ホーンテッド・ガールズ
【ほーんてっど がーるず】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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Windows(Steam) Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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わくわくゲームズ
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開発元
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ZephyrStudio ひとりサークル「匙投げ部」
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配信開始日
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【PC】2022年9月26日 【Switch】2023年2月16日
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定価
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【PC】550円(税込) 【Switch】880円(税込)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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5箇所・任意セーブ方式
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レーティング
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IARC:7+
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判定
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クソゲー
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ポイント
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アンデッドヒロインとの学園生活を描いた恋愛アドベンチャー 学園ものとしても恋愛ものとしても中途半端 全体的に描写不足で薄っぺらい
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概要
萌えゲーの割合が多いパブリッシャーである、わくわくゲームズ発売のダウンロード専売ソフト。ジャンルはオーソドックスな短編テキストアドベンチャー。
いわゆるモンスター娘系との学園恋愛もので、3人のヒロインが攻略対象のマルチエンディング形式。エンディングは6種類(3キャラ×2種類)。
ホラー性はそこまで高くはないものの、シナリオ終盤では猟奇的なシーンが含まれる。また一部の会話テキストにボイス演出も発生する。
ストーリー・登場人物
ネクロマンサー見習いの主人公がアンデッドの研究のために人間保護区へと侵入するも迷ってしまうが、そこに偶然出会った「3人の女性アンデッド」に助けられる。
彼女たちの案内で魔族学校の留年生として迎えられ、彼女たちとの学園生活を送る事になる。しかし彼女たちには主人公の知らない裏の顔を持ち合わせており…。
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登場人物
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主人公(デフォルト名なし:名称設定必須)
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本作の主人公。気弱な性格の男性人間で、ネクロマンサーの見習いでもある。3人の女性アンデッドとの出会いを機に魔族学校の留年生として学園生活を送る。
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フローレン(イメージカラー:赤)
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ヴァンパイアの女性アンデッド。プライドが非常に高く、父親の教えから主人公含む人間を下等生物と見下す。しかし主人公に対して好意的な興味も抱いている。
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メイ・クイ(イメージカラー:青)
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キョンシーの女性アンデッド。底抜けに明るい性格のドジっ娘で、主人公になついている。人間の両親に育てられたため、人間に対する愛情が異様なまでに強い。
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アミティエ(イメージカラー:緑)
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ゾンビの女性アンデッド。おっとりと包容力のある性格。主人公に対しては好意的ながらも、何を考えているのか分からない不気味な一面も見せる。
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ゲームルール
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一般的なテキストアドベンチャーと同様のスタイルでゲームを行う。初めからプレイする度に主人公の名称設定を求められる。Switch版は本体のタッチ操作に非対応。
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1プレイにつき3択のメイン選択肢が3回あり、選択肢によって対応したヒロインの対話シーンが発生。選択肢はイメージカラーと同様の色分けがされ、攻略の目安となる。
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メイン選択肢の後には2択のサブ選択肢も発生するが、ヒロインとの会話が多少変化するだけで、その後の展開に影響を及ぼす事はない。
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メイン選択肢を最も多く選んだイメージカラーのヒロインルートが確定し、その後の最後の2択選択肢によってグッドかバッドのエンディングに分岐する。
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バックログやメッセージスキップは可能だが、朗読スキップには非対応。またエンディングリストやイベントイラストの鑑賞等も非搭載。
問題点
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学園・恋愛ものとしての中途半端さ
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「女性アンデッド3人との学園恋愛もの」という設定の本作だが、まず学園生活の設定がろくに描かれていない。
