私はサボったその日、すぐに家に帰って寝ていた。
家に帰ってきたのが午前九時半で、今は午後十時だった。
どうやらまるまる十二時間は寝ていたみたいだった。
お昼御飯も晩御飯も食べていない。
だけど全然食欲はなく、頭には律の顔が浮かんでいた。
家に帰ってきたのが午前九時半で、今は午後十時だった。
どうやらまるまる十二時間は寝ていたみたいだった。
お昼御飯も晩御飯も食べていない。
だけど全然食欲はなく、頭には律の顔が浮かんでいた。
(……律)
律。
私の、初めての友達。
今まで誰とも友達にならなかった、そしてなれなかった私にとって、初めての。
初めてあんなに人と話した。
初めて家族じゃない人とご飯を食べた。
一緒に授業を受けた。
一緒に買い物にも行った。
お互いの誕生日を祝った。
クリスマスも一緒にいて。
冬休みは、同じ地方だって知ってたから一緒に帰って。
それで、実家も近くだったから一緒に遊んで。
年越しも一緒で。
初詣も。
今まで誰とも友達にならなかった、そしてなれなかった私にとって、初めての。
初めてあんなに人と話した。
初めて家族じゃない人とご飯を食べた。
一緒に授業を受けた。
一緒に買い物にも行った。
お互いの誕生日を祝った。
クリスマスも一緒にいて。
冬休みは、同じ地方だって知ってたから一緒に帰って。
それで、実家も近くだったから一緒に遊んで。
年越しも一緒で。
初詣も。
ずっと。
この一年ずっと、ずっと一緒だった。
律は友達がたくさんいるのに、いつも私と一緒にいてくれた。
私は律しか友達がいない。
律はたくさん友達がいる。
だけど律は、私といることを選んでくれた。
律は、私の寂しさを知っていたかもしれない。
知らなかったのかもしれない。
律が私じゃない誰かと一緒にいることが、私は嫌なのだと。
それを律が知ってたから、私と一緒にいてくれたのかもしれない。
そうじゃないのかもしれない。
でも、どっちでもいい。
律は私と一緒にいた。
どんな時も、一緒にいたんだよ。
この一年ずっと、ずっと一緒だった。
律は友達がたくさんいるのに、いつも私と一緒にいてくれた。
私は律しか友達がいない。
律はたくさん友達がいる。
だけど律は、私といることを選んでくれた。
律は、私の寂しさを知っていたかもしれない。
知らなかったのかもしれない。
律が私じゃない誰かと一緒にいることが、私は嫌なのだと。
それを律が知ってたから、私と一緒にいてくれたのかもしれない。
そうじゃないのかもしれない。
でも、どっちでもいい。
律は私と一緒にいた。
どんな時も、一緒にいたんだよ。
だから、一緒にいられないのも怖いんだよ。
律のことを好きだと言っている、その子と食事をするって聞いて。
怖くて。
一緒にバレンタインを過ごせないのかなって、怖くて。
そしてもしかしたら。
律が私を放って、その子のところに行っちゃうんじゃないかって。
怖いんだ。
律のことを好きだと言っている、その子と食事をするって聞いて。
怖くて。
一緒にバレンタインを過ごせないのかなって、怖くて。
そしてもしかしたら。
律が私を放って、その子のところに行っちゃうんじゃないかって。
怖いんだ。
平沢さんと、律が話してる場面に出くわした時、怖くなった。
律が曽我部さんと元々知り合いだったと知った時、痛くなった。
律が誰かと一緒にいたりすることを想像する時、震えた。
律が曽我部さんと元々知り合いだったと知った時、痛くなった。
律が誰かと一緒にいたりすることを想像する時、震えた。
私は、律に嫉妬してるんじゃない。
律と一緒にいる、私以外の誰かに嫉妬してたんだ……。
律と一緒にいる、私以外の誰かに嫉妬してたんだ……。
だけど律と一緒にいるのは、楽しいんだ。
話してるのは、楽しい。
だけど、それだけじゃなくて。
最近は律といたら、恥ずかしくって。
律の事見てると、可愛いなって思ったり。
律の体を変に意識しちゃったり。
エッチなこと考えたり。
笑ってくれたりすると、私はドキドキしてしまう。
律の隣にいて、一緒にいて、ご飯食べて、一緒に講義受けて。
一緒に演奏して。
話してるのは、楽しい。
だけど、それだけじゃなくて。
最近は律といたら、恥ずかしくって。
律の事見てると、可愛いなって思ったり。
律の体を変に意識しちゃったり。
エッチなこと考えたり。
笑ってくれたりすると、私はドキドキしてしまう。
律の隣にいて、一緒にいて、ご飯食べて、一緒に講義受けて。
一緒に演奏して。
名前を呼んでくれるだけで、痺れるんだ。
『澪』って、律の口から出るだけで、心が躍ったりするんだ。
『澪』って、律の口から出るだけで、心が躍ったりするんだ。
一つ一つが、楽しいのに。
最近は、直視できないよ。
律を見ていたら、胸が張り裂けそうになるんだよ。
最近は、直視できないよ。
律を見ていたら、胸が張り裂けそうになるんだよ。
『田井中さんの事、好き?』
『私にとっても、澪は特別』
『澪』――。
『澪を一人にしたら悲しんじゃうだろうしなー』
『もっと早く出会いたかったな』
これが。
これが、好きってことなの?
