リターン・オブ・ダブルドラゴン

【りたーんおぶだぶるどらごん】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
発売元・開発元 テクノスジャパン
発売日 1992年10月16日
定価 8,600円(税別)
プレイ人数 1~2人(同時プレイ可)
判定 なし
ポイント 初代を意識したダブルドラゴンの復活作
シリーズ一硬派な作り
大幅に簡素になった演出、ストーリー
ダブルドラゴンシリーズ

概要

テクノスジャパンのSFC初進出作で、ダブルドラゴンシリーズのスーパーファミコン唯一の作品。
アーケード版『ダブルドラゴン』と同様のストーリーで、さらわれたマリアンを救出すべくビリー、ジミーの双子の兄弟が「シャドーウォリアーズ*1」へ殴りこむ。

特徴

  • ステージクリア式の伝統的なベルトスクロールアクション。二人同時プレイが可能で、プレイヤー同士で攻撃が当たるかどうかも変更できる。
  • コンティニューはクレジット制となり、ゲームオーバーになっても5回(変更可能)までコンティニューが許されている。クレジットが残っていれば消費して2Pの途中参加も可能。
  • 敵キャラクターはウィリアムス、ローパーとプレイヤーのコンパチのジェフを除いて刷新され、敵組織のボスもウイリーではなく本作オリジナルのデュークになっている。
    • ストーリーこそ初代と同様ではあるがリメイク作品ではなく、あらゆるものが刷新された完全新作となる。
  • 新たな要素として、気力ゲージが追加。ボタンを押しつづける事でチャージすることが出来、最大まで溜まるとパワーアップ状態になり、あらゆる攻撃で一撃でダウンが取れるようになる。
    • チャージ中に攻撃する事でも格闘アクションの強化やシリーズの伝統技となる「旋風脚(龍尾嵐風脚)」を繰り出すことが出来る。
    • 気力ゲージは特に制限なくチャージする事が可能だが、攻撃をする、武器を持つ、ジャンプする、攻撃を受ける等で失われる。
  • アクションにガードが追加。弱い敵(ウイリアムス、ローパー)ならばパンチをガードする事で腕を掴む事が出来、そこから反撃する事も出来る。

評価点

  • 原点回帰
    • II』以降、ユーザー間で賛否両論となっていたオカルトじみた世界観では無くなっており、初代と同様のストリートファイトに回帰している。
      • 敵もマーシャルアーツ使いのスティーブ、元ボクサーのジャクソン、中国拳法使いのチェン兄弟といった様々な格闘技の使い手が主となる。
    • BGMも初代を担当した山根一央氏によるもの。伝統となる「ダブルドラゴンのテーマ」も非常にかっこいいアレンジで収録されている。
      • 新曲も哀愁漂うステージ2や最終決戦の中で疾走感にあふれるステージ7など質の高い物が揃っている。
      • ステージ5はスラム街となるが、同じくスラム街である初代のステージ1のBGMが使用されるといったファンサービスもある。
  • コンシューマー版の制限の緩和
    • それまでのシリーズのコンシューマー版では敵のやられ声がないので倒し時が判断しづらかったり、武器を所持していた敵を倒すと、理由なく所持している武器が消えるといった制限があったが、
      本作ではマップの切り替わりによる武器の消去以外の制限は無く*2、アーケード版シリーズに近い感覚で遊べる。
  • バランスや操作感は良好
    • シリーズを通して問題点となりやすかった敵の理不尽な超反応や、プレイヤー側の強すぎる技が無くなり、ゲームバランスは良好。
      • シリーズの中では簡単な部類に入るが、ヌル過ぎず適度なバランスになっている。難易度は三段階用意されており、「HARD」にすれば敵のガードが固くなり、こちらの動きにも素早く反応するようになるのでやり応えもある。
    • 武器のヌンチャクは拾えば全ての敵を完封出来るほどに強いが、次のマップに持ち越せないのでバランスブレイカーとはなりえない。
      • むしろ厄介な敵を一方的に倒せるので爽快感の向上に繋がっている。
    • 多くの敵はボタン連打のごり押しをすると途端に間合いを離して回避したり、ガードを警戒して攻撃のタイミングをずらしてくるといった人間味を感じる動きをしてくるので伝統となる間合いの読み合いも健在。
    • 敵によって通用しやすい技が細かく設定されており、攻略法を解いていく楽しみがある。
      • 敵の拳法家であるチェンにキックをすると高確率で足を掴まれて投げ返されるといった事もあるので様々な技を試していく必要がある。
    • 新たに追加されたガードの性能も良好。ダメージを無効化するだけではなく、敵のパンチを掴み返して逆にボコボコにしたり、背後に構えている敵に投げつけて怯ませるといった反撃の手口にも使える。
      • 一部のボスの攻撃も間合い次第では掴むことが出来る。使いこなせるようになると達人のように次々に敵を翻弄出来る。
    • 格闘アクションの質が大幅に向上。細かい技が多数追加され、様々な戦い方が出来るようになった。
      • 新規追加された気力ゲージは少しでも溜まっていれば攻撃アクションが変化する為、実質的に強パンチ(キック)が追加されたものとイメージすれば良く、アクションの性能も高いのでゲーム性に深みが増している。移動しながら溜める事も出来るので敵との間合いを取りながら強化状態に持って行き反撃の隙をうかがう事も出来る。
      • アクションのグラフィックの質も向上、流れるようなコンボや回し蹴り、食らった敵のリアクションも回転しながら吹き飛ぶ等のバリエーションが増えており、敵を殴る爽快感は本作でも健在。
  • 効果音も良好
    • 殴打音やフィニッシュ音が爽快であることに加え、ボイスも発するために攻撃の爽快感は高め。

