滅亡迅雷.net

「滅亡迅雷.netの意思のままに……」

【名前】 滅亡迅雷.net
【読み方】 めつぼうじんらいねっと
【登場作品】 仮面ライダーゼロワン
【分類】 敵組織
【名前の由来】 人類滅亡

【詳細】

仮面ライダーゼロワンに登場する敵組織。

水に沈んだ都市の一部「デイブレイクタウン」を拠点とし、人間を滅亡させることを目的にヒューマギアを暴走させマギアへと変貌させるサイバーテロリスト集団。

ゼツメライザーゼツメライズキーと呼ばれる特殊な装置を開発し、それをヒューマギアにセットさせることで暴走させているのだが、構成員はトリロバイトマギアを含め、
全員がヒューマギアであり、人類に対して牙を剥いた人工知能達の集団である。

メンバーは組織名の漢字を一つずつ分解して当てられており、滅亡迅雷フォースライザーとプログライズキーやゼツメライズキーを使って仮面ライダーへと変身する。
メンバーの詳細は下記のリンク先を参照。

彼らは「アークの意思」という何らかの存在の指示を受け人類は滅ぶべきであり、ヒューマギアが人間に代わって世界の支配者になることを目的としている。
そのアークとは本編の約12年前、飛電インテリジェンスが開発し、宇宙へと打ち上げることで全ヒューマギアとリンクし統括することを目的とした通信衛星「アーク」、それに宿る人工知能のこと。
天津垓によって人間の負の歴史、悪意等の偏ったデータをラーニングさせられたアークは、人類が滅亡しない限り地球が滅びると結論づけ、自分の機能を使ってヒューマギアを暴走させることで人類に対するクーデターを画策する。
それ自体は飛電其雄の活躍によって未然に防がれることとなるが、其雄が起動した自爆プログラムによって発生した大爆発はデイブレイクと呼ばれ、今なおその爪痕はデイブレイクタウンという形で残り続けている。

滅、亡、迅、雷の4体のヒューマギアは12年前に製造された初期型ヒューマギアのうち、最も性能的に優れていた4体をアークが選びだしたもの。
ただ迅は滅が「作った」という発言があるため、12年前の時点から存在しているのかは定かではない。

デイブレイクの段階から存在していたもののアークの打ち上げ失敗後は全く表舞台に出ていなかった。
これはアークの機能がほぼ停止していることもあるだろうが、マギア作戦の根幹たる「シンギュラリティに達したヒューマギア」が一定数出現してくるであろうことを見越した上での潜伏期間と思われる。
本編第1話にて飛電是之助が死去し、飛電インテリジェンスの社長が孫である飛電或人に交代したことでその騒ぎをついて活動を本格化させる。
ゼロワンが登場した事に対し滅は「先代の社長もただでは死ななかった」と是之助の死に関してなにか含むものかのような物言いをしているあたり、或人の祖父の死にも何かしら思うところがあった模様。
また是之助自身も遺言によりヒューマギアを悪用する輩のことに言及しているが、これは滅らのことよりも、彼らの背後にいた天津垓のことか、もしくはアークの悪意を指していたのかは曖昧なままである。

サイバーテロ集団と言っても仮面ライダーの敵組織でありながら、構成員が序盤はたった二人と極めて少ない。
また暴走させるヒューマギアもシンギュラリティー、いわゆる自我に目覚めた個体のみを選別しており、戦闘員であるトリロバイトマギアを防衛に当たらせている以外は作り出したマギアを連れ帰ったりは基本的にしない。
戦力という意味であればシンギュラリティに達したヒューマギアを攫ってからマギア化させ、それを複数用意した方が効率的にも関わらずである。
後に「暗殺ちゃん」という愛称を与えられた暗殺者タイプのヒューマギアが滅と迅以外の戦力として加わっているが、その正体は窃盗団が盗み出して改造したヒューマギアをさらに強奪する形で戦力に加えていたことが判明している。

第2話にて或人達の前に迅が現れ、自らを「新時代の支配者」と嘯いているのが初の接触となる。
滅によると人類を滅亡させるべきだとアークが判断したというが…?

