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グラディウス外伝 - (2022/05/01 (日) 04:14:28) のソース

*グラディウス外伝
【ぐらでぃうすがいでん】
|ジャンル|シューティング|#amazon(B0000C9JCE)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|コナミ|~|
|開発元|コナミコンピュータエンタテイメント東京|~|
|発売日|1997年8月28日|~|
|価格|5,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[グラディウスシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
プレイステーションで発売された家庭用オリジナルタイトル。グラディウスシリーズとしては『III』以来8年ぶりの新作であった。(アーケード作品の『IV』に先駆けて発売されている)~
アーケードでは実装しづらい奇抜なアイデアの数々と、熟成された2D技術による高い完成度。

ハード性能の向上により従来のシリーズで問題視されていた処理落ちやチラツキが完全に解消された。1周目の難易度は低めだが、高次周での練られたギミック変化により間口の広さとやりこみ度を両立させた。

また、“外伝”の通りいくつもの実験的な要素が取り入れられている。
**ストーリー
(説明書3・4ページより引用)~

>第3次バクテリアン戦役([[グラディ>グラディウスIII -伝説から神話へ-]][[ウスIII>グラディウスIII]])において、バクテリアン星団の中枢を破壊、その殲滅に成功したグラディウス星は侵略の脅威から解放された。~
~
それから数百周期…永き平和の中で、飛躍的な発展と進歩を遂げた文明によりかつてないほどの繁栄の時を迎えていたグラディウスだったが、悪夢は全く突然に再び彼らの前に現れた…~
~
戦役以前から「闇の宙域」として恐れられ、近づくことを禁じられていた暗黒星雲に向かった探査船が消息を絶ったのを皮切りに、付近の植民惑星やコロニーが次々と正体不明の何者かの攻撃によって壊滅させられていったのである。~
~
長い平和の中で戦いを忘れつつあったグラディウス軍は、各所で敗走につぐ敗走を重ね、正体不明の敵の進撃はついにグラディウス本星をもその魔手に捕えようととしていた。~
~
ここにいたり、グラディウス軍司令部は最後の賭けに出た。敵の発生源であり侵略拠点でもある暗黒星雲中心部に対して、最新鋭超時空戦闘機4機による奇襲作戦を発動したのである。~
グラディウス星の命運を担い、4つの翼が今、銀河の深淵に向けて飛び立った。
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**特徴
-四機の個性的な機種から自機を選択できる。
--従来作の装備は発射角や組み合わせが違うだけ、という既存装備のアレンジが多かったが、本作ではほぼ全ての機体が独自の装備を持っている。
--また、ミサイル/ダブル/レーザー枠が2段階パワーアップ出来るようになっている。
---従来はAC版『III』のスプレッドガン、FC版『II』のオプション等、極一部の装備に限られていた。

#region(選択できる四機)
-『ビックバイパー』(ミサイル・ダブル・レーザー)
--おなじみ主役機であり標準装備機体。モチーフカラーは青。LV2でミサイルは雑魚敵を貫通し、ダブルLV2はテイルガンが複合され前・斜め上・真後ろへの3方向ショットになり、レーザーLV2は光線が長くなる。クセがなく使いやすい兵装と、ダブルLV2使用時の安定感が魅力。特にダブルは各方向が独立して弾数管理されており連射も効くため、シリーズ別作品のように射撃性能が犠牲にされておらず非常に強い。シリーズ最強のダブルとの評価も。欠点は各武装ともLV1だと頼りない事。
--パロディウスを含め続編を重ねる度に弱体化していたが、本作では2段パワーアップの恩恵により屈指の強機体に生まれ変わった。

