ゆっくりいじめ系874 ゆっくりに心囚われた男

※読後感の良さはあまり無いと思われます。ご注意下さい




とある人里に、年若い夫婦がいた。
夫は優しくて力持ちを体現したかのような働き者で、妻もそんな夫を支える理想的な伴侶だった。
そんな二人の間に子供ができた。それはそれは元気な女の子だった。

ある日の事。
夫は村の男衆と共に、最近現れたと噂される巨大ゆっくり対策のための会合に
妻は近所のお婆さんの家に自家製のお漬物をお裾分けしに行っていた。
赤ん坊はすやすやと昼寝をしていたので、少しの間だしお婆さんの家はすぐ近所だからと妻は赤ん坊を家で寝かせておくことにた。

お裾分けをし、少し話し込んでしまったと妻が早足に家に戻った時だった。
家の中から子供の泣き声が聞こえたので、妻は急いで家にあがっていった。
留守にしている間に起きていて、近くに母親が居ないので泣いていたのか、と。ごめんね、すぐ戻るつもりだったんだよ、今すぐお母さんが行きますからね、と。

妻はそこで信じられないものを見た。
それは妻と同じぐらいの背丈を持つ、巨大なゆっくりれいむ。膨れた下顎が嫌悪感をもたらす薄汚れた饅頭だった。
そして、妻の子供の泣き声が、巨大れいむの口の中から聞こえてくる様だった。

「ゆゆっ? おねぇさん、かってにれいむのゆっくりぷれいすにはいってこないでね!」

妻に気付いた巨大れいむが頬を膨らませて威嚇しながら抗議の声をあげた。
そしてその声に重なって聞こえるは赤ん坊の泣き声。少しくぐもってはいるが、それは間違いなく巨大れいむの口の中から響いていた。

「……返して」
「ゆっ?」
「返して!! 私のっ、私とあの人の赤ちゃん! 返して!! その子を返せっ、化け物!!!」

妻は我を忘れて巨大れいむに飛び掛った。
妻の中にあるのは愛しの我が子を化け物から取り返すということだけ。一刻も早く救い出さなければという思い。
しかし、飛び掛る妻に巨大れいむは体当たりを返した。
双方が正面からぶつかりあった時、重い方が勝つのが道理。背丈は同じでも、横幅が人間よりも太く、中に餡子の詰まった巨大れいむの方が当然強い。
妻は巨大れいむの体当たりを真正面から受けて畳の上にひっくり返った。

「ゆっ! なにいってるのおばさん! このこはれいむがたすけてあげたんだよ!
 とつぜんあらわれてなんなの? かってにれいむのおうちにはいってきてわけわかんないこといわないでね!」

巨大れいむは倒れた妻にそう吐き捨てると、ドシンと妻の上にのしかかった。
妻はあまりの重さに呻き苦しんだ。骨まで響くかのような落下の衝撃に、呼吸もままならなかった。

「すてられたかわいそうなこのこはれいむがそだててあげるんだよ!
 れいむならこのこをとってもゆっくりさせてあげられるよ! れいむはこそだてのたつじんなんだよ!
 らんぼうなおばさんはそこでゆっくりしていってね!」

巨大れいむは妻の上で再び跳ねた。その巨体が再び妻の体を押しつぶす。ミシミシと骨が軋む音がした。
巨大れいむはそれで満足したのか、ボスボスと跳ねながらその場を去っていった。
入ってきた時に壊したのか、無惨な状態になっている障子を更に壊し、縁側から外へ出て行った。
妻はそれを追うことが出来なかった。巨大れいむののしかかりにより、意識を保つこともやっとだったのだ。
立ち上がることもできず、意識を失っていく妻の耳には、我が子の泣き声だけがこびりついていた。

「かえ……して……」

涙を流し呟く妻は、そのまま気を失った。








夫が全てを知ったのは、日が暮れてからだった。
家に帰った夫が見たのは、荒らされた室内と倒れた妻だった。赤ん坊はいなかった。
夫は慌てて妻を抱き起こし、医者へと連れて行った。ケガとしては肋骨が折れていたそうだ。
妻を医者の家で寝かせてもらい、夫はすぐさま我が家へと戻った。赤ん坊を探しに行ったのだ。

