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投稿日:2010/01/25(月) 19:36:12 「ほーら、いくぞ!」 「ちょ、律!・・まてってば」 澪の手を引いて、走り出す。 一歩踏み出すのが、人よりも遅い澪。 踏み出してしまえば、誰よりも上手くやってのけるのにさ。 だから私は、その一歩を助けてやるんだ。 いっつも、そうしてきた。 これからも、そうするつもり。 だけどさ、もしかしたらもう。 澪は私の助けを、必要としていないかもしれない。 もし澪に、もう必要ないよっていわれたら。 わたしは、どうしたらいいんだろう。 どうしよう、どうしよう、どうしよう。 澪を助けることで、澪の支えになると思っていたのにな。 いつの間にか、それは私の支えになっていたんだ。 「うわっ、ちょ・・いったぁ・・こら、律!急に立ち止まるなよな!」 立ち止まった私の背中に顔を打ち付けたらしい澪の抗議で、我に返る。 いつもなら、からかいの言葉の一つや二つでてくるのにな。 今はなんて言えば良いのか、全然わかんないや。 「・・・」 「律?・・先、いくぞ」 反応を示さなかった私を訝しみつつも。 私の横をすり抜けて、澪は前に進む。 すぐ側にいるのに、どんどん澪が遠くに行ってしまう気がした。 いかないでよ。 私を、ひとりにしないで。 そう言いたいけど、言えなくて。 追いかけたいのに、足がすくんで動けない。 もう、こころの中で叫ぶしかなかった。 『澪!』 その瞬間、澪がゆっくりと振り返った。 聞こえたわけじゃないとわかっているのに、届いたような気がして。 でも、振り返った澪と目が合わせられなくて、俯く。 本当に、情けない。 「律」 名前を呼ばれて、顔をあげたら。 ずっと遠くに行ってしまったと思っていた澪が、目の前にいて。 「ほら」 目の前に差し出される、澪の手。 本人は気にしてるけど、大きい手。 私の、大好きな手。 澪に必要だよ、と言われている気がして。 …でも、そうじゃないかもしれない。 この手を掴んでしまったら、もう離せなくなる。 そうしたら、澪の枷になるかもしれない。 そんなのは嫌だ、だけど。 「あぁもう、ほら!」 強引に腕を引っ張られて、前に動き出す身体。 さっきまで、全然動いてくれなかったのが嘘みたいだ。 「さっき、さ」 前を歩きながら、話す澪。 私からは、どんな表情をしているのかわからない。 「律が、いなくなっちゃう気がしたんだ」 ドキリと心臓が鳴った。 「・・私にはさ」 前を歩く澪が立ち止まって、こっちを向いた。 「律が、必要だよ」 あぁ。どうして、澪は。 きっと私が何を思っていたかとか、そういうことは全然わかっていないと思う。 だけど。 私が、今の私が、一番欲しかった言葉は、確かにそれだった。 「なーにいってんだよ!私がこーんな寂しがりな澪ちゅわんを置いてくわけないだろ~?」 「なっ・・お前なぁ!・・・まったく」 「へへっ」 澪は怒ったふうな、呆れたような口調だけど、優しい顔。 これからも、ずっと、側に居たい。 細かいことはもう、どうでもいい。 澪が必要っていってくれたんだ。 それだけで、十分だから。 もう、迷わない。 おわる。 - わぁいいなこれ。 -- 名無しさん (2011-10-31 18:25:43) - 素晴らしいことこの上ないです。はい。 -- 名無しさん (2011-12-02 20:10:49) - 澪ちゃんかけぇわぁ -- 名無しさん (2012-01-07 21:03:07) - りっちゃんが弱ったときに澪が支える...いいっすなぁ -- 名無しさん (2012-01-26 19:40:14) - やっぱりこの2人はお互いに支え合っている良い関係だよね。 -- 名無しさん (2012-01-26 20:25:31) - このss一番いいわぁ。 -- 名無しさん (2012-03-01 17:59:23) - 名作ですな〜 -- 名無しさん (2012-03-03 11:23:40) - あぁもう可愛いなぁ… -- 名無しさん (2012-04-22 21:11:50) #comment
