〜ゆっくり達の生涯『冬篭り編』(前編)〜
第1話 〜ゆっくり眠れないまりさ〜
「ゆゆ〜♪ まりさ、はるさんはまだかな?」
「ゆ〜、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」
2匹のゆっくりが入り口を塞いだ木の洞の中で仲良くゆっくりしている。
2匹は成長途中であり、将来は夫婦となるであろうが現在のところ非常に仲の良い友達同士と言ったところである。
巣の奥にはキノコや木の実などの食糧が大量に蓄えられており、万全の状態で冬篭りを始めた事がうかがえる。
「ゆぅ〜おうちのなかはせまくておもしろくないよ・・・。」
「しょうがないよれいむ、ゆっくりはるさんをまとうね! す〜り♪ すーり♪ 」
まだ子供心が残るれいむをまりさが頬ずりをしながらなだめている。
ちなみにこのやり取りは本日5回目、所詮は餡子脳なので何気ない会話などすぐに忘れてしまうのだ。
そんなやり取りが繰り返されるうちに1日が終わろうとしていた。
「ゆぅ〜なんだかねむくなってきたよ、まりさおやすみぃ〜・・・z z z z z 。」
「ねてればはるさんはすぐにくるよ、おやすみれいむぅ〜・・・z z z z z 。」
次の日、先に目を覚ましたのはれいむであった。
意識がはっきりするとれいむはすぐに異変に気が付く。
「ゆゆ!まりさどこ!?」
隣で眠っていたはずのまりさの姿は無く、れいむは慌ててまりさの姿を探す。
しかし所詮は小さな洞の中、れいむはまりさの姿をすぐに見つける事ができた。
「ゆゆ? まりさなにやってるの?」
まりさは顔を大量に溜め込んだ食糧に突っ込みスヤスヤと眠っている。
れいむの声を聞きまりさの意識はようやく覚醒する。
「ゆぅ〜おはよぉ〜れいむ。きょうもゆっくりしようねぇ〜。」
このまりさ、まりさ種に多く見られる高慢な態度、いわゆるゲスの素質は微塵も持ち合わせておらず相方思いの良い
ゆっくりであるのだが、一つ厄介な癖を持っていた。
それは・・・。
「ゆぅ〜まりさ、ゆっくりねむっててよね!もぅ、ぷんぷん!」
「ゆゆ!ごめんねれいむ、ゆっくりしてるとなんでかいつもこうなっちゃうの。」
そう、このまりさは寝相がとてつもなく悪いのである。
現在は冬篭りのため入り口はがっちり塞いでいるから大丈夫であるが、過去に何度も眠ったまま転がり巣の外で朝を
迎えたことがあった。
運が良かった事もあり捕食種に食べられずに無事ここまで成長する事ができていた。
「ゆ、そういえばあさごはんがまだだよ! はやくたべようね!」
「ゆゆ! そうだったね、はやくごはんをたべたいよ!」
れいむに責められ分の悪いまりさは朝食の話題を出し話題の転換を図った。
結果は予想通り、腹ペコのれいむはコロっとまりさの寝相についての不満を忘れ思考はご飯に乗っ取られてしまった。
「「む〜しゃ♪ む〜しゃ♪ ・・・・・しあわせ〜♪ 」」
2匹は食後のゆっくりタイムを満喫している。
そして、れいむはどこか聞き覚えのある言葉を発するのであった。
「ゆゆ〜♪ まりさ、はるさんはまだかな?」
「ゆ〜、きがはやいよれいむ。ふゆさんはゆっくりしてるからはるさんはまだこないよ。」
こうして昨日と同じ様なやり取りをして何気ない一日が過ぎていくのである。
しかし、そんな平和な巣穴に不幸な出来事が襲い掛かる。
「ゆぅ〜・・・ゆぅ〜・・・はるさん・・・はやくき・・・ゆぅ〜・・・。」
時刻は深夜、れいむは気持ち良さそうに眠っている。
まりさはと言うと毎度の如く巣穴の中をコロコロ転がりながら眠っている。・・・よく目が覚めないものだ。
「ゆぅ〜・・・まりさもっとゆっぐ!」
れいむは突然体に加わった圧力により目を覚ます。
そしてれいむは自らの目を疑う光景を目撃する。
「ゆぅ〜・・・だいすきだよぉれいむぅ・・・むにゃ〜・・・。」
まりさは寝ぼけたまま自らの体をれいむに押し付けており、しかもどこか気持ち良さそうな顔をしている。
