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//>>211 投稿日:2010/12/25(土) 18:01:58  寒さに身震いして目が覚めた。  ぱちりと目を開いて窓に目をやると、いつの間にか外はもう明るくなっている。 (いまって……何時だ)  そう思って枕元に置いてあった携帯で時間を確認すると、なんともうお昼をとっくに過ぎている。 「……爆睡してたみたいだな」  苦笑しながら長い前髪にくしゃりと触れると、私は隣で眠るそいつに視線を向けた。 「こっちも爆睡だ」  無防備な顔で眠る澪。  そのほっぺたをつんつんとつついてみると、ううん、と鬱陶しそうに顔をしかめた。  眠っている時の澪は、なんだかいつもに比べて少しだけ幼い感じがする。  それとも一緒にいるのが私だから、こんな無防備な顔を見せてくれるのだろうか?  なんて思うのは、自惚れすぎかな。  でも、自惚れちゃうのもしょうがないことだと思う。 (昨日は澪の愛をたっぷり感じたわけだし……)  布団からはみ出した澪の肩。  ずっと冷気に触れていたからか、すっかり冷たくなってしまっている。  私はよいしょ、と布団をかけなおしてやった。  ふたり一緒に首元までかぶった布団。  その下で素っ裸のふたりが指を絡めて手を繋いでいる。  寝る前に繋いだ手が朝までそのままだった。  たったそれだけのことが嬉しくてたまらない。 (……昨日、しちゃったんだよなぁ)  すやすやと寝息を立てる澪の唇に指先で触れながら、しみじみと思う。  昨日の晩、つまりクリスマスイブの夜、澪が私の家に泊まった。  初体験、と言ってしまえば身も蓋もないけど、まあつまりはそういうことだ。  澪への気持ちを告げてから、もっと澪に触れたいと私はずっと思っていて。  けれど恥ずかしがり屋の澪とそういうことが出来る日なんて来ないんじゃないかあ、とそう思っていたのも事実だった。 「勇気、出してくれたんだよな」  ベッドにそっと押し倒した時の澪の手は、ぶるぶると震えていた。  無理強いはしたくないと気遅れする私に、澪が「私も律のこと好きだから」と口づけてくれなければ、  きっと私たちの関係が進展することはなかったんじゃないかって思う。 「…………」  布団の中に顔をつっこんで澪の裸体を眺めた。 (澪の喘ぎ声とか、気持ちよさそうに目ぎゅっと閉じた顔とか、……胸とか下とか)  昨日の夜までは知らなかったことが、今日は全部知ってる。  昨日よりも今日の方が、澪のことを知ってる。それって、すごいことだよな。  何年も一緒にいても知らなかったこと、たった一晩で分かっちゃうんだから。 「う……ん……」 「お」  澪が目覚めた気配がして、慌てて布団から顔を出した。  見ると、ごしごしと目元をこする澪が大きなあくびを漏らしている。 「おはよ、澪」 「…………」 「こら、なんで向こう向くの」  かあっと一気に顔を赤くした澪はくるりと寝返りを打って、私に背中を向けた。  ……背中奇麗だな。さすさす。 「せ、背中撫でるな」 「じゃあこっち向いてよ」 「やだ」 「なんで」 「恥ずかしい」 「むう」  こっちだって恥ずかしいよ。でも澪の顔が見たいのに。 「ったく」  ぎゅうっと背中から抱きついた。澪のすべすべの肌が胸に当たって気持ち良い。 「澪、もうお昼だよ」 「うそ、そんなに寝てた?」 「うん。夕方になったら唯ん家でパーティーだし、お風呂とか入んないと」 「うん……でもまだもうちょっとこうしてる余裕はあるだろ?」 「まあねん」  くるっと澪が私の腕の中で寝返りを打った。顔が近くてドキドキする。  と、思っていたら、澪の顔がさらに近付いてきて、軽く唇に触れた。  澪はそのままはにかんだように笑うと、 「おはよ」 「……おはよ」 「律、顔赤い」 「澪もな」 「ふふ」  ふたりで笑っていると、澪が左手で私のほっぺたにぺちんと触れた。 「? なに?」 「なんか、ヘンな感じ」 「なにが?」 「昨日の夜の律の顔とか声とか全部覚えてるけど、いまいちこの律と同一人物だって実感が湧かないなあって」 「な、ば、アホ! 恥ずかしいこと言うな!」 