耳が聞こえない僕とゆっくり

●虐待分薄いというか無いかも
●というかゆっくりの声は一切出てきません
●ある意味人間も虐められます
●現代設定
●俺設定の乱れ撃ち





僕は、生まれつき耳が聞こえなかった。
自分の声も聞こえないからもちろん話すことも出来ない。まぁそれでも意思疎通が出来ないわけではなかったから、日常生活で困ることは無かった。
何より、彼らの声が聞こえないのは、現代においては凄く助かることだと思う。
「彼ら」というのは、数年前から現れ始めた「ゆっくり」とかいう不思議饅頭生物のことだ。
生物学者を何人もノイローゼに追いやった彼らは、非常に騒がしく、傲岸不遜で自分こそが世界で最も素晴らしい生き物だと勘違いしている生物らしい。
おまけに、人語を喋るとか。
まぁ、僕には聞こえないから関係無いんだけども。
…ほら、また一匹のゆっくりが僕の足元にやってきた。赤いリボンを付けているから、きっとこいつは「れいむ」という種類のやつだろう。
「         」
僕の足元で、癇に障る笑顔で何かを言っているれいむ。
友人の話だとゆっくりたちの挨拶は「ゆっくりしていってね!!!」というらしいから、たぶんこいつもそう言っているんだろう。
「          」
また何か話し出した。最初の挨拶は聞いていたが、その後は何を言うのかまでは聞いていないから分からないな…。
と、そのれいむは僕の顔を見て話していないことに気がついた。どうやらこいつの目当ては僕が抱えている紙袋の中身のたい焼きらしい。
ということは今も必死に何か言っているのは、「かわいいれいむにあまあまさんをちょうだいね!」とか言っているんだろうか。
そう思うと途端にこのれいむの顔が媚びた笑顔に見えてくるから不思議なものだ。
だからといってこんな不思議饅頭なんかに僕の大好物であるたい焼きをくれてやるつもりは無いのでれいむは無視して目に入った一番近いベンチに向かう。
すると、なにやら足にやわっこいものがぶつかっている感覚が。
何かと思って足元を見ると、さっきのれいむが見事な放物線を描いて飛んでいく丁度その瞬間だった。
…えーと?状況を見て察するに、あのれいむが僕がベンチに行くのを邪魔しようとして、僕の足に蹴り飛ばされたって感じかな?
まぁ、饅頭の分際で人間様を止めようとした罰でしょう。なんか号泣してるけど知ったこっちゃないね。


とか考えてる間にベンチに到着。とりあえず腰を落ち着けてたい焼きを味わうとしますか。
…うん。やっぱりあの屋台のおっちゃんのたい焼きは最高だね!
クラスメイトの鬼意山君はしっぽには餡子が無いほうがいいって言うけど、やっぱりたい焼きはしっぽまで餡子が無いとね。
「                             」
って、なんだよもう。せっかく僕がたい焼きの美味しさに感動してるときに足にぶつかってくるのは。
なんとなく、分かってはいるんだけどさ。どうせさっきのれいむだろう。
たい焼きの袋を脇に置くと、足にぶつかってきている何かをひっ捕まえる。
ほら、やっぱりさっきのれいむ…じゃない?なんだこれ。なんか帽子かぶってるんですけど。
とりあえずこいつの呼び方は暫定的に「帽子付き」としよう。なんか某白い戦艦みたいでかっこいいネ。
んで、こいつは僕に何の用なのかな?なんか顔面から涙っぽい液体垂れ流しでキモいことこの上ないんだけど。
「          」
「               」
よくよく見ると少し離れたところでさっきのれいむがこちらに向かって何か叫んでいる。
聞こえないのに何故叫んでいると思えたのかっていうと、なんかもう鬼気迫る表情で口動かしてるからね。あれは聞こえなくても叫んでるって分かるよ。
そしてこの帽子付きもさっきからなにやら叫びながら僕の手から逃れようともがいている。こら動くな。写メで鬼意山君に質問しようとしてるのに。
なんとかブレてない写真を撮って鬼意山君にメール送信っと。
その隙にさっきの帽子付きは僕の手から逃げ出して、れいむが居るところまで退避してしまった。
なんかちょっとぐったりしてるれいむを気遣ってる帽子付き。どうやらあの二匹は番のようだ。
しばらく帽子付きと僕の睨み合いが続いた。その沈黙を破ったのは鬼意山君からのメールだった。
内容は『帽子が付いてるのは「まりさ」種だな。すぐそっちに行くから待ってろ』とのこと。いやいや、帽子付きのことを聞いただけで君はお呼びじゃないっての。
まぁゆっくりに喧嘩売られた場合の対処法なんて分からないし、鬼意山君が来たら後は任せちゃおうかな。