律のことが、私は。
これが、好きってことなの?
律のことが、私は。
好き。
好きなんだ。
律のことが、好き。
律の顔を思い出すだけで、落ち着けなくなって高揚したり。
律が話しかけてくれるだけで、嬉しくて楽しくて。
律が他の誰かと仲良くしてて、胸が痛くなるのも。
一日中律のことを考えてるのも。
律が話しかけてくれるだけで、嬉しくて楽しくて。
律が他の誰かと仲良くしてて、胸が痛くなるのも。
一日中律のことを考えてるのも。
好きだから。
私は、律に恋してるんだ。
「律……」
律は、私の初めてをなんでも奪っていく。
今度も、奪われちゃったな。
今度も、奪われちゃったな。
初恋。
■
三連休だった。
今まで祝日は律と一緒にいたけれど、律を突き飛ばした揚句逃げた。
さらにメールも電話も無視した手前、少しだけいつものように律と会うのは居た堪れない。
だから今回の祝日三連休は律とは会わないことにした。
私は律に今ものすごく会いたい。でも、律は怒ってるんじゃないだろうか。
そう思ったのだ。
三連休の初日の今日は、建国記念日の十一日だ。
バレンタインまで、あと今日含めて三日。
十四日には、律は『理学部の子』と食事をするんだ。
もしかしたら、律との恋が成立してしまうかもしれない。
律に限って、そんなことはないだろうけど……。
今まで祝日は律と一緒にいたけれど、律を突き飛ばした揚句逃げた。
さらにメールも電話も無視した手前、少しだけいつものように律と会うのは居た堪れない。
だから今回の祝日三連休は律とは会わないことにした。
私は律に今ものすごく会いたい。でも、律は怒ってるんじゃないだろうか。
そう思ったのだ。
三連休の初日の今日は、建国記念日の十一日だ。
バレンタインまで、あと今日含めて三日。
十四日には、律は『理学部の子』と食事をするんだ。
もしかしたら、律との恋が成立してしまうかもしれない。
律に限って、そんなことはないだろうけど……。
でも二人がくっついてしまったらどうしよう。
信じてるけど、でも、怖い。
でも、どうしようかも全然思いつかなかった。
信じてるけど、でも、怖い。
でも、どうしようかも全然思いつかなかった。
結局お昼の十二時までは、寝たり起きたりしていた。
でもやっぱり、律の顔は浮かんでくる。
それだけで胸は痛いのだけど、でもやっぱりふわふわした気持ちはするのだ。
(……詩)
ふと、頭に浮かんだ。
私は文芸部で、詩を書いていた時期がある。
あの時は意味不明な、よくある言葉の模倣でしかなかった。
(……作詞)
今は『詩』ではなく、『詞』なのかもしれない。
一応、音楽やってるわけだから。
律とやってて、いつかは歌詞を書いてみたいと思ってた。
それが今、ふと思い出されたのだ。
でもやっぱり、律の顔は浮かんでくる。
それだけで胸は痛いのだけど、でもやっぱりふわふわした気持ちはするのだ。
(……詩)
ふと、頭に浮かんだ。
私は文芸部で、詩を書いていた時期がある。
あの時は意味不明な、よくある言葉の模倣でしかなかった。
(……作詞)
今は『詩』ではなく、『詞』なのかもしれない。
一応、音楽やってるわけだから。
律とやってて、いつかは歌詞を書いてみたいと思ってた。
それが今、ふと思い出されたのだ。
私は、布団からのそりと出て勉強机に向かってみた。
適当なルーズリーフに、ペンを走らせる。
不思議なほどに、言葉が溢れてきた。
適当なルーズリーフに、ペンを走らせる。
不思議なほどに、言葉が溢れてきた。
