じゃじゃ丸撃魔伝 幻の金魔城

【じゃじゃまるげきまでん まぼろしのきんまじょう】

ジャンル アクションRPG
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対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2メガビット+64キロRAMロムカセット
発売・開発元 ジャレコ
発売日 1990年5月29日
定価 5,900円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 4作目にしてアクションRPGとなったじゃじゃ丸くん
音楽や世界観は良好
雑魚からは基本、逃げるが勝ち
忍者くんシリーズ


概要

忍者じゃじゃ丸くん』シリーズ第4作目。本作は『ゼルダの伝説』のような、画面見下ろし型のアクションRPGとなっている。
各地にいる「守護妖魔」と呼ばれるボスキャラクターを倒し、様々な効果を持つ「霊術」を集めつつ物語の黒幕を倒すのがゲームの大まかな内容となっている。

ストーリー

或夜人里離れた忍びの村に傷ついた1人の侍が辿り着いた。

侍はいくつかの謎の言葉とともに城が怪僧「大妖僧」によって滅ぼされたことを告げた。……一計を案じた長老は光の力を備えた少年忍者「じゃじゃ丸」を呼び、忍びの里秘伝の分銅と仁仏の曼陀羅を手渡し打倒大妖僧を命じた。

じゃじゃ丸は旅の途中大魔獣復活の噂を耳にする。それを食い止めるには8つの霊術を収め「幻の金魔城」へ行き大妖僧を倒すのだと言う、かくして空は荒れ狂い、謎は謎を呼びじゃじゃ丸の旅は暗雲の彼方へと続くのだった……
(※説明書の序章より抜粋)

特徴・システム

  • 画面見下ろし型のフィールドを、じゃじゃ丸を操作して物語を進めていく。マップ画面に表示されている村やダンジョンのシンボルに接触するとその中に入る事ができる。村やダンジョンでは『ゼルダの伝説』のように、1画面分の固定画面の端の方に行くと隣のマップへと切り替わる。
  • じゃじゃ丸は最初は分銅による通常攻撃しか行えないが、各地の守護妖魔を倒す事で、攻撃、回復、補助など様々な効果を持つ霊術を、霊力を消費する事で使う事ができるようになっていく。また万屋で手裏剣や爆烈玉といった他の攻撃手段を購入する事ができる。
  • 敵を倒すとお金を落とす事があるが、『ゼルダの伝説』のハートのような回復アイテムは落とさない。ただし、敵を一定数以上倒すと、じゃじゃ丸の体力が半ゲージ分回復する。
  • 村には店にあたる万屋、体力と霊力を回復できる宿屋といった施設が一通り揃っている。そして妖術師の家に行く事でデータをセーブする事ができる。セーブデータは3つまで作る事が可能。

評価点

  • 和を題材とした世界観。各エリアの雰囲気や、登場人物や敵キャラクターの名前や外見など、和風なもので統一されており、『ゼルダ』とはまた違った趣の作品となっている。また、ギャグ要素などはほとんど無く、物語は終始シリアスな雰囲気で進行していく。
  • グラフィックの質は上々。特にラストダンジョンである「金魔城」は、敵の本拠地らしいおどろおどろしさがよく出ている。また、ラスボスである「大魔獣」は大きなグラフィックを誇り、中々の圧巻である。
  • 様々な霊術の存在。霊術は計9個あり、遠距離攻撃できるものや画面全体にダメージを与えるといった攻撃系のもの、地面に潜って敵の攻撃を無効化したりダンジョンから一瞬で抜け出せるといった補助系のもの、自身の体力を回復するといった回復系のものと、一通り揃っており、多様な立ち回り方や攻略法に貢献している。
    • 武器の方も通常攻撃の分銅だけでなく、遠距離攻撃できる手裏剣や爆弾を放つ爆烈玉など、他の攻撃手段が用意されている。
  • 体力を全回復させる「薬」や、霊力を全回復させる「霊薬」などのアイテムの存在。これらのアイテムは一度使うと量が半分になり、二度使うと無くなる。つまり2回まで体力を全回復させる事ができ、更に中盤から使用できる霊術による体力回復も合わせるとさらに持ちこたえる事が可能。大いに難易度緩和に貢献してくれている。序盤から万屋で購入できるのも嬉しい所。
  • ボスである守護妖魔の種類はラスボスも含めて全9種類と中々の多さ。様々な行動パターンを持っており、それらを攻略していく楽しさがある。
  • ボスと共に、雑魚敵もかなりの種類を誇る。弾を放ってくるもの、分裂したり増殖したりするもの、地面に潜るもの、触れるとダンジョンの外に放り出されてしまうものなど、このタイプのゲームに出てくるような敵は一通り揃っている。
  • 多和田吏氏によるBGM。曲数が多く、ダンジョンのBGMは雰囲気がよく出ている。中でも大妖僧を撃破後、ラスボスである大魔獣の元へと向かう際のBGMは、大魔獣戦でもそのままシームレスに流れ続け、物語のクライマックスを大いに盛り上げてくれる。
  • 各種アイテムや武器を最大数まで購入した際や、同じ装備品を再び購入しようとした際、「それ以上持つ事はできない」と表示され、アイテムの二重購入を防いでくれる。また、体力や霊力が満タンの時、薬や霊薬を使っても無くならない。地味だが細かく作っている。

