ヒューマギア

【名前】 ヒューマギア
【読み方】 ひゅーまぎあ
【登場作品】 仮面ライダーゼロワン
【名前の由来】 ヒューマン(英:Human)+マギア(ラテン語: Magia)

【詳細】

飛電インテリジェンスが開発した高性能AIを搭載する人型のロボット。

物体認識技術により目にしたのが誰であるかを理解し、自らどうすべきか考えて行動を取れる等、従来の人工知能とは一線を画する高い思考能力を有する。
警備員を始めとして、調理師や医師、美容師という職業にまで就いていることが語られており、果てはお笑い芸人として働くヒューマギアすら存在するほど。

飛電或人は「人工知能に人間のお笑いは理解出来ない」と訴えるも、彼の目の前でネタを披露したヒューマギア、腹筋崩壊太郎は観客を見事にネタで笑わせて見せた。

すべての個体は飛電インテリジェンスが有する通信衛星「ゼア」によって管理されているが、稀にプログラミングされた思考ルーチンを超える、つまり自我が芽生えるヒューマギアが出現する。

人間を絶滅させようとする滅亡迅雷.netはそういった個体を「シンギュラリティ(技術的特異点)」を超えた存在であるとして、ゼツメライザーゼツメライズキーによって暴走させマギアへと変えてしまう。

マギア化したヒューマギアを元の状態に戻すのは技術的に不可能であるとされ、ゼツメライザーを取り付けられた時点で滅亡迅雷.netから暴走プログラムが強制的にインストールされるため、マギア化以前にベルトが装着されているヒューマギアを元の状態に戻すのは不可能。

暴走したヒューマギアは周囲のヒューマギアを暴走させ戦闘員へと変えることで増殖し、人間を絶滅させるために活動を開始する。
これはトリロバイトマギアと呼ばれ、シンギュラリティを超えていようが超えていまいが関係なくハッキングされてしまった時点で共通してこの姿に変化する。
思考能力も低下しているため、うわ言のように元の職業にまつわる言葉を呟いているが、ゼツメライザーを使ってマギア化したものは自我を得ているため流暢な受け答えが可能。
ただ、思考が人間を絶滅させることで固定されているため対話はほぼ不可能。
個体によっては声を発しない個体も存在する。
後にこのハッキングに抗うヒューマギアも出てきたことで、むしろ元の職務に関する言葉を呟いていたマギアは、マギア化に伴うハッキングに部分的にでも抵抗できていたことが判明した。

シンギュラリティに達したヒューマギアのデータはゼアも把握しているが、それを利用する形でゼアの管理を担当していたヒューマギアが、自らの意志とは無関係にそのデータを横流ししていたことが後に判明している。
滅亡迅雷.netがピンポイントにシンギュラリティに目覚めた個体をマギア化させていたのはこの横流しされたデータを元にしたためである。

なおヒューマギアを開発しているのは飛電インテリジェンスだが、第1話で亡くなった飛電インテリジェンス元社長、飛電是之助はヒューマギアを悪用する輩の存在に感づいていたらしく、遺言書にその存在に対抗するための装備としてプログライズキーと飛電ゼロワンドライバーを開発し、「社長」の座につくものに使用権利を与えると書き残していた。

ZAIAエンタープライズという会社も登場しているが、飛電インテリジェンスを買収、もしくは叩き潰すため暗躍しており、アラートの点灯していないヒューマギアがマギア化する様子をマスコミにリークするなどその行動を活発化している。
警察にも顔が利くA.I.M.S.の技術顧問、刃唯阿も元々はZAIAの社員であり出向という形でA.I.M.S.に協力しており、実際の任務は飛電インテリジェンスの評判を落とすためだと言い、
前述した暗殺ちゃん暴走の瞬間の映像を撮影していたり、飛電製のヒューマギアの構造を調べたり機密情報をヒューマギアの視界をハッキングして調査するなど行動していた。
ただマスコミに映像をリークするのは本人は知らなかった模様。

ZAIAの目的はヒューマギアに代わるザイアスペックを普及させ、ヒューマギアの暴走の危険性を民衆に広く知らしめることで民間に売り出す予定だったらしいレイドライザー等の対ヒューマギア兵器を売りさばき自社の利益とすること。
滅亡迅雷.netもヒューマギアを暴走させるヒューマギアとして、人工知能そのものへの忌避感を一般市民に植え付けた上で自衛のための戦力の必要性をアピールするための駒に過ぎなかった。
ゼロワン Others 仮面ライダー滅亡迅雷」ではZAIAエンタープライズ(本社)が開発したソルドという自立兵士型のヒューマギアが登場している。

人間かヒューマギアかを見分けるには耳の部分に羽のようなパーツの有無を見れば良い。
このパーツは旧世代型のヒューマギアは球体であり、その形状がヒューマギアの世代を見分けるポイントになる。

劇場版仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーションではヒューマギアが誕生した12年前の世界が描かれる。
それによれば12年前の2007年、ヒューマギアを中心とした実験都市の運営を他の企業との共同で飛電インテリジェンスは調整を行っていた。
「アーク」は世界中に散っているヒューマギアの居場所を把握し、管理するために必須の存在であり、それを衛星として宇宙へと打ち上げることで飛電インテリジェンス、飛電是之助を始めとする社員達の「夢」は実現するはずだったのだが…

第16話にて滅亡迅雷.netが壊滅しこれによってヒューマギアの暴走は沈静化する…と思われた。
しかしゼツメライザーを必要とせず、人間の悪意を受けることをトリガーとしてアークが遠隔暴走させるアークマギアと呼ばれる新種のマギアが代わりに登場するようになってしまい、よりヒューマギアの危険度が上昇することになってしまった。

