「スーパーロボット大戦W」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

スーパーロボット大戦W - (2020/09/02 (水) 13:29:39) のソース

*スーパーロボット大戦W
【すーぱーろぼっとたいせんだぶりゅー】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B000NRPJ2E)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|512MbitDSカード|~|
|発売元|バンプレスト|~|
|開発元|エーアイ|~|
|発売日|2007年3月1日|~|
|定価|6,090円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズリンク>スーパーロボット大戦シリーズ]]''|
//アニメ化されていないスパロボ未参戦(フルメタ原作)の話題は控えてください
----
#contents(fromhere)
----
**概要
DS初のスーパーロボット大戦。発売当時は、『[[OGs>スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS]]』が原因不明の無期延期状態が続いている最中であったため、ファンにとっては「久々の『スパロボ』」という事で期待がかなり高まっていた。&br()本作の大きな特徴としてシナリオが2部構成になっており、参戦作品も続編が存在するものが多い。~
一方で、前作『[[J>スーパーロボット大戦J]]』からの使い回しの多さを不安視する声もあったのだが…。

----
**参戦作品一覧
#region()
★マークは新規参戦、☆マークは携帯機初参戦。
-マジンカイザー
-マジンカイザー ~死闘!暗黒大将軍~
-ゲッターロボG
-真ゲッターロボ(原作漫画版)
-新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
-機動戦士ガンダムSEED
-★機動戦士ガンダムSEED ASTRAY
-★機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY
-宇宙の騎士テッカマンブレード
-★宇宙の騎士テッカマンブレードII
-機動戦艦ナデシコ
-劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-
-☆勇者王ガオガイガー
-☆勇者王ガオガイガーFINAL
-フルメタル・パニック!
-フルメタル・パニック?ふもっふ
-★フルメタル・パニック! The Second Raid
-★百獣王ゴライオン
-★デトネイター・オーガン
-バンプレストオリジナル
#endregion

----
//シナリオ面の解説がくどすぎるとの意見から、少し削りました。
//ネタばれ、及び個別作品への過剰な言及は削りました。
**評価点
***シナリオ
-粗は少々あるものの、シナリオの完成度が非常に高く、多くのスパロボ、および参戦作品ファンの心をとらえた。家族愛・思い出の大切さ・スペースマンシップというテーマが一貫して描かれている。伏線も絶妙に配置されており2周目以降も新たな発見があるほど。
//粗の件わざわざ消す必要ありますか?シージャックの件結構酷い粗だと思いますけど。
--全般的に大胆なクロスオーバーが多く、直接的な関わりのなかった二作品を結びつけたクロスオーバーはプレイヤーを大いに驚かせた。
---中でも『宇宙の騎士テッカマンブレード』は「『ブレード』→『ブレードII』というシナリオの時系列を『ブレード』前半→『ブレードII』→『ブレード』後半の順に変更」「『宇宙の騎士テッカマン』のオマージュとして製作された『デトネイター・オーガン』と『ブレード』&『ブレードII』をクロスオーバーさせる」「原作で救われなかったキャラをオリジナル展開で救済」などの大胆な変更及びクロスオーバーがなされている。
---『百獣王ゴライオン』と『勇者王ガオガイガー』は、同じ「ライオンがモチーフ」という点に着目し、「同じ星系の古代文明が作り出した」というクロスオーバー設定を加えて『ガオガイガー』における敵組織との因縁を描き出し、ストーリーに深く関わる形になっている。さらにこの「古代文明の遺産」という設定が本作のとあるオリジナル勢力との深い関係へと繋がっている。
//---『機動戦艦ナデシコ』『フルメタル・パニック!』『機動戦士ガンダムSEED』等もIF展開やクロスオーバーが豊富で、ネタ要素も多い。
//クロスオーバーが豊富、といいつつ、ナデシコしか書いてないので一旦CO ↓のナデシコのように書くレベルでないなら作品名上げる必要ないし、逆に書くべき内容があるなら詳しく書くべき。
---本作で特筆すべき『ナデシコ』関連の話題といえばダイゴウジ・ガイだろう。原作では3話で死亡してしまうが、本作では『R』や『IMPACT』同様無条件で生存するだけでなく、劇場版展開になる第2部では本作オリジナルの''劇場版仕様のフェイスグラフィック''をひっさげて登場する。ガイ仕様のエステバリスカスタムも当然用意されており、アキトとの合体攻撃も可能((『R』では専用のスーパーエステバリスが登場していたが、劇場版仕様のアキトとの合体攻撃は初。))とその優遇ぶりはまさしく前代未聞。~
ガイ同様無条件で生存する白鳥九十九には劇場版仕様の顔グラフィックが用意されていないが、こちらも劇場版の時代まで生存した場合のIFを堪能できる。『マジンカイザー』とのクロスオーバーではっちゃけることも。
---他の作品も、原作では死亡していた大半のキャラがクロスオーバーの結果生存するなど、IF要素を有効活用した大団円となっている。
--ともすれば原作崩壊レベルと言われても仕方ないほどの改編が行われているのだが、一部を除き、原作の魅力を損なわない愛情のあるアレンジで、原作ファンからの評価は概ね高い。