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学園生活をしている割には先生などの学園関係者は作中で一切登場せず、主人公とヒロイン3人以外の生徒も全く姿を見せない。
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それどころかヒロイン3人が全員対面するのはシナリオ序盤のみで、それ以降は主人公と対話中のヒロイン以外は誰一人として絡んでこない。
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さらにいえば学園ならではの特殊イベントもなく、主人公と対話ヒロインとのやり取りがエンディングまで続くという、清々しいまでの学園設定の無視っぷり。
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メイン選択肢後のヒロインとの対話シーンも軽いやり取り程度の描写しかなく、そこから不自然な位に重たい恋愛劇が唐突に起きる。
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3回目の対話シーンを終えた時点でも、ヒロインが主人公に恋愛感情を抱いているような素振は薄いのに、そこから「実は大好きだった」という展開に続く。
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ましてやメイン選択肢をバラバラに選ぶと、対話するヒロインが分散されてしまい、同じヒロインと1~2回対話しただけで重たい恋愛劇という超展開と化す。
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「お互いの付き合いの積み重ねで恋愛感情が濃厚になる」のが恋愛の自然な流れであって、たった1~3回の軽いやり取りだけで発展するのは無理がある。
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短編作品という事もあり大掛かりなものは描けないという事情があるにしろ、学園恋愛ものとして描くべきものがあまりにも足りない。
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作中設定の描写不足さ
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学園恋愛ものとしてだけでなく、シナリオに関する基本設定も作中でほとんど描かれていない。
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「人間保護区とは何か」「主人公はどうしてネクロマンサーを目指すのか」「なぜ主人公を魔族学校に迎えたのか」という設定が大して掘り下げられず。
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シナリオ終盤になると先述の設定そっちのけで、ヒロインとの重たい恋愛劇に発展するため、「そもそもその設定は必要なのか?」という疑問が沸く。
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「人間とアンデッドヒロインとの恋愛劇」としても設定も弱く、アンデッドならではの事情もあるにはあるが、アンデッドにこだわる程の魅力はいまいち薄い。
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蛇足なボイス演出
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部分的に入るボイス演出は導入する必要性が薄く、ただの蛇足な演出にしか聞こえない。
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キャストの演技力自体は悪くないが、「わざわざ導入する必要性はあるのか?」というインパクトに欠けるボイス演出で、その存在意義を感じにくい。
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一部分で急にボイスが入るため、会話をテンポ良く進めると「意図せずにボイスを飛ばしていた」という現象が多発しやすい。
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システム周りがかなり不便
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今時あって当たり前なエンディングリストやイベントイラスト鑑賞の各機能がない。どれ程のエンディングを迎え、イベントに到達したのかの確認ができない。
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メッセージスキップは可能だが既読スキップができない。スキップをONにしていると、選択肢後の既読・未読に関係なく容赦なくスキップがかかる。
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繰り返しプレイ前提な内容にもかかわらず、ゲームを始める度に主人公の名称設定をしなければならない。対処法は最初のメイン選択肢の前でセーブする事。
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その他にも「スタッフロールが飛ばせない」「Switch版の本体タッチ操作に非対応」「ボイスと効果音との音量設定が別々にできない」などの問題もある。
評価点
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ヒロインが個性的で可愛らしい
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シナリオの飛び飛びな描写不足感はともかく、3人のアンデッドヒロインは個性的かつ可愛らしく描かれている。
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「ツンデレヴァンパイア」「懐っこいキョンシー」「無感情系ゾンビ」といった王道な萌え属性のヒロインが揃っており、キャラの被りは全くない。
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各ヒロインは主人公に対してメンヘラ・ヤンデレ的な感情を抱いており、バッドエンディングでは負の方向でその感情が暴走した悲惨な末路を迎える。
一方でグッドエンディングは綺麗な終わり方で締められ、グッドとバッドの明暗がはっきりと分かれたエンディングが3キャラごとに鑑賞できる。
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ヒロインのグラフィックは可愛らしい絵柄で、外観上でのクオリティは割と高い部類に属する。
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シーンによって表情が変化する立ち絵のほかに、要所においては各キャラ専用のイベントイラストがエンディング別で用意されている。
総評
舞台設定やヒロインキャラの個性に光る一面はあるが、いかんせん描くべきものが圧倒的に足りていないという薄っぺらいシナリオがかなり問題な一作。
短編とはいえ描くべき描写はきちんと押さえないとプレイヤーは納得しない訳で、その「押さえるポイント」が欠如している本作の評価は悪いといわざるを得ない。
最終更新:2023年08月10日 21:36