機動戦士ガンダムUC

【きどうせんしがんだむゆにこーん】

ジャンル ロボットアクション
対応機種 プレイステーション3
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2012年3月8日
レーティング CERO: B(12歳以上対象)
判定 なし
ポイント 同社のACEシリーズの雰囲気を残すガンダムゲー
本編はボリューム少なめ、DLCは多め
ガンダムシリーズ


概要

小説作品『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』、その原作を題材にしたOVAシリーズのepisode3までのゲーム化作品。開発はアーマード・コアシリーズAnother Century's Episodeシリーズでお馴染みフロム・ソフトウェア。
同作初のゲーム化であり、フロム初のガンダムのみを取り扱ったロボゲーである。

ゲームモード

  • メインとなるのはユニコーンモードとカスタムキャストモード。前者はミッションとムービーによる原作追体験。後者は好きなチームを組んで連続ミッションに挑むモードとなる。
  • ユニコーンモードはそのキャラクターの戦いを再現したミッションと、キャラクターの独白であるモノローグムービーの2編で構成されている。
    • 基本的にOVA版episode3までの内容を追体験するのだが、有料DLCを購入すると前日譚「戦後の戦争」や外伝漫画『U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』の第0話といった番外編が追加される。
      • 中には夢の中でタクヤ・イレイの「フルアーマーユニコーンガンダム」が実現し改造プランの説明やMSに対する知識をタクヤが延々と語り続ける 「僕の考えた最強のユニコーン」 というユニークな物も。
  • カスタムキャストモードは指定されたコスト内のチームを組んで連続ミッションに挑みゴールを目指すモード。
    • ミッションはツリー式になっておりミッションの成果によってステージ分岐が起き、たどり着いたゴールに応じてMSやキャラクターの開放、総コストの拡張が行われる。
    • チームは「3機編成のMSとパイロット」「戦艦の艦長1人とクルー3人」「交代要員3機分のMSとパイロット」で構成され、各MSには性能に補正を付与するエンブレムを装着出来る。
      またミッションが終わる度に戦艦搭乗クルーのステータスに応じた「AP(アーマーポイント)」「弾薬」「燃料」の補給が行われ出撃メンバーの交代が出来る。
      ちなみに撃破されてしまった僚機は次のミッションには参加出来ず、ゴール到達かミッション失敗によるリタイアまで復活は出来ない。

ゲームシステム

  • ゲーム中は殆ど浮遊状態。操作方法はR以前のAnother Century's Episode寄り。
    • 攻撃方法はメイン射撃攻撃、格闘攻撃、L1を押しながら各ボタンで機体内蔵武器による攻撃。十字キーの上下で武器の性能切り替えとなる。
      性能切り替えは例えば消費弾数を多くして1発の威力を上げる、マルチロック式に変える、同じ武器に内蔵された違う武器を使う等。
    • 攻撃以外だと×ボタンでスラスター始動と停止、2回押しで任意方向にターン。左スティックを弾いた方向にステップ回避。R1R2で上昇と下降。L3の押し込みで変形やパージ。L2を押している間はシールドガード。ガードしながら格闘でカウンター。
  • 補給システム
    • 一部のガンダムゲー同様、弾数が尽きても自動では回復しない。
      その為、味方戦艦や放置された敵の残骸といった補給ポイントに行く必要があるのだが、本作独自の特徴として撃破した敵の残骸を補給ポイントにする事が可能となっており、その場で弾薬や後述する燃料の回復が出来る。
    • 敵を補給ポイントにする条件は主に「格闘コンボの切り抜けでトドメを刺す」「格闘カウンターで倒す」「頭部バルカン等の弱い攻撃で倒す」の3つになる。
      ただし、補給ポイントと化した敵機はステージ開始時からある残骸とは異なり一定時間で消滅するため、補給ポイント化したら早めに接触する必要がある。
  • 燃料システム
    • 一般的なガンダムゲーの場合、短時間にスラスターを使用した行動を行い過ぎるとオーバーヒートを起こすシステムが多いが、本作は使い過ぎてもオーバーヒートは起きない。
      その代わり「燃料」が消費されていき、燃料が0になると一定時間が経過し回復するまで大幅な行動制限を受ける。また回復量も非常に低くすぐに切れてしまう程。
      その為前述の補給によりある程度の燃料を確保しつつ戦う必要がある。
      • ちなみに主人公機ユニコーンガンダムは、デストロイモード発動中は 燃料を消費しない。 これは原作の描写を再現したものである。
    • 燃料の容量、燃費はカスタマイズで強化可能。またパイロットのステータスにも燃料の消費を抑える数値が存在する。
  • 可変機搭乗
    • 味方に可変機が居る場合かつ自分の機体が一部のMS以外なら搭乗要請が可能であり、味方の可変機の上に乗り移動と攻撃が出来る。
      味方の可変機に乗っている間は自機の燃料を消費しないので、長距離移動において燃料の節約が出来る。