しかし、家の中のどこを探しても我が子は見つからなかった。
たまに子供を預かってもらっていた近所のお婆さんの家や親友の家にも行ってみたが、子供の行方は知らないという。
やがて夜が更けた頃、一人の男が夫に妻が目を覚ましたことを告げに来た。
急いで夫は妻のもとへ向かった。

妻は泣いていた。ただ涙を流していた。
夫はどうしたことかと、なにがあったのかと問うた。妻は嗚咽をこらえながら、途切れ途切れに語った。
長い時間をかけて夫は全てを聞いた。
巨大れいむの事。連れ去られた我が子の事。妻が襲われた事。
全てを聞いた男は、すぐさま医者の家を飛び出した。

「おい、お前どこへ行く気だ!」
「決まっている! 巨大ゆっくりを殺して子供を取り返しに行くんだ!」

親友の制止の声も振り払い、夫は鍬と棍棒を持ってゆっくりが多く生息するという森へと向かおうとした。

「待て待て! 相手は人間ほどの大きさもある巨大ゆっくりだぞ! 夜も更けているし、一人じゃ危ない!」
「じゃぁどうしろって言うんだ! 子供は諦めろと言うのかっ!!」
「そうは言っていない! …………待ってろ、今皆に呼びかけてくる」

夫の親友はそう言い残すと里の中心へと走って行った。恐らく里中に今回のことを知らせに、そして巨大ゆっくりの駆除と赤ん坊の奪還を呼びかけに行ったのだろう。
妻の話では巨大れいむは赤ん坊を育てると行っていた。ならばすぐには死んでいないだろう。
だが野生のゆっくりが生息する劣悪な環境に小さな赤ん坊が長く耐えられるとは思えない。
夫は待ってろという親友の言葉を無視して、一人森の中へと駆けていった。






「やべでぇぇぇ!! でいぶのあがじゃんをつぶざないでぇぇぇぇ!!!」
「まりざのあがじゃんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

夫の目の前には子供を潰されて泣き喚いているゆっくりれいむとまりさの番がいる。
そして夫の足元には潰れた子ゆっくりの跡と思われる潰れた餡子があった。
そして夫の手には一匹の子れいむがいた。

「やめちぇぇぇぇ!! はなちちぇぇぇぇぇぇ!!」

じたじたと夫の手の中で身を捩るが、当然逃れられない。夫は子れいむを持つ手をわずかに強くした。

「さぁ、これが最後の子供だ。もう一度聞くぞ。巨大れいむはどこにいる?」
「ぢらないよ゛ぉぉぉ!!! ぞんなゆっぐりでいぶぢらないよ゛ぉぉぉぉ!!」
「ぞんなごどいいがらばりざのあがぢゃんがえぢでねぇぇぇぇ!!!」
「本当に、知らないのか?」
「ぢらないっでばぁぁぁぁぁ!!!」
「やべでっでいっでるでじょぉぉぉぉぉ!!!!」

ブチュリ
子れいむは夫の手の中で潰れ、餡子が飛び散った。

「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「まりざのっ、ばりざのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

これ以上有益な情報は得られないと判断し、夫は持っていた棍棒で親れいむと親まりさを叩き潰した。
子ゆっくりを一匹ずつ潰す尋問にも関わらず、一切巨大れいむのことについて言わなかったことから、本当に知らないのだろう。
だが、だからと言って生かす理由は無い。もうこの夫の中ではゆっくりはすべからく駆除すべき対象として映っている。
ここでこのゆっくりを逃し、後々巨大ゆっくりにまで成長したら、また同じ悲劇が起こるかもしれないとそう思ったのだ。

自分の子がさらわれたのに他人の子を殺すのはいいのか、と思うかもしれない。
しかし今夫にはまともな思考は残っていない。頭の中にあるのはただ我が子の事だけだ。
いや、たとえ冷静になって思考を取り戻したとしても、変わらないだろう。
相手は人間ではない饅頭だ。それに、もう夫は自分の子供を救うためならば犠牲は厭わないつもりだった。
自分勝手だと、自己中心的だと言いたければ言えばいい。そんなことは百も承知。
夫はもう、ただ、愛すべき我が子を救うためならば、それが障害となるならば人間だって殺しかねない。