-『ロードブリティッシュ』(2WAYミサイル・リップルレーザー・ディスラプター)
--『沙羅曼蛇』の2P機。モチーフカラーは赤。瞬時に横一文字に貫通する新レーザー・ディスラプターの搭載により、ビックバイパーとの明確な差別化が図られた。LV2で2WAYミサイルは地を這うようになり、リップルは残像が発生し攻撃判定が強化、ディスラプターは光線が太くなる。
--前方制圧力に優れる反面、後方をカバーする武装を唯一持たない事と前方以外への火力不足から最弱とされる。1周目なら欠点も顕在化し辛いものの2周目以降は対応力の低さから厳しくなる。スタッフからも「報われない機体」と言われてしまった。
--リップルレーザーは地形に対する当たり判定が大きく苦戦を強いられる。ディスラプターも攻撃力・連射力が低く扱いづらい。
---両武装とも敵弾が見えにくくなるのも地味に痛い。
-『ジェイドナイト』(スプレッドボム・ラウンドレーザー・パルスレーザー)
--モチーフカラーは緑。ラウンドレーザーは自機(またはオプション)を中心に円形に広がるレーザー。パルスレーザーは『III』のツインレーザーと同じ。LV2でボムは分裂弾になり、ラウンドレーザーは範囲が拡大、パルスレーザーは弾数が2列から3列になる。
--ラウンドレーザーによる全周対応能力と、スプレッドボムによる濃密な爆撃能力が売り。その一方で横への火力に恵まれないため、オプションを上手に配置して戦う必要がある玄人向けの機体。
--ラウンドレーザーは癖があるものの使いこなせば中々の活躍を見せる。しかしスプレッドの性能は今一つでパルスレーザーも比較的連射は効くが火力は高くなく、総じて対空火力に欠ける。
-『ファルシオンβ』(ローリングミサイル・オートエイミング・グラビティバレット)
--モチーフカラーは紫。ローリングミサイルは真下に投下され地形に当たると前後に分裂して這っていくミサイルで敵を全て貫通する。オートエイミングは射程は限られるが上方の敵を自動で狙う速射弾、グラビティバレットは何かに衝突すると炸裂し高威力広範囲の爆発を発生させる。ミサイルはLV2で分裂後の射程が延びる、オートエイミングはサーチ範囲が拡大、グラビティは攻撃範囲が拡大する。
--ジェイドナイトに比べると近距離対空戦型で、自動で敵を狙うオートエイミングや圧倒的火力のグラビティバレットで敵をねじ伏せる。ローリングミサイルも若干癖はあるが強烈な貫通能力が頼もしい。
--グラビティバレットはグラビティバレットの爆風に衝突しても炸裂してしまう性質を持つ。従ってただ連射しているとどんどん爆発地点が自機に近寄ってきてしまうという癖がある。
--射程の短さなどやや癖はあるが高次周での強さは抜群。難点の射程もオプションとオートエイミングを駆使することでカバー可能。ただし復活(ミスからの立て直し)は厳しい。
#endregion

--「?枠」の防御装備は、シリーズでおなじみの前方防御シールドと全方位フォースフィールドに加え、地形接触死を防ぐ「ガード」と3秒だけ完全無敵になる「リミット」が追加され、防御面もバリエーション豊富に。
---リミットにより、地形を通り抜ける戦法が可能に。
--IIIにあった「!枠」は無い。
-パワーアップゲージの順序を変更できる「ゲージエディット」機能
--ゲージのスピードからシールドまで、並びを好きなようにカスタムできる。これにより、従来のグラディウスにないアグレッシブな復活パターンを作る事も可能。
--シリーズ他作品に比べてパワーアップカプセルが多めに手に入るため、ミスした後の復活が従来作に比べかなり容易になっている。特にオプションとシールドを1,2番目に持ってくる攻略法が人気。
-二人同時プレイ
--機体の組み合わせにより幅広い戦略が可能。2Pで同機体を選択した場合は片方のモチーフカラーが変更される。
--大抵のシューティングゲームでは二人同時プレイが出来ても装備の画一化や、限られたパワーアップアイテムの取り合いによりその魅力を十二分に発揮できていなかったが、パロディウスシリーズと同様の機体(装備)の差別化に加え、潤沢なパワーアップカプセルの入手等によりこれらの問題を払拭している。
--また、ミスした時にもパワーアップカプセルが5つも出るので攻略難易度を大幅に下げる事ができる。

