本記事では、3DO/SSで発売された通常版、およびその完全版にあたる『コンプリートグラフィックス』(PS)、『ディレクターズカット』(3DO)について解説します(判定はいずれも良作)。
Dの食卓
【でぃーのしょくたく】
Dの食卓 コンプリートグラフィックス
【でぃーのしょくたく こんぷりーとぐらふぃっくす】
Dの食卓 ディレクターズカット
【でぃーのしょくたく でぃれくたーずかっと】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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3DO Interactive Multiplayer(通常版・ディレクターズカット) セガサターン(通常版) PlayStation(コンプリートグラフィックス)
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発売元
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【3DO】三栄書房 【SS/PS】アクレイムジャパン 【3DO完全版】ワープ
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開発元
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ワープ
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発売日
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【3DO通常版】1995年4月1日 【SS】1995年7月28日 【PS】1995年12月1日 【3DO完全版】1996年1月1日
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定価
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8,800円(税別)【3DO通常版】【SS】【PS】 5,980円(税別)【3DO完全版】
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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3DO用審査 E(全年齢)
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廉価版
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【SS】1997年6月20日/2,800円(税別) 【PS】1998年7月9日/2,800円(税別)
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備考
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海外のみPC版あり Steamで海外版のみ配信中
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判定
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良作
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ポイント
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3DOが追い求めた「インタラクティブ」の到達点 時代の寵児・飯野賢治の出世作にして代表作 緻密な映像と演出で引き込むホラーADV
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ワープ作品
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概要
1995年に3DO用ソフトとして発売されたインタラクティブ・ムービー。
当時の3DOはセガサターン・プレイステーションといった対抗機種に押され、下火になり始めていた。
そんな中で発売された本作はヒットを遂げ、日本の3DO市場に活気を取り戻す事に成功する。
同年のうちに対抗機種にも移植されたものの、今なお後期3DOを代表するソフトの1つとして名高く、ゲームソフト大容量化の過渡期を象徴する作品として知られている。
あらすじ
1997年ロサンゼルスの総合病院で大量殺人事件が発生した。
犯人は同病院の病院長リクター・ハリス。今もなお、多数の入院患者を人質に取って病院内に立てこもっているため、手を出すことができない。
そこへ現われる一人の女性、リクターの娘ローラ・ハリス。
変貌した父の謎を突き止めるため、惨劇の舞台である病院に単身乗り込むのだが……
(3DO版パッケージ裏面より)
特徴
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ゲームの目的
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父親の凶行を止めるべく、病院に突入した主人公ローラだったが、ほどなくして異世界に広がる謎の館に放り込まれてしまう。
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ローラ、すなわちプレイヤーの目的は2時間という時間制限の中で館の謎を解き明かし、脱出を図ることである。
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今風に例えるならば「演出がフルプライス相応に作り込まれた脱出ゲーム」と言えるかもしれない。
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2時間を過ぎるとゲームオーバー。ローラは異世界に永久に閉じ込められてしまう。
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残り時間はアイテムの懐中時計からいつでも確認可能。物語は午前3時に幕を開け、午前5時にタイムリミットとなる。
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システムは単純明快で、オーソドックスなADVの形式を取っている。
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FPS視点で3D空間を探索し、様々な場所を決定ボタンで調べる事で情報を収集する。
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LRボタンでアイテムを選択し、使用することが可能。
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マルチエンディングを採用しており、ゲーム内のある行動によってストーリーが分岐する。
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バージョンごとの相違点
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PSで出たコンプリートグラフィックス版、3DOで出たディレクターズカット版はいわゆる完全版に相当する。