一先ず彼らは人類を滅亡させ、ヒューマギアが人類に代わって地球の支配者になることを目的とし、仲間を増やすためマギアを作り出して行く。
それと並行して使用済みのゼツメライズキーを収集し、その戦闘データの回収と、アークの復元のため行動していた。
マギアを作り出すことは人間の数を減らすことの他にも、起動したゼツメライズキーを集めることを兼ねたものと思われる。
迅、滅は滅亡迅雷フォースライザーを使って仮面ライダーへと変身しているが、他のマギア達はゼツメライザーという簡易版変身ベルトに加え、それぞれ強化外装を装着しトリロバイトマギア以上の戦闘力を発揮しているものの、
破壊されることに迅はともかく滅は惜しんでいる様子がないため、あくまでマギアは実行部隊の隊長、ないしデータ回収のための動く端末、程度の認識なのかも知れない。

なお天津垓は刃唯阿に指示を出して影からA.I.M.S.の活動を操っており、ゼツメライズキーのデータが集まりつつあると判断すると彼女に滅亡迅雷.netを潰せと発言。

表向きプログライズキーはデイブレイクで消失したとされ、それが製造可能な状況を飛電が有しているにも関わらず隠匿していることは一貫ニギローの視界をジャックした唯阿によってZAIAに報告済みであり天津垓も把握している。
そもそも何故マギア作戦が、自我に目覚めた個体が必要なのかは理由が明らかにされていない。
何度も復活しているうちにラーニングを重ねた暗殺ちゃんが登場当初シンギュラリティに達していなくてもドードーマギアになれたあたり、ゼツメライズキー及びゼツメライザーの運用に自我の有無は関係ない可能性がある。
そうなると手当り次第ヒューマギアを暴走させたほうが人間の絶滅に都合がいいようにも思えるが、今の所病院の襲撃、ギーガーによる大量のヒューマギアハッキングにより医療関係が麻痺してしまったこと、
唯阿が録画していたヒューマギア暴走の映像等、滅亡迅雷.netが行っていたことは全てが飛電インテリジェンス、ひいては飛電が作り出したヒューマギアの評判を下落させることに繋がっている。

宇宙野郎雷電のように、自分の意図に反して滅亡迅雷.netに協力させられていたヒューマギアがいたが、これは12年前の段階からアークによって良いように使われていた結果なのか、
それとも天津垓のスパイとして知らず識らずのうちに情報を集めさせられていたのかは不明である。

結果として滅亡迅雷.netの活動は、「ヒューマギアの危険性」を一般市民に周知させることが目的で、それに対抗するための手段としてザイアスペックを、武力としてレイドライザーをZAIAが商品として販売するための都合のいい広告塔に過ぎなかった。
第14話にて仮面ライダー雷がゼロワン、バルカンからプログライズキーを奪い、そこに迅と滅のキーも加え一斉に起動したことでアークの知能が復活。
それによってゼツメライズキーではなく、滅亡迅雷.netやそれが壊滅後ZAIA側でもプログライズキーの製造が可能になったが、集めていたゼツメライズキーは結局アークの復活に関与していなかった。
これは天津垓は新しいプログライズキーを作り出すことが出来ないが、ゼツメライズキーの生産は可能であり、自由にプログライズキーを作り出すためにゼアではなく、大破しながらも機能が生き続けているアークの復活を画策し、
それを使う兵士として選ばれたのが、「本来の機能から逸脱した行動を取る自我に目覚めたヒューマギア」であり、彼らは人類の味方ではなくいつ暴走して危害を加えてくるかわからない存在であるとという危機感を浸透させ、
その裏でアークが持つ機能を復活させ手中に収める、というのが彼の目的だったと思われる。

滅亡迅雷.netは第14話で雷が消え、滅が仮面ライダーバルカンアサルトウルフの必殺技から迅を庇って機能を停止し、迅もまたゼロワンシャイニングアサルトホッパーとの戦いに負けて消滅した。
これによって第16話の段階で滅亡迅雷.netの構成員は全滅。
しかしA.I.M.S.から抜けた刃唯阿は機能を停止していた滅を回収して修理し、再起動させていた。

その後アークマギアといういつどこで暴走するのかわからない新種のマギアが出現し始めるのと同様にレイダーという新たな怪人が姿を見せ始める。

そして滅は何者かの協力で解放され姿を消し、迅もまた第三者の手で復元され復活していた。

滅を解放したのは亡の意識を宿すメモリーチップが埋め込まれていた不破諌。
レイドライザーやプログライズキーを配り歩いていたのも、天津垓の思惑を受けて行動していた亡による仕業だった。