律を見てると、胸がドキドキする。
ふわふわしてるし、暖かい。
ふわふわしてるし、暖かい。
(君を見てると――)
好きって昨日自覚して、さらに眠れなくなって。
夜が切なくなった。
夜が切なくなった。
(好きになるほど――)
もう少し私が勇気を振るえば、何かが変わるのかもしれない。
昨日みたいに、恥ずかしいから逃げるんじゃなくてさ。
昨日みたいに、恥ずかしいから逃げるんじゃなくてさ。
(何かが変わるのかな――)
でも、律を見るとやっぱり恥ずかしさで顔が真っ赤になりそうだ。
そうなると、普通に話すのはどう考えても難しい。
だからって段取り考えたって、それは全然自然でもない。
そうなると、普通に話すのはどう考えても難しい。
だからって段取り考えたって、それは全然自然でもない。
(全然、自然じゃないよね――)
でも、話したら。
なんとか話せば。
その後は、どうにかなるよな。
なんとか話せば。
その後は、どうにかなるよな。
だって律といるのは、楽しいし嬉しいから。
私に笑顔を、たくさんくれるから。
私に笑顔を、たくさんくれるから。
(どうにかなるよね)
「書けた……」
律の事考えてたら、律の事だけで歌詞が書けた。
これに曲をつければ、もう立派な曲になる。
もちろんバンドなんてないのだけど。
私はルーズリーフを机に置いて、それを見つめた。
律の事考えてたら、律の事だけで歌詞が書けた。
これに曲をつければ、もう立派な曲になる。
もちろんバンドなんてないのだけど。
私はルーズリーフを机に置いて、それを見つめた。
……恥ずかしい歌詞かもしれない。
律に歌詞を書いてみたよって言ったら、笑われちゃうかな。
それも、いいかもな。
律に歌詞を書いてみたよって言ったら、笑われちゃうかな。
それも、いいかもな。
タイトルは、どうしようかな。
「ふわふわ……タイム」
ふわふわ時間。
それはまさに、私が律と出会って送った日々のことだった。
それはまさに、私が律と出会って送った日々のことだった。
律と恋人同士になりたい。
そんな想いは、どんどん膨れ上がっていた。
そんな想いは、どんどん膨れ上がっていた。
■
2月11日 くもり
澪、怒ってるかなあ。
メールもしたし電話もしたのに、応答がないってことはそうだよな。
今までずっと一緒にいたのに、バレンタインは他の子となんて。
私の馬鹿野郎。大馬鹿野郎だ。
最初に澪が行けばって言ったから、少し頭にきて。
澪の嫉妬が見てみたいななんて気持ちで受けるんじゃなかった。
「これでいいかよ」なんて煽ったけど、私馬鹿みたいだな。
いや、実際馬鹿だ。本当に馬鹿だ。
馬鹿律。マジで情けない。
メールもしたし電話もしたのに、応答がないってことはそうだよな。
今までずっと一緒にいたのに、バレンタインは他の子となんて。
私の馬鹿野郎。大馬鹿野郎だ。
最初に澪が行けばって言ったから、少し頭にきて。
澪の嫉妬が見てみたいななんて気持ちで受けるんじゃなかった。
「これでいいかよ」なんて煽ったけど、私馬鹿みたいだな。
いや、実際馬鹿だ。本当に馬鹿だ。
馬鹿律。マジで情けない。
でも下宿まで行ったら迷惑だろうな。
会いたいな。でも、そっとしておいた方がいいのかな。
会いたいな。でも、そっとしておいた方がいいのかな。
ってか、澪の奴鈍感だよなー。
気付けって。私の気持ちぐらい。
気付けって。私の気持ちぐらい。
澪、大好きだよ。
日記に書いても意味ねーよ私も。
日記に書いても意味ねーよ私も。