「ちくしょう、あの馬鹿! 待ってろって言ったのに!」

夫の親友は松明を持って森の中を駆けていた。その後を同じように数人の青年が続いていく。
親友の呼びかけに、殆どの里の男衆は集まってくれた。人間の子供を攫った害悪な饅頭を駆除し、赤子を救うために集ったのだ。
夜の森は危険だ。里の者達は数人ごとに班を組み各々分かれて巨大れいむと、それに夫を探していた。
一人では夜の森は危険だし、もし巨大れいむに会ったとしても怪我をし、最悪死ぬ恐れもあるのだ。

「お、おい、これって……」
「あぁ、あいつがやってるんだろう」

親友の後に続いていた男が言った言葉に親友は断じる。
男が言及したのは、森の至るところで見られるゆっくりの死骸だった。
木にこびりついた潰れた饅頭。体の半分以上を失い瀕死で呻いている饅頭。
巣だったろう木の洞の中で潰されていた饅頭の一家。地面に散乱している饅頭の死体。
恐らくここだけではないだろう。

その饅頭の死体を辿ってかけていると、前方からうめき声が聞こえた。
「う~」と聞こえたその声に親友は聞き覚えがあった。それは捕食種であるゆっくりれみりゃのものだった。

「おい、今の!」
「あぁ、あっちだ!」

一向は声のする方角へ向けて駆けて行った。
そしてその先で、れみりゃの首を掴んで木におしつけ、片手の棍棒を上に振りかぶっている夫の姿を見つけた。
れみりゃの四肢は潰れ、原型を留めておらず、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。対する夫の顔はまさしく修羅の如し。

「最後にもう一度だけ聞く。巨大れいむは何処だ?」
「うわ゛ぁぁぁ!! じらないんだどぅ~!! れみりゃじらないんだ────」

言葉は途中で潰された。夫が持っていた棍棒でれみりゃの頭を潰したのだ。
ボタボタと返り肉が夫の顔にへばりつく。よく見れば夫は全身に餡子を浴びていた。
夫は持っていた手を離した。両手足頭を潰されたれみりゃの死体は、ボトリと地面に落ちた。夫も持っていた棍棒を取り落とした。
一向はその光景にしばらく言葉を失っていたが、親友がいち早く正気に戻ると夫に詰め寄った。

「おい、お前! 一人で行くなって──」
「───だよ」
「え?」
「いないんだよ……、見つからないだよ……、あいつが……」
「…………」
「あいつが通った跡も見つからない! 森のゆっくりは何も知らない! あの子の助けの声も聞こえない!
あの子はきっと泣いている! 助けを呼んでいる! 助けてって、お父さん助けてって! なのに、なのに俺は!!」
「落ち着け、落ち着けって!!」

静かにつぶやいてから唐突に暴れだした夫をなんとか親友は押さえつけて押し留めようとした。
しかしあまりにも強い夫の力に振り払われ、がむしゃらに振るっていた拳に顔を殴られた。構わず再び押さえつけようとする。
他の男達もそれでようやく我に帰ったのか夫を押さえつけようとする。

「くそ! ド饅頭め!! 薄汚れたクズ饅頭め!! 返せ!! あの子を返せ!! 殺してやる!!
 貴様だけはっ、いや、貴様らだけはっ!!!!」
「だから落ち着け!! 頭を冷やせ! 見つかるものも見つからない!
 これだけ暗いと探せない! 明日、明日陽が昇ったら里の皆で探すから! まずは落ち着け!!」
「これが落ち着いていられるか!!!」

夫は押さえつける男たちを力任せに振り払い、落ちていた落ちていた棍棒を持って夜の森へ駆けていった。
その後も親友達は男を捜したが、見つからず、あまりにも夜が更けていたので仕方なく一度里に戻った。

そして翌朝。里の男衆が捜索隊を結成し、いざ探しに行かんとしたその時だった。
森の中から、全身餡子まみれで、餡子にまみれた棍棒をひきずりながら夫が帰ってきた。
「いない、いない……」と呟きながら、目は前を見ていなかった。
親友は慌てて夫に駆け寄ったが、夫はその場で倒れた。極度の疲労で体力の限界だったのだ。
その後夫は医者のもとに預け、一向は森へ巨大れいむと赤ん坊を探しに行った。
夫の側には妻がついていた。

