ゆっくりいじめ小ネタ522 ゆっくりと社会

冷たい風が摩天楼の隙間を抜ける。暖かい日中に比べれば夜は途方もなく寒い。
舗装された道路は固く、這って歩く事はできず、寒く疲れているのに跳ねて移動しなければいけない。
大通りはまだけたたましく車の走る音、轢かれれば終わりと路地裏を行く。
街灯も少ない道は酷く寂しいが、人の多い日中に動く事と比べれば遥かにリスクは低い。
ゆっくりれいむは渾身の体当たりで青いポリバケツをひっくり返す。
透明のビニール袋、傍にある街灯の明かりを利用して中身を確認する。
結び目を適当にぐいぐいと噛んだり、舌でぐにぐにと押すと解けるので、中にある生ゴミをたらふく食べる。
どれも腐りかけていて酷く臭うが、無臭でも食べられないビニールよりはまだマシだ。
そして、れいむは路地裏を通り寝床に帰る。これから次の日の夜まで眠るのだ。
そういった様を眼下に、人間は栄華を極めている。人間の足元、アスファルトの建造物は空をどんどんと狭くする。
れいむは空を見上げる。空の向こうに光が無い。光はすぐそば、街頭やビルから漏れるものしかなくなった。
寝床に戻ったれいむが眠りにつく頃、街は目覚め始めた。
れいむのこの生活は路地裏を走ってきたトラックに轢かれ道路のシミになるまで続く。

ゆっくりまりさは頬から伝わる床の冷たさで目を覚ます。中身が餡子でも多少なりとも熱を持っている。
吸いこんで息を吐くと白い靄が部屋の中に消えていく。その靄のように自分も消える事が出来たら、まりさはそう望むが、
それが叶う事は一度もない。重い鉄の扉が開き、スーツを着た男が雑な手つきでまりさを運ぶ。
まりさは先ほどまでいた部屋と似たような、でも少し広く。どこか怖い部屋に連れてこられる。
部屋の真ん中には弱ったゆっくりぱちゅりーがいる。持病が悪くなっているのか、身体全体で息をしている。
男は乱暴にまりさをぱちゅりーの傍に投げ捨てる。別の男がカメラを回し、スーツの男が指示を出す。
まりさは何度も拒否をする。その度に鉄の棒で頬を叩かれる。一度、二度、三度、それが十を超えた辺りからまりさの拒否するトーンが弱くなっていく。
それまで勿体ぶって叩いていたが、弱気を見せると矢継ぎ早に五度叩かれ、迷っているなら早く決めてしまえと答えを強要する。
すると、まりさは承諾を伝え、ぱちゅりーを睨みつける。男たちはそれかは何も言わず。ただ、まりさとぱちゅりーだけを見ている。
まりさは豹変し、ぱちゅりーに襲い掛かる。まず頬に噛みつき、千切る。それから何度も体当たりをする。
中身は先ほど千切った事によりできた頬の穴からどんどんと抜け出ていく。容赦のない体当たりについに右目まで流れ出てしまった。
ぱちゅりーは何度も悲鳴を上げる。最初は怒り、次に恨み、最後に命乞い。
まりさはぱちゅりーを殺した。これがまりさの最初のお仕事、この映像を収めたビデオは電気街の路地裏で売られる事になる。
まりさの仕事は終わらない。例え電気街の路地裏だけだとしても人間の欲求と接点を持ってしまったからだ。人間の欲求には終わりが無い。


心地よいオルゴールの音、室内は加湿器と暖房により快適な環境に整えられていた。
怪我をするといけないから、この家にはストーブが無い。水もゆっくりには大敵だから、加湿器の下に滑り止めシートが敷かれ、
キッチンには入れないように柵がしてある。柔らかいクッション、可愛いイラストの描かれた餌箱、おでかけ用のキャリーケース。
そのケースには寒くないよう、怪我をしないようタオルケットが敷かれ、お気に入りの小さな人形が入っていた。
業者の人間が加湿器を段ボールに入れていく。柵は取り外され、餌箱やキャリーケースと一緒に粗大ごみへ。
少女はクッションとオルゴールだけを自分の段ボールにしまう。
両親は新しく住むマンションの間取りを見ながら、あれこれと家具の配置を話し合っている。
その中でゆっくりありすだけが何もかもから取り残され、快適でなくなった環境の中にいる。
今までかわいがってくれた少女とお話しようとしても忙しいからと拒否される。
家から一切のものが無くなった。ありすのクッションも餌箱もキャリーケースも。
ありすは生まれて初めて、ケースに入れられず、外に出される。少し寒いが初めての体験にありすの心は躍る。
まず、荷物を積み込んだトラックが発車する。次に少女と両親が乗った乗用車が出発する。
ありすは家の前で独りぼっちになる。少しの間はそこで待っていたが、他の場所を見たくなって歩き出す。
思っていたより地面は固い。今まで絨毯の上しか歩いてこなかったから這って歩くのが当たり前になっていたが、ありすは跳ねる事にした。
ピョンピョンと跳ねるありす、初めて跳ねたが、上手いのかもしれない。自分でそう錯覚する。
しかし、午後から降り出した雨はありすの身体を溶かしていく。ありすは雨をしのぐ場所を探し右往左往するが、
元々室内で飼われていたものだ。何かしら知恵があるわけではない。ありすは死ぬまでの間、大好きな飼い主の名前を呼び続けた。
人間の英知は午後から降り出す雨も予想し、引越しの準備を早める事が出来る。











by118

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最終更新:2011年07月27日 23:56
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