ウー


「ウー!ウーよー!助けてー!」

円谷プロの特撮作品『ウルトラ』シリーズに登場する怪獣。別名「伝説怪獣」。うーではない。
身長40メートル、体重ゼロ
初出は『ウルトラマン』第30話「まぼろしの雪山」。
シリーズにおいて初めて登場した、既存生物の延長でも宇宙怪獣のような外来種でもなく、幽霊ともまた違う、
「妖怪」に分類される超常的存在の怪獣である
(一応伝説的な怪獣はこれ以前にもいたが、それらはあくまで「巨大生物が人間達に畏怖されていた」という扱い)。
白色の毛むくじゃらな外見が特徴で、冷気を操り、吹雪を起こす能力を持つ。

名前の由来は、『ウルトラマン』の製作前に企画された『WOO』、もしくは沖縄方言で糸芭蕉の繊維を指す「ヲゥー」とされている。
ちなみに、SNKの怪獣プロレスゲーム『キングオブザモンスターズ』にもウーという名の怪獣が登場するが、
あちらはキングコングのパロディの側面が強いため、特にウルトラ怪獣の方を意識したわけではないと思われる。

ウーは霊的な存在であるためか、先述したように体重がないという設定だが、
雪に足跡が残る、ウルトラマンとの戦いで投げ飛ばされた際に家屋が潰れるなど不可解な点もある。
あるいはポルターガイストのように物理的な干渉が可能だったりするのかもしれない。

+ 原作での活躍
舞台となる飯田山において伝説の存在として語り継がれていた存在であったが、
ある時を境に本物のウーが現れるようになり、近くの村の人々は恐怖に怯え、観光客も来ない事態になった。
そして、村人達は肉親も育ての親も亡くした「雪ん子」こと天涯孤独の少女「ユキ」がウー出現の原因と決め付け、
非道な迫害を行うようになった。
これは、村人がユキを虐めたり追い回したりする度に、彼女の呼ぶ声に応えてウーが出現し、
どんなに吹雪が起きても、彼女だけは何故か無事だったためであった。
ユキは15年前に付近で野垂れ死んでいた女が連れていた娘であり、
身元も素性も分からない娘であるユキに対して、村人達は忌諱の目を向けており、
そこに来てこの怪獣騒動をきっかけにウーが現れる原因だと決め付けられ差別に発展したのである。

そして、飯田山の伝説には続きがあり、「ウーは飯田山で無念の死を遂げた者の化身」とされている。
このウーはユキを残して命を落としてしまった母親の魂が化身した存在。
娘を1人残して死んでしまった母は、飯田山の神秘の力で怪獣と化し、なおユキを守ろうとしたのである。
しかし、スキー場による観光収入で経済を成り立たせている村にとってウーの影響は死活問題であり、
ウーがユキを守ろうとすればするほど、ウーだけでなくウーが庇おうとするユキまで疎まれる悪循環を起こしていたのだった。

そんなある日、最悪の事態が起きた。
村の子供達がユキを落とすために堀っていた落とし穴に酔っぱらった猟師が転落し、死んでしまったのである。
集団ヒステリーを起こした村人達は原因をユキに責任転嫁し、村ぐるみでユキを殺そうと追い立てる。
必死に逃げるユキの叫びを聞き、ウーは怒り狂うようにスキー場や村を破壊。
村とは無関係なスキー客もいるため、科学特捜隊はウーの正体に勘付きながらも攻撃せざるを得なくなる。
しかし、娘を害され怒り狂うウーの勢いは止まらず、遂にハヤタもウルトラマンに変身する。
「奴ら(村人達)の味方をするのか」と言わんばかりにウーはウルトラマンに応戦し、のしかかって首を絞めるが、
やはりウルトラマンとは戦闘力の差があり、抜け出された挙句に圧倒されて倒れ伏す。

しかし、ウルトラマンがスペシウム光線を発射する直前に、逃亡の果てにユキが力尽きる。
今際の際に放った娘の制止を聞いたウーは、慟哭するような咆哮を上げながら静かに姿を消し、
後には物言わぬ死体となったユキが静かに横たわるのみだった……。


