虹村億泰







「いっつもよォ──不思議に思うんだぜェ~~~
 オレのこの『ザ・ハンド』の「右手」よォ~~~
 けずり取ったモノはいったいどこへ行っちまうんだろう?
 ってなあ~~~っ」

ジョジョの奇妙な冒険』第4部『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物。
TVアニメ版での担当声優は 高木渉 氏。
なお、同氏はアニメ放映前に発売されていた『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』及び『アイズオブヘブン』でも億泰を演じている。
2017年に公開された実写映画版では新田真剣佑氏が演じた。

最初は兄の形兆と共に敵として登場したが、仗助康一に敗れた後は仲間となる。
兄・形兆の事はとても慕っており、彼がしっかり者かつ責任感も強いため、形兆の言う事はよく聞くが、
反面形兆に頼り過ぎている面があるのも事実であり、何かを自分で決断する事が苦手。
自分でも「頭が悪い」と認める一方、トニオさんの料理を前にした時は豊富な語彙力を披露した。
+ 億泰君の食レポ

「なんつーか気品に満ちた水っつーか、たとえるとアルプスのハープを弾くお姫様が飲むような味っつーか、スゲーさわやかなんだよ…
 3日間砂漠をうろついて初めての飲む水っつーかよぉ───っ」

「『ハーモニー』っつーんですかあ~~~『味の調和』っつーんですか~~っ
 たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエット!ウッチャンに対するナンチャン
 高森朝雄の原作に対するちばてつやの『あしたのジョー』!………つう───っ感じっスよお~~~~~っ」

「クセになるっつーか、いったん味わうとひきずり込まれるカラさっつーか………
 たとえると、『豆まきの節分』の時に年齢の数だけ豆を食おうとして
 大して好きでもねぇ豆をフト気づいてみたら一袋食ってたっつーカンジかよぉ───~~~っ」

(※上から順にキリマンジャロの雪解け水、モッツァレッラチーズとトマトのサラダ、娼婦風スパゲティーの感想)

高木氏による熱演

──ポエット!
正直、難しいストーリーものの作家は無理でも、食レポとかコピーライターなら向いてるんじゃないかと思う。
上記のリアクションと顔芸も相まって読者に強い印象を残し、
アニメ放映中には「うまい棒」とのコラボ商品「億泰の『ンまぁ~い』棒 牛タン塩味」が販売される事もあった。

肉の芽の暴走で不死身の醜い化け物になってしまった父親を尊厳死させられるスタンド使いを形兆と共に見つける計画は、
兄の死と矢の回収によって半ば頓挫してしまったが、意思疎通が困難になっていた父とは仗助のおかげで和解出来たため、
その後は気長に助けられる方法を探す事にしたようである。
アニメ最終話で追加されたシーンでは、父親をトラサルディーに連れて来てスタンド料理による治療を試し、結果失敗に終わったものの、
「ま、いいか」と苦笑する顛末が描かれており、割と父子楽しそうに暮らしている様子が見て取れる。

+ スタンド「ザ・ハンド」

「空間をけずりとる!………するとお~~~~~っ!
 ほお~~~ら寄って来たァ~~ 「瞬間移動」ってやつさあ~~~っ」

破壊力 - B スピード - B 射程距離 - D
持続力 - C 精密動作性 - C 成長性 - C
本体の学ランと同じく「$」などのマークをあしらった人型ロボットのようなヴィジョンを持つスタンド。
目が円筒状のパーツで少し隠れているのも特徴で、ファンの間では億泰の視野の狭さや、
円筒状の髪が特徴的な兄への依存を表しているのではと推測される事がある。
また、下記の能力に用いる右手の手のひらには蜘蛛の巣のような模様のパーツが二つ付いている。

能力は右掌を振るう事で、あらゆるものを「削り取る」というもの。
能力の発動に手を使うスタンドの中では珍しく、相手に触れたり殴り付ける必要が無く、
対象はザ・ハンドの右掌に触れる直前にこの効果を受ける(=触れた物を削り取る能力ではない)のが特徴。
問答無用で破壊する能力なのに破壊力が「B」評価な事がよくツッコまれるが、恐らくザ・ハンドに関しては能力を加味しない、
スタンド像本来のパンチやキックのパワーを基準に評価しているものと思われる。

削り取られた物体や空間は元からそうであったように「閉じる」という性質があり、
空間を削り取る事による擬似的な瞬間移動や、相手を吸い寄せるといった使い方も可能。
尤も、初戦時は無暗に周辺空間を削り取った結果、勝手に周囲の物を引き寄せてしまい自爆するという醜態を晒してバカ呼ばわりされていたが、
習熟すればある程度任意で引き寄せるものを選べるようだ。
また、削り取られたものは破壊されたわけではないため、「クレイジー・ダイヤモンド」でも修復不可能。
上記のセリフにもある通り、「削った」ものがどうなっているかは本人もイマイチよく分かっていないようだ。
実際、「立入禁止」の看板の「入」の文字を削り取ると、その位置に空白が出来るのではなく「立禁止」の看板になる、
それどころか文字の一角だけを元からそう書いたように削除するなど、単純に削った後が継ぎ目なく復元されただけなのか?
それともそれ以上の概念的な攻撃なのか?と読者も混乱必至で、億泰でなくとも頭が痛くなる能力であろう。
なお、それを書類の改ざんに利用した回も存在する。何事も使いようである。

同じく「ガオン!」と空間を削る能力であるクリームとは似ているようで性質が異なるため、よく比較される。
『アイズオブヘブン』や『オールスターバトルR』では同じタイプのスタンドとして二人に専用の絡みがあり、
視聴者のコメントから「ハンドクリーム」というコンビ名が誕生した。手荒れ予防か?