-日常描写が豊富で料理の腕前をきちんと描写される『ナデシコ』のアキトや学校に通うゲッターチームなど、原作で描かれていながらこれまでのスパロボでは描かれて来なかった珍しいシーンが多く、これらの細かい拾い方も評価されている。

-声優ネタ、パロディネタ等が非常に多い。「中の人などいない!」「まさに外道!」などネット上で話題になったネタや、過去のスパロボや声優などに余程詳しくないとわからないようなマニアックなネタまで存在する。
--これまでのスパロボシリーズでも声優ネタやパロディは定番だったが、本作はかなり多い。
--一方で元ネタを知らないために違和感を覚えたり、キャラに無理やり言わせているようなセリフ回しはほとんど無い。それだけライターの知識量と非凡さがうかがえる出来である。
--パロディとは異なるが、最終決戦地は発売当時の時事ネタであり、多くのプレイヤーを驚かせた(しかもストーリー上、重要なレベルで絡む)。

-オリジナルキャラクターの良さ。
--今作のオリジナルキャラは、スパロボでは珍しい「一つの家族」として行動するというもの。主人公のカズマ・アーディガンは父・二人の姉・妹・後見人らと共に、戦艦を住居としながらトレイラーという「何でも屋」として生活しているという設定。
--特に、カズマのキャラクターはスパロボオリキャラの中でも後にも先にもないようなタイプであった。具体的には近作としては珍しいほどの異様な熱血キャラだが、精神的にも未熟という設定。やたらと突っ走ってはミスをして、家族や周囲のキャラに笑われるのは日常茶飯事。スパロボの主人公では割と珍しく恋人を欲しがっているのだが、直近にいるのは妹か双子相当のキャラという絶望的な状況(後者はフラグが立ちかけたが、きっちり折られた)。主人公機のいい意味であんまりな性能(後述)の反動だろうか。
---何かと1人だけ損な目に遭うことが多く、いやに三枚目的なエピソードが目白押し。序盤から版権・オリジナル問わず徹底的にいじられ、最終話でも版権キャラにヤンチャしていた頃の黒歴史を穿り返されるというネタキャラっぷりである。
---だが、「''偉大な父を越える''」というカズマの成長を描いたシナリオの流れも非常に評価が高い。
---ちなみに版権キャラの中では序盤から行動を共にするデュオ、性格的に似た者同士である甲児とは特に仲が良い。ある場面ではデュオのことを「昔のダチ(といっても半年前だが)」とまで言ってのける。彼ら以外の版権キャラとの絡みも多々あり((特に版権主人公とは全員とよく絡む))、かといって変に出しゃばったりもしない。カズマの行動に親近感を覚えたプレイヤーも多く、現在でも非常に人気の高いキャラとなっている。
--シナリオの合間にカズマが航海日誌を書くシーンが入るのだが、これが備忘録・あらすじとして機能しておりストーリーがわかりやすくなっている。
--主人公の妹であるミヒロは年齢10歳でお兄ちゃん大好きなしっかり者、時々黒いセリフを吐く((元の性格というより、状況を鑑みてそのようなセリフを吐くのもやむなしといった場面も何度かある。))等大きいお兄さんを狙いすました設定であり、一部で人気が高い。
---特に2部序盤で言い放ったセリフ「''ビッグボルフォッグだーっ!''」は人気が高く、本作を代表する迷セリフとして知られる。
--操舵手のホリス・ホライアンは、影の薄さが作中でネタにされたりするが、重要な活躍を度々見せるためファンが多い。版権作品に絡む設定があるのだが、そちらも%%完成度の高いコラ画像が有志によって作られるなど%%違和感が無い。