**評価点
''システム周りの向上''~
-概要にもあるように処理落ち等が解消されて遊び易くなり、特徴にもあるように様々な新機軸が追加されている。


''シリーズやジャンルのお約束に縛られず、かつグラディウスとしての統一感を損なわない多彩なステージギミックの数々''~
-最初のステージは「雪原」。III系の砂漠とは対照的だが、序盤ステージ伝統の軽快で爽やかなBGMとマッチした銀世界で迎えられる。
--その後は、「どこかIIを髣髴させるスクラップ地帯で、歴代シリーズボスの残骸や中破機が攻撃を仕掛けてくるステージ」、「敵・味方を問わずレーザーを屈折させるクリスタルステージ」、「IIIの3面を髣髴させる山岳地帯…と思いきや、突如後方に大型ブラックホールが出現し地形を崩壊させながら呑み込んでいくステージ」、「高速スクロールで壁をぶち抜きながら突き進むボスと戦い、そのまま要塞ステージへ突入」などなど飽きさせない。
--特にいずれも従来のシリーズを踏襲しつつ新たな要素を取り入れている部分が評価できる。例えばモアイステージも一見伝統的なステージだが、モアイの残骸落下にも判定があり、また目からレーザーを照射するモアイも登場する。細胞ステージでは出現したパワーアップカプセルを持ち逃げしようとする細胞がいたり、地形に根を張って揺れ動く敵などが存在する。
--回転機能を用いた演出も進化している。
---本作の演出具合は同社『アクスレイ』を彷彿とさせるものがある。二足歩行メカも登場。

''個性的な各ステージボス''~
-シリーズお馴染みのコアを持つボス、雑魚を大型化・大幅強化したボスや、四方を囲み画面ごと大回転するビッグモアイなど。
--ステージ2では上下の進行ルートによって''2種類のボスが存在する''。機体による有利不利もある。
---レーザー発射の反動で本体ごと回転を始める「レーザーテトラン」、上下の両サイドに「デス」を装着し実質3つの破壊対象がある「デスダブル(パラサイトコア)」、小型3機による各々のフォーメーションを持つ「トリプルコア」、同社『トライゴン』のプレイヤー機を模した「デルタトライ」、奇抜な動きと軽快に子機を射出する「ジャグラーコア」、名前の通り凶悪に改修されたと思しき「ネオビッグコア」など。
---2周目以降はネオビッグコアが更に攻撃が追加され凶悪化する上、ボスラッシュの最後尾に強烈なインパクトを持つ隠しボス「ヘブンズゲート」も追加される。
--各ボスの攻撃エフェクトや効果音のほとんどに固有のものが用意されている。

''音楽''~
-ハードでCD音源を使えるため当然ながら表現力が大幅に増加し、さらにステージモチーフとの一体感を重視した構成になっている。また、従来のシリーズと比べ、メインテーマのモチーフを前面に出した作風になっており、オープニングや2周目以降の空中戦、高速ステージなどで分かりやすい共通フレーズが登場する。
--特徴的なものでは、雪原でオーロラが掛かると同時に解放されるシンセフィルターとそこへ被さる疾走感あるベースライン、透明感とスピード感を醸し出す高速アルペジオのクリスタルステージ、オーケストラヒットとサンプリングボイスで妖しさを増したモアイステージ、空中戦から要塞突入への流れと曲調をシンクロさせた最終ステージ前半など。
--ボスラッシュは前半戦・後半戦の二曲構成になっている。
-ただし、従来のシリーズとは作風がかなり異なるため、従来からのシリーズファンからは賛否両論がある。
-システムボイスは男性タイプと女性タイプの2種類から選択可能。女性のシステムボイスはシリーズでもかなり珍しい。
--こちらもディスク媒体による容量増加の恩恵を受けて種類が大幅に増加。ゲーム開始時のボイスが難易度毎に用意されている。

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**賛否両論点
-ビッグコア系のボスのデザインは少々独特である。鋭角的なスタイルだったり、露出しているコア部周りのデザインで従来のシリーズと少々毛色が異なる。ネオビッグコアなど、シリーズと比較すると派手なカラーリングである点も好みが分かれる。

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**問題点
-攻略難易度に癖が強い。
--機体解説でも触れたが、ロードブリティッシュは火力と攻撃範囲の両面で難があり、前述の方法を駆使しても苦戦を免れない。
--機体によっては火力がやや過剰気味。ゲージエディットでリミットを最初に持ってきたり、二人同時プレイによってボスの難易度も大幅に下がり、選択によって難易度が天と地ほどの差に開いてしまう。
-武器の描写で敵の姿や弾が隠れてしまう。
--特にロードブリティッシュのディスラプター、ファルシオンβのグラビティバレットが該当する。それぞれレベル2時は描画範囲が広めで、エフェクトによって敵弾はおろか敵本体まで覆われてしまうのは非常に惜しい点である。