「ゆゆ!まりさおきて!ゆっくりねむれないよ!」
れいむが必死に声を上げてまりさを起こそうとするが目を覚ます気配はなかった。
このまりさ、寝相が悪い事に加えて一度眠ったらなかなか起きないのである。
「ゆふふふ・・・なんだかきもちよくなって・・・。」
まりさの顔は次第に紅潮し、体を小刻みに振動させ始める。
まりさの行為の意味を知っていたれいむは血相を変えて騒ぎ出す。
「や、やめてまりさ! れいむまだこどもつくりたくないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
れいむは必死にまりさから離れようとするが、きっちり押さえつけられているのに加え自らも少しずつ快楽に支配さ
れ力が入らず逃れられない。
そして体をくねくねさせて抵抗するうちにれいむのリボンがほどけてしまう。
「ゆゆー! れいむのりぼん! 」
リボンがほどけ気がそれたのがいけなかった。
まりさは好機とばかりに更なる快楽を求めどんどん振動を強くしていく。・・・夢と現実の両方で。
「ゆふ・・・ゆふふふふ・・・んほぉぉおおおぉおぉおぉおお! ! ! 」
「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!じにだぐない! じにだぐない!
もっどゆっぐりじだいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !まだずっぎりじだぐないよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
「「すっきりー! 」」
まりさは満面の笑みで、れいむはこの世の終わりに遭遇したような表情で“すっきり”を迎えた。
れいむの頭から蔓が芽を出し、涙を浮かべ絶望の表情のまま黒ずんでいく。
まりさは“すっきり”して満足したのか何事もなかったかのようにスヤスヤと眠っている。
翌日、まりさは久しぶりにれいむに起こされずに目覚めた。
「ゆっふ〜〜〜! なんだかとってもすっきりしてるよ!」
軽く伸びをしてれいむの方へ目を向けるとまりさは愕然とする。
まりさの目には黒ずみ朽ちた物体が映っていた。
その物体の頭頂部からは緑の蔓が伸び先端に3つの小さな実が実っていた。
理解を超えている光景にまりさはフリーズしてしまった。
(ゆゆ? れいむはどこにいったの? なんでいないの? おうちのいりぐちはふさいでるよ? なんで? どうして?)
フリーズしているまりさの目にある物が映りそれに釘付けとなる。
黒く朽ち果てた物体の横にいつも見ているれいむのかわいらしいリボンが落ちていた。
(なんでれいむのりぼんがおちてるの? )
リボンを見詰めているうちにまりさはある結論にたどり着く。
(ゆゆ!? ひょっとして・・・これって・・・)
まりさの思考が間停止する。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ ! ! ! ! !
れいむ! れいむ! でいぶう ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ !
なんで!? どうして!? でいぶ! ゆっくりしすぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !
おぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! いやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」
黒く朽ち果てている物体がれいむであると理解したまりさは大声で泣き喚きだした。
もちろん自分が寝惚けてれいむとすっきりした事に気が付いてなどいない。
その時、泣き声が木霊する巣穴の中に一つの変化が訪れる。
プチッ! プチッ! ・・・・・プチッ!
