てゐ×ゆっくり系4 楽園実験

「まりざー、ももとっできだどー」
「ありがとう。れみりゃ、ゆっくりおいてね」
「うっうー、わがっだどー」

「アリス、おだんごつくるのてつだってくれないかしら」
「いいわよ。とかいはのアリスがてつだってあげるわ」
「むきゅー、たすかるわ」

「おかあしゃん、おなかちゅいたー」
「もうすこしまってね。いま、アリスたちがおだんごつくってるから」
「うん、れみりゃおねえしゃんとあそんでるね」

「うー、れいむのあかちゃん、おそらをいっしょにおさんぽだどー」
「わー、おちょらをとんでるみたい」
「とんでるんだどー、あぶないからゆっくりしてだどー」





「何これ」
てゐは凄く不快そうに部屋を見渡す。
「何って楽園よ」
永琳は至極当たり前のように答える。
「ら、楽園・・・」
「みんな楽しそうでしょ?」
「れみりゃがゆっくりれいむを持って飛んでるんだけど」
「散歩かしら?よくやってあげてるのよ。空のお散歩」
「は、吐き気がする」
「・・・あなた、本当にゆっくりが嫌いなのね」
「嫌いってわけじゃないんですけどね」
気分が悪そうにてゐは部屋を出て行く、入れ替わりに鈴仙が入ってくる。
第一声は「わぁ、素敵」だった。
「いいでしょ?」
「はい、とっても。あ、れみりゃもみんなと仲良くしてるんですね」
「ご飯はどんなのがあるんですか?」
「木を見なさい。桃よ。皮が柔らかいからゆっくりでも剥けるわ。それとオレンジジュースはあそこの噴水から」
「オレンジジュースの噴水?メルヘンチックですね」
「あとは花もあの子達が好きな蜜の多い種類を選んでいるわ。芝生もまるでベッドみたいでしょ」
「あ、柔らかい・・・寝転んでも」
「いいわよ」
「わーい」
子どもみたいに芝生に寝転ぶ鈴仙、その声に気付いたのか、
ゆっくり達が鈴仙に近寄ってくる。
「おねーさん、ゆっくりしていってね」
「ええ、ゆっくりさせてもらうわ」
「まりさたちのゆっくりプレイスにようこそ」
「ゆっくりじでいぐどいいどー」
「とかいはのアリスがあんないしてあげるわよ」
「むきゅー、わからないことがあったらなんでもきいてね」
「凄いですね。師匠、みんな良い子です」
「ええ、みんな良い子よ。私は別の部屋を見てるからここをしばらくお願いね」
「はい」
永琳は部屋を出て行く。



「で?」
「詳細ね。いいわ。こっちよ」
部屋を出てすぐにてゐに話しかけられる。
まるであの楽園に種や仕掛けがあって、あるなら早く教えてくれと言わんばかりだ。
永琳はてゐを隣の部屋に案内する。
がらんとした部屋だ。玩具と餌箱とクッション、あるのはそれぐらいだ。
「残念ながら、あの子達はここで私が育てただけの子達よ」
「?」
「ただ普通に、悪い事をすれば叱り、良い事をすれば褒めた子よ」
「??」
「あなたが思ってるような薬物投与やロボトミーに近い手術は行っていないわ」
「???」
「ゆっくりは無能で浅ましく、卑しい生き物だと思っているけど。それはちゃんと教育するものがいないからよ」
「じゃあ、あの部屋の・・・」
永琳が壁のボタンを押すと、隣の部屋が見えるようになる。
鈴仙と一緒に歌っているゆっくり達の姿が見える。こっちからは見れて向こうからは見えない不思議なガラスだ。
「確かに栄養管理はしたいた。ゆっくりれみりゃも空腹になればよく他のゆっくりを食べようとするから。でも、今は空腹でも仲間を襲ったりはしないでしょうね」
「幼い頃から育てれば仲間意識も芽生える?」
「そうよ。加工工場に相談したんだけど、あれならペットとしても十分に価値がつくはず。ですって」
「まさか・・・」
「そのまさかよーん」
てゐは振り向く、そこにはプカプカと浮かぶ八雲紫の姿があった。
「幻想郷はゆっくりを受け入れるわ」
紫は笑う。
「巫女は?巫女は認めてるんですか?」
てゐは聞いてみる。
「博麗の巫女にも認めさせたわ」
紫は不思議なガラスの向こうのゆっくりを見て笑う。
「まさか、こうまでも変わるものとはね。教育って凄いわ」
「テキストを作って、人間や妖怪にも躾をできるようにしましょ。上白沢に言えば寺子屋を貸してくれるでしょう」
「妖怪は・・・守矢の神社を借りましょう。あそこの風祝はゆっくりが好きだから」
嬉しそうに紫が言う。
妖精たちにも教えたいわ。などと永琳は笑う。
「大人のゆっくりはもうダメなのかしら?」
残念そうに紫は言うが、大丈夫よと永琳は答える。
「今、大人のゆっくりに対する再教育の実験もやっているの。かなり極端な子じゃない限り再教育は可能よ」
「凄いわね。ねえ、私にも教えて」
「いいわよ。てゐ、あなたもどう?・・・てゐ?」