「私、まだまだ律のこと全然知らなかったんだなあって」 「…………」  同じこと考えてたけどさ、でもこうやってそれを口にしちゃうあたりが澪なんだなあと思う。  正直恥ずかしくてたまらない。昨日の自分は、自分でも初めて知った自分なんだぞ。 「律、ありがとね」 「なにが」 「いっぱい好きって言ってくれて」 「……うん」  澪がもう一度キスしてくる。 「澪も、いっぱい触ってくれてありがと」 「な、なんか言い方いやらしい」 「ちがっ、ヘンな意味じゃない!」  ……いやまあ、変な意味も含まれていないとは言えないんだけど。 「律のことたくさん知れて嬉しかった。これからもっと知っていけたらいいな」 「真面目な顔でよくそういうこと言えるな」 「ピ、ピロートークってやつだ」 「んま、どこでそんな言葉覚えたんのかしら、この子ったら!  ていうかそれって終わった後にするやつだろ。澪は昨日すぐにグースカ寝ちゃったじゃん」 「う……ご、ごめん」 「まあ可愛かったからいいけど」 「ばか」  ぺちんとおでこを叩かれた。照れ隠しだね。分かってるよ。 「……でも、本心だからね」 「は? なにが?」 「だから、律のこと知れて嬉しいって」 「……っ」  澪のこういうところは、反則だ。  恥ずかしくて嬉しくて、どうすればいいのか分からなくなる。  愛しさが溢れてきて、全身が震えてくるんだ。 「……澪、お腹減った」 「あー……昨日からなんにも食べてないしな。何か軽く食べてから唯の家行くか」 「澪が食べたい」 「……昨日食べたばっかりだろ」 「澪しゃん親父みたいなこと言うのね」 「お前が言い出したんだろ!」  結局この日、私たちはがっつりとご飯(しかもおかわり付き)を食べてから、唯の家へと向かった。  さわちゃんにコスプレさせられそうになって服を脱がされた澪の鎖骨。  そこにつけられた小さな赤い痕を見て、なんだかものすごーく気まずい空気になったりしたけど、それはまた別の話だ。 //おわり。いちゃいちゃしたのが見たかっただけ。 #comment
//>>211 投稿日:2010/12/25(土) 18:01:58  寒さに身震いして目が覚めた。  ぱちりと目を開いて窓に目をやると、いつの間にか外はもう明るくなっている。 (いまって……何時だ)  そう思って枕元に置いてあった携帯で時間を確認すると、なんともうお昼をとっくに過ぎている。 「……爆睡してたみたいだな」  苦笑しながら長い前髪にくしゃりと触れると、私は隣で眠るそいつに視線を向けた。 「こっちも爆睡だ」  無防備な顔で眠る澪。  そのほっぺたをつんつんとつついてみると、ううん、と鬱陶しそうに顔をしかめた。  眠っている時の澪は、なんだかいつもに比べて少しだけ幼い感じがする。  それとも一緒にいるのが私だから、こんな無防備な顔を見せてくれるのだろうか?  なんて思うのは、自惚れすぎかな。  でも、自惚れちゃうのもしょうがないことだと思う。 (昨日は澪の愛をたっぷり感じたわけだし……)  布団からはみ出した澪の肩。  ずっと冷気に触れていたからか、すっかり冷たくなってしまっている。  私はよいしょ、と布団をかけなおしてやった。  ふたり一緒に首元までかぶった布団。  その下で素っ裸のふたりが指を絡めて手を繋いでいる。  寝る前に繋いだ手が朝までそのままだった。  たったそれだけのことが嬉しくてたまらない。 (……昨日、しちゃったんだよなぁ)  すやすやと寝息を立てる澪の唇に指先で触れながら、しみじみと思う。  昨日の晩、つまりクリスマスイブの夜、澪が私の家に泊まった。  初体験、と言ってしまえば身も蓋もないけど、まあつまりはそういうことだ。  澪への気持ちを告げてから、もっと澪に触れたいと私はずっと思っていて。  けれど恥ずかしがり屋の澪とそういうことが出来る日なんて来ないんじゃないかあ、とそう思っていたのも事実だった。 「勇気、出してくれたんだよな」  ベッドにそっと押し倒した時の澪の手は、ぶるぶると震えていた。  無理強いはしたくないと気遅れする私に、澪が「私も律のこと好きだから」と口づけてくれなければ、  きっと私たちの関係が進展することはなかったんじゃないかって思う。 