朽ちたれいむに実った3匹のプチゆっくりが蔓から切り離され落下する。
地面に着地すると3匹は満面の笑みで産声を上げる。
「「「ゆっくりちていってね!」」」
プチゆっくりの産声を聞きまりさは我に返る。
まりさの目線の先ではれいむの忘れ形見である3匹のプチれいむが笑顔で飛び跳ねていた。
「れいむの・・・あかちゃん・・・? 」
声に反応したプチれいむ達とまりさの目が合う。
「「「おか〜しゃ〜ん、おなかちゅいたよ。」」」
この瞬間、まりさの餡子脳の大部分を占めていた悲しみが一気に喜びと母性に入れ替わった。
「ゆゆ! すぐごはんをあげるよ! まっててね! 」
まりさは急いでプチれいむ達が実っていた蔓の元へ駆け寄り食べやすいサイズに食い千切る。
「おちびちゃん! これがごはんだよ! ゆっくりたべてね! 」
「「「おか〜しゃん、ありがちょ〜♪ 」」」
プチれいむ達は目の色を輝かせてパクッと蔓に食い付く。
「「「む〜ちゃ♪ む〜ちゃ♪ ・・・ちあわせ〜♪ 」」」
(ゆゆ〜♪ とってもゆっくりしたおちびちゃんたちだね! れいむのぶんもおちびちゃんたちとゆっくりするからね!)
まりさは3匹のプチれいむを見ながらこれから始まる幸福な時間に思いをはせるのであった。
その日の夜、巣穴の中は幸福で包まれていた。
「す〜り♪ す〜り♪ さすがまりさのおちびちゃんだね! とってもゆっくりしてかわいいよ! 」
自分がれいむを無理やりすっきりさせたなどと夢にも思っていないまりさは、既にれいむの事など忘れてプチれいむ
達とスキンシップをはかり幸福の絶頂にいる。
「おか〜しゃんくしゅぐっちゃいよ♪ 」
「いいにゃ〜いいにゃ〜♪ ちゅぎはれいみゅのじゅんばんだよ! 」
「ゆゆ! じゅりゅいよ! れいみゅもしゅ〜り♪ しゅ〜り♪ しちゃいよ! 」
4匹はとてもゆっくりとした時間を過ごしている。
しかし、幸せな時間というものは早く過ぎてしまうものである。
「ゆゆ! おちびちゃん、そろそろおねむのじかんだよ! 」
「「「まだねみゅくにゃいよ! もっちょゆっくりしちゃいよ! 」」」
プチれいむ達は大丈夫だと言い張るが既に目が何度も閉じかかっており、眠くて仕方がない事がうかがえる。
「ゆっくりねむらないとゆっくりしたゆっくりになれないよ。
おちびちゃんたちはゆっくりしたゆっくりになりたいでしょ?」
「「「ゆゆ! ゆっくりしちゃいよ! れいみゅはゆっくりねむりゅよ! 」」」
ゆっくりは“ゆっくり”と言う単語に非常に敏感であり、ゆっくりしたゆっくりを理想像とする。
故に賢い親はその理想像を利用して子供の躾に“ゆっくり”と言う単語をよく使用する。
「ゆ〜、やっぱりまりさのこどもはいいこだね! おちびちゃんたちのべっどはここだよ! 」
まりさの横には落ち葉のベッドが出来上がっていた。
昼間プチれいむ達のために一生懸命作った努力の賜物である。
ベッドを見るや否やプチレイム達は目をキラキラさせる。
「「「ゆゆ〜♪ とっちぇもゆっくりできしょうだよ! おか〜しゃんありがちょ〜♪ 」」」
プチれいむ達の賞賛を聞き、まりさは満更でもなさそうに照れている。
プチれいむ達は各々お気に入りポイントを決めると落ち葉を身にまとい眠る体勢に入る。
「おか〜しゃん、おうたうちゃって〜。」
「ゆゆ! れいみゅもおうたききちゃいよ〜。」
「うちゃって♪ うちゃって♪ 」
プチれいむたちの期待に応えてまりさは目を瞑るとゆっくりと子守唄を歌い始める。
「ゆ〜っく〜り〜〜ゆゆ〜ゆ〜ん〜ゆゆ〜ゆ〜ゆ〜ゆ〜♪ 」
人間が聞いていたら思わず拳が飛んできそうな歌声であるが、プチれいむ達は気持ちよさそうに夢の中へ旅立ってい
った。
そしてまりさも幸福で満たされた笑顔のままゆっくりと眠りについた。
深夜・・・。
コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロ「ぴぎゃ・・・。」・・・コロコロコロン・・・
コロコロコロ・・・コロコロ「ゆぎゃ・・・。」・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・
翌日、巣穴の中は絶望で埋め尽くされていた。
「なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! ! どうじでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! ! !
おちびちゃんがぶだりもづぶれてるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?おねがいおぎでよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」
まりさが気持ちよく目覚めると2匹のプチれいむが無残にぺちゃんこに潰されていた。
ご想像通り、深夜まりさの寝相の悪さによって運悪く踏み潰されてしまった2匹である。
残念なことに貧弱な餡子脳では自らが踏み潰したなどと考えは及ばず、まりさは物言わぬ潰れた饅頭となった2匹を
眺めひたすら泣き喚く事しか出来ない。
また、運良く生き残った1匹のプチれいむも熟睡していたせいでまりさが姉妹を踏み潰したなどと思い浮かぶ事無く、
居もしない犯人に怯えながら潰れた2匹に対して涙を流すのであった。
「ゆあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん! ! ! おちびちゃんゆっぐりじずぎだよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」
「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ゆっぐりできにゃいよお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
その日、2匹は片時もゆっくりする事ができないのであった。
夜、まりさは追い詰められていた。
この状況に至ってもまりさは自身の寝相で2匹を踏み潰したなどど微塵も思っておらず、どうやって生き残ったプチ
れいむを護ろうか悩んでいた。
「ゆぅ・・・このおちびちゃんだけはぜったいまもらないと・・・。」
まりさは貧弱な餡子脳をフル回転させて打開策を考えている。
「ゆゆ! いいことおもいついたよ! 」
そしてある名案を思いつくのである。その名案とは・・・。
※エンディング分岐です。
プチれいむを口の中に隠す → A
プチれいむを帽子の中に隠す → B
A:プチれいむを口の中に隠す
「おちびちゃん! おかあさんのおくちのなかにはいってね! 」
「ゆゆ〜? おくちのにゃか? 」
まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。
「おかあさんのおくちのなかでねむればきっとあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」
「ゆゆ! おか〜しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」
大きく開けられたまりさの口の中にプチれいむは勢いよく飛び込む。
「ゆゆぅ、ちょっとくりゃくてこわいよぉ、おか〜しゃん。」
「ごめんねおちびちゃん、おかあさんがまもってあげるからがまんしててね。」
少し怖がっていたプチれいむであったが母親の口の中に居る安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。
深夜、まりさは眠気と必死に戦いながらまだ起きていた。
2匹のプチれいむを潰した犯人を見つけるために徹夜する覚悟でいた。
「ゆぅ、ぜったいねむらないよ、おちびちゃんはまりさがまも・・・・・z z z z z 。」
しかし、遂に睡眠欲に負け眠ってしまった。
当然といえば当然の事である。
ゆっくりは三大欲求の誘惑に非常に弱いナマモノである。
自然界に生き、人間から特別な訓練を施されていないゆっくりがそれにあがなおうとするのは並大抵の行為ではなく、
まだ成体でもないまりさにとって到底無理な事である。
「ゆぅ〜・・・おか〜しゃんだいしゅ・・・むにゃ〜。」
まりさの口の中でプチれいむは安心しきった寝顔で眠っている。