評価点

  • キャラゲーとしては丁寧な出来。
    • ユニコーンモードのモノローグムービーでは「その時そのキャラが何を思っていたのか」を知る事が出来る。
      中にはOVA版ではカットされてしまった心理描写要素がこちらで補完されている物もあるので、OVAを見て物足りないと感じた原作小説読者も楽しめ、このゲームを踏まえてもう一度OVAを見直せば見方が変わってくるかもしれない。
      • 有料DLCではあるものの、 フロンタルに対して凄まじい尊敬っぷりを見せるアンジェロ のムービーは、担当声優の怪演熱演も合わさってある意味必見。
    • カスタムキャストモードでは豊富な掛け合いが用意されており、様々な組み合わせを試したくなるほど。
      OVAではほとんど台詞のなかった一部ブリッジクルーやパイロットも登場しており、本作の方が台詞が多いという者もいる。
      • OVA版episode3までのゲーム化なので、リディがバナージに対して不信感をあまり持っておらず終始親しく接している光景も、後のゲームではあまり見られない貴重な演出と言える。
      • 無料や有料のDLCも含めれば、原作では既に行方不明となっているアムロとシャアや、 episode1で死亡したバナージの同級生 などの脇役も登場する。
    • ちなみにチュートリアルは、幼いバナージが父カーディアスから訓練を受けさせられていたシーンをゲームに落とし込んだ物となっている。
  • 燃料システムによる他のガンダムゲーにない戦略
    • 前述の通り本作には燃料というガンダムのアクションゲームでは珍しいシステムがある。
      燃料が切れれば圧倒的不利に陥る為、「燃料を大きく消費する回避を乱発しない」「撃破した敵を補給ポイントにする為にバルカンや切り抜けでトドメを刺す」「遠い距離を移動する際には味方の可変機に乗せてもらう」といった戦略が求められる。
      ガンダムゲーでは弱くされがちなバルカンもしっかりと戦術的な役割が与えられている。
  • 原作の雰囲気を壊さない良質なゲームオリジナルBGM
    • 本作はOVAで使用されていた楽曲の他にフロム側が作成したオリジナルBGMも含まれているのだが、緊張感や壮大さに溢れたBGMであり上手く原作BGMに溶け込んでいる。
      また原作BGMの中には ゲーム中に流れるローナン・マーセナスの演説が含まれるもの もある。
    • カスタムサウンドトラック機能も搭載しており、BGMを差し替える事が出来る。
      またミッション前には、そのミッションのどのタイミングでどの曲が流れるかの確認も可能。
  • グラフィックや演出も良好
    • 戦艦から放たれる弾幕、近接攻撃を受け溶断されるMS、広い宇宙空間など表現力は高い。流石はフロムと言うべきか。
    • 近接攻撃で溶断されたMSに関しても、他のガンダムゲーとは異なり斜めに斬るモーションならばちゃんと斜めに溶断されるという細かさもある。
    • 鍔迫り合いも存在するが、本作では「格闘武器同士の相殺が発生した後にお互いに一度離れてからもう一度激突する」というダイナミックな演出に仕上がっている。
      また鍔迫り合いに打ち勝った時の一撃で撃破した場合、敵の胴体を両断し残骸が残るようになっている。
      これらの演出は、いずれもOVA版episode1冒頭の戦闘シーンを再現したものである。
    • 前述した武器の性能切り替えは、リゼルやシナンジュなどのビームライフルの場合、原作で「ギロチン・バースト」と呼ばれた照射攻撃となる。
      この撃ち分けを再現したガンダムゲーは数少なく、この点でも貴重と言える。
    • 主人公機ユニコーンガンダムの代名詞とも言える武器「ビームマグナム」もOVA描写を再現し、銃口にエネルギーが溜まってから発射されるという強制的にワンクッション挟む仕様になっており、弾数の少なさや連射力の低さと合わせて圧倒的な火力を誇るが癖の強い武器という原作の特性が再現されている。
      ちなみにユニコーンガンダムがデストロイモードを発動しているとエネルギーを溜める工程が短くなり使い勝手が向上し、発動中は燃料を消費しない事やサイコミュ・ジャックでのカウンターも合わせてユニコーンガンダムの強さが強調されるシステムになっている。
  • 簡易でありつつ幅広い行動が取れる操作システム
    • L1を押しながらの行動やスティック弾きに慣れれば宇宙空間を自在に飛び回りながら戦う事が出来、さながら作中のエースパイロットの気分を味わえる。
    • 全体的な操作感覚はR以前のAnother Century's Episodeシリーズに寄っているので、それらを遊んでいたプレイヤーはとっつきやすい。
    • 前述した操作以外では、作中でシナンジュなどが行っていた「デブリに張り付いて身を隠す」といった細かいアクションも実行可能。
      この操作が要求されるミッションもきちんと存在する。