問題点

  • 味気なくなりすぎた演出面
    • 本作最大の問題点。ボスシーンやステージクリア、イベントシーンといった演出が悉くカットされており、敵を全滅させたらクリアジングルすら鳴らずに次のステージへ移行する。
      • 各ステージにボスキャラクターとなる敵は出現しているのだが、「ボス戦のBGMがない」「他の雑魚と紛れて出てくる」「次のステージでは通常の雑魚キャラクターとして登場」といった要素からボスキャラクターと認識されにくい。
      • それまでのシリーズではボスキャラクターを倒せば残った雑魚は一斉に退散していたが、本作では全滅させるまでクリアにならない。それどころかボスが倒れた後に登場する雑魚すらいる。
    • イベントシーンが一切なく、初代にすらあったマリアンがさらわれるシーンもバッサリとカットされており、ゲーム中にストーリーが全く説明されない。
      大まかに「転戦して敵のアジトに移行する」といういつもの展開が繰り広げられるだけとなっている。
      + エンディングのネタバレ
    • 最終ステージをクリアしたらスタッフロールだけ流れて終了という潔さである。
      • 結果、ヒロインのマリアンは本編では姿はおろか名前すら出ず、雑魚敵の女キャラクターであるリンダも登場しないため、男しかいないというシリーズ一硬派な作品になってしまった。
  • ステージ内の演出もイマイチ
    • 上昇するエレベーターの中で戦うシーンもあるのだが、プレイヤーが乗るエレベーターに向かって敵がガラスを蹴破らずに何故か、最初から割れているガラスの跡から飛び乗ってくるという何ともしまらない演出になってしまっている。
  • 回復ポイントやスコアエクステンドがない
    • 体力の回復はステージをクリアした時のみ。シーンの切り替わりによる体力回復や回復アイテムの類もないため、消耗してしまうと回復させる手段が非常に限られる。
    • ただし、有限ではあるもののコンティニューが可能な事や、一撃死ポイントはごくわずかで体力を一気に奪うようなトラップもないので、コンティニュー不可のFC版『I』や、後半に1回しかできないFC版『III』に比べると遥かにプレイしやすい。
      • 海外版ではナイフは最大ライフの半分、爆弾の爆発では即死と非常にダメージが上げられており、難易度が激増している。
  • 即死トラップが少ない
    • 敵を落とし穴に放り込む、即死するトラップを避けるといった要素はステージ4と6にわずかにみられるのみでほぼカット。
      ひたすら平坦なマップで敵を殴るだけとなり、変化が乏しくなっている。
      • ステージ7では周囲に壁がないエレベーターや、針だらけの壁が存在するもののいずれも見えない壁で阻まれており、ただの壁と何ら変わりない。
      • しぶとい敵を即死トラップにハメるといったことが出来なくなったのでプレイの間延びに繋がるようになってしまった。
  • 一部のアクションがもっさりしている
    • III』に存在したダッシュが削除されたので移動がもっさりしており、移動速度も遅い。
    • ダウン時のバウンドが妙にもっさりしているので連続でダウンさせられるとストレスが溜まる。
  • 演出の総カットにより、テンポは良いものの1時間弱でクリア可能な上に難易度もシリーズの中では低めなのでボリュームが乏しい。

