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投稿日:2010/04/01(木) 05:41:25 今日は4月1日、エイプリルフール。 誰もが騙してやろうと嘘をつき、騙されることに警戒する日。勿論、私も例外ではない。 取っておきの嘘で澪を騙すべく、澪の家に向かう。 家に着き、階段を上り、ドアを開け、部屋に入る。 澪はこちらに背を向ける形でベッドに座っていて振り返らない。 なんかあったのか?……とりあえず、澪の横に座るか。 ゆっくりとベッドに近づき、腰掛ける。 それを待っていたかのように、澪が私の方を向く。 そして。 「律は、私のこと好き?」 あまりにも唐突、そして厄介な質問。 「ど、どうした急に」 「いいから、答えて」 何時になく真剣な表情の澪。私をじっと見つめてくるその瞳は、少し潤んでいる。 これは、どうしたらいいんだ。好きかと聞かれれば好きだ、大好きだって叫んでもいい。 「律?」 「えーっと、あの……だな」 でも、今日はエイプリルフール。このまま好きだと答えて誤解されると厄介だ。 かといって、こんな真剣に聞かれると嫌いだとも答えにくい。 「嫌い、なのか?」 「いやその、あー……うー……」 マジで、どうしろってんだ!あー、もう。 そうこうしてる間に澪の瞳が更に潤んでいく。やばい、このままだとこいつ、泣く。 「いいか澪。……嘘じゃないぞ?」 「……」 澪が俯く。やばい、これは本当に、やばい。 「す、好きだ。大好きだ。だから……な?」 頼むから、泣かないでくれ。そういう思いで俯いた澪を見ると、震えている。 嘘じゃないって前置きをしても、ダメなのか? 「お、おい澪」 「……ふふ、あはははは」 「泣くなって……え?」 まさか、こいつ。……わざと? 「ごめん、律があんまりにも……あははは」 「……やられた」 * 項垂れるしかなかった。くっそー、まさか。こんな形でエイプリルフールを使ってくるなんて。 こんなんなら、いっそ嘘をつかれた方がマシだ。 「……お前、ああいうのは卑怯だぞ」 「いつものお返しだ」 私のおでこに指をツンと当ててそういう澪。そりゃ、確かに私は澪をからかってばっかりだけど。 「まぁ、たまにはいいだろ?」 「よかねー」 「拗ねるなって」 「うっせー!」 マジで焦ったんだからな!つく予定だった嘘が全部吹っ飛ぶくらいに。 もう、何しに来たんだ私は。 「悪かったよ、律」 「しらーん!」 こうなったらとことん拗ねてやる。澪の布団を頭からかぶって丸くなる。 布団のなかは澪の匂いがいっぱいで、なんだか落ち着いてしまいそうな自分が憎い。 「律ってば」 澪が私の頭がある部分を軽く叩く。そうされるのは嫌いじゃない、寧ろ好きなほう。だけど今は。 「怒ってるんだぞ」 「嘘?」 「本当」 「それは困ったなあ」 全然困った風じゃない口調で言ってくる澪。心なしか楽しそうですらある。 それがなんとも腹ただしいのに、どうしようもない。 「澪なんか嫌いだ」 「本当?」 「……嘘」 「それは良かった」 頭のとこだけ布団を剥がされ、嬉しそうな笑みを向けられたら。 これはもうどうやったって、勝てない。降参のポーズ。 「私も、律のこと好きだよ」 「嘘?」 「どうだろうな」 笑いながらはぐらかす澪に、一矢報いるべく。 腕を掴んで布団の中に引っ張り込む。 ……さぁ、どうしてくれようか。 おわる。
投稿日:2010/04/01(木) 05:41:25 今日は4月1日、エイプリルフール。 誰もが騙してやろうと嘘をつき、騙されることに警戒する日。勿論、私も例外ではない。 取っておきの嘘で澪を騙すべく、澪の家に向かう。 家に着き、階段を上り、ドアを開け、部屋に入る。 澪はこちらに背を向ける形でベッドに座っていて振り返らない。 なんかあったのか?……とりあえず、澪の横に座るか。 ゆっくりとベッドに近づき、腰掛ける。 それを待っていたかのように、澪が私の方を向く。 そして。 「律は、私のこと好き?」 あまりにも唐突、そして厄介な質問。 「ど、どうした急に」 「いいから、答えて」 何時になく真剣な表情の澪。私をじっと見つめてくるその瞳は、少し潤んでいる。 これは、どうしたらいいんだ。好きかと聞かれれば好きだ、大好きだって叫んでもいい。 「律?」 「えーっと、あの……だな」 でも、今日はエイプリルフール。このまま好きだと答えて誤解されると厄介だ。 かといって、こんな真剣に聞かれると嫌いだとも答えにくい。 「嫌い、なのか?」 「いやその、あー……うー……」 マジで、どうしろってんだ!あー、もう。 そうこうしてる間に澪の瞳が更に潤んでいく。やばい、このままだとこいつ、泣く。 「いいか澪。……嘘じゃないぞ?」 「……」 澪が俯く。やばい、これは本当に、やばい。 「す、好きだ。大好きだ。だから……な?」 頼むから、泣かないでくれ。そういう思いで俯いた澪を見ると、震えている。 嘘じゃないって前置きをしても、ダメなのか? 「お、おい澪」 「……ふふ、あはははは」 「泣くなって……え?」 まさか、こいつ。……わざと? 「ごめん、律があんまりにも……あははは」 「……やられた」 項垂れるしかなかった。くっそー、まさか。こんな形でエイプリルフールを使ってくるなんて。 こんなんなら、いっそ嘘をつかれた方がマシだ。 「……お前、ああいうのは卑怯だぞ」 「いつものお返しだ」 私のおでこに指をツンと当ててそういう澪。そりゃ、確かに私は澪をからかってばっかりだけど。 「まぁ、たまにはいいだろ?」 「よかねー」 「拗ねるなって」 「うっせー!」 マジで焦ったんだからな!つく予定だった嘘が全部吹っ飛ぶくらいに。 もう、何しに来たんだ私は。 「悪かったよ、律」 「しらーん!」 こうなったらとことん拗ねてやる。澪の布団を頭からかぶって丸くなる。 布団のなかは澪の匂いがいっぱいで、なんだか落ち着いてしまいそうな自分が憎い。 「律ってば」 澪が私の頭がある部分を軽く叩く。そうされるのは嫌いじゃない、寧ろ好きなほう。だけど今は。 「怒ってるんだぞ」 「嘘?」 「本当」 「それは困ったなあ」 全然困った風じゃない口調で言ってくる澪。心なしか楽しそうですらある。 それがなんとも腹ただしいのに、どうしようもない。 「澪なんか嫌いだ」 「本当?」 「……嘘」 「それは良かった」 頭のとこだけ布団を剥がされ、嬉しそうな笑みを向けられたら。 これはもうどうやったって、勝てない。降参のポーズ。 「私も、律のこと好きだよ」 「嘘?」 「どうだろうな」 笑いながらはぐらかす澪に、一矢報いるべく。 腕を掴んで布団の中に引っ張り込む。 ……さぁ、どうしてくれようか。 おわる。 #comment

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