賛否両論点

  • 最初に入手できる霊術、「土とんの術」が非常に便利な事。地面に潜り無敵状態で移動できるならまだしも、その状態で攻撃する事もできるので、無敵状態で敵を一方的に攻撃する事ができる。更に、消費する霊力は全霊術の中で最低。道中、ボス戦、共に役立つ。
    • ただし、一定時間経つと自動的に地面から出てしまう。また、少ないとはいえ霊力を消費してしまう。これだけでボスをゴリ押しできるという訳ではない。

問題点

  • 本作では敵はハートなどの体力回復アイテムを落とさず、一定数の敵を倒す事によって体力が回復するのだが、その量は体力の半ゲージとかなり少なく、敵を倒している最中にダメージを喰らって、余計に状況が悪化するという事もしばしば。敵も非常に素早かったり、体力が多かったり、遠距離攻撃をしてくるものがいたりと厄介なものが多い、じゃじゃ丸の初期装備である分銅のリーチが短く敵に接近しなければならない、といった事もその一因となっている。
  • 敵がお金を落とす確率はそれほど高くなく、また落とすお金も1~5と少なめなため、お金を稼ぐ際かなり苦労する。前述のように敵からダメージを受けて厳しい状況に陥る事もあるため、「薬などのアイテムを買うために敵を倒す→被弾を重ねて村に戻る→それまで稼いだなけなしのお金が宿代などに消える→繰り返し」といった悪循環に陥る可能性もありうる。
    • 特定のダンジョンは明かりが真っ暗で、アイテムの「油瓶」がなければまともに探索する事さえできないが、油瓶も万屋で売っている有料アイテムで、さらに薬などと同じく2回使えば無くなってしまう。物語中に複数は必要だが、金欠の際や、前述の悪循環に陥っている最中ならば、購入するのは一苦労になってしまう。
    • 物語中盤から購入でき、攻撃力、リーチともに初期装備の分銅からかなり上がる「鬼の分銅」という便利な武器があるのだが、この値段が金300とかなり高い。前述のお金の稼ぎにくさと相まって、購入するのはかなり大変である。
      • 一応、ある程度のお金は宝箱から入手できるので、それを購入費用にあてる事はできる。また、動きが遅く一撃で倒せる「人魂」、耐久力は高いが動きが遅くお金を5落とす「雷獣」といった敵がいるので、それらを倒し続けて購入費用を賄うといった事も可能。
    • 敵が厄介でダメージを受ける可能性がある、敵がお金を落とす確率が高くないといった理由から、本作ではお金稼ぎをする場合を除いて、雑魚敵は土とんの術などを使って基本的に無視するのが有用と思われる。
  • 装備できる武器の一つに爆烈玉というものがあるが、これがほとんど役に立たない。威力は低く、説明書には「広範囲の敵にダメージを与えることができる」とあるが、実際は攻撃判定が狭くそんな事はない。しかも万屋で10個で金60という高額商品である。たとえ残数が無限であったとしても、ほぼ使う事はないだろう。
  • 『ゼルダ』ライクのアクションRPGである本作だが、謎解きと言えるものは孤島の「邪水の砦」で複数の石板を押して道を開く場面、8番目の霊術を入手する際、ロウソクに火をつけるため特定の霊術を使用する場面と、数えるほどしかない。前述の雑魚敵を無視した方が有用なゲーム性と合わさり、ダンジョンの道中を淡々と進み、最奥のボスを倒し、イベントをこなし、そしてまたそれを繰り返す、淡々としたゲーム内容になってしまっている。
    • ロウソクに火をつける場面は、このゲームで唯一の霊術を使って謎解きをする場面である。霊術は9個もあり、なおかつ個性的なものが揃っているので、これらを使用しての謎解きをもっと増やせばゲームとしての奥深さが増したのでは、と思う所である。
  • ダンジョンには宝箱があり、中にはお金やアイテムが入っているが、妙に空箱や「地獄箱」(宝箱に化けているミミックのような敵)が多いため、探索の楽しみを削いでいる。
    • ただし、地獄箱は、画面を切り替えると配置位置が変わり、なおかつ4体1セットで出現する事が多いので、見破るのは容易。
  • ラスボスである大魔獣は、全部で3つの形態があるのだが、最終形態は上下に移動しつつ口からじゃじゃ丸の分身を吐いてくるというもので、横に張り付いて弱点を攻撃していれば容易に撃破でき、非常に弱い。BGMやグラフィックはいい演出をしているのだが、実力の方はついてきていない。
  • ボス登場時など、一部のイベントシーンで画面が激しくフラッシュし、目に非常に悪い。

総評

和風の世界観や各種霊術など、『ゼルダ』とはまた違った印象を受けるであろう本作。事実、BGMやグラフィックは中々のものである。
しかし、肝心のゲーム性は「本家」には及ばないと言えるだろう。かなり乱暴な言い方をすれば、「魔法が使えて謎解きが殆どない『ゼルダ』」と表現できる。
問題点も多いが、この手のタイプのゲームとしては無難に遊べるゲームであるといえる。興味があるのなら手に取ってみるのもいいだろう。


移植

  • Switch/PS4『忍者じゃじゃ丸 コレクション(Switch版2019年12月12日/PS4版2021年5月20日、シティコネクション)
    • 本作を含めたFC版5作品の移植に加え、新作を追加。詳細は該当ページを参照。
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最終更新:2022年10月12日 16:56