将棋最強シリーズ

本項では、スーパーファミコンの『将棋最強』と『将棋最強II 実戦対局編』について解説する。
判定は両者とも「なし」。



将棋最強

【しょうぎさいきょう】

ジャンル 将棋
対応機種 スーパーファミコン
発売元 魔法株式会社
発売日 1995年7月21日
定価 14,800円
周辺機器 スーパーファミコンマウス対応
判定 なし
ポイント 初心者お断り
指定局面
演出・音楽は最強
SA1チップ搭載
棋力は準最強
価格も準最強
三段以下のあなたは勝てない

概要

早指し二段 森田将棋2』から2か月後、最強を名乗る将棋ソフトが発売された。
電源を入れると、Magical COMPANYと出る。10秒以上のBGMも相まって洋ゲーでも入れたかと思うが、その直後には一転、タイトルでは阿修羅が出迎えてくれる。
早指し二段を意識しており、最強と豪語するだけあってSFC将棋でも指折りの棋力や品質を誇る。

特徴

豊富なモード 本作は4つのモードで構成されておりオートセーブにも対応。

  • 将棋最強
    • 平手ではなく「指定局面」から多くの強者と対戦していくというもの。規定の勝利数で次の対戦相手と戦えるようになる。
    • 局面は100以上用意されており道のりは険しい。
+ 8柱の強者に勝つと……

認定状が表示され総合棋力三段を称えてもらえる。平成七年吉日 修羅界将棋連盟

  • 初心、上級、名人
    • こちらは平手の対局だがAIが強いので難しい。初心からして1手30秒を突き付けられる、とはいえ相手も30秒以内に指してくるのでフィフティフィフティと言える。
    • 先手後手は5枚の振り駒で決まるので目押しで止めよう。
  • 盤面設定
    • AIとの対局前に色々と盤面を選べる。二枚落ちなどもあるが、変わり種として「戦形」はあらゆる局面が数通り用意されている。更には自分でカスタマイズも出来るので、極端なハンデを付けるのも可能であり幅広いプレーヤーに対応。手番も好きに選べる。
  • 詰将棋自動解答
    • 詰将棋を解いてもらえる。SFC森田将棋と同様でサンプルもないが、解いている間は経過時間が表示され最後に所要時間も出るので非常に分かり易くなっている。

評価点

特殊チップによる棋力の向上

  • SA1チップ搭載によりSFC将棋としては驚異的な強さを実現。最強とSA1をかけたか。
  • 早指し二段には届かず、棋力は準最強とされている。その代わりに本作独自の要素で猛威を振るって来る。

指定局面

  • 本作で特筆すべきは「指定局面」からの対局である。平手や駒落ちではなく、あらゆる状況から始まるというもの。詰将棋とは違った面白さ難しさがある。
    • 局面も100種類以上用意されており、自玉に詰めろがかかっており振り切れば勝ちという場面も数多く用意。勿論受け間違うと準最強のCPUが確実に詰ませて来る。
  • 上級者視点からの話になるが、CPUの序盤の弱さが課題であり、対CPUでは序盤で優位に立ちCPU得意の終盤力を発揮させずに押し切るのがセオリーで、上級者には物足りなかった。
    • 指定局面により、セオリーを封じ、更には「あらゆる状況から開始する」という本作独自の要素を打ち出しており一石二鳥の仕様と言える。これにより上級者と言えど苦戦は必至である。
  • この手の仕様は珍しく、他作品とは違った付加価値を付けるのに成功している。他のメーカーでも翌年発売された『プロ棋士人生シミュレーション 将棋の花道』でも重要局面で採用されていたりする。

非常に美麗な素材

  • BGMは派手さはないが深みがあり、タイトル画面の曲はずっと聞いていたいほどで作業用BGMとしても良い。
  • 多重スクロールによる奥行きの表現。背景の雲、水面の花は雰囲気を盛り上げてくれる。
  • パッケージデザインは硬派で、裏側も初心者お断り感が全開であり、これのように初心者が軽い気持ちで手を出してしまうという事は無いようになっている。

賛否両論点

  • 弱点がある
    • パックマン戦法である。3四歩に6六歩から1五角の王手から銀桂香を取り馬も作られるという敗勢に陥る。本作でさえこうなのだからSFC将棋のほとんどに通用してしまう。なお、『初段 森田将棋』には効かない。

問題点

  • 通常対局では長考をする。上級、名人では数十分かかるのでオススメしかねる。まあオーバークロックさせる方法でもあるのなら話は別だが。
  • 詰将棋
    • 解答機能は『初段 森田将棋』よりも劣る。例えば、玉方5一玉、攻め方1三~9三歩、持ち駒は香車4枚と角。という11手詰めは28分39秒かかる。
    • 同様にサンプルもなく自前で用意しなくてはならないし、問題によっては解けないものもある。
    • 詰ます過程はなく、いきなり詰み上がりが表示される。

総評

はっきり言って本作は最強ではなく準最強とされている。SA1チップ搭載して棋力をブーストさせたがそれでも『早指し二段 森田将棋』の方が一枚上だった。
しかしながら本作の真価はそこではなく100を超える「指定局面」にあり、本作独自の要素は上級者をも唸らせる仕上がりとなっている。
また、棋力は森田将棋には届かないものの、グラフィック・BGMなどの素材も素晴らしくSFC将棋で最強を名乗って良いだろう。
通常対局や詰将棋解答としては不向きだが、100以上にも及ぶ指定局面からAIと格闘するというのは面白い。2位じゃダメなんでしょうか?とは言わずに腕に覚えがあるプレーヤーは挑戦してみる価値はあるだろう。