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いずれも映像が差し替えられ、クオリティが向上している。
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DISC枚数が1枚増え、追加要素が収録されている。
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3DO版ではエンディング後に特典映像が追加されている。価格も後のSS・PSの廉価版ほどではないものの、多少安くなっている。
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また隠し要素として、3DOは通常版とディレクターズカット版にちょっとした連動要素が隠されている。その隠し方もゲームソフトとしては稀にみるユニークな試みなので、もし自力で見つけ出せればちょっとした自慢になるかもしれない。
評価点
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その映像美と巧みな映画的演出は、当時の多くのプレイヤーを魅了した。
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随所に盛り込まれた工夫と完成された作風は、プレイヤーの心理を掴んで離さんばかりのムードを作り出している。
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当時の3DCGはホラーゲームと相性が良く、独特の無機質さが恐怖心をそそる。
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発売時こそ最新のCGとして評価されていたが、作風とマッチしたグラフィックは"最新"では無くなった20年後も褪せない魅力が秘められている。
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このグラフィックがムードを盛り上げる傍ら、続く物語展開も主人公とプレイヤーが一体となる上で大きな役目を果たす。
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ゲーム序盤、ローラが病院に着くやいなや世界が歪み、謎の屋敷に放り込まれてしまう。しかし一体何が起きているのか説明は一切無く、プレイヤーにとってはただ不安な感情が残る。
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解説は無いため、その不安を解くには自らの手で真相を明かさなければならず、プレイヤーはローラと共に得体の知れない恐怖と向きあっていく事となる。
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そうしてゲームを進めると要所要所で少しずつ真相が明かされていくのだが、これがプレイヤーの好奇心をそそり、世界観へと引き込んでいく。
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映像面はホラー映画の王道を満遍なく押さえた作りで、時折プレイヤーを驚かせるような演出が差し込まれることで緊張感を維持してくれる。
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そのうえ今作は「2時間」というシビアな制限時間が存在し、特に初見プレイだとゴールが全く見えないため、常に気の抜けないスリルがゲーム展開を静かに盛り上げる。
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なおゲーム開始前に見られる、予告編のようなオープニングも雰囲気の盛り上がりに一役買っている。
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こうして作風に呑まれたならば、その先に待っているのはプレイヤーの没入感を削ぎ落とさない工夫の数々である。
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今作はHUDが一切無く、ゲームらしいユーザーインターフェースが徹底的に排除されている。
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まさに映画さながらの雰囲気が作り出されていて、ゲームとして遊んでいる感触を抱きにくい。
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それどころかBGMもほとんど使用されず、まるで館を自分で探索しているかのような気分に浸ることができる。
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文字や台詞の描写を最小限に抑えているのも大きな特長である。
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結果的にプレイヤーは様々な描写に注目して登場人物の感情を汲み取る事になり、自然と物語への注目が深まる。
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ローラの動きは生き生きと表現されていて、不安な状況にありながらも人間味が感じられる。
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探索中のゲーム画面とムービーのCGは質感の差が薄く、違和感が少ない。
賛否両論点
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癖のあるゲームバランス
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「2時間以内にクリアできないとゲームオーバー」というシビアな仕様により、今作は何度もやり直す事を前提とした「死に覚えゲー」の側面が強い。
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ただし時間制限さえ除けばADVとしての難易度は低い部類に入り、極端な形でバランスが取れているとも解釈できる。
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隅から隅まで実行可能なアクションをこなしていけば謎は解け、理不尽な隠し要素はあまり無い。
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ゲームを進めると前にいた場所には戻れなくなる。このため一度に探索できる範囲は小刻みに設定されていて、解決の糸口を見失い辛くなっている。
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それでいてゲーム中はコンパクトを使って一定回数ヒントを見る事ができ、うっかりした見落としで詰む危険も避けられる。そのうえADVが得意な人であれば、このコンパクトを使わずに初見クリアするのも難しくない。
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歩行速度がかなり遅い。
