったキャラも多い。

-シリーズ伝統の3vs3のチームバトル((ただし本作では今までのようなデフォルトチームは存在しない。))。前作までにあったクイックシフトなど特殊なシステムの多くが廃止され、超必殺技に使用するゲージも一本のみになるなど、シンプルな代物となっている。

-本作特有の(他作では採用されていない)システムは大きく3つ。
--「クリティカルカウンター」。体力ゲージ下に専門のゲージ(クリティカルカウンターゲージ)が存在し、攻撃を当てる/くらうで増加。MAXになると一定時間キャラが光り、その時に近距離強攻撃をカウンターヒットさせると発動。スローになった相手に対し、数秒間こちらが一方的に攻撃を当てられる。この時、相手はやられ状態が長く続き、かつ自分は自動で前に進んでくれるため、いろいろな技が簡単にコンボとして繋がってゆく、カプコンのゲームにあるオリジナルコンボに近いシステム。また発動後すぐに超必殺技を使うと演出が少し変わり、威力も大幅にアップする。本作の逆転要素。
--「相殺」。強攻撃、必殺技、超必殺技が同時にぶつかると発生。この後お互いが何も操作しないと自動でバックステップをして距離を取る。このバックステップはほとんどの動作でキャンセルすることができるため、そこに読み合いが発生する。相手の飛び道具に対しても相殺ができ、相殺→ダッシュで一気に距離をつめる、という芸当も。また空中でも発生する。
--「ガードアタック」。ガード+CD(ふっとばし攻撃のボタン)で使用可能。コマンド入力するとガードモーションを取り、相手の攻撃を受け止めるか一定時間経つとふっとばし攻撃を行う。ガード判定は全身にでるものの投げには無防備な上、攻撃部分がガードやすかると反撃を貰う程度の隙がある。前作までにあった「ガードキャンセル攻撃」をゲージを使用しなくて済む分リスキーにしたような性能。

-それ以外に
--ふっとばし攻撃がコンボに組み込め、更に溜めることが可能(最大まで溜めると強制ガードクラッシュ)
--投げのコマンドがボタン2つ同時押しに。''何故か投げ抜け廃止''。
--『[[サムライスピリッツ]]』のようにお互いが近づくと画面がズームになる
---などKOFの中でも本作独自の仕様が多い。

-キャラの外見や技構成などは、おおむね「原点回帰」を意識したものが多い。例えば草薙京は前作までにあった『[[KOF'96>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/127.html]]』の技構成ではなく、それ以前のオールドスタイル。また椎拳崇がKOFシリーズではなく出典の『サイコソルジャー』を意識した衣装になった、という例も。
--しかし八神庵は例外で前作『XI』のチームEDを引き継いでおり、その関係から必殺技が別のものに変更された((炎が出すことができない為、爪で引き裂く技が主。ドリームマッチでありながら一人だけストーリーを踏襲している為、『作りかけを資金調達のために体裁を整えて発売しただけでは?』という推測に信憑性をもたらした。))。なぜか服装も変わっている。
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**評価点
-美麗なグラフィック。
--ドット自体はハイレゾ仕様でありフォーマット自体は一般的だが、ドットは業界最高峰の書き込み。スタッフがインタビューで自ら答えているように、甚大な手間と労力がかかっており、ゆえに稼動が遅れたとも。服のしわひとつ、筋肉の陰影ひとつまで描き込まれている。
--製作工程の大まかな流れは[[web上で公開されて>http://kofaniv.snkplaymore.co.jp/info/15th_anniv/2d_dot/creation/index.php]]おり、一人で作業すると単純計算で1キャラに1年4カ月もかかるという。
---かつてドット絵の雄として名高かった旧SNKの流れを汲むSNKプレイモアが、その意地を見せた形とも言えるであろう。

-ちなみにKOFシリーズは基本的に『KOF'96』から前作『KOF XI』まで(実に10年以上!)同じ基準で作られており、かなりの部分が使い回しである。

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**問題点
端的に言うと''グラフィックにかかった膨大な手間によって犠牲になったボリューム''である。

