「屋根よりは低い~♪ゆっくりれいむ~♪」
チルノはご機嫌そうにゆっくりれいむの一家にエサをあげていた
凍らせた魚を三匹ほど持っていけば人里ではそこそこ高い値段で売れる
それを持って八百屋に行き形の悪い野菜を選んで買えば食べ盛りの子供たちがいても平気なぐらいの量にはなる
「大きいこいつはお母さん♪」
キャベツを剥きながら、葉を一家に与えていく
「小さいこいつらは子ども達♪」
大きなゆっくりれいむはトマトを、小さなゆっくりれいむはキャベツを食べている
「ゆっくりしながら生きていーるー♪」
「おねえさん、ありがとう」
「おねえさん、もっとゆっくりおうたをうたってね」
「ゆっくりしていってね!!」
嬉しそうなゆっくりれいむたちにチルノは満足する
チルノがこの一家を見つけたのは一ヶ月前の事
夏の日差しから逃げ込んだのが一家のおうちだった
最初はいろいろ言われたが、氷を出してあげるとみんな優しい態度になってくれて
チルノは嬉しかった
ゆっくりれいむの一家も同じだった
毎日エサをくれたり、歌を歌ったり、遊んだりしてくれるチルノ
最初はいきなり家に入ってきて怖かったけど
今は一番の仲良し
「じゃあ、みんなで歌おう!」
「「「「ゆっくりね」」」」
「もちろんよ!!」
「「「「やねーよりはひくいー、ゆっくりれいむー♪」」」」
日が落ちるとチルノは霧の湖に帰っていった
"おい、行ったか?"
"ああ、全く妖精がクズ野菜なんか買ったらゆっくり飼ってますとか言ってるようなもんだぜ"
"あの妖精には悪いが、売れば魚や野菜なんかよりも良い儲けになる"
"しっかし、あの妖精も欲張りだよな。あんなに食わせて、どんなけ増やす気なんだ"
次の日、ゆっくりれいむたちはおうちにいませんでした
チルノは一日中、いつもなら帰る日没になってもおうちの前で待っていました
また次の日、チルノはいつもよりたくさん魚を捕まえていつもより多くの野菜を買いました
帰る途中、お菓子屋にも寄ってゆっくりれいむそっくりのお饅頭を買いました
自分たちそっくりなお菓子を見たらびっくりするかも!!
でも、ゆっくりれいむのおうちには誰もいませんでした
「あ、あれ、歌が聞こえる」
それまで飛んでいたから風の音で聞こえなかったのか
ポケットから歌声が聞こえました
チルノは急いで野菜を置き、ポケットからゆっくりれいむそっくりのお饅頭を取り出すと
かすかに口が動いています。チルノは耳にそれを近づけます
屋根・・・低・・・っくりれい・・・
大きいこ・・・おか・・・
ち・・・いこい・・・は・・・ども
ゆっ・・・ながら・・・・・・・・・
そして何も聞こえなくなりました
当時はまだ加工工場というものがなく
繁殖のメカニズムもあまり知られていなかったゆっくりは高値で取引されていました
そして、饅頭として売り出す基準も曖昧でまだ生きているものを出荷し
店頭でゆっくりが動き出すと言うトラブルも少なくありませんでした
最終更新:2008年09月14日 05:46