能力を発動するのに対象に触れる必要が無いという点から所謂「触れると危険」な相手には滅法強く、
爆弾化した物体でも削り取る事で安全に処理出来るため、「キラークイーン」に対して相性が良い
(シアーハートアタックに対しては、高い防御力を無視して問答無用で破壊出来る≒本体の左手消失が考えられる)。

以上のように非常に強力で、知恵を働かせられれば幾らでも応用が利きそうな能力のため、最強スタンド議論にも度々上がるのだが、
使い手の億泰の頭がよくないという一点でそこそこのランクに落ち着く稀有なスタンドである。
実の所、これほど強力な能力でありながら作中で億泰が一対一で戦った戦績は芳しくなく、ほぼ全敗である。
勝利した相手の殆どが仗助との共闘である事から、知恵を貸してくれる司令塔が傍についていた方が自慢の右手を思う存分振るえるのかもしれない。
作中でも彼が判断を依存していた形兆は「ザ・ハンドは恐ろしいスタンド」だと断言している一方、
本体である億泰には「自身の能力がそれに追いついていない、成長しろ」とかなり厳しい言葉を向けている。
メタ的に言うと億泰がタイマンで戦った相手のほとんどが主人公や中ボスといった物語上の重要キャラであり、
なおかつ億泰の能力はまともに喰らえば間違いなく物語から即退場してしまうので、勝たせるわけにはいかなかったのだろうが

また億泰自身がガラは悪くとも本質的に人情に篤い好漢であり、
余程の事が無ければ「削る」能力を人間やスタンドに直接行使する事を(恐らくは本人も無意識に)していない、というのも大きいのだろう。
仮に、であるが、億泰が削ったモノを全て記憶しており、それらをカット&ペーストするように挿し込む事が可能で、
どうせ戻せるからと億泰がその使用を躊躇わないようであれば、恐ろしく強力でグロい戦い方のスタンドとなっていたであろう。バカで良かった!

そもそも能力の使い勝手が良すぎて真っ先に敵に気付いた結果、死地に飛び込んで死んでしまうという、
ある意味話の都合で脱落させられるケースがままある『ジョジョ』において、主役以外の余りに強力で有能なスタンド使いはそれだけで死亡フラグである。
実際、仗助と億泰の友人で非常に便利なスタンド「ハーヴェスト」の使い手だった重ちーが、これで真っ先に犠牲になっており、
彼自身、クライマックスの戦いにおいて死亡したかのような展開になった際、
読者の反応も「ああ、やっぱり億泰は強すぎたのか…」というものが散見された。

この時、死の淵にあった彼が夢の中で再会した形兆と交わしたというやり取りは、
兄への変わらぬ敬愛と億泰の確かな成長を感じさせ、涙を誘う名場面である。

最終的に彼は無事最後まで生き残ったのだが、以上の経緯から、
「バカだから生き残った」「お前はそのままでいいよ」といった感じでファンからは愛されており、
億泰は愛されるバカ枠として物語を完走したのであった。

名前の由来はロックグループ「The Band」。
スタンド名では珍しく、元ネタそのままではない捩ったネーミングである。
当然ながら忍者ではない。


MUGENにおける虹村億泰

+ Kishibe Light氏製作
  • Kishibe Light氏製作
     
MUGEN1.1専用だが、1.0用のファイルも同梱されている。
現在はデータが削除されており、残念ながら入手不可。

海外製だがボイスは日本語。あとポートレイトがやたらでかい。
操作は弱中強の攻撃、スタンドのON/OFF、緊急回避、スタイリッシュキャンセルの6ボタンで構成。タンデムアタックも搭載。
必殺技はザ・ハンドによる豪快な攻撃や、攻撃後に瞬間移動を行う技などがあり、
超必殺技ではザ・ハンドによるラッシュの後に頭上から落下してきた鉢植えを喰らって自分もダウンするという技がある。
AIは搭載されていない。

+ LautyCarp氏製作
  • LautyCarp氏製作
MUGEN1.0以降専用。
JUS』風ドットを用いて製作されたちびキャラ
こちらはザ・ハンドで相手を引き寄せたり、仗助を呼び出して「クレイジー・ダイヤモンド」で回復してもらう技を持つ。
DLは下記の動画から


上記の他にもSmartplus50氏、Ditchu氏、supersandia2氏、Gokurus氏の4名による共同製作の億泰も存在し、
現在はhamer氏によって代理公開されている。


「2人ともブン殴るつもりだったんだよ おれ頭ワリィからよ~~」

出場大会



最終更新:2023年06月11日 22:24