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制限時間のあるシステムと噛み合っておらず、この点でストレスを訴える声は少なくない。
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しかしこの静けさがムードを維持しているのも確かで、「映画的演出の一環」として肯定的に捉える意見もある。
問題点
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セーブ不可
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2時間ぶっ通しで遊ばなければならないシステムに関しては「遊び辛い」という批判が少なくない。
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ゲーム終盤はある選択1つでバッドエンドに直行し、最初からやり直しになってしまう極端な場面もある(ただしゲーム内の人物の言動や、不自然なアイテム描写から推測は可能)。
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3DO版説明書によると、飯野氏は今作を遊ぶ上で「物語性」を重視しており、セーブとロードを駆使してエンディング分岐を消化するプレイを嫌っているとのこと。
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ちなみに限定的ではあるがセーブ手段も存在する。DISC入れ替え時はデータを一時的に保存領域(3DOとSSは本体内蔵のセーブ機能、PSはメモリーカード)に確保しているため、時間をおいて交換後のディスクを本体に挿入すれば続きから遊ぶことが可能である(ただしこのデータは再開後すみやかに削除される)。
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ディスク交換前にこのセーブデータをメモリーユニット(3DO)、パワーメモリー(SS)、別のメモリーカード(PS)にコピーして保存しておけば何時でもセーブポイントから再開可能となる。
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今作のプレイ時間は1周2時間程度にもかかわらず、上手く進めれば初見でベストエンドを引き当てる事も可能である。そうなると値段に対して低ボリュームなゲームソフトとなってしまい、プレイヤーによっては大きく損をする。
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ただし何度もやり直しを余儀なくされた場合はADV一本のボリュームとしては十分に遊べる。この問題点はプレイヤースキルや運も関わる要素と言える。
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様々なゲームを遊び慣れている当時の雑誌レビュアーからは、ボリュームについていくつかの否定意見が寄せられていた。
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ヒント機能であるコンパクトの説明がゲーム中に一切無く、ゲーム開始時に何も知らず使ってしまう事故が起きやすい。
総評
ゲーム性自体は極めてオーソドックスな一方、映像面の進化を取り入れたことで斬新な作風に仕上がり、当時の業界で大きな反響を獲得した。
ハード進化の過渡期にヒットした本作は時代のニーズを余す事なく映した作品とも言い換えられ、その作風は映像技術が進化した今であっても換えられない魅力が詰まっている。
かつて次世代機が見た美しい夢に惹かれた人、時代に名を刻んだホラー映像に恐怖してみたい人は、是非ローラとともに館へ突入し、「D」の謎を解き明かしてみてほしい。
余談
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雑誌広告はちょっと不気味なローラの顔をドアップにした見開きのもので、大きく目を惹くデザインに仕上がっている。
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こうしたプロモーションのインパクトの強さも、今作がヒットした一因と見られる。
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この画像はセガサターン版パッケージにも採用された。
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発売前、飯野氏はレーティング審査用にROMの中身を入れ替えるというとんでもない事を行なっていた(ソース:「ゲーム Super 27 years life」)。
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まだレーティング審査の歴史が浅かったせいか大騒ぎにはならなかったものの、今なら確実に炎上案件(というか当時でも十分アウト)である。
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今作のレーティングは「E 一般向」となっているが、実際は2023年現在の基準でCERO:D(17歳以上対象)相当の描写もあるため、これから遊ぶプレイヤーは要注意。
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女性誌でも積極的に広告を打った事もあり、今作は女性ファンの比率が比較的高かったらしい。
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3DOマガジンは今作がきっかけで、徳間書店の他ハード雑誌より女性の読者が多かったとされる(他は2〜4%だったのが3DOだけ10%)。
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この影響か、雑誌後期は女性ユーザーに向けた専用コーナーも常設するようになった。
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元々は1月発売だったが、4月に延期された。
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延期が決定した後、飯野氏は3DOマガジンの広告スペースを丸々1ページを使ってお詫び文を掲載した。
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目を惹く広告や「クオリティアップのための延期」という文面は逆に注目を集めたのか、結果的に今作は期待度を高め、「3DOマガジン」の「欲しいゲーム」ランキングで長期に渡り上位を記録した(5月増刊号より)。
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延期の大きな理由は、当初ディスク1枚で終わらせる予定だったのが2枚に増えたためとのこと。
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「値段は当初の予定から据え置き」ということもアピールされた。