将棋最強II 実戦対局編

【しょうぎさいきょうつー じっせんたいきょくへん】

ジャンル 将棋
対応機種 スーパーファミコン
発売元 魔法株式会社
発売日 1996年2月9日
定価 10,800円
周辺機器 スーパーファミコンマウス対応
判定 なし
ポイント 初心者お断り
SA1チップ搭載
我は無敵なり!
三段以下のあなたは勝てない
演出やモードは退化
出題は進化

概要(II)

将棋最強の続編が登場。定価の低下に伴い演出・モードなどは退化したが指定局面からの開始という要素は大幅に強化されている。我は無敵なり!とある通り、難しいと言われるSFC将棋の中でも上位に入る難易度となっている。

特徴(II)

  • 内容
    • 本作には、100以上にわたる指定局面が、三級~三段の6段階のレベルの入門・実戦、合わせて12段階。それを初級、中級、上級で大きく3別されている。
    • 初級は基本手筋から始まり、上級は腕によりをかけた超難問が牙を剥く。何度も試行錯誤で格闘するのが前提で、いい加減に指していると絶対にクリア出来ないものとなっている。
    • クリアするには規定の連勝もしくは、多くの勝利が条件である。
+ 三段実戦までクリアしていくと……
  • 「最強戦」が解禁される
    • なお、サムネは平手となっており選択した後に制限時間とともに局面を突き付けられる。
    • 1問目からして難問である。相手の猛攻を振り切れば勝ちなのだが大駒の対処に常識離れした発想が要求される。17手目で狙いを炸裂させた後も暴れて来るので最後まで気を抜けない。
+ それなどもクリアすると……

認定状が表示され、最強三段を認定される。平成八年吉日 魔法将棋連盟 連盟代表 最強王

評価点(II)

  • 前作からパワーアップした問題
    • 初級は基本手筋から始まり、上級は高難易度を誇る一筋縄ではいかないトリッキーな問題ばかりである。
    • 本作でも相手を務めるのは準最強のCPUであり、製作意図通りに猛威を振るって来る。
      • 詰めろを振りほどく問題もあるが、作意から抜け出せなかったり、その後も暴れて来るので隙を見せると確実に詰ませて来る。ノータイムで指して来たら「お前はもう詰んでいる」で間違いないだろう。
  • グラフィック及びインターフェース
    • タイトル画面ではMODE7による回転効果、「勝敗表」が最初から見れるようになった事など改善。
    • パッケージデザインは硬派なもので、初心者を退けて強豪にアピールしているので分かり易い。

賛否両論点(II)

  • 前作から定価が下がった代わりに、演出やモードは削減
    • 阿修羅も多重スクロールも一切出てこないし、通常対局も詰将棋も一切ない。あるのは指定局面からの開始のみである。
    • こういう事は本作に限らず、翌年97年に発売されたSFC将棋最終作『加藤一二三九段 将棋倶楽部』でも定価が下がった代わりに色々な要素が削減されたりしているなどの方針が見られる。

問題点・劣化点(II)

  • 通常対局などは出来なくなった
    • 価格が安くなった分、削減された部分はある。
  • タイトルを飛ばす事が出来ない。
    • 起動するたびに、実、戦、対、局、編まで20秒近くかかる。のである意味PSよりも待たされると言える。
  • カーソルの位置
    • 12のモードを選んでキャンセルして戻って来た際は、元の場所を指していないのは不便。

総評(II)

色々な演出やモードは前作と退化してしまった。しかしながら、出題局面は良問が揃っており見た目は地味ながらも100以上の局面はボリューム満点。詰将棋とはまた違った面白さがあり腕に覚えがあるプレーヤーは挑んでみるのも面白い。

余談

  • 魔法株式会社の前はホームデータであり、FCでは『スクーン』『コズミックイプシロン』『鉄腕アトム (FC)』『早打ちスーパー囲碁』『ファミコン将棋 竜王戦』などを手掛けたメーカーとしても知られている。
  • 1998年3月19日にはPS版も発売されており、1,500円とお求めやすい価格になっている。
  • 更に同機種で「将棋最強プロに学ぶ」を発売。内藤國雄九段、南芳一九段、神吉宏充六段の3人のプロ棋士による監修が行われている。
  • 昨年度、1994年12月23日は『将棋最強(GB)』も発売されている。
    • こちらはまだ指定局面の概念はなく、普通のCPU対局と2枚落ちまでのハンデを付けての対局になっている。一枚絵が多数用意されており頑張っている。
  • 翌年、1997年10月24日には『将棋最強3』がWindows95専用で発売。
    • 四段以下のあなたは勝てない。とある通り更に強化されているとの事。
    • 神吉宏充六段監修による指定局面100問+αを収録されているので、腕自慢の方々にオススメしたいところであるが、現在は環境を揃えるのがSFC以上に困難なのが残念なところである。

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1995年 SFC 将棋
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最終更新:2022年09月06日 21:46