しかし、その後一日中探し回ったが、巨大れいむは見つからなかった。




それから一ヶ月、ほぼ毎日捜索隊が結成され、捜索範囲を広げながらも捜索は続いた。
さすがに里の男衆全員とまではいかず、日替わり交代での捜索隊だったが。
そしてその間夫は、一日も休むことなく森や山に入り巨大れいむを探し、毎日餡子まみれになって帰ってきた。
だんだんとその頬はこけていき、体も心も病んでいるように親友には見えた。

「おい、お前大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫だ。今にも苦しんでるあの子のことを思えば、これぐらい……」

そう応える夫の目は焦点があっておらず、虚ろだった。

「殺してやるさ。全部。そうさ、全部のゆっくりを根絶やしにしていけば、いずれ会える。
 いつか、絶対に見つけ出して殺してやるさ。あぁ、そうさ、全部だ」

そう言う夫の視線は、完全に親友には向いてなかった。誰に言ったのか、己に言ったのか、ゆっくりに向けて言ったのか。
夫は、完全にゆっくりに心囚われていた。
二人揃って里への帰り道を歩いていると、目前にゆっくりまりさが現れた。
それは夫の腰のあたりまでの大きさを誇るやや巨大なゆっくりだった。

「ゆゆっ!? 人間っ!?」

こちらに気付いたゆっくりまりさは逃げようとした。恐らく、近隣のゆっくり達が殺されまわっていることを知っているのだろう。
住処を移動させる途中だったのかもしれない。
親友は巨大れいむのことについて訊こうとした。だが、親友が反応するより早く夫が先に動いていた。

一瞬で逃げるまりさに追いついた夫は、棍棒を振るい、まりさを横合いから殴りつけた。

「ゆぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

痛みに転げまわるまりさ。夫はそのまりさの動きを、棍棒で底部を貫くことで止めた。

「巨大れいむは何処だ? 言え」
「ゆ゛っ゛!? なんの゛ごどぉぉぉぉ!?」
「とぼけるな。人間程の大きさの巨大なゆっくりれいむだ」
「まりざ、じらないよ!! ぞんなれいむ゛みだごどもぎいだごどもない゛よぉぉぉ!?」
「本当か? 言わないとお前のためにならないぞ」
「だがらじらないっで────」

潰された。夫は棍棒を引き抜くと無慈悲にまりさの頭を叩き潰した。一撃でまりさは絶命した。

「…………お、おい」
「畜生……」
「…………」
「なんでだよ……。なんで、見つからないんだよ、畜生……」

立ち尽くしたままボロボロと涙を流す夫に、親友はかける言葉が見つからなかった。
その次の日、夫は姿を消した。二度と戻ってこなかった。
きっと、巨大れいむと、我が子を探しに行ったのだろう。


そして六年後、その子供は帰ってきた。親友はまるで奇跡だと思った。
遠い里で一人の青年が見つけたというその子供は、全ての行動においてゆっくりを真似た、まさしくゆっくりに育てられた状態だった。
それでも、生きて戻って来たことに里の者達は皆喜んだ。ただ、その中にその子の父親の姿はなかった。

親友はきっと、夫の執念が奇跡を起こしたのだと、そう思った。


─────────
あとがきのようなもの

思考停止。餡子脳と言われるかと思いますが、私は今回キングれいむをこのようなゆっくりとして書きました。
そしてこの物語はフィクションです


これまでに書いたもの

ゆっくり合戦
ゆッカー
ゆっくり求聞史紀
ゆっくり腹話術(前)
ゆっくり腹話術(後)
ゆっくりの飼い方 私の場合
虐待お兄さんVSゆっくりんピース
普通に虐待
普通に虐待2~以下無限ループ~
二つの計画
ある復讐の結末(前)
ある復讐の結末(中)
ある復讐の結末(後-1)
ある復讐の結末(後-2)
ある復讐の結末(後-3)
ゆっくりに育てられた子

byキノコ馬

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最終更新:2008年09月16日 00:16
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