問題点

  • OVA版episode3までのゲーム化なのでボリュームが少ない
    • あくまでOVA版のゲーム化であるためストーリーの追体験であるユニコーンモードはそこで終わってしまい、それ以降に登場するMSはDLCの「フルアーマーユニコーンガンダム」ぐらいでバンシィなどの重要MSも出ない。
    • ただしこのゲーム発売時点ではMSV(設定上は存在する外伝機体)扱いだった「シルヴァ・バレト」や「EWACジェガン」は後にOVA本編にも登場する事になる。
  • DLCが非常に多い
    • 外伝扱いのMSや本編には登場しないνガンダム&アムロ、サザビー&シャア等が有料DLCとなる。MSだけでも1体税抜500円なので全て買うとそれなりの値段になってしまう。
    • 前日譚や外伝漫画をモチーフにしたミッションが有料DLCなのはともかく、本編のメインキャラを掘り下げたユニコーンモード「アンジェロ編」すらも追加ミッションとセットで有料扱いなのは頂けない。
    • さらにDLCの内、追加MS「デルタガンダム」は初回特典、ユニコーンモード「ダグザ編」はPSストアでのepisode4購入特典、パイロット「クワトロ・バジーナ」は下記の仕様のため、いずれも現在は入手不可能である。
      特にダグザは原作においても非常に人気の高いキャラ故に、掘り下げのあるダグザ編が入手不可なのは悔やまれる。
      • その中には、ガンプラの「HGUC デルタガンダム」の初回生産版に付属するものも存在していた。
        ミッション「vsデルタガンダム」と前述のクワトロが追加されるという内容だが、当のガンプラが金メッキ仕様なために価格4410円(当時)と、単体のDLCとしてはかなり高価な代物である。
      • 前述の通り「デルタガンダム」は入手不可だが、ゲーム中では特定条件を満たすと後継機「デルタプラス」の ゴールドカラー を入手する事が出来る。ぱっと見同じに見えるのでせめて雰囲気だけでも…という事なのだろうか?
    • 一方無料DLCではカスタムキャストモードで使用出来るクルーやパイロット、ユニコーンモード用におけるモノローグムービーを入手出来る…がこちらも数が多いのでダウンロードが大変である。
  • 殆どのステージが宇宙空間なのでバリエーションに欠ける。
    • 何もない宇宙空間で戦うステージが大半なので、自分が何処に居るのか分からなくなる事がある。
      またステージも広めに設定されているので、敵増援部隊が遠くに出現すると移動がややダレてしまう。
      • その一方で、戦車形態に変形出来る小型MS「ロト」は、地面に足が付いてないと変形出来ないという仕様になっている。
        コロニー内通路のステージ以外では、戦艦の上に立っている時くらいしか変形出来ず、ほとんどの場面でその特徴を生かせない。
  • ロックオンシステムがやや不便
    • 敵に対しては1ボタンで近い敵にロックするか外すくらいの事しか出来ない。カスタムキャストモードでは敵機の突破阻止作戦などもあるので重要目標をロック出来ずストレスが溜まる事も。
  • 一部操作について
    • 味方の可変機に同乗申請をするのはL1を押しながらL3押し込みなのに対し、一部MSの武装パージはL3なので味方機に乗ろうとして誤ってパージ…という事が時折起きてしまう。
      • 中でもスタークジェガンは武装パージをすると、OVAの再現として機動力確保の為に「ビームサーベルと頭部バルカン以外の武装を捨ててしまう」ので、思わぬピンチになる事も…。