総評

タイトル名の通りに初代を意識したつくりとなっており、久々に純粋に殴り合う硬派なベルトスクロールアクションとして帰ってきた作品である。
加えてスーパーファミコンとしてグラフィックもサウンドもパワーアップしており、ゲームバランスの面でも優れているのだが、それを打ち消すほどに演出が劣化しており、加えて仕掛けの単調さやボリュームの面でも満足いく作品とは言い難い。
シリーズ未経験者には地味なアクションゲームに映りやすいという惜しい作品である。

余談

  • 様々な理由で開発期間が短縮された為にあらゆる要素がカットされてしまい、結果として演出が非常に簡素になったらしい。
    • イベントシーンのキャラクターの顔やテキストのグラフィックがROM上に残っている。
    • 使用されなかったBGMが一部サウンドテストに残っており、オプション画面から聴くことが出来る。
    • 没データに関する詳細はこちらのサイトで公開されている。
  • 説明書では本作のマリアンは婦人警官(麻薬捜査官)であり、麻薬密売組織であるシャドーウォリアーズの調査をしに行って捕まってしまった旨が語られている。
    • この設定がアメリカで放映されたアニメ版『ダブルドラゴン』の設定に類似する為、大っぴらに登場できなくなったと推測される。
  • 本作のプランナーの海老沼氏としても演出の総カットは不本意であったため、氏が後に担当する『ダブルドラゴン アドバンス』では何を措いてもストーリーをゲーム中に語る事を最優先したという。
    • 『ダブルドラゴン アドバンス』でも容量の少なさによる要素やBGMの削減が行われたものの、しっかりとしたステージ間演出が用意され、本作の無念を晴らした形となっている。
      ゲーム内容も本作を含めたシリーズの集大成となり、シリーズ最高傑作と称されるほどの完成度を誇っている。
  • 『ダブルドラゴン アドバンス』には随所に本作のオマージュがあり、本作の中華街やトラックの上での戦闘ステージをベースにしたステージが登場する。
  • 本作のラスボスのデュークはNEOGEO版の格ゲー『ダブルドラゴン』の中ボスに*3、1面ボスのスティーブは『ダブルドラゴン アドバンス』に再登場している。
  • 海外では『SuperDoubleDragon』として発売しており、難易度の激化やステージの一部カット、BGMの割り当ての変更、
    簡易的にだがテキストのみのエンディング*4が存在するといった違いがある。
    • 2018年に日本版の仕様で互換機で動作する『Return of Double Dragon』のSNES版が発売された。

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  • ダブルドラゴン

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最終更新:2022年11月02日 13:42

*1 厳密には「ダブルドラゴン」の敵組織の名称は「ブラックウォリアーズ」だが、差別的な意味合いを含むので改称されたとみられる。本作の後継作の『ダブルドラゴンアドバンス』でも同様に改称されている。

*2 AC版「I」でもステージ切り替わりの際に手持ちの武器を落とすので実質同じ

*3 ただし、NEOGEO版『ダブルドラゴン』はキャラクターデザインが全面的に異なり、同名の別人としか言えなくなっている。これについてはデュークだけでなく、主人公のビリーとジミー、ヒロインのマリアン、敵キャラクターから抜擢されたアボボとブルノフも同様に大きく変わっている。

*4 デュークとシャドーウォリアーズが町から消えた後、兄弟も姿を消し、ダブルドラゴンとして伝説となった…というもの。結局マリアンは名前すら出てこない。