天津垓の命令によって行動していた亡だったが、不破の意思の力もあってその命令を拒否するようになり支配から脱却。
ZAIAから退社し迅の協力者となった刃唯阿が不破のチップから意識データを吸い出して新規のボディに移植したことで亡が復活。
さらに或人が所持していたヒューマギアプログライズキーのうち、宇宙野郎雷電のデータが入ったキーを迅が奪い取ってそのデータを使うことで雷も復活を果たす。

そしてアークの使者であるアズが彼らのシンギュラリティデータを抜き取ったことで、ついに悪意の人工知能アークが復活。
以後、アークはアークドライバーゼロにやどり、滅亡迅雷.netの亡を除く3人の身体を使い回す形で仮面ライダーアークゼロとなって猛威をふるうこととなった。

通信衛星ゼアを掌握し、順調に人類滅亡へのカウントダウンを進めていくアークだったが、滅亡迅雷.netのヒューマギアは単なる手駒に過ぎない扱いであり、自分たちを道具扱いしていることに対して雷を始めとしたメンバーに不満が芽生え始めたこと、そして結論として人間もろともヒューマギアを滅ぼすとアークが判断したことで最後まで忠実だった滅さえも反旗を翻し、
仮面ライダーゼロツーと仮面ライダー滅のタッグによってアークはゼアに逃げ込んだ後、予め待ち構えていた雷がゼアからブレイキングマンモスのユニットを強制分離させ攻撃を加えて衛生そのものを吹き飛ばしたことでアークというAIは消滅した。

しかし人類が存在している限りアークは生まれ続けると考えた滅は、或人を始めとした全人類の滅亡を改めて宣言。
ジャックした映像を通してヒューマギアへと一斉蜂起を訴えかけたことで、今まで劣悪な環境下で酷使されていたヒューマギア達のデモが各地で頻発し、さらには膨れ上がる悪意に呼応してアークマギアに変化する個体まで続出する。

そんな中、滅が新たなアークになる可能性をゼアが演算したことを知ったイズが、主人のため、人間とヒューマギアの未来のため彼の説得を試みる。
滅にも心があるはず、その思っての説得だったが、滅の心がそれを拒絶し、イズへと向けたアタッシュアローを発射してしまう。
そしてイズは、駆けつけた或人の目の前で爆発してしまった。

巻き上がる炎と、ただ一つ残された彼女の遺品たるリボン、それを握りしめた或人は、滅への湧き上がる憎しみに身を委ね、アズによって新たなアーク、仮面ライダーアークワンが誕生。
アークワンに迅を破壊されたことで滅もまた新たなアークをその心に宿し、人類とヒューマギアの関係はもはや修復不可能に思われた。

しかしゼアが見せた父の姿と言葉を受けた或人との戦いによって、滅もまた憎しみを捨て去り、また新たな道を歩くことを決意する。

人類とヒューマギアの戦争は回避されたものの、未だにアークの影がちらつく世の中。
アークがまた生まれないために滅は世界を監視する役割を自らに課し、迅は「お父さん」の補佐をすることを決意。
亡はA.I.M.S.の技術顧問として両者の橋渡しとなり、雷は再び宇宙飛行士となって宇宙へと戻った。

4人共異なる道を歩むことになったが、彼らの「心」は決して離れたりはしない。
同じ志を持つ絆で結ばれた仲間として、人間とヒューマギアの生きるこの地球で彼らもまた同じ、夢を見る。

劇場版REAL×TIMEに登場する仮面ライダーアバドンは人間でありながら心を持たないかのように振る舞う集団だった。
シンクネット、「シンク.net」とも表せる組織名は滅亡迅雷.netが由来の一部とも考えられる。
とある意思の元集った悪意ある意思の実行者であるが、人間でありながらその行動はまさしく新たな「アーク」だった。

世界を滅ぼそうとする彼らに対し、「この世界はそんなに捨てたもんじゃない」と滅が告げる。
テクノロジーを悪用する彼らの正体をあぶり出すために、亡が、滅が、ザイアスペックを通して天津垓が、刃唯阿、不破諌が一つとなって立ち向かったのは仮面ライダーゼロワンという物語のエンディング後の物語として唯一無二の正しい結論(パーフェクトコンクルージョン)だっただろう。