***完成度の高い戦闘アニメ
-戦闘アニメは『J』からの流用も多いものの、それでも十分すぎる出来。
--その『J』から流用したアニメにも、アニメーションやトドメ専用のグラフィックなどが数多く追加されているため見応えがある。
--特に『フルメタ』主役機アーバレストに関しては不遇気味だったアニメーションに多くの改良が加えられ、アーム・スレイブの特徴を良く掴んだ動きになっている((もっとも、初参戦となる『TSR』版のアーバレストは登場しないため、不遇といえるが…))。
-ハードがDSに変わったため、BGMや効果音の音質・種類が劇的に向上した。これにより『J』流用のアニメでも以前より迫力が増加している。さらにメモリの性能が上がったおかげで戦闘アニメのテンポが改善されているものもある(分かりやすいのはマジンカイザーとグレートマジンガーの合体攻撃ダブルロケットパンチや、『J』で処理落ちしていたミサイル系の武器)。
--完全新規の戦闘アニメは非常に上質で、特にジェネシックガオガイガーのゴルディオンクラッシャーの演出は、発動承認のシーンや終盤のカットインラッシュが再現されるなど、ボイスが無い事を除けばPS2の『[[第3次α>第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-]]』以上との評価も挙がるほど。
-『J』では極少数しかなかった専用トドメ演出が大幅に増加。『オーガン』の原作完全再現レベルのグランドクルスアタックや、ファンの間で語り草となったブレードとアキの「ダブル・ランサーコンビネーション」((止め演出時にイチャイチャしているため「ラブラブランサー」という通称がついた。))は必見。
-主人公の最終機体「ヴァルザカード」の最強技の演出などは現在でも最高峰とされており、トドメ演出はBGMがきっちり一周するようになっている。
--なおこのヴァルザカード、登場するまでの経緯と見た目から非常に人気の高いオリジナルロボットとなった。特に登場方法はスパロボとしては珍しい展開になっている。

***豊富なBGM
-BGMは様々なBGMが揃えられている。曲自体のクオリティも良質である。
--ガンダムSEEDは戦闘BGMとEDがそれぞれ2曲収録、さらにASTRAYもBGMが4曲採用されている。
---なお、ASTRAYのBGMは『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.]]』の物が採用されている。
--『ナデシコ』からは「なぜなにナデシコ」のBGM、さらには劇中劇「ゲキガンガー3」の主題歌が採用された。
--『ガオガイガー』もヘルアンドヘヴン、ゴルディオンハンマー使用時のBGMと『FINAL』のヘルアンドヘヴン、ゴルディオンクラッシャー使用時のBGMがそれぞれ採用された。
--オリジナル曲も豊富で味方戦闘BGMだけでも6曲になっている。

***DSの性能を活かしたシステム
-基本システムはこれまでのスパロボを踏襲しているが、DSに合わせた仕様の追加・変更がなされている。
-DSならではの二画面を活かし、上部画面に全体マップやカーソル上のユニットの簡易能力が表示されるようになった。一度に多くの情報を見られるため地味ながら便利。
-DSのGBAスロットを活用した「Wスロットシステム」。過去のGBAスパロボをDSに挿入する事で、高額な資金やレアな強化パーツを得られるという試みで、ファンには嬉しいシステム。
--獲得資金やパーツの効果は新しい作品程高い傾向にあるが、いずれも「あると便利」といったレベルであり、クリアに必須ではない。
--対応作品には『[[GC>スーパーロボット大戦GC]]』発売時の懸賞でしか手に入らない、総数僅か2,000本のファミコンミニ版『[[第2次スーパーロボット大戦]]』にまで対応している。希少な分報酬も最も豪華。
--このシステムは後続のDS作品(『[[K>スーパーロボット大戦K]]』『[[無限のフロンティア>無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ]]』『[[学園>スパロボ学園]]』)にも採用されている。
-タッチペンによる操作にももちろん対応しているが、こちらは一切使用しなくてもプレイに支障はない。

