「SIMPLE1500シリーズ Vol.99 THE 剣道 ~剣の花道~」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

SIMPLE1500シリーズ Vol.99 THE 剣道 ~剣の花道~ - (2019/02/25 (月) 01:13:18) のソース

*SIMPLE1500シリーズ Vol.99 THE 剣道 ~剣の花道~
【しんぷるせんごひゃくしりーず ぼりゅーむきゅうじゅうきゅう ざ けんどう けんのはなみち】
|ジャンル|スポーツ(剣道)|&amazon(B000068QF1)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|D3パブリッシャー|~|
|開発元|アメディオ|~|
|発売日|2002年8月29日|~|
|定価|1,500円(税別)|~|
|配信|ゲームアーカイブス&br()2010年8月11日/300円|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|貴重な剣道ゲーム&br;(素人目線では)意外にそこそこ良い出来&br;※よいこはまねしないでね&br;全体的なショボさと低ボリュームが難点&br;CV:ふなっしー|~|
|>|>|CENTER:''[[SIMPLEシリーズリンク>SIMPLEシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
廉価ゲームシリーズ・SIMPLEシリーズのPSレーベル『SIMPLE1500シリーズ』の1作。~
SIMPLE1500シリーズで特に多かったスポーツ物作品のひとつで、剣道を扱っている。~
3D対戦ゲームであり、全体的なデザインは格闘ゲームに近い。~

**特徴
-モードは「ストーリーモード」「野試合モード」「対戦モード」の3つ。
--ストーリーモードは一般的な格闘ゲームと同様に、シナリオの合間にCPU戦が挟まれる。
---シナリオは3種類。シナリオの順番は決まっており、陽太→よしみ→鉄蔵の順でないと始められない。
--野試合モードは、ひたすらCPUの剣士を倒していく耐久モード。剣士は徐々に強くなっていく。
---初期状態ではライフを5つ持つ。一本取られると1ライフ失い、5人倒すごとに1ライフ回復。
--対戦モードはいわゆるフリー対戦。対人戦とCPU戦の両方が可能である。

-ルールは実際の剣道に準じる。基本的に三本勝負((ストーリーモードでは一本勝負の試合もある。))で、試合時間は5分、延長3分。
--ゲーム内の時間計測は実時間より早く、実時間の1秒がゲーム内の2秒程度に相当する。

-○×△□ボタンで、それぞれ胴、払い、面、突きが出せる。小手は上キー+×。
--攻撃を出していない際はオートで防御が行われる。
---そのままなら中段防御(胴を防ぐ)、上キーを押していれば上段防御(面を防ぐ)になる。
--面・胴・突きは他の攻撃技でキャンセルができるため、フェイントを仕掛けることができる。
--L1ボタンで、「固有技」と呼ばれるキャラごとの特殊技を出せる。これについては後述。
--移動は左右キー、R1・R2ボタンで四方向に可能。相手に接近すると鍔迫り合いになる。

-野試合モードや対戦モードで使用できるキャラは、ストーリーモードや野試合モードの進行により徐々に追加される。
--最終的には、ストーリーモードに出てきた敵キャラを含め8人が使用できる。

**評価点・おバカな点
-剣道という、ゲームにしづらい素材をそれなりにまとめてある。
--剣道は有効打突一本で勝ちが決まってしまう性質上、テレビゲームの題材に不向きでソフトは極めて稀である。
---剣道キャラが出てくる作品こそあれど、実際のルールに則った剣道の試合がある剣道ゲームは他に『[[六三四の剣 ただいま修行中]]』があるぐらいで殆ど唯一に近い。
---もっとも、『[[ブシドーブレード]]』のような立ち位置の近いゲームや、剣道を数あるゲームのひとつとして収録した『デカスポルタ2』のような例はいくつかあるが。
--単純な操作とフェイントなどの戦略性を両立していて剣道の読み合いをちゃんと味わうことができ、地味ながらそこそこ程度良い出来と言える。
--もっともCPU対戦では運ゲー的な要素も強く、対人戦でないとシステムが活きないのはやや残念。