それから10分程して、鬼意山君はやってきた。
こっちを見つけると軽く手を上げて挨拶。彼のいつもの癖だ。
『お待たせ。で、その喧嘩売ってきたとかいう糞饅頭共は?』
伝えたいことを打ち込んだ携帯の画面を見せてくる鬼意山君。
最初はメモ帳に書いていたのだが、鬼意山君はあまりに字が汚くて解読困難な為にこういうことになった。
『そこ。ってか目の前に居るでしょ?あと肩に手を回すな馴れ馴れしい』
鬼意山君の手をつねりながら僕の携帯の画面を見せる。
『あぁあいつらか。ふーん…確かになんか怒ってるな。ってか痛い。なんか肌が尋常じゃない色になってるからいい加減離してくれ』
『やっぱり怒ってるんだ?僕なんか怒られるようなことしたかなぁ?もう二度と肩に手を回さないって誓ったら離してあげる』
確かに鬼意山君の皮膚が赤黒いを通り越してなんとも言い難い色になっているけど、いい加減会う度に肩に手を回すのをやめて欲しいので今回はやめない。
ところでなんかれいむとまりさが石ころを集めだしたんだけど、あれはなんの前兆なのかな。
『ねぇ、なんかあの二匹石ころを集めてるけど?』
『ん?あー…流石にちょっとあぶねぇなぁ。俺の後ろに隠れとけ。あともう肩に手を回さないって誓うからマジで勘弁してください』
危ない?どういう意味だろ…?
とりあえず鬼意山君の背中に隠れる。彼は僕より背が高いから僕の身長だとほとんど見えなくなってしまう。どうせチビですよ。
隠れた直後、さっきまで僕の居た辺りに石ころがめり込んだ。
『っちょ!?なんか凄い勢いで石ころ飛んで来たんですけど!?』
『あれがあいつらの攻撃手段の一つだ。結構当たると本気で危ないから気をつけろよ』
『ってかそれなら鬼意山君も危ないんじゃ…』
『結構、鍛えてます』
『鍛えるとかの問題じゃないよね!?』
そんなことを言っている間も、二匹の石飛礫攻撃は止まない。
『さて、それじゃあそろそろあいつらぶち殺してくるわ』
『え?
と、僕が打ち終わるよりも早く鬼意山君は駆け出した。
ゆっくり達との間合いを一瞬で詰めると、鬼意山君は即座にまりさを掴んで上へ放り投げる。
「                       」
「                」
何かを叫びながら空高く舞い上がるまりさ。
そしてそれを見上げて呆然としているれいむの顔面に鬼意山君の踵落としがめり込む。
そこからの出来事は一瞬だった。が、その一瞬の出来事が僕にはまるでスローモーションのように見えていた。
踵落としがめり込み、れいむの歯がすべて弾け飛んだ。
そしてその歯が地面に落ちるよりも早く、鬼意山君がれいむをまりさと同じくらい上空へ放り投げる。
更に入れ替わりで落ちてきたまりさに右ストレートを叩き込むと、その勢いでまりさが吹き飛ぶ前に、再び足を高く掲げて踵落とし。
「     」
踵落としの勢いそのままに地面に叩き付けられたまりさは地面に真っ黒な放射状の模様を描いて物言わぬ饅頭になった。
そして、今度は降りてくるれいむを再び掌底で上空へ。
それを数回繰り返し、れいむがぐったりしてきたところで鬼意山君の黄金の右足をぶち込み、まりさの元へとれいむを送った。
「                             」
まりさの死骸にれいむがダイブする直前、れいむは僕の方へ何か叫んでいたけど、結局最後まであの二匹が何を言っていたのかは分からなかった。




おまけ
『なぁ、引いたか?』
『何が?』
唐突に引いた?などと聞かれても意味が分からない。
すると鬼意山君は気恥ずかしそうに顔を背けると、携帯を僕の鼻先に突きつけてきた。近すぎ。
『だから、俺がゆっくり虐待が趣味だってこと』
あぁ、そのことか。クスクスと笑う僕を見て、鬼意山君が怪訝な顔で僕を見る。
だから、僕は突然走り出すと、鬼意山君の携帯へメールを送った。

『別に気にしてないけど、女の子の目の前でやるようなことじゃないよね?』

…それから数年経った今も、鬼意山君とは二人で仲良くゆっくりを虐待しています。






あとがき
相変わらず睡魔と第二次脳内大戦中に思いついたネタを書いてみました。
耳が聞こえない人からすればゆっくりってどういう風に感じたんだろうって思ったので。今回は屋外でしたがいつかは屋内編も書いてみたいですね。
そして何故か最後がラブコメ風味に。どうしてこうなったのかは分からない。後悔は海より深くしている。だが反省はしていない。
僕っ娘大好きSA



これまで書いたもの

●~プロローグ~
●ゆっくりハッキング
●俺のちぇんに手を出すとは良い度胸だ改

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最終更新:2022年05月04日 00:11