***その他評価点
-クリアデータを引き継いだ2周目以降のプレイでは一部シナリオが別のものに変化する(3周目以降では選択可能になる)ため、新たな楽しみが味わえる。
--また周回プレイでは強化パーツと『フルメタ』及び『SEED』関連の機体の購入が可能になる。ただ購入できる機体については少々問題がある(問題点の項を参照)。
-前作『J』で不評だった、命中率0%の味方をスルーしてくる敵AIは廃止。
--次回作以降で採用される「連続ターゲット補正」もまだ存在しておらず、嘗てのスパロボならではの回避系無双を思う存分堪能できる。
-前作『J』で不評だった増援の多さもかなり控えめ、難易度の低さ自体は後述の賛否両論点があるが、サクサクシナリオを進められるため全体的に明るく軽いノリの本作とはよく合っている。

----
**賛否両論点
-''あまりに低い難易度''。
--それなりに強い敵もいるのだが、それ以上に味方の火力がインフレを起こし気味。前述の主人公機がいい例である。前作『J』でも言われていたが、更に悪化していると言ってもいい。
---さらに、攻撃力低下などの状態異常付加の武器を持つユニットも多くなったため、それを活用すれば強い敵も楽に倒せる。
--初心者には丁度いいレベルなのかもしれないが、熟練者にとってはクリア後の難易度調整を最大難易度にしてもヌルいとの事。無改造かつ精神コマンド未使用でもなんとかクリア出来たとの報告まで存在している。
---資金稼ぎも恐ろしいほどに容易。一部のボスは撃破しても条件を満たさない限り無限に復活するので「撃墜→復活→撃墜→…」のループで幾らでも資金が手に入る。出撃前メニューにて強化パーツとスキルパーツを売却した後に全滅し、インターミッションでシナリオ再開をすると、あろうことか資金はそのままで強化パーツとスキルパーツが売却前に戻るというバグまで存在している。
--一部の機体があまりに強すぎる。
---主人公機の最終形態であるヴァルザカードは重装甲に高機動、パイロットは6人、パーツスロットは4、武装もMAP兵器も込みで穴がないという''デフォルトで何もかもがおかしい''という有様。加えてバグ、もしくは仕様・強化パーツを併用することで''無限行動あるいはダメージ5倍''と言う凶悪無比な反則性能を発揮することも可能。欠点はせいぜい戦艦に格納できないことくらい。主人公の一家が所有する住居兼戦艦が素体となっているため、ファンからは''史上最強の家''と呼ばれている。
---他にも強力な特殊能力や、ローコストの合体攻撃を所持している機体が味方にゴロゴロ存在している。精神コマンドとの兼ね合い次第では無双も容易。
--一方で分岐で登場するガウルン搭乗のコダールは初見殺しと呼ばれるほど強い。
---フォローするならば基準となるバランスそのものが破綻しているわけではないので、極端な話バランスブレイカーな要素を封印しておけば難易度調節は可能。要は「難易度の下限がやたら低い」のである(上限が高いわけでもないが)。
//初心者にちょうどいいレベルなら賛否両論点では?