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3DOマガジンの編集部からは値上げを提案されたが、飯野氏は拒絶し、同じ値段での発売に至ったという。
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海外のみMS-DOS版も発売されている。
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ちなみに、海外版タイトルは『D』というたった1文字のシンプルなタイトルである。
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現在はSteamでも配信されているため、英語が聞きとれるユーザーならこちらを購入するのも手である。
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当初は3DOの後継機「M2」で『Dの食卓2』が出る構想があったが、ハードそのものが立ち消えとなったため企画が流れた。
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こちらは代わりにドリームキャストで発売されているが、当初予告されたものとは全く別の内容になっている。
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ゲーム内容は雪山を舞台にクリーチャーと銃撃戦を繰り広げるアクションシューティングであり、1作目とはまるで別物である。他にも「電波」と称されるシナリオを始めとしたアクの強い要素が賛否を分けている。
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3DOの貴重なキラータイトルでありながら間をおかず他機種に移植されてしまったため、やはり当時の3DOユーザーからは惜しむ空気があったらしい。
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同社作品『フロポンワールド(仮称)』のとある広告では、他機種移植の件が自虐ネタにされていた。
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『ディレクターズカット』が発売された際、3DOマガジンでは「おかえりローラ!」という煽り文句で大々的に迎えられた。
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このため『Dの食卓2』がM2専売となるのは3DOユーザーにとって朗報となっていた。
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PS版は出荷本数を巡ってソニーと飯野氏の間にちょっとしたいざこざがあり、結果として飯野氏はとんでもない行動へ出る事に……詳しくは『エネミー・ゼロ』の記事を参照。
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生みの親である飯野氏は今作のヒットを機に発言力を強め、雑誌コラムなどで大きく露出を増やしていった。
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歯に衣着せぬ物言いは熱烈な支持者を獲得した一方、過激な発言や行動で何かと物議をかもす事も多かった。
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それでいて手がけるゲーム作品は『SHORT WARP』『エネミー・ゼロ』『リアルサウンド ~風のリグレット~』といった突き放した作品が多く、よく言えばカリスマ性溢れるクリエイター、悪く言えばただのビッグマウスとして賛否両論の評価を受けていた。
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2000年代頃にはゲーム業界から距離を置き、様々な事業に意欲的に取り組んでいたが、2013年に心不全で死去。42歳という若さでこの世を去った。
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氏に対して肯定的だった者からも否定的だった者からも、彼が1990年代のゲーム業界に残した逸話の数々は印象的な思い出として語り継がれている。
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ゲーム冒頭のツッコミ所として、「殺人鬼が立てこもっているにもかかわらず、なぜ病院に侵入するローラを誰も止めないのか」というのがある。
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実はこのシーン、ゲーム本編での説明こそ省略されているものの、過去に作られたPVを見るときちんと説明がつくようになっている。
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問題のPVはワープの処女作『宇宙生物フロポン君』に収録されている。
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これはゲーム本編の直前の様子を描いているのだが、警察はきちんと病院周りの警備を行なっている。
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そのシーンの直後には、車に乗ったローラがヘリコプターの追跡を振り切ってどこかに向かうシーンが描かれている。
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この映像から察するに「警備は行われていたが、何らかの形でローラが振り切って侵入した」というのが冒頭シーンの真相と思われる。
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主人公の「ローラ」の名前は『エネミー・ゼロ』『Dの食卓2』に受け継がれ、本作と合わせて「ローラ三部作」と呼ばれる。
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無論、各作品のローラはいずれも別人であり、姓も異なったものが付けられている。
その後の展開
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アメリカのゲーム販売企業Limited Run Gamesが本作の販売権を取得して3DO版とPC版を2023年予定に販売すると表明した。
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発表によれば海外版と日本版を両方収録したものをリリースするため
動作する本体を持っていれば日本でも遊べると思われる。
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Limited Run Gamesは「ゲームは実物の媒体に収録してこそ」という信念でゲームの権利を得てカートリッジやディスク版を販売する企業で(そのため前述のWin版もUSBメモリで販売予定)、どんなに需要があっても過去に販売したソフトを同一の形態では再販しないことを明言しており、おそらくマニア向けのグッズとしての販売だろうか。
最終更新:2023年02月09日 22:53