日本主義パーツ1

※西暦2000年代に入って漸く、戦後長く無視されてきた「昭和期の日本主義」に関する実証的な研究が本格化しました。
日本主義的教養の時代―大学批判の古層
竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊

内容(「BOOK」データベースより)
戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。

目次
第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌
第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜
第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏
第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後
第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会
第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論
第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡

★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。
日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜
井上 義和 (著) 2008.6刊

内容(「BOOK」データベースより)
国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。

目次
第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析
第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に
第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃
第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜
第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立
第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立
第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動
第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判
第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性

★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著
丸山眞男と平泉澄 昭和期日本の政治主義
植村 和秀 (著) 2004.10刊

内容(「MARC」データベースより)
理性の民主派=丸山と、東大国史の歴史神学者=平泉。ともにマイネッケに感銘を受け、危機の時代に対峙した両者の思惟様式に論理的な共通性を見出し、戦前・戦後を貫通する日本ナショナリズムを再定位する。

目次
第1章 政論記者丸山眞男
第2章 歴史神学者平泉澄
第3章 正統の争い―平泉澄と丸山眞男
第4章 平泉澄における忠誠と反逆
第5章 丸山眞男にとっての忠誠と反逆
第6章 昭和期日本の政治主義

★昭和期日本主義を代表する歴史神学者・平泉澄と戦後民主主義の旗手・丸山眞男、昭和史を貫く両者の思想対立を鋭く分析した名著。
「日本」への問いをめぐる闘争―京都学派と原理日本社
植村 和秀 (著) 2007.12刊

内容(「BOOK」データベースより)
日本の危機を超克するための哲学は可能か。新世界秩序の創造を目指す、西田幾多郎ら京都学派。それを執拗に否定する、蓑田胸喜ら原理日本社。激しい思想戦から描き出す、斬新な近代日本思想史。

目次
第1章 西田幾多郎の哲学的挑戦―自己からの創造(西田幾多郎の「論理」、国家理由の問題―マイネッケへの苛立ち ほか)
第2章 京都学派の世界史的挑戦―近代の超克(ヨーロッパ中心主義からの跳躍―鈴木成高、近代国家との訣別―西谷啓治 ほか)
第3章 蓑田胸喜の西田幾多郎批判―禁忌としての日本(蓑田胸喜の執念、偶像を刻んではならない―カントとマルクスの「共通宿命」 ほか)
第4章 蓑田胸喜の天皇機関説批判―原理日本社の公論(自我意識の極大化と絶対への欲求、「コトノハノミチ」という論理 ほか)
第5章 京都学派対原理日本社―日本をめぐる闘争(絶対的なるものへの欲求、自己の責務 ほか)

★東西文明の総合(止揚)としての「近代の超克」を説く西田幾多郎ら京都学派と、それを押しとどめ、あくまで日本の独自性に拘る蓑田胸喜ら原理日本社を対比して戦前・戦中期日本のもう一つの思想的可能性を描く。上3冊を読んだあとの+αとして。

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最終更新:2019年12月22日 13:48
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