-''参戦作品の扱いの格差''。
-クロスオーバー及びシナリオが褒められているが、歴代でも悪い部類に当たる「参戦作品の扱いの格差」は批判されている。
--本作のシナリオの中心となっているのは『ナデシコ』、『ガオガイガー』、『テッカマンブレード』とどれも既存参戦作品であり、全体的に本作の新規参戦作品は冷遇傾向にある。
//この作品に限った話じゃないが良い部分だけ過剰に褒めたたえ、問題点だけ言い訳を並べて過小にするのはどうかと思う。全てきっちり公正に記載してほしい。
--本作では数少ない純粋な新規参戦作品である『ゴライオン』も冷遇を受けている。
//ゴライオンやや冷遇気味ではなく完全な冷遇だと思うのだが。
//クロスオーバーや専用シナリオにも恵まれてる時点で完全ってことはない。
//新規参戦でほぼシナリオ再現無し、設定完全無視は冷遇でしょう。BGMも1曲しか貰えてないし。クロスオーバーがあるから冷遇じゃないって言ったらスパロボで冷遇作品なんて消えますよ。
---『ガオガイガー』と大きくクロスする為そちらでの出番は多いのだが、原作のストーリーはほぼ再現されない。設定についても意図してか否か無視されているものが多々存在する。
---しかし原作に過酷・残虐な描写が多いため、現代の基準からすると積極的な原作再現はしづらいだろうという意見も多い((仮にゴライオンのストーリーを完全再現した場合、「A」となっている本作のレーティングが一気に「D」~「Z」にまで跳ね上がると思われる。原作の詳細は各自で調べてほしい。))。
---そんな原作の持ち味が完全に殺された中で主題歌の空耳ネタである「ギブアップせい!」をシナリオ中にやった事でネタアニメのように認識してしまうユーザーが続出してしまう事態に陥った。
//オーガンは原作再現こそ控えめだけど、冷遇とはとても言えない。

--『TSR』が初参戦となった『フルメタ』に関しても、本来ロボットが登場しない番外編スピンオフの『ふもっふ』をメインにしたコメディー寄りのシナリオが用意されている一方で、初参戦にも関わらず『TSR』の再現が終盤のみで、終盤自体の再現度もかなり低く、キャラクターも数人しか登場しない。((ただしクロスオーバー方面に関しては『TSR』も例に漏れておらず、『ガンダムSEED』のキラにサイクロプスのデータを送るレナードや『テッカマンブレードII』のデッド・エンドとアマルガムの関係など、見どころは多い。))
---そのため『TSR』の特徴である原作小説を活かしたハードなシナリオ展開やテーマである宗介の成長とアルの自我の目覚めを描き切れてるとは言えず、アルに関してもサブパイとして追加されずシナリオ上でもセリフがほとんど無い。『TSR』初登場の僅かなキャラクターに関してもレナードはクロスオーバーで見せ場があるのだが、クルーゾー大尉は見せ場の再現((搭乗機ファルケの戦闘アニメーションは細部まで拘っており、アーバレスト以上に再現度が高いのだが…))がなく、目立ったクロスオーバーも無い残念な扱い。
---『TSR』初登場となった巨大組織アマルガムも本作に登場するが、本作では単なる武装勢力扱い((アニメではアマルガムの全貌が明らかになっていなかったとはいえ、『TSR』でも戦争を裏から操って世界をコントロールしている描写があるため、もう少しまともな扱いにならなかったのだろうか。))。
---また、本作でも『フルメタ』系のモブは全て「傭兵」。これも合わせて原作未見だと『フルメタ』の敵はテロリストだと誤解されやすい。
---ただし、『TSR』はグロテスクな残虐な描写が多く、本放送時はR15指定で放送されたため、シナリオ再現が終盤のみなのは仕方がないという意見がある。
---また『ふもっふ』はロボットの出ない番外編ギャグアニメなのだが、本編を押しのける形で優遇すること自体に批判的な意見もある。
---『TSR』ではキャラクターデザイン及びメカデザインが一新されているが、本作では『J』を流用した関係で1期版であり、初参戦なのにも関わらず、TSR版のデザインのキャラやメカは登場しない。なおパッケージアートにはTSR版のアーバレストが描かれており、半ば詐欺状態となっている。
((扱いが悪すぎるせいか、公式サイトなど媒体によっては参戦作品一覧で『フルメタル・パニック!シリーズ』という一纏めの表記になっている))
---既存参戦の1期に関しても『J』との差異を出すためか、いくつかのエピソードの統合及び、時系列の入れ替えが行われているが、全体的にコミカルなシーンが増え、中には''捕縛したガウルンを護送中にパーティを始める自軍''という突っ込み所のある展開((パーティ自体のクロスオーバーは好評))になってしまっている話もある。原作と違い民間人が多く軍隊色が薄く、原作以上に戦力が揃ってるとはいえ、ガウルンの凶悪性やミスリルという組織性を考えるとあまりにも無警戒すぎる((ガウルンを良く知るカリーニン少佐からは拘束中も油断するな!と念を押されていた))。案の定ガウルンに出し抜かれトゥアハー・デ・ダナンは乗っ取られた挙句、マッカラン大尉は原作通り死亡してしまう。((同じく本エピソードで死亡するリャン一等兵や裏切ったダニガン軍曹、グェン軍曹は本作の改悪の結果、本作には登場しない))
//オリとかなめの問答はTSR関係ないから。
//--『ナデシコ』はTV版と劇場版を組み合わせたほとんどオリジナルのストーリーとなっており、シナリオの雰囲気が全体的に明るい。原作のナデシコが持っていた「暗くハードな部分」は大幅にスポイルされている。
//他の参戦作品のおかげでスポイルされてる作品なんて他のシリーズでも多くありますので、COさせてもらいます。
//---この辺りは、スパロボのシナリオに何を求めるかによって評価が分かれる所だろう。「スパロボならではのクロスオーバー」や「原作の悲しいイベントをハッピーエンドに改変するスパロボ補正」を求めているプレイヤーには評価が高く、「ゲームでの原作再現シナリオ」や「ハードからこそ考えさせられるシナリオ」を求めているプレイヤーにとってはやや残念と言える。
//---ただ、これらはあくまで作風の問題であり、シナリオの質自体は間違いなく高い。
//上記にCOした理由を書きました。
//この点の記述についてはスパロボスレで話し合われていますので、そちらで議論し、その結果に合わせて編集してください。
//話し合いの上でCOされたままの部分だし、せめてスレで確認してから復帰させてくれ
//「多少穿った見方をすれば、クロスオーバーシナリオの割を食ってしまった残念な参戦と見る事も可能。」一々ひねくれた解釈を載せる必要も無いでしょう