「あ、あんなのゆっぐりじゃない!!!」
てゐは部屋を飛び出すと、自分の部屋に駆け込んだ。
一番デカい引き出しを開けると、チェーンソーがしまってある。
「うーおー、あんなのゆっぐりじゃねぇー!!」
チェーンソーを構えると、そのまま楽園と呼ばれた部屋になだれ込んだ。
「そいや!!」
轟音を上げ、回転し始めるチェーンソーの刃、鈴仙を突き飛ばして、それをゆっくりパチュリーに当てる。
一瞬で生クリームの花になるゆっくりパチュリー、次に桃の木を切り倒す。
倒れた木にゆっくりまりさが巻き込まれ潰れる。抗議するゆっくりれいむは何か言っていたが、すぐに回転する刃に切り刻まれる。
「おかーしゃん」声を上げてしまったゆっくりれいむの赤ちゃんは、それによっててゐに気付かれ、その辺に落ちていた木の枝を投げつけられる。
枝はゆっくりれいむの赤ちゃんの目を貫通し、あとは死を待つだけとなった。
ゆっくりれみりゃは空を飛んでいるからチェーンソーが届かない。チェーンソーのエンジンを切ると辺りに何か投げるものがないか探す。
あった。ゆっくりアリスの髪の毛を強引に掴む。「やめて、とかいはのかみが」ゆっくりれみりゃに投げつける。
顔面に当たり、ゆっくりれみりゃとゆっくりアリスが落ちてくる。もうつぶれたゆっくりれみりゃとゆっくりアリスを何度も踏み潰す。
つるん、肉汁で滑ったのかカスタードクリームで滑ったのか、てゐは頭をぶつけ気絶する。





「・・・ゐ、てゐ」
「ん、あー、おはようウサ」
「何言ってるの。もうお昼よ」
永琳に起こされ、てゐは時計を確認する。
「んー、そうか、寝てたんだ」
「ところで、話の続きなんだけど。あなた、ああいうゆっくりが好きなのよね」
ゆっくりまりさが我が侭を言って、ゆっくりれいむを困らせる。
ゆっくりアリスは都会派を鼻にかけているが、ゆっくりパチュリーはそれをどこか馬鹿にしている。
「なーんか、ああいう性格の悪さが見ていて安心する。人間らしくも妖怪らしくもあるような感じで」
「そう、ま、いいわ。あの話は頓挫しちゃったし。鈴仙に謝っておきなさい。突き飛ばされて痛かったって言ってたわよ」
「・・・」
てゐの額に嫌な汗が流れる。
「あの・・・その・・・楽園は?」
「あの部屋以外にも実験的に導入した森があるんだけど、人間や妖怪に尽く全滅させられて、紫と話し合って白紙に戻すことにしたわ」
嫌な汗が背中にまで。
「みんな、どこかああいう優等生みたいな性格は嫌うみたいね」
「教育をすればゆっくり性格が改善されるって話は夢じゃ・・・」
「まだ寝ぼけてるの?それとも頭を強く打ったのがいけないのかしら?後で資料読む?夢なわけないでしょ」
てゐはまた気を失いかけそうになった。












~あとがき~
例えば歯車で動いている時計。その歯車に何かしら棒を突っ込んでやれば時計は止まります。
時計が止まっても時間は進むのだから、時計は狂って行きますね。
そういう破壊衝動はなかなか止められませんね。楽園実験の部屋にいたのは少しですが、
森にいたのはもっと多いでしょう。楽しく仲良く暮らしていたのに、人間や妖怪に難癖付けられて全滅。
他の部屋で実験されていた教育済みのゆっくりも紫と永琳が白紙を決定したら、焼却炉か別の実験に使われるか、
元々自然界に存在しない特殊なゆっくりだから、他の実験には使えませんね。焼却炉ですかね。
そうやって考えるとまたたまらなく面白いのです。
by118

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最終更新:2008年09月19日 20:58
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