永琳×ゆっくり系18 耐久実験


「むーしゃ・・・むーしゃ・・・」
ゆっくりれいむは幸せではなかった。
釣りに使う練り餌なんて今まで食べていたものに比べれば食べれたものじゃない。
部屋は3畳ほどのコンクリの打ちっぱなし、遊ぶものなど何も無い。
太陽もなければ、空も見えない。自分がここに来て何日経ったか、もう曖昧になってきた。
照明の点灯の回数を数えていたが、出れないのだと知ってから数えるのをやめた。
仲間が助けに来てくれるとは到底思えない。
ゆっくりれいむは知っている。自分は売られたのだ。
群のリーダーは身寄りの無いれいむをたったクッキー三枚で引き渡した。

「さみしい」
ゆっくりれいむは囚われてから一度も誰かに会っていない。
起きたら、この部屋の中にいた。餌もチューブから出てくるだけ、水も同じだった、ただ部屋の真ん中に小さな箱があるのだけが、
この部屋の変わったところだった。その箱には数字が表示されている。今の数は100と表記されていた。
ちょっと前は50だったはずだ。





「紫、仮説が一つ出たわよ」
永琳は嬉しそうに紫に珈琲を出す。
「この前のような個体強化ではなくて?」
紫はマグカップを受け取る。
「そう、あれは失敗ね。いくら優秀な個体を作っても、一体ではあなた達がどうにかしてしまうわ」
「どこに隠したって私は見つけられるしね」
「だから、私は・・・する事にしたの」
その瞬間、紫から笑顔が消え、後ろに飛ぶ永琳を追いかけるように弾幕が展開される。
スペカですら無いようなお遊びの弾幕、永琳がこんなものに被弾するとは紫も思っていない。
「まだ焦ってはダメ。まだ仮説よ、仮説。それにこんな事、上白沢と貴女の思惑が一致すれば簡単に阻止できるでしょ」
そこへ兎が飛び込んでくる。主である永琳を守りに出てきたのではない。結論の報告だ。
ニ三、言葉を伝えると兎はすぐに部屋から出て行った。
「残念、今日はただのお茶会になりそう。上に行きましょう。輝夜もあなたに会いたがっていたわ」
紫の顔に笑顔が戻る。
「悪いことはするものではないでしょ?」
「あなたに言われたくないわ」
そう言って永琳と紫は実験室ではなく永遠亭の庭に移動した。





「なにごれ!!」
箱の数字が1000を越えた頃からゆっくりれいむに大きな障害が出始めた。
嘔吐、それも変な草を食べてしまった時とは違う。何度も何度も繰り返される嘔吐、
ゆっくりれいむは餡子がなくなるのを恐れ、吐瀉物を口の中に押し込む。
それでも悪心はゆっくりれいむの身体の底からあふれ出る。
何度も嘔吐を阻止しようと口を閉じる。
すると急に目が痛み出す。悲鳴を上げたいにも口を開けば餡子が出てしまう。
左目の視界が黒く塗りつぶされていく、言い様の無い恐怖にゆっくりれいむは怯えるが、
今は少しでも身体に餡子を留めておくのが優先される。我慢、我慢。
すると、どこかで堰を切ったかのように体内の餡子が減っていく。
同時に悪心も無くなったが、餡子の流失は止まらない。
「どご、どごがらでてるの!!ゆっぐりとまっでね!!!」
鏡の無いこの部屋ではわかるまい。だが、しかし、可哀想にもこのゆっくりれいむは頭が良い部類だった。
群の重役に据えれば、群も安泰だったろうに。たかだかクッキー三枚。
ゆっくりれいむは床にあってはならない物を見つけた。眼球だ。
つまり、この餡子は眼球を押しのけて、ゆっくりれいむの目から流れ出ているのだ。
「どまっで!!どまっでよ、うぐぅ」
またゆっくりれいむの口から餡子が流れ出す。

紫が帰った後に、永琳はため息をつく。
「8000mSv程度は耐えて欲しかったんだけど・・・」
「素直にゆっくりを強化すれば良いのに」
てゐは資料とゆっくりれいむの映像を見比べながら笑う。
「人間が弱体化すれば条件は対等だと思ったんだけど」
「致死量の放射線を浴びせる行為のどこが対等なのか月の頭脳にご教授願いたい」
「ダメね。人間を弱体化させる方向だと、どうも敵が増えるわ」
てゐは呆れてお手上げのポーズをとった。
「とにかく、あの実験室はこのまま封印するわ」


ゆっくりれいむのいた部屋、
その部屋は地下深くに隔離された。
ゆっくりれいむの言う通り、
誰からも気にされない「さみしい」場所になった。















~あとがき~
永琳にとってはちょっとした実験。
他愛も無い実験の中の、特別気にかけていないものの一つ
紫とのお茶会のちょっとした話題作り
ですので、今回は少し虐待分が少ないと思います

by118




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最終更新:2008年09月14日 11:02
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