--またプラス方向にスパロボ補正で救済されたキャラクターも多いが、本作はマイナス方向にスパロボ補正を受けているキャラクターが散見される。代表的なのは原作以上に空気が読めず、政治も全く分かっていない様な描写をされた『ガンダムSEED』のカガリやラスボスに「言いたいことがあるならモゴモゴ喋るな、ハッキリしろ!」と言葉を吐かれ
原作以上にナヨナヨしてるキラ。

--シナリオでの扱いの良い作品はアニメーションや収録楽曲の量も優遇されてるため、余計に扱いの格差が目立つ。
---特に曲については大きな差がついており、既存参戦作品の『ガオガイガー』は『ガオガイガーfinal』と合わせ12曲と大量なのに対し新規参戦作品の『ゴライオン』は「斗え!ゴライオン」1曲のみとあまりにも格差があり、扱いの悪さを感じざるをえない。『フルメタ』も3シリーズ合計で5曲とそれなりだが、作品事に視点を当てると初参戦となった『TSR』は2曲のみと寂しく、何故か最終決戦を盛り上げたアーバレストの代表曲として名高い「勝利」がない((本作で採用された『疾走』は窮地の時に流れてる時が多く、スパロボの戦闘BGMとしては不向き。主題歌の南風があるだけまだいいが))。既存参戦作品では『ガンダムW EW』、『ゲッターロボG』も1曲のみ。

--クロスオーバーに特化しているため、原作設定や展開はあまり再現されていないということでもある。この点は一長一短といったところか。
---そのせいで新規参戦作品であっても出番や見せ場を失ってしまったキャラクターもいる。

----
**問題点
-「サイズ差補正無視」というスキルパーツを使っても効果が無い。
--原因はプログラムミスと見られている。これが原因で「デフォルトでサイズ補正無視を持っていない、サイズS以下の機体」は火力不足に悩まされる。

-マルチコンボの仕様
--マルチコンボを所持する敵が実に多く、更に思考ルーチンもコンボが可能な状況だと優先的に狙ってくる。
--前作「J」と違い対象が並んでさえいれば一直線でなくても攻撃が可能になっており、隣り合うだけで良いため、敵のLvが上がると援護防御がほぼ空気になってしまう。