    • 手持ちの装備は自由に設定できる一方、可変機の変形中の装備は固定となっている。
      おそらく変形中の外見の変化や手持ち装備による違和感を無くすための処置と思われるが、このせいで原作通りにビームライフルなどを装備していても、変形中は一切使用できない。
      • 特にデルタガンダムは、本作では変形中の固定装備を持たない設定になっているため、変形機能が完全な移動用となってしまっている。
  • 手軽に遊べるモードが少ない。
    • ユニコーンモードのミッションはMSとメイン射撃武器の変更こそ出来るがパイロットは固定。
      カスタムキャストモードでは連続でミッションを行うモードの為、特定のミッション1回を好きな組み合わせで…という事は不可能。
    • また完全に1人用なので協力や対戦プレイも出来ない。
  • 参戦MSに関して一部水増しと感じる物が存在している。
    • 同じMSに対して〇〇装備や〇〇仕様といったバリエーションが存在しているのはガンダムゲーではよくある事だが、中には作中の再現とは言え、「起動直後で何も装備していないユニコーンガンダム」「バインダーを損傷したクシャトリヤ」「バズーカを受け頭部装甲が剥がれたシナンジュ」といった 劣化仕様または何も性能が変わらない物 も存在する。
    • カスタムキャストモードで最初に購入出来るユニコーンガンダムもこの劣化仕様 であり、折角高いポイントを払って購入したのにバルカン以外の射撃武器とシールド無しという使い勝手の悪さにガッカリしたプレイヤーも多い。
      • ただしこのユニコーンガンダムに施した強化はDLCのフルアーマーユニコーン以外の同機と共有されるので、幸い改造費は無駄にならない。
        といっても別仕様のユニコーンガンダムは別途購入費が必要になるのだが。

総評

OVA本編の展開自体が中途半端なタイミングでのゲーム化のためボリュームこそ少ないが、R以前のAnother Century's Episodeシリーズの路線を引き継いだ作品の為、ゲーム自体はそれなりの出来。
ユニコーンモード内の各キャラの独白ムービーによりOVA本編をより楽しむにはピッタリのゲームとも言える。
そのためOVA本編が完結し、続編である『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が公開された現在においても、完全版を望む声も少ないながらも存在している。
「あのフロムがガンダムゲーを作るとどうなる?」「OVA版ガンダムUCをもっと深く楽しみたい」そう思ったガンダムファンにはおススメ出来る一作である。


余談

  • 本作の限定版に収録されDLCミッションの元となった小説『戦後の戦争』は、続編の『機動戦士ガンダムNT』の原案である『不死鳥狩り』と合わせて短編集として原作小説第11巻に収録された。
    小説『戦後の戦争』がこのゲームとセットで欲しいという訳でもない場合はこちらを推奨する。
  • フロム・ソフトウェアは後にカードビルダーシリーズの新作『機動戦士ガンダム U.C.カードビルダー』を開発する事になるが、前作の様なロングランヒットとはならず僅か2年でネットワークサービスが終了となった。
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最終更新:2021年11月05日 20:03