//-ロゴデザインが微妙。
//--「GRADIUS」という英字と「外伝」という漢字の組み合わせだが、そのデザインセンスが…。「良作なんだからもっとカッコいいデザインにすればいいのに…」とファンからは惜しまれた。
//--後のPSP『[[グラディウス ポータブル>グラディウス ポータブル/パロディウス PORTABLE]]』では、従来シリーズのフォントを使用した英語に変更されている。~
//ただしこれはPSP版の新規スタッフロールに差し替えられたためであり、オリジナルスタッフの名前は削除されてしまっている。
//-スタッフロールが日本語ゴシック体フォントという空気を読まないエンディング。
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**総評
アイデアとギミックが詰め込まれており、これまでのシリーズ作に決して劣らない良作となっている。~
しかし、ゲーム雑誌のスクリーンショットなどでは悲しいほど迫力が伝わらず、発売当時は「ちょっと解像度が上がっただけのグラディウスIII」「今更2Dシューティング」というように否定的に受け取られ、美麗な3Dゲームなどの影に隠れてしまった。~
皮肉な事に正式ナンバリングである『[[グラディウスIV>グラディウスIV -復活-]]』が微妙な出来であったため後に再評価される。

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**余談
-本作の問題点ではないが、プレイステーションのゲームであるため、一部の後期生産型を除くPS2での互換プレイでは特定箇所で支障が出る。
--具体的にはブラックホールステージが終始処理落ちでゆったりとしたスピードになってしまう(プレイできないほどではないが、難易度は大幅に下がる)。これは『[[第4次スーパーロボット大戦]]』と同じ現象である。


-ゲームをスタート画面で放置するとデモ画面が始まり、各機の各武装の説明をしてくれる。
--のだが、なぜか''ファルシオンβのみデモの途中で撃墜されてしまい、武装の説明を最後まで見ることが出来ない。''

---(文章欠落)ちなみにその後はきちんとスタート画面に戻る為、ゲームが進行不可になるということはない。
---この現象はPSoneBookバージョンでようやく修正されたが、PSP版では廉価版準拠ではないためかやはり発生してしまう。
---もっともファルシオンβの説明は4回目のデモまでゲームを放置する必要がある。

-『[[グラディウス ポータブル>グラディウス ポータブル/パロディウス PORTABLE]]』にパック移植されているが、そちらでは二人同時プレイができない。二人同時プレイはPS版しかできない。
--設定で処理落ちをオンにしていると元のPS版にはなかった処理落ちが発生するので、設定で処理落ちをオフにすることをおすすめする。
--国内版に限り、画面のフラッシュのフェードイン・フェードアウトが機能せず、画面が真っ白になってしまう移植ミスが存在する。全体的にはPSP版は劣化移植とみて差し支えない。

-デルタトライは、過去のコナミのアーケード用シューティングゲーム『[[トライゴン]]』の自機「スーパー戦闘機」がモチーフとなっており、攻撃もトライゴンのドラゴンレーザー・ライトニングソードを使用してくる。
--倒すとドラゴンレーザーで自決するのだが、このドラゴンレーザー自爆はちゃんとモチーフがあり、元ネタのトライゴンで「ボスの体力を削る→ドラゴンレーザー使用→使用直後に体当りして自爆→暗転寸前に残ったドラゴンレーザーでボス撃破→復活地点に戻されるがボスの撃破点は入る」という、ハイスコアを狙う上で必須の残機潰しテクニックがあった。

-この作品で登場した自機4機とボスのデルタトライは遊戯王OCGでカード化された。
--デルタトライは巨大戦艦ではなく''戦闘機側の勢力''としてデザインされており、『トライゴン』のスーパー戦闘機と混合したデザインとなっている。
--また、デルタトライのサポートカードして『トライゴン((『トライゴン』に登場する同名の兵器…ではなく、でかでかとドラゴンレーザーが描かれている。))』『ドラゴンレーザー』もそれぞれカード化されている。

-使用可能機体のファルシオンβは、1987年にディスクシステムで発売された同社作品『ファルシオン』の自機名と形状がほぼ似ている事から、モチーフとなった機体なのではと言われていた。
--ただしグラディウスポータブル公式ガイドによると『全くの偶然』であるとの事。

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