-機体やパイロットの加入期間の格差が激しい。
--2部構成という都合もあって、第2部後半に初登場する作品の機体は使える期間が恐ろしく短い。また第1部で加入したものの、第2部での再加入がやたら遅いユニットもいる。好きなユニットが満足に使えない点は不満の声が大きい。
---加入期間の格差がある事自体はスパロボでは珍しくないが、『W』ではその中に「本来なら序盤に出そろうであろう主役級の機体」が含まれている事が問題視されている。満足に使える期間が少ない作品のファンはかなり待たされる。
---本作では周回ごとに撃墜数がリセットされる(しかも撃墜数は全員''0で加入する'')ため、第2部にならないと使えないキャラをエースまで育て上げるのは至難の業。トップエースなどよほど使い込まないとまずなれない((第2部加入キャラのうち普通にプレイしてトップエースになれる可能性があるのは、乗機が広範囲かつ強力なマップ兵器を持つキラとテッカマンイーベルくらいだろう。))。

-周回プレイ時の改造段階引き継ぎの問題
--第2部で正式参戦となるオーガンだが、第1部にNPCとして登場するオリジナルのオーガン(通称アーキオーガン)と改造段階を共有してしまっている。このせいで、2周目以降は前周までに強化した分の改造段階でNPCオーガンが登場する為、『[[IMPACT>スーパーロボット大戦IMPACT]]』の飛影を彷彿とさせる経験値泥棒と化してしまう。
---せっかくの初参戦作品の主役機体でありながら、この問題点が周知されてからは改造を躊躇うプレイヤーが続出した。
--この問題は第2部序盤でNPCとして登場するブラックサレナ((プレイヤーが使用できるのは終盤の5シナリオ分だけで、正式加入は第53話と非常に遅い。))にも共通しており、特に第1部でも登場するエステバリス(アキト機)とも改造段階を共有しているため、オーガン同様改造を躊躇うプレイヤーも。さらにこちらは第1部でのアキトのパイロット養成までも引き継ぐため、アキトの養成次第では更に厄介なことになってしまう。

-前述の通り2周以降で『フルメタ』と『SEED』関連の機体購入が可能になるが、『SEED』の一部の機体しか役に立たない。
--お遊び要素&観賞用と割り切るのが正しいのだが「もっと使える機体を増やして欲しい」という意見は多い。量産機が主体のラインナップなので主役機より強くてはまずいが、今までの作品にあったマニアックな隠し機体のように「総合的には弱いが一点特化で強い部分がある」と言うような面白みもない。
--さらに問題なのはSEED系が本格参戦するのが2部からなので、購入した機体を使えるようになるのが一周半ぐらいしてからという事。好きなユニットを思う存分に使えないのはやはり痛い。
---しかも、特定ルートでは『SEED』メンバーと『SEED ASTRAY』メンバーが別行動するのだが、機体も作品別で扱われるのでその間特定人物が機体に困ることになる。もっとも原作の機体を遣えば良いだけだが…。

-2周目以降のお気に入りシステム引き継ぎの改悪。『J』では一度お気に入りに選んだ作品は2周目以降も自動的にお気に入り指定されている(つまり、1周ごとにお気に入りに出来る作品数が追加される)。しかし今作では、毎周新しく選び直し、お気に入りを増やす事が出来ない。4周目になって初めて、全作品が自動的にお気に入りになり、さらに20段階改造と資金・経験値倍率の最大化のボーナスを得られる。
--本作のお気に入り指定は2部開始時に選び直しが発生するため、その関連での設定ミスの可能性もある。

----

**総評
大胆すぎるクロスオーバーやオリジナルキャラクターの成長描写、GBA時代から更に進化を遂げた戦闘演出は好評を博した。~
あくまでSRPGである為、あまりに低い難易度に対しては不満の声も無い訳ではない。しかしこれは裏を返せば「サクサク進める上に、初心者でも好きなユニットで物語を存分に楽しめる」という、スパロボのもう一つの側面である「キャラゲー」としては非常に強力な評価点にもなる。~
またクロスオーバーを重視するあまり、参戦作品の扱いに格差が見られる点も人によっては気になるかもしれないが、すべての作品に見せ場があるため、少なくとも不遇と言える作品は存在しない。~