-ドット製作の手間から来る「キャラクター数の少なさ」
--プレイヤーキャラクターはアッシュ編主人公チームにおなじみの面子を加えた20人で、隠しキャラクターやボスキャラクターなどはなし((03主人公チーム、初代主人公チーム、餓狼チーム、96怒チーム、サイコソルジャーチームらに加え、庵、リョウ、ロバート、キム、ライデンを加えて20人。))
--これは前作のデフォルト33人+隠しキャラ5人+ボス専用2人と比べると一目瞭然。一作目である『[[KOF'94>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/209.html]]』よりも少ない。
--KOFシリーズは元々キャラ数の多さもウリであること、前述の通り前作からがくっと人数が減っていること、おなじみの面子と言えど不完全なこと((ハイデルンはいいとしても、タクマや初代女性格闘家チームの3人が欠場している。))などを考えると、やはり寂しいものである。下記のような、他の部分でのボリュームの無さもそれを際立たせてしまっている。
---また、本作からの新キャラクターなども存在しない(一応ライデンがKOFシリーズでは初参加)。

-技モーション製作の手間から来る「技の少なさ」
--ほとんどのキャラクターが超必殺技ひとつ、また前作までにあった技の多くが削られている。
---極端な例をあげると、クラーク・スティルは必殺技が3つだがそのうち1つは必殺技中に追加で入力するものなので実質2つ、超必殺技が1つ…等。

-根本的な「"遊び"部分の少なさ」
--プレストーリーこそあるが、まずストーリーなどは存在しない(当然キャラ固有エンディングなどない)、ボスキャラなども存在しない、シリーズで多くあった乱入キャラなどももちろんない。挑発もない。登場演出も無い。勝利ポーズもひとつだけ。中間デモは一応あるが、単にニュース番組風の絵面が流れるだけ((ちなみにこのニュース番組はKOF'97と同じSatella News Network。コメンテーター?として隠れ人気キャラの不破刃が登場する。))。……対戦ツールに特化した、といえば聞こえはいいが、やはり味気ないという意見が多かった。

-多くの要素を犠牲にしたグラフィック面に対する批判。~
かつてのKOFシリーズでは、キャラクターのドットは基本的に写実的な描き方であまりデフォルメがきつくなく、そういう意味では「リアル」であった。しかし本作では極端に誇張されたキャラクターが何人かいる。
--麻宮アテナは前作までから打って変わり非常に子供っぽい体形に。しかも足が少々太いため「ふとましくなった」という声も。これは『サイコソルジャー』当時のキャラクターデザインの再現のため、原点回帰といえば原点回帰なのだが……。近年では特に表情もどこか困ったような顔付きに変わってしまっている。
---この画風の変化については、メインイラストレーターのおぐらえいすけ氏が「上からの強い要望でこうなった」と説明しており、実際におぐら氏が描いた、旧デザインかつサイコソルジャー風アテナのイラストも公開されている。
--ラルフ・ジョーンズとクラーク・スティルは極端に筋肉のついた体形に。腕の太さなど他キャラの胴ぐらいある。ラルフはともかく、クラークはスマートな投げキャラという点が評価されている部分の一つだったため、ごつくなって「ありがちな投げキャラ」の見た目になったことは批判が強かった。
--アテナ・ラルフ・クラーク・大門など、旧作より太くなったキャラが多いことと背景に太った人が多いことなどから、アートディレクターのノナ氏(『[[KOF2001>THE KING OF FIGHTERS 2001]]』や『[[KOF2002>THE KING OF FIGHTERS 2002 Challenge to Ultimate Battle]]』のイラスト担当)の趣味とまで言われることもあった。
---実際はこれも上からの要望があったとの事。
--また以上が「今作で急に切り替わった」という点も考慮に入れるべきである。新しい造形をそれ自体で許容できても、今まであったキャラクターへの愛着が否定されかねない変化、とも言えてしまう。このデフォルメのきつさは、ここまで極端でなくとも全体的な傾向。
--前述したとおり極端に衣装の変わった拳崇などは賛否両論。構えをなくして性格にマッチした立ち振る舞いとなったアッシュや、よりハードな衣装となったレオナ・ハイデルンなどはおおむね高評価なものもある。
--美麗なグラフィックを作るだけで力尽きてしまった感もあり、所々キャラクターが背景と同化して極端に見づらい場所があるなどの調整不足も目立つ。