投稿日:2010/01/25(月) 19:36:12 「ほーら、いくぞ!」 「ちょ、律!・・まてってば」 澪の手を引いて、走り出す。 一歩踏み出すのが、人よりも遅い澪。 踏み出してしまえば、誰よりも上手くやってのけるのにさ。 だから私は、その一歩を助けてやるんだ。 いっつも、そうしてきた。 これからも、そうするつもり。 だけどさ、もしかしたらもう。 澪は私の助けを、必要としていないかもしれない。 もし澪に、もう必要ないよっていわれたら。 わたしは、どうしたらいいんだろう。 どうしよう、どうしよう、どうしよう。 澪を助けることで、澪の支えになると思っていたのにな。 いつの間にか、それは私の支えになっていたんだ。 「うわっ、ちょ・・いったぁ・・こら、律!急に立ち止まるなよな!」 立ち止まった私の背中に顔を打ち付けたらしい澪の抗議で、我に返る。 いつもなら、からかいの言葉の一つや二つでてくるのにな。 今はなんて言えば良いのか、全然わかんないや。 「・・・」 「律?・・先、いくぞ」 反応を示さなかった私を訝しみつつも。 私の横をすり抜けて、澪は前に進む。 すぐ側にいるのに、どんどん澪が遠くに行ってしまう気がした。 いかないでよ。 私を、ひとりにしないで。 そう言いたいけど、言えなくて。 追いかけたいのに、足がすくんで動けない。 もう、こころの中で叫ぶしかなかった。 『澪!』 その瞬間、澪がゆっくりと振り返った。 聞こえたわけじゃないとわかっているのに、届いたような気がして。 でも、振り返った澪と目が合わせられなくて、俯く。 本当に、情けない。 「律」 名前を呼ばれて、顔をあげたら。 ずっと遠くに行ってしまったと思っていた澪が、目の前にいて。 「ほら」 目の前に差し出される、澪の手。 本人は気にしてるけど、大きい手。 私の、大好きな手。 澪に必要だよ、と言われている気がして。 …でも、そうじゃないかもしれない。 この手を掴んでしまったら、もう離せなくなる。 そうしたら、澪の枷になるかもしれない。 そんなのは嫌だ、だけど。 「あぁもう、ほら!」 強引に腕を引っ張られて、前に動き出す身体。 さっきまで、全然動いてくれなかったのが嘘みたいだ。 「さっき、さ」 前を歩きながら、話す澪。 私からは、どんな表情をしているのかわからない。 「律が、いなくなっちゃう気がしたんだ」 ドキリと心臓が鳴った。 「・・私にはさ」 前を歩く澪が立ち止まって、こっちを向いた。 「律が、必要だよ」 あぁ。どうして、澪は。 きっと私が何を思っていたかとか、そういうことは全然わかっていないと思う。 だけど。 私が、今の私が、一番欲しかった言葉は、確かにそれだった。 「なーにいってんだよ!私がこーんな寂しがりな澪ちゅわんを置いてくわけないだろ~?」 「なっ・・お前なぁ!・・・まったく」 「へへっ」 澪は怒ったふうな、呆れたような口調だけど、優しい顔。 これからも、ずっと、側に居たい。 細かいことはもう、どうでもいい。 澪が必要っていってくれたんだ。 それだけで、十分だから。 もう、迷わない。 おわる。 - わぁいいなこれ。 -- 名無しさん (2011-10-31 18:25:43) - 素晴らしいことこの上ないです。はい。 -- 名無しさん (2011-12-02 20:10:49) - 澪ちゃんかけぇわぁ -- 名無しさん (2012-01-07 21:03:07) - りっちゃんが弱ったときに澪が支える...いいっすなぁ -- 名無しさん (2012-01-26 19:40:14) - やっぱりこの2人はお互いに支え合っている良い関係だよね。 -- 名無しさん (2012-01-26 20:25:31) - このss一番いいわぁ。 -- 名無しさん (2012-03-01 17:59:23) - 名作ですな〜 -- 名無しさん (2012-03-03 11:23:40) - あぁもう可愛いなぁ… -- 名無しさん (2012-04-22 21:11:50) - 支えあってこその、この二人だな -- 名無しさん (2012-08-21 04:49:36) #comment

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