時制

エシュガル語の時制(テンス)

 エシュガル語では時制の明示は必須ではない。例えば「明日に」を意味する tà faocjur という語句が文中にある場合、それで未来だと判る為に通常は時制標識を添えない。

 もちろん明示する事も出来る。過去を示す 、現在を示す 、未来を示す があり、文中の適当な位置に放り込めばよい。

 また数(単複)の標識と組み合わせて意味を拡張する用法もある。

  • pà、dì、kù
 単純に時制のみを示す。例えば過去時制が「今は違う」的ニュアンスを含んでいたりはしない。

  • pà yù、dì yù、kù yù
 時制に「今は違う」とか「その時だけ」的なニュアンスを含ませたいのであれば単数標識を添える。

  • pà rà、kù rà
 過去時制に複数標識を添えるといわゆる大過去となり、普通の過去時制とセットで使って「そっちの方がより過去」と明示したい場合に用いる。大未来も同様。

  • dì rà
 論理的に使うべきと思われる時制と心情的に使いたい時制に食い違いを感じた際にとりあえず使っておく形。

 かつて、母語の影響で現在の事なのにニュアンス表現のために過去時制にしてしまう事例が頻出し、意思疎通に支障をきたす場合があった。どういう場合に過去時制にしたがるかはそれぞれの話者の母語により異なったものであり、感覚を共有しない者にはニュアンスの過去形なのか実際の過去形なのか区別が付かなかったからだ。当時から大過去・大未来の用法はあったものの現在複数形は何に使われているわけでもなかったので、そういう場合は代わりにこれを用いるよう申し合わせが出来た。

 もちろん、現在でもその現在複数形がどういうニュアンスを表しているのかが理解されにくい場合はよくあるのだが、少なくともニュアンスの問題でしかないという点が明瞭になっただけ以前より色々とましになったと云えるだろう。






最終更新:2022年09月02日 17:17