しかし、一度下り始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に終わらないのであった。
プチれいむは異変に気が付き目を覚ました。
コロコロコロ「ゆゆ! 」・・・コロコロコロ「おか〜じゃ! 」・・・コロコロ「もっぢょ! 」・・・
コロコロコロ「ゆっぐり゛! 」・・・コロコロコロ「ゆぎゅ! 」・・・コロコロ「ぴぎゃ! 」・・・
まりさの口の中でプチれいむは何度も壁にぶつかっていた。
理由は言うまでもなくまりさが転がりながら眠っているからである。
プチれいむは必死に悲鳴を上げてまりさを起こそうとするが、目を覚ます気配は微塵もない。
コロコロコロ・・・・・「ゆゆ?」・・・・・「とまっちゃの?」
突如まりさの動きが止まり、プチれいむも悲鳴を上げるのを止める。
しかし、口の中にいるプチれいむはなぜまりさが動きを止めたかまではわからなかった。
「ゆゆ〜、やっちょゆっくりねむれりゅよ。」
プチれいむが再び眠ろうとした時異変が起こる。
「ゆぅ〜・・・ゆふふ♪ おいしそうなごはんだ・・・むにゃ〜。」
「おか〜しゃん、れいみゅねむれにゃいよぉ。」
夢の中でまりさは大量のご飯を目の前にしている。
「ゆふ・・・ゆふふ♪ いっただっきま〜す・・・むにゃむにゃ〜。」
「ゆえ〜ん! ねむれにゃ・ゆぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」
夢の中で食糧にかぶりつく・・・現実でも同じ様に。
プチれいむは間一髪の所でまりさの歯をかわしていた。
しかし、口の中という足場が不安定で視界も暗い中で的確な行動が取れるはずもない。
「む〜しゃ♪ 「ぴぎゃあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」む〜しゃ♪ 「たべにゃいでえ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! 」しあわせ〜♪ 」
翌日、まりさは溜め込んだ食糧に顔をうずめた形で目を覚ます。
昨夜まりさが見た夢はおそろくはこれが原因である。
「ゆ〜っふ〜ん! おちびちゃんきょうもゆっくりしようね! おくちからゆっくりでてね! 」
まりさは大きな口を開けてプチれいむに口から出るように催促する。
しかし、プチれいむが飛び出す気配はなかった。
「ゆゆ〜? おちびちゃんどうしたの? 」
しかたなくまりさは口の中に感じるプチれいむであろう異物を慎重に吐き出す。
ペッ! ベチャ!
まりさの目の前には唾液でベタベタになった赤いリボンが現れる。
昨日と同様にまりさの思考が停止する。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
〜5分経過〜
(・・・・・あのりぼん・・・・・おちびちゃんのだよね?・・・・・おちびちゃんはどこ?・・・・・)
〜10分経過〜
(・・・・・ひょっとして・・・・・まりさが・・・・・おちびちゃんを・・・・・たべちゃったの?・・・・・)
〜15分経過〜
(・・・・・あれ?・・・・・どこかで・・・・・おなじようなことが・・・・・あったよね?・・・・・)
〜20分経過〜
(・・・・・おきたら・・・・・おちびちゃんがふたり・・・・・いなくなってた・・・・・)
〜25分経過〜
(・・・・・れいむも・・・・・あさ・・・・・いなくなって・・・・・)
〜30分経過〜
貧弱ながらも餡子脳で必死に情報を整理したまりさはある結論にたどりつく。
「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・ぜんぶばりざのざいなのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?
ゆぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! ごべんなざいごべんなざいごべんなざい! ! !