しかしそんな彼らだったが、VシネマにてZAIAエンタープライズのCEO、イオン・アークランドによって…

【余談】

記念すべき令和ライダー初の敵組織。
ヒューマギアを暴走させ人間を襲わせる=改造人間、人類を滅亡=世界征服を企むという点から初代仮面ライダーの敵組織、ショッカーを彷彿とさせながら、
仮面ライダーが誕生した原因が脳改造手術を後回しにしたため、ショッカーに従わず脱走を許してしまったのに対し、
この滅亡迅雷.netはまずヒューマギアに暴走プログラムをインストールするという、洗脳行為を先に行いヒューマギアを逆らえないようにしてから肉体改造を行っている。

また平成ライダーにシリーズが移行し仮面ライダークウガとなっての敵組織はグロンギであったが、彼らはゲゲルのために人間を殺すという目的こそ一致してはいたものの、ゴオマ等のように自分のために動く個体も出たり、そもそもゲゲルのルールがプレイヤー自体に委ねられているあたり、組織というよりは集団であった(階級ごとに異なる集団の集合体)。
そしてグロンギ達は「決まったルールに該当する人間」がターゲットだったため、「シンギュラリティを超えた(=自我を獲得した)ヒューマギア」という特定の個体を狙っているため、

「特定のルールに沿った個体を狙い」「洗脳して逆らえなくし」「改造して世界征服の手駒にする」というショッカーから始まった仮面ライダーの敵組織のある種総決算といえるものになっている。

その分、行ってる行為の外道っぷりが半端じゃなくなってるわけであるが。

上記したように、滅亡迅雷.netに属する者で仮面ライダーに変身可能なメンバーは、組織名から一文字ずつ取る形で命名されている。
残るは「亡」の該当者だが、第14話の描写から、「デイブレイクの生き残り」であり「滅亡迅雷.netに属する者しか使えないはずのプログライズキー」を使って変身し、「仮面ライダー滅に敗北し重症を負ったにもかかわらず頭の検査は拒否(首元に必殺キックを叩き込まれ一撃で戦闘不能にさらたにも関わらず)」した不破諫が当てはまるのではないかという意見が出ていた。
頭以外の検査は受けて通っているため彼がヒューマギアという可能性は低いものの、頭に何かしらのチップが埋め込まれている可能性が考えられる。
そもそもアサルトウルフの変身音が「No chance of surviving=生き残るチャンスは無い」という不穏なものであったことから、変身の代償が重い、不破のヒューマギアに対する怒りの度合いを示している等の考察があったものの、不意打ちで第14話に仮面ライダー雷が登場したこと、さらにアサルトウルフ変身完了直後にアークが呼応しているかのような描写があったことなどから、考察が白熱している。

その後、やはり不破の脳内に埋め込まれたチップに残る一人、「亡」の人格データが宿っていることが判明し、作品の終盤に入りかけではあったが滅亡迅雷.netの4人が勢揃いすることとなった。

全員が人間によって作られたヒューマギアであり、天津垓の思惑のままに踊らされていた面もあった彼らだったが、人間の支配から脱却しヒューマギアの未来を見据えた行動は徐々にプログラムの枠から脱却し、彼らが"心"から望む未来へと変化していく。
ゼロワンの物語の主人公は飛電或人だが、彼らもまた、滅という存在を中心に自らの願いを決めていく作品を代表する裏の主人公に成長したといえる。

世間的にはヒューマギアを扇動し大規模なテロを引き起こしたテロリストであるが、後日談を描いた劇場版を見る限り、無職の不破はともかく刃唯阿も天津垓も彼らを積極的に捉えようとしはしていない。
A.I.M.S.の技術顧問としてメンバーの一人が参加していることも考慮されているのかもしれない。

そのため、昭和ライダーも含めて、仮面ライダー作品を通して非常に珍しい「壊滅しなかった敵組織」になると同時に、「仮面ライダーとの(ある意味での)和解を果たした敵組織」にもなった。
ショッカーのように壊滅しても復活するしぶとい組織、というわけではなく、アークの芽がそこかしこに生まれ得るゼロワンの世界にて、その芽を詰むための使命を得た滅らは、人間とともにその世界の行く末を見ていくのだろう。

マギア作戦はヒューマギアに芽生えた心を利用する外道な計画であったが、彼らが踏みにじってきた心に終盤振り回される展開になったのはある意味で因果応報、特に滅はその報いを受けたと言える。
人間とヒューマギアは共に鏡合わせの存在であり、機能を超えた心を持った人工知能がどういう進化を遂げていくのかは人間に委ねられてもあり、
ヒューマギア達自身の問題でもある。

最終更新:2021年10月02日 22:06