DSが旧世代機と化した現在でも「模範的・見本的なスパロボ」として人気の高い一作。~
スパロボシリーズの入門作品としても迷う事無くオススメできる。シリーズに興味があるならば、まずこの作品から触れてみてはいかがだろうか。

----
**余談
-本作スタッフロールには、シナリオ担当者として邦仲人、神奈柴太、千住京太郎の3名がクレジットされている。
--千住なる人物は「複数のライターによる共同ペンネームではないか?」と以前より噂されているため割愛する。前者2名だが、好評を博しながらも以降のスパロボに携わっている様子は見られない。

-WOWOWでR15指定となった『フルメタTSR』が参戦しているものの、本作のCERO区分はA(全年齢対象)となっている。
--WOWOWでの同作R15指定の原因は、あまりにグロテスクな表現とハードすぎるストーリーにあった。あまり積極的な原作再現がなされなかったのが、結果的に本作のA区分に繋がったと思われる。

-本作から7年後に発売された『第3次Z時獄篇』において、本作における『フルメタ』に関連したシナリオ上でのクロスオーバーはおろか、全体的な扱いや改変点など、本作の『フルメタ』関連におけるシナリオ展開の多くを(改悪部分まで含めて)流用してしまっている。この為、発売当時は本作を巻き込む形での議論が巻き起こってしまった。
--上記のWOWOWにおけるR15指定といった事情から考えるに、或いは『フルメタTSR』についても『ゴライオン』と同様の、積極的な原作再現をしづらい作品として扱われてしまっているのだろうか?

-オリジナルBGMの一部に盗作疑惑がある。
--盗用元とされる曲は『WarCraft2』の「Orc2」と、『[[オウバードフォース]]』の「決戦」。前者は本作の戦闘マップ用BGM、後者は会話パート用BGMに酷似している。
--どちらも聞き比べればすぐに判るぐらいに一致しているが、この事に対するバンダイナムコゲームスからの言及は無し。
--しかもあろうことか後の『K』でも使用している。
//疑惑だけで問題点にするのはどうかと。

-スパロボ系のネタスレなどでは、今作で出た「''厨二病主人公''」「''ビッグボルフォッグだーっ!''」「''アリアハード''((オリジナルキャラクターの「アリア」が無限復活するステージがあるのだが、このステージでは自軍が超強化されているため、資金・経験値稼ぎのために容易に何度も撃墜されることを指す。))」「''ギブアップせい!''((『ゴライオン』のOP「斗え!ゴライオン」の歌詞の一節なのだが、あまりにも唐突で前後と繋がらないため、謎の歌詞として昔から一部では有名だった。ただ、あくまでOPだけのネタであって本編とは一切関係が無かったのだが、今作で敵の総大将であるダイ・バザール大帝王が突然この台詞を言い放ったため、ネタ度が一気に加速することとなった。なお、「斗え!ゴライオン」は件の「ギブアップせい!」ばかり焦点に当てられるが、かっこいい名曲である。))」等のネタが未だに扱われている。何やかんやで愛されている作品であることの証左であろう。

-『週刊ファミ通』のNo.1218に掲載された『好きなスパロボ作品』のアンケート結果で、88票を獲得し1位の座を獲得した。(2位は『第3次α』の60票)

//-本作は元々評価の高かった作品ではあるが、携帯機スパロボの純粋な次回作となる『K』では史上最低と言われるほどの残念なオリジナルキャラ&シナリオになってしまった為に『K』との比較対象にされ、更に評価を高めてしまっている傾向がある。
-『SEED ASTRAY』に関しては、本作で使用されたオリジナルの台詞が以降のスパロボ以外の作品でも使用されている。
--ASTRAYシリーズを手掛けるときた洸一氏は、ガンダムやコンパチヒーローシリーズの漫画を連載しており、スパロボに関しても造詣が深い。
//本作における台詞について褒めてるわけではないので評価点から移動。