ぱっ! ぱっ! ・・・ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ っ ! ! ! ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ お お お お お お お お お お ! ! ! 」
普段使わない餡子脳をフル回転させたことに加え自らが犯した過ちに気が付き、それらの重圧に押しつぶされまりさ
の心はついに壊れてしまった。
「ゆふふふふふふふふふふ! ゆはははははははははは・・・・・! 」
その日からまりさは溜め込んだ食料に口をつける事無く、眠ることも忘れ笑い続けるのであった。
〜春〜
長い冬を乗り越える事に成功したゆっくり達が巣穴から続々と顔を見せ始める。
まりさのいた巣穴には餓死したまりさの亡骸と大量に残された食糧という矛盾した光景が広がっていた。
こうしてれいむは強制すっきりにより、プチれいむ2匹は踏み潰され、1匹はまりさに食べられ、元凶であるまりさ
は何も食べずに餓死し、各々の生涯を閉じたのであった。
B:プチれいむを帽子の中に隠す
「おちびちゃん! おかあさんのぼうしのなかにはいってね! 」
「ゆゆ〜? ぼうちのにゃか? 」
まりさの意図を理解していないプチれいむは頭上に?マークを浮かべている。
「おかあさんのぼうしのなかでねむればぜったいあんぜんだよ! ゆっくりりかいしてね! 」
「ゆゆ! おか〜しゃんはてんしゃいだね! ゆっくりりかいしちゃよ! 」
まりさは舌を出し、プチれいむはそれを踏み台にして帽子まで到達するとゆっくりと中に潜り込む。
「ゆゆ〜♪ ちょっとくりゃいけどゆっくりできしょうだよ♪ 」
「おちびちゃんはおかあさんがまもってあげるからね! またあしたいっしょにゆっくりしようね。」
プチれいむはすぐ傍に母親がいるという安心感もあり、すぐに眠りにつく事ができた。
深夜、まりさは居もしない犯人を見つけるために必死に眠気を我慢して起きていたが、結局睡眠欲に負け眠ってしま
う。
「ゆぅ〜ゆぅ〜・・・だいすきだよ・・・・むにゃむにゃ〜。」
「ゆぅ〜・・・おか〜しゃんだいしゅ・・・むにゃ〜。」
プチれいむはまりさの帽子の中で幸せそうな寝顔で眠っている。
しかし、一度転落を始めた幸福から不幸への下り坂はそう簡単に止まる事はなかった。
「ゆぐ!」
プチれいむは突如体に加わった衝撃で目を覚ます。
「ゆぅ〜ゆっくりできにゃいよ〜おか〜・・・?・・・・・ゆゆ!おか〜しゃんがいにゃいよ! 」
現在プチれいむは地面に転がった帽子の中で横向きになっている。
まりさはと言うと帽子が脱げた事になど気づかないままコロコロ転がりながら眠っている。
帽子が傾いているためプチれいむはまりさの姿を確認する事ができず少し不安そうにしている。
「おか〜しゃんをさがしゃないちょ。」
プチれいむは這うようにして傾いた帽子から脱出を図る。
「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「おか〜しゃ〜ん! 」・・・コロコロコロ・・・
「うんしょうんしょ。」・・・コロコロコロ・・・「どこにいりゅにょ〜?」・・・コロコロコロン・・・
プチれいむが帽子の入り口に到達する。
「やっちょおしょとにでられりゅよ。」
ピョンッと外に飛び出した瞬間、プチれいむの目には転がりながら接近するまりさの姿が映っていた。
コロコロコロ「ぴぎゃあぁぁ! とまっちぇぇぇぇぇぇ! 」ブチュ!・・・コロコロコロ・・・
コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロ・・・コロコロコロリン・・・
迫り来る母親の巨体、それがプチれいむの見た最後の光景であった。
翌日、まりさは帽子が脱げた状態で目を覚ます。
「ゆ〜っふ〜ん! ゆゆゆ! まりさのたいせつなぼうしがないよ! どこいったの!?」
まりさは血相を変えて巣の中を見回す。
すぐに帽子を発見し安堵するが、近くに転がっているある物を見つけ表情を凍らせる。
まりさの目線の先には押しつぶされて物言わぬ饅頭となったプチれいむが転がっていた。
「あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! ・・・・・あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! !
おぢびぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! !
なんでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?どうじでづぶれでるのお ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ !?
ぜんぶばりざのぜいだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! !
ごべんでえぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ! ばりざがねぢゃっだがらだあ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! 」
ついに独りぼっちになってしまったまりさは潰れたプチれいむの横でひたすら泣き続けた。
〜1時間後〜
「いなくなったおちびちゃんおぶんもまりさはゆっくりするからね! 」
あっさり立ち直っていた。
幸い巣穴には1匹なら余裕で春を迎えられるであろう大量の食糧が蓄えられている。
まりさはゆっくりと春を待つのであった。
〜春〜
ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ガサゴソ・・・ヒョコッ!
巣穴からまりさが顔を出す。
「ゆゆ〜♪ やっとはるになったよ♪ これでゆっくりできるね♪ 」
まりさは尊い犠牲(?)により無事春を迎えることができた。
今となっては相方であったれいむや潰れて死んだプチれいむの事はほとんど記憶に残ってはいない。
「ゆっゆゆ〜ん♪ ゆっゆゆ〜ん♪ 」
まりさは希望に胸膨らませて春の森へ繰り出していった。
結局、最後までまりさは自分が原因でれいむやプチれいむが死んでしまった事に気付かなかった。
そして、当然寝相の悪さは直ってなどいない。
この先、まりさは再び気の合うゆっくりを見つけてつがいになるだろう。
そしてそのつがいとなったゆっくりはゆっくりできない生涯を送る事になるのであった。
第1話 〜ゆっくり眠れないまりさ〜 END
「そこまでよ! このすぺ〜すはぱちぇがいただいたわ! 」
なにやら変なのがわきました。
番外編 〜がんばれゆっくりぱちゅりー2〜
「むきゅ〜♪ おうちがかんせいしたわ! これでふゆがこせるわ! 」
現在ぱちゅりーは自分で地面に掘った巣穴の中に居る。
決して広くはないが、体の弱いぱちゅりー種が巣穴を1匹で完成させるのは非常に稀なケースである。
「むきゅ〜♪ ちかくにはたくさんしょくりょうがあるしかんぺきだ・・・。」
パラッ・・・パラッ・・・パラパラパラ・・・ドッシャ〜ン
「むぎゅー! 」
突如巣穴が崩れぱちゅりーは下敷きになってあの世へ旅立った。
少し考えればわかるものだが、体の弱いぱちゅりー種が掘れる場所など柔らかく崩れやすい場所に決まっている。
完成した時はぎりぎり形状を保っていたが、中でぱちゅりーが出した声がトリガーとなり崩壊してしまったのだ。
本来ぱちゅりー種は自らの知識を活かし他のゆっくりと共生することで生き延びる種である。
自らの豊富な知識に自惚れ他のゆっくりに近づこうとしなかったこのぱちゅりーに初めから未来など無かったのだ。
(むっきゅーーー! これじゃまえとおなじじゃない! なんでぱちぇだけこんなにすこしなのーーー! けほっけほっ。)
以前にも似たような事があった気がするけどTAKE2
「むきゅ〜♪ しょくりょうもあつまったしこれでふゆがこせるわ! 」
現在ぱちゅりーは老木の洞の中に居る。
洞の奥には色とりどりの秋の味覚が溜め込まれている。
体の弱いぱちゅりー種がこれだけの量の食糧を1匹で集めるのは非常に稀なケースである。
「しっかりいりぐちをふさいでっと、かんぺきだわ! 」
ぱちゅりーは完璧な計画に胸躍らせながらゆっくりと眠りについた。
ガクガクガクガクガク
大寒波が到来した翌日、ぱちゅりーは寒さに震えていた。
いかに洞の中とはいえ寒さをすべて緩和する事など不可能である。
「ざ、ざむいわ・・・も・もうだめ・・・むぎゅぅ・・・・・。」
寒さに耐えられなくなったぱちゅりーは敢え無くあの世へ旅立った。
ぱちゅりー種はゆっくり一皮が薄く、また中身が生クリームという事もあり寒さにも暑さにも弱い種である。
他のゆっくりと一緒に越冬し、肌を触れ合わせて体温を上昇させ生き延びるのがぱちゅりー種である。
自らの豊富な(ry
(むきゅぅ・・・。)
最終更新:2008年12月31日 18:56