ストーリーモードのシナリオが突っ込みどころ満載。3つのシナリオを順に紹介する。
-陽太「真夏の青春 全国大会」
--剣道部の男子高校生が主人公で、剣道の全国大会を勝ち上がるシナリオ。
--''いきなり大会前日の練習戦から始まり、それが終わるともう大会本番である。''
---プレイヤーに対するチュートリアルになっているのだが、いくらなんでも''全国大会前日に先生から基本操作を教えてもらう''のはどうなのか。%%都道府県予選はどうやって勝ったのか?%%((ちなみに顧問の先生は最初の対戦相手だけあって弱い。手加減してるのかと思いきや、陽太にも「やっぱ弱いな…この人」と言われている。こんな剣道部で都道府県予選はどうやって(ry))
--どう考えても面を被れないヘアースタイルの不良、''自分の髪の毛を入れたお守りを主人公に渡すヒロイン''((しかもその理由は「本当は自分が入りたかったけど、それはムリだから代わりに髪の毛を入れた」との事。怖いわ!))など、変なキャラもいくつか登場するが一応王道的な展開であり、これでも''他の2つに比べれば全然マシ''である。
-よしみ「ズッコケ婦警のはみだし捜査」
--「''剣道よしみ''」((演歌歌手・天童よしみのパロディであることは言うまでもない。))という主人公の名前からしてボケる気満々。
--新人婦警のよしみが、剣道場に紛れこんだ強盗を探すというストーリーなのだが、どこに剣道が絡んでくるかというと…
---怪しい奴がいる→防具を着ているので犯人かどうかわからない→''面を割れば顔がわかる!''
---というわけで、よしみが''片っ端から怪しい人物に試合を申し込み、面を面打ちで割っていく''のがよしみ編のストーリーである。それらの試合(?)の勝利条件も「面で一本取る」である。しかも場所は無理矢理連れ込んだ武道館の配管室。最早剣道の試合じゃない…((にもかかわらず、こちらが一本取られれば剣道のルールに則って敗北。律儀な…。))。
--後半は犯罪組織のアジトに乗り込む展開となるが、''親玉を追い詰める方法もやっぱり剣道''。『[[遊☆戯☆王>遊☆戯☆王シリーズ]]』が何でもカードで決めるのと同じようなシュールさを感じさせる。
--よしみ自体も警察官になったのは''剣道を毎日出来ると思ったから''(何故!?)、剣道の道着と防具を''勤務中に持ち歩く''、武道館の造形に惚れており「''住みたい''」とすら考える、補導した不良に''面千本''でおしおき…というツッコミ所しか無いキャラである。
---挙句、道着のまま敵にアジトに向かい、「''防具つけていけば撃たれても平気だよね''」などと宣って単身アジトに乗り込む。そんな訳あるか!
-鉄蔵「剣の道 闇の道」
--''なんか暗いタイトル、ごついオッサンの主人公''と妙に物々しい。
---それもそのはず、鉄蔵編は''男たちを剣道で戦わせて賭博のダシにする地下賭博場''が物語の舞台なのである。……どういう設定だよ!『遊☆戯☆王』が何でもカードで決めるのと(ry
---試合も''鉄製の鎧''を着込んで、どう見ても''金属の竹刀(?)''で戦う。剣道とは一体…。
--鉄蔵は組織の指示で八百長に加担させられている為、その指示に従わなければならない。その為、試合によって勝利条件が「''敗北せよ''」「''時間切れに持ち込め''」などと変わる。
---そして失敗すれば''組織に始末されて''ゲームオーバー。これ何のゲームだっけ?
--ストーリーも(剣道設定を除けば)シリアスで、人死にも出る重い内容。
---…の割にはどんな場面でも、例え悪のボスと決着を付けるシーンでも決めるのはやっぱり''剣道''。しかも敵に面でトドメを刺したりとシリアスシーンにもかかわらず笑いを誘う。
---他にも対戦相手の1人に「マイコー」などと言うどこかで見たようなキャラまで…((しかも見た目だけでなく台詞まで「ポー! アオッ!」などと、故マイケル・ジャクソン氏そのまんま。自称「最も危険な男」だが、寧ろ別の意味で危険そうな…。))。
---そしてオチのくだらなさは肩の力が抜けること必至。一応、ハッピーエンドではあるが…。
-なお、実は3つのシナリオは内容が微妙に繋がっている。これに関しては遊んで確かめてほしい。