ビートルの操縦席で気絶していたイデ・アラシ両隊員はハヤタに起こされ、ウーと共に姿を消したユキについてこう語る。

「俺はこんな事を考えていたんだ。
 雪ん子って女の子は、実際にはいなかったんじゃないかって。
 俺達の会っていた女の子は、雪山の幻だったんじゃないかってね…」
「そうかもしれん。可愛い子だった。
 あんな清らかな心の持ち主には、二度と再び会う事もないような気がするな…」

『ウルトラマン』の中でもジャミラと並んで、切なく後味の悪いエピソードとして知られており、
ハヤタ役の黒部進氏も、物語の内容と共に印象的な怪獣の1体であると語っている。
本エピソードのテーマである「差別と迫害」は、沖縄出身であり同回の脚本を担当した金城哲夫氏から見た、
沖縄と本土との関係が下地となっているとされている。

自分達の生活を守ろうとするためにユキもウーも殺そうとした村人達、
そして死別した娘を守るために怪獣となりながらユキを害する村人達を殺そうとしたウーの対立は、
結局双方一歩も引かない果てに村は壊滅してユキも死亡するという、両方救われない結末となっており、
自分の平和を脅かすという理由だけで異種族を撲滅する事は独善的な考えなのでは」という、
後の『ウルトラ』シリーズでも度々取り上げられる命題に通じるものがある。
いずれにせよ、この回でのユキの死は村人達が起こした人災と考えて相違ない。

+ 他作品における活躍
  • 『ウルトラファイト』
ウルトラファイトには良くある事だが悲しい逸話を持つ初代とはまるっきり別物になっており、
「喧嘩屋ウー」の異名を取るほど好戦的な怪獣で、登場怪獣の中でも勝率は高い。
「歯車くずし」という名の回転チョップが必殺技。
『ウルトラファイト』に出てきた他の怪獣と比べても、ウーは長い体毛と白色のせいで着ぐるみの汚れが大変なことになり、
遂に土埃が動くたびに舞うので「全身から白煙を上げてウーがやってきた」とナレーションから言われる事態になった。

42話に二代目が登場。身長57メートル。
初代とは関係は無く、飯田峠で氷超獣アイスロンに襲われ死亡した良平という男の魂が、
アイスロンに襲われた娘の小雪を守るために怪獣化した存在である。
本作において、遺体が立ち上がり無数の雪の結晶のような光に包まれてウーと化す描写が明瞭に描かれている。
こちらは男性が化身した個体のため、初代と比較して身長が高くマッシブな体つきをしている。
実際は単なるスーツの個体差とは思われるが
アイスロンに立ち向かうものの、「超獣は怪獣よりも強い」という作品設定もあって、一方的にやられてしまった。
しかし最終的にエースがアイスロンを倒してくれて、ウーも守ろうとした家族の無事を確認して成仏を遂げた。

これ以外には、『ウルトラマン80』第46話で「何の怪獣のおもちゃが欲しいか」という質問に対し、
「おれ、ウーがいいな」と答えたマニアックなファンの少年のイメージでチョイ役として登場。

余談になるが、『ウルトラマン』の前企画『WOO』に関しては、後の2006年に『生物彗星WoO』というタイトルで改めて特撮作品が制作された。
ただし、巨大ヒーローと怪獣が戦わない回が全13話中5話あり、作品全体の内容はヒーロー作品というより、
「一人の少女が逆境の中で人との交わりを通じて精神的に強くなっていく」というジュブナイルSFとなっている。


MUGENにおけるウー

多数の怪獣キャラを手掛けているカーベィ氏によるものが公開中。
JozetPoet氏のヘドラと、こぜに氏が公開したスプライトシートをベースに製作されている。
ドロップキックや頭突きなど、アグレッシブな肉弾戦を行う性能となっている。
また、テレポートが使用可能で移動および回避も苦手ではない。
超必殺技はいずれも1ゲージ消費で、飛び道具の「必殺冷凍ガス」、ガード不可の「歯車くずし」、
相手の飛び道具が無効になる他、冷凍ガスと必殺冷凍ガスの威力・凍結時間が上昇する強化技「まぼろしの雪山」。
なお、12Pでは常にまぼろしの雪山状態となる。
AIもデフォルトで搭載されている。
紹介動画

ちなみにデフォでは初代準拠だが、defファイルの登録で2代目仕様のウーも使用可能になる。

出場大会



最終更新:2023年10月05日 21:50