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投稿日:2009/12/14(月) 08:28:06 澪に、言ってしまった。 本当は、ずっと黙っているつもりだった。 でも。でも、澪に『ずっと、友達だ』って言われた途端、歯止めが、効かなくなった。 「友達なんかやだ…!友達なんて、イヤなんだよ…わかってよ…!」 泣きながら抱きついて、そういった私。 澪は、何か言うでもなく、支えるでもなく、ただ、呆然としていた。 そりゃあ、そうだよな。普通、ありえないし。 言ってしまったことに気が付いて、慌てて軌道修正をしようと思っても。 うまく頭が回らないし、涙も止まらなくて。 …もう、どうしようもなかった。 「あー、あの時の私の、ばか」 あの後、どうやって澪と別れて。 どうやって家に帰ったのかすら、思い出せない。 ただ、気がついたら部屋のベッドで、制服のまま寝ていた。 「どんな顔して、会えばいいんだよ」 …もう、ダメかもしれない。 澪の近くに、居られなくなったら。 話しすら、してくれなくなったら。 そんな考えが、頭の中をグルグルしていた。 聞き覚えのある足音が、聞こえるまでは。 「澪?」 「足音、忍ばせたつもりなんだけどな」 「特別製の律イヤーをナメないでいただこう」 なんで、来たんだ。とか、頭はパニックを起こしてるのに。 いつもどおりの会話ができるのは、澪がいつもどおりだったから。 あんなことがあった、後なのに。 「あのさ、律」 多分、さっきの、話だろうな。 できれば、聞きたくない。 でも、もしかしたら。なんて淡い期待が胸の中で暴れる。 「あの後、考えてたんだ。ずっと」 ぽつりぽつりと話す澪。 澪はゆったりとした口調で話してるのに、私は緊張しっぱなし。なんか、変だ。 「律の、あの言葉の意味。いくら考えても、良くわかんなくて。だから」 一度言葉を切り、まっすぐにこちらを見つめる澪。 視線が、そらせない。 「聞きにきた」 言うのは、今しかない。それは分かってる。 いざ言うとなると、怖くて。中々言葉が出てこない。 …でも、言わなきゃ。 「み、お」 「なんだ?」 名前すら、うまく呼べない。それでも、澪は優しく返事をしてくれた。 それだけで、心の重荷がすっと抜けた気がした。 今なら、言える。 「私、澪のことが、好きなんだ」 澪の目を、しっかりと見つめ返す。 「友達じゃなくて、恋人として、側にいたい」 「だから、付き合ってください」 言い切った。 澪は、最後まで、ちゃんと聞いてくれた。 もうそれだけで、いい気がした。 少しの、沈黙。 そして。 「私、さ。あんな歌詞書くけど、恋とかしたこと、ないから、さ。この気持ちが、律と同じかわかんない」 「でも、でもね。律のことが好き。他の人と同じ好きじゃなくて、律が好き」 曖昧な言葉だけど、今の私にはそれで、十分。 拒否されなかっただけで、今は、いい。 「そんな私でも、いい?」 ダメなんて言うわけ、ないだろ。 だから。 「もちろん」 こうして、私たちは「友達」ではなくなった。 おわる。 #comment
//>>818 投稿日:2009/12/14(月) 08:28:06 澪に、言ってしまった。 本当は、ずっと黙っているつもりだった。 でも。でも、澪に『ずっと、友達だ』って言われた途端、歯止めが、効かなくなった。 「友達なんかやだ…!友達なんて、イヤなんだよ…わかってよ…!」 泣きながら抱きついて、そういった私。 澪は、何か言うでもなく、支えるでもなく、ただ、呆然としていた。 そりゃあ、そうだよな。普通、ありえないし。 言ってしまったことに気が付いて、慌てて軌道修正をしようと思っても。 うまく頭が回らないし、涙も止まらなくて。 …もう、どうしようもなかった。 「あー、あの時の私の、ばか」 あの後、どうやって澪と別れて。 どうやって家に帰ったのかすら、思い出せない。 ただ、気がついたら部屋のベッドで、制服のまま寝ていた。 「どんな顔して、会えばいいんだよ」 …もう、ダメかもしれない。 澪の近くに、居られなくなったら。 話しすら、してくれなくなったら。 そんな考えが、頭の中をグルグルしていた。 聞き覚えのある足音が、聞こえるまでは。 「澪?」 「足音、忍ばせたつもりなんだけどな」 「特別製の律イヤーをナメないでいただこう」 なんで、来たんだ。とか、頭はパニックを起こしてるのに。 いつもどおりの会話ができるのは、澪がいつもどおりだったから。 あんなことがあった、後なのに。 「あのさ、律」 多分、さっきの、話だろうな。 できれば、聞きたくない。 でも、もしかしたら。なんて淡い期待が胸の中で暴れる。 「あの後、考えてたんだ。ずっと」 ぽつりぽつりと話す澪。 澪はゆったりとした口調で話してるのに、私は緊張しっぱなし。なんか、変だ。 「律の、あの言葉の意味。いくら考えても、良くわかんなくて。だから」 一度言葉を切り、まっすぐにこちらを見つめる澪。 視線が、そらせない。 「聞きにきた」 言うのは、今しかない。それは分かってる。 いざ言うとなると、怖くて。中々言葉が出てこない。 …でも、言わなきゃ。 「み、お」 「なんだ?」 名前すら、うまく呼べない。それでも、澪は優しく返事をしてくれた。 それだけで、心の重荷がすっと抜けた気がした。 今なら、言える。 「私、澪のことが、好きなんだ」 澪の目を、しっかりと見つめ返す。 「友達じゃなくて、恋人として、側にいたい」 「だから、付き合ってください」 言い切った。 澪は、最後まで、ちゃんと聞いてくれた。 もうそれだけで、いい気がした。 少しの、沈黙。 そして。 「私、さ。あんな歌詞書くけど、恋とかしたこと、ないから、さ。この気持ちが、律と同じかわかんない」 「でも、でもね。律のことが好き。他の人と同じ好きじゃなくて、律が好き」 曖昧な言葉だけど、今の私にはそれで、十分。 拒否されなかっただけで、今は、いい。 「そんな私でも、いい?」 ダメなんて言うわけ、ないだろ。 だから。 「もちろん」 こうして、私たちは「友達」ではなくなった。 おわる。 #comment

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