-他にもバカゲー要素多数。
--陽太で試合に勝つと、勝利ボイスで「''ン”ェェェェェェェ!!!''」と奇声を発する。
---というか、陽太のボイス(若い男性の汎用ボイス)は全体的に声が上ずっていて、例えば「面」が「''ウ”ェン!''」といった感じである。[[ふなっしー>梨汁アクション! ふなっしーの愉快なおはなっしー]]を彷彿とさせる。
--「固有技」が色々とひどい。文章だけで説明するのは難しいが、お前ら遊んでるだろと言いたくなるような技ばかり。
---最初の主人公である陽太の「片手面」(竹刀を片手で持って面を打つ)だけは比較的普通((片手面は、上段から素早く出せる技として実際の剣道でもそれなりの頻度で使われる。剣道に竹刀を両手で持たなければならない決まりはない。))なのだが、その後は''ファンタジー剣道へと突き進んでいく。''
---''エビ反りになって相手に向かって大ジャンプしながら面を打つ''よしみの「かえる飛び面」。
---''竹刀を垂直に構えてグルグル回りながら胴を打つ''鉄蔵の「回転胴」。
---終いには''手から謎のビームを出して妨害する''キャラまで出始める。剣道って何だっけ?
---尚、よしみ編では「面で勝利」、鉄蔵編では「胴で勝利」と、特定の試合で設定された勝利条件に固有技を活かせるようになっている。
--''洋剣を持って洋式鎧を着た、どう見てもそれ剣道じゃなくてフェンシングだろと言いたくなるオッサン''が対戦相手に出てくる。
---教団っぽい衣装を着ており、''防具を全く付けていない''組織のボスが対戦相手に出てくる。危険どころの話ではない。
---挙句、鉄蔵編ラストバトルは双方とも''素顔を曝け出して''戦う。しかも武器は金属製である。
--オプションの効果音欄に''「通常」「派手」''の設定がある。
---こんなオプション項目もそうないのではなかろうか。

**問題点
-ボリュームは乏しい。
--ストーリーモードの試合は、1つのシナリオにつき5、6回程度。シナリオ自体も短い。
--後述の難所さえ除けば、1時間半もかからずクリアできる。
--あとは対人戦を除くと野試合モードで記録を伸ばすぐらいしかやることがない。隠しキャラも出せるが、単なる耐久モードなので飽きは早め。
-演出も微妙。
--動きはリアルさに欠ける。素人でも実際の動きをあまり研究していないのが察せるクオリティ。
---構えた時に、竹刀の剣先が異様に高い。また、打突時の振りかぶりが異様に大きい。
---引き技、返し、払い、抜き、出小手など、中学生レベルの基本動作すらできない。
---上段で構えている相手に強引に小手を打ちにいっても入ってしまう。現実ではまずありえない。
---踏込みんだ後の抜けができず、小手先で打つことしかできない。所謂『気・剣・体』のうち、『体』は完全に放棄している状態。それでも打突が入れば取ってくれるが。
---尤も、PSというハード的にも剣道の動きを再現するには限界があるのかもしれない。また、''ビーム出す奴がいるゲーム''でそこまでリアルさを求める必要があるのかという意見もあるかもしれないが。
--ボイスが男性ボイス2種と女性ボイスの計3タイプしかない。
---女性キャラはよしみ1人なので良いとしても、他の全員を青年ボイスと壮年ボイスの汎用2種類だけで賄うのは寂しい。
-鉄蔵シナリオ・3戦目が理不尽に難しい。
--何が難しいかというと、クリア条件が「勝負を''引き分けにする''」ことなのである。
--剣道で引き分けは時間切れ以外で発生しないので、ここでは''試合5分+延長3分(実時間で計4分程度)の間、ひたすら決着が付かないよう耐えなければならない''。
--3本勝負なので、最初の5分に限り1回一本を取られても取り返せばなんとかなる。
---ただし、延長に入った後は一本で勝負が決まってしまうのでその方法も使えない。
--CPUの思考を突いて時間稼ぎのコツをつかめばなんとかクリアできなくもないが、不必要に難しくストレスが溜まるだけである。

**総評
剣道の試合を専門で扱った数少ないテレビゲーム。~
当時のSIMPLE作品ゆえかどうも全体的なショボさは否めないが、基本的な造り自体は比較的良好。~
良い意味でバカゲー的にもポテンシャルを持っているだけに、ボリュームのなさが特に残念なところである。~
現在はゲームアーカイブスで300円となっているので、このボリュームでも値段以上は楽しめる。興味を持った方は遊んでみるのも良いだろう。~