「…………」  布団の中に顔をつっこんで澪の裸体を眺めた。 (澪の喘ぎ声とか、気持ちよさそうに目ぎゅっと閉じた顔とか、……胸とか下とか)  昨日の夜までは知らなかったことが、今日は全部知ってる。  昨日よりも今日の方が、澪のことを知ってる。それって、すごいことだよな。  何年も一緒にいても知らなかったこと、たった一晩で分かっちゃうんだから。 「う……ん……」 「お」  澪が目覚めた気配がして、慌てて布団から顔を出した。  見ると、ごしごしと目元をこする澪が大きなあくびを漏らしている。 「おはよ、澪」 「…………」 「こら、なんで向こう向くの」  かあっと一気に顔を赤くした澪はくるりと寝返りを打って、私に背中を向けた。  ……背中奇麗だな。さすさす。 「せ、背中撫でるな」 「じゃあこっち向いてよ」 「やだ」 「なんで」 「恥ずかしい」 「むう」  こっちだって恥ずかしいよ。でも澪の顔が見たいのに。 「ったく」  ぎゅうっと背中から抱きついた。澪のすべすべの肌が胸に当たって気持ち良い。 「澪、もうお昼だよ」 「うそ、そんなに寝てた?」 「うん。夕方になったら唯ん家でパーティーだし、お風呂とか入んないと」 「うん……でもまだもうちょっとこうしてる余裕はあるだろ?」 「まあねん」  くるっと澪が私の腕の中で寝返りを打った。顔が近くてドキドキする。  と、思っていたら、澪の顔がさらに近付いてきて、軽く唇に触れた。  澪はそのままはにかんだように笑うと、 「おはよ」 「……おはよ」 「律、顔赤い」 「澪もな」 「ふふ」  ふたりで笑っていると、澪が左手で私のほっぺたにぺちんと触れた。 「? なに?」 「なんか、ヘンな感じ」 「なにが?」 「昨日の夜の律の顔とか声とか全部覚えてるけど、いまいちこの律と同一人物だって実感が湧かないなあって」 「な、ば、アホ! 恥ずかしいこと言うな!」 「私、まだまだ律のこと全然知らなかったんだなあって」 「…………」  同じこと考えてたけどさ、でもこうやってそれを口にしちゃうあたりが澪なんだなあと思う。  正直恥ずかしくてたまらない。昨日の自分は、自分でも初めて知った自分なんだぞ。 「律、ありがとね」 「なにが」 「いっぱい好きって言ってくれて」 「……うん」  澪がもう一度キスしてくる。 「澪も、いっぱい触ってくれてありがと」 「な、なんか言い方いやらしい」 「ちがっ、ヘンな意味じゃない!」  ……いやまあ、変な意味も含まれていないとは言えないんだけど。 「律のことたくさん知れて嬉しかった。これからもっと知っていけたらいいな」 「真面目な顔でよくそういうこと言えるな」 「ピ、ピロートークってやつだ」 「んま、どこでそんな言葉覚えたんのかしら、この子ったら!  ていうかそれって終わった後にするやつだろ。澪は昨日すぐにグースカ寝ちゃったじゃん」 「う……ご、ごめん」 「まあ可愛かったからいいけど」 「ばか」  ぺちんとおでこを叩かれた。照れ隠しだね。分かってるよ。 「……でも、本心だからね」 「は? なにが?」 「だから、律のこと知れて嬉しいって」 「……っ」  澪のこういうところは、反則だ。  恥ずかしくて嬉しくて、どうすればいいのか分からなくなる。  愛しさが溢れてきて、全身が震えてくるんだ。 「……澪、お腹減った」 「あー……昨日からなんにも食べてないしな。何か軽く食べてから唯の家行くか」 「澪が食べたい」 「……昨日食べたばっかりだろ」 「澪しゃん親父みたいなこと言うのね」 「お前が言い出したんだろ!」  結局この日、私たちはがっつりとご飯(しかもおかわり付き)を食べてから、唯の家へと向かった。  さわちゃんにコスプレさせられそうになって服を脱がされた澪の鎖骨。  そこにつけられた小さな赤い痕を見て、なんだかものすごーく気まずい空気になったりしたけど、それはまた別の話だ。 //おわり。いちゃいちゃしたのが見たかっただけ。 - 事後いいよ事後 -- 名無しさん (2011-02-07 05:17:14) #comment

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