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**その他
-格闘ゲームとして重要な要素であるキャラクタ間のバランスは、ネットで検索すれば個人がやり込んで決めた様な論評はいくつか見つかるが、評価が固まるほど掘り下げられていないので実際のところは不明。家庭用の発売後も攻略関連は全く活気がなかったため、多くのプレイヤーからは「対戦を煮詰める理由を見出せないほど底が浅い」と受け取られたと捉えるべきだろう。
---最強キャラは京、最弱キャラはクラークという声が多いようだ。

-CPUが一戦目からかなり強い。また通常5回戦勝ち抜くとエンディングだが、1回戦ごとに勝利後一回だけリトライ可能。全体がタイムアタックになっており、リトライするともう一度タイムを計り直せる。前述したようにラスボスの類はなし。

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**総評
美麗なドットグラフィックで2D格闘ゲームを作るという心意気自体は挑戦的である。~
一方で、肝心のキャラドット以外の中身の部分がとかく寂しいものになってしまい、外観面に苦心するあまりに中身がなおざりになってしまったことが目に見える出来栄えとなってしまった。~
稼働中には「ドットは以前のままでいいからボリューム面をなんとかして欲しい」という声も多かった。

インカムが全く稼げずゲーセンからすぐに姿を消してしまい、餓狼MOWやヴァンパイアシリーズとも違って細々と遊び続けているコミュニティなども存在しない。
''何より対戦の為にわざわざこのゲームを選ぶ理由も存在しない。''
よって、本作が対戦ツールとして復権する事はないと断言していいだろう。

-キャッチコピーである''「ライバルなど、いない」''も、中身の出来がこれでは「悪い意味で」など揶揄されてしまうものである。
-当然、稼動後も掲示板などでは批判が続出、ゲームセンターからは早々に姿を消す。
-とどめとばかりに、海外大手ゲームサイトの「2009年最も期待はずれのゲーム」にもノミネートされてしまった。

本作稼動から一年後、次回作『[[THE KING OF FIGHTERS XIII>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1358.html]]』が発表される。こちらはドットグラフィックは本作と共通だがキャラや技も増え、ストーリーも搭載。問題点もあるが本作における批判点に関しては改善を見せており、概ね「いつものKOF」に無事戻ったと言える。~
要は「&bold(){本作がなかったことにされた}」ということであり、メーカー自ら出来の悪さを認めたという事である。

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**移植版
|対応機種|プレイステーション3&br()Xbox360|&amazon(B00275FJPC)|&amazon(B002H9WIUC)|
|発売元・開発元|SNKプレイモア|~|~|
|発売日|2009年7月30日|~|~|
|価格|7,140円|~|~|

**特徴
-追加キャラクタとしてエリザベート・ブラントルシュとマチュアの2人が。エリザベートはともかくマチュアは唐突な選出、且つどうにも技数が少なく未完成としか思えないため、「次回作用の素材からとりあえず入れてみました」感が漂っている。
--ちなみに両者共衣装が大幅に変わっている。
--移植版発売の発表が行われた後、[[KOFシリーズオフィシャルサイトのトップページ>http://kofaniv.snkplaymore.co.jp/top_j.html]]に『XII』の画風で描かれたK'と不知火舞のイラストが掲載された為、この二人が追加キャラになるのでは?と予想する声が多かった。キャラ人気的にも妥当な線…だった筈なのだが、まさかの不参加に終わった為に「あの絵は何だったんだ」と少なからず突っ込みの声が挙がっていた。その思わせぶりの度合いは有名サイトでも取上げられた程である。
-ギャラリーモード、ネット対戦等を搭載。
-進行不能バグも搭載。現在はパッチで修正されている。
-元が元なので、中古価格もすぐに下落した。
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