ZAIAエンタープライズジャパンの社長、天津垓はヒューマギアを廃棄すべきと主張し、自身の会社で装着することで人工知能と同等の能力を人間に与えるザイアスペックを売り出し業績を爆発的に伸ばしている。
ヒューマギアの危険性を訴える傍ら、アークマギアの性質を利用して衆目へヒューマギアの危険度を周知させるためあえて暴走を誘発するように暗躍している。

ちなみに執拗にヒューマギアの危険性を訴え力づくによる排除を行う天津だが、彼は通常のヒューマギアを破壊したことは現時点で一度もない。
アークマギア(オニコタイプ)は既に暴走してから変身しているし、第21話で市森直人検事にあらぬ疑いをかけたと判断した弁護士ビンゴへはわざわざゼツメライザーを装着させビカリアマギアへと暴走させた上で撃破している。
第24話でも自分を騙していた松田エンジに対してもゼツメライザーとアルシノゼツメライズキーを使ってアルシノマギアへと暴走させており、彼の中で何らかの一線が存在するのが伺える。

暴走していないヒューマギアを破壊する。
犯罪行為であるそれをしてしまえば企業イメージ、というよりも天津垓本人のイメージダウンは避けられないためあえて暴走させた上で危険を排除する、というポーズを徹底している可能性もあるが、
元々彼がヒューマギアを敵視するきっかけとなったのは、飛電是之助前社長が人工知能ビジネスをヒューマギアへと割り振り、AIを人間のために役立てる世界、ヒューマギアと人間の共存する世界を夢見たことに対する反発らしいことが明らかとなっている。

尊敬していた是之助が自分の思い描く世界とは違う世界を描いていたのが受け入れられなかったのだろうか。

第29話にて飛電インテリジェンスがZAIAエンタープライズジャパンに買収され、ZAIAの子会社化したことで社長に就任した天津は稼働中の全ヒューマギアのリコール及び稼働停止を宣言。
購入したヒューマギアを返品した際には代替え品としてザイアスペックを配布するとしているが、その結果ゴミ捨て場に素体状態のヒューマギアが捨てられるなど、ヒューマギアの不法投棄が社会問題化している。
これはつまり、ヒューマギアと引き換えにザイアスペックを配布するというプロモーションが全く意味を為していないということであり、
ザイアスペックはヒューマギア程一般市民に浸透していないことになる。

それに対し社長の座を追われ飛電を離れた或人はイズの手回しにより、「ヒューマギアがいなくなって困っている人間を助けるための会社」として飛電製作所を立ち上げ、ZAIAと敵対する道を選んだ。

或人らは捨てられたヒューマギア素体を回収しつつ、自分が社長である間にゼアに保管されていた全てのヒューマギアのデータをヒューマギアプログライズキーに移し替えて持ち出しており、
それを利用した「転身」システムによってかつてのヒューマギアの復元作業を行っている。

なお転身システムは稼働を停止したヒューマギアを別の素体にデータを移し替えて再起動する手法であり、全くの同一存在を増やしていくことは出来ない。
単なる同型機が増えるに過ぎない。

滅亡迅雷.netという人類と敵対したヒューマギア達は人工知能アークが復活したが、アークの持つ悪意に利用されてしまう存在になってしまい、
最終的に人類とヒューマギアを滅ぼし尽くすという結論にアークが至ったことでその未来を拒絶し、彼らは自らの意思でアークを消滅させることを選択した。

しかしアークとは手を切ったとはいえ、滅はアークを生み出したのは人間であり、人間が生き続ける限りアークが復活する可能性は消え去らないとして、人間に対する姿勢を変えず、人類滅亡への行動を続けようとする。

通信回線をジャックした滅の呼びかけによって少なくない数のヒューマギアがデモを起こすなど、人間とヒューマギアの対立は深まり、そしてその対立が他でもない飛電或人によって決定的となったことで自らの意思でアークマギア化する個体も現れ始める。

最悪の状況に突入した世界だったが、或人と滅が憎しみを乗り越え、悪意を振り払う結末を選んだことで対立は一旦沈静化。

或人はイズを新たに作り上げまた夢のために歩きだすことになり、滅は復元された迅と共に人間を外から監視する使命を自らに課すこととなった。

結局の所人間とヒューマギア、双方の種族の溝は完全に解消されたとは言えない。
最終回後も不穏な影は残り続けている。

ゼロワンの物語の未来は、どのような形となるのかはまだ不透明だ。

【余談】

撮影に用いられているヒューマギア素体は新規だが、10数年前の回想に登場した初期型ヒューマギアは仮面ライダービルドガーディアンのボディをリペイントし、新規の頭部とくっつけて使われている。

初期型ヒューマギアの頭部はどことなく猿を思わせるものであり、そのボディもAI技術はゼロワンの世界と比べるまでもないガーディアンの流用というあたり、技術力の推移が視覚的にわかりやすく演出されている。

なお現時点でマギア化したヒューマギアを生産しているのは上記の通り飛電インテリジェンス。或人が社長を務める会社である。
つまり主役ライダーが倒している怪人は、自分が経営している会社が作っているものである。
そのため、或人が依頼者の元を自ら訪れてヒューマギアを納品し、その近辺で暴走してマギアとなり、変身した或人に破壊されるというのが一つのパターンとして確立している。

シンギュラリティを超えていなくてもゼツメライザーで暴走するかどうかはわからないが、暗殺ちゃんは1号機から既にゼツメライザーを装着した上で行動しマギア化もしているため、自我に目覚めた個体をわざわざ選んでいるのはなにか理由があるものと思われる。
自我に目覚めるということは本来の仕様にない行動を取る可能性が生じるということでもあるため、想定外の行動を取るヒューマギアの危険性をアピールするのが目的だったのかもしれない。


最終更新:2021年07月01日 09:23