※まじめに読むと馬鹿をみます※
※胡散臭いところがありますがほぼ嘘で構成されています※
※冗談として受け止めてください※






友達のケンが風邪で学校に来なくなって5日目、さすがに心配なのでケンの家に見舞いに行った。
おばさんに容態を聞いてみると熱が下がらず、一向に良くならないので病院に行こうと言うのだが
ケンは何故か嫌がってそのままずるずると今日まで寝込んでいるそうだ。
ともかくケンの部屋に顔を出す。ちょうど起きていたので声をかける。

「よお、元気してっか?」
「…シン…久しぶりだな…」

病人が元気なわけないだろ、ぐらいのつっこみが返ってくると思っていたのだがそこにいたのはいかにも病気ですといった顔で挨拶するケンだった。
そこからは他愛もない雑談をした。と言っても主に俺が学校での出来事を語っていてケンがそれを黙って聞いていたが。

「なんにせよ早く学校に来いよ、でないと出席日数も足らなくなるし、熱出たままだと種がなくなっちゃうぞ」
「俺だって行きたいさ、でも……怖いんだ」
「今なんつった?よく聞こえなかったからもう一度言ってくれ」
「……が怖いんだ」

また聞こえなかったが口の動きで言いたいことはわかった。「ゆっくりが怖いんだ」確かにケンはそう言った。


『ゆっくり恐怖症』


近年騒がれ始めている心の病の一種だ。
しゃべる饅頭モドキと名高いゆっくりを恐れるようになるのだそうだ。
初期段階はゆっくりを疎ましく思ったり、不快に感じたりするだけらしい。
さらに症状が進むとゆっくりに対して怒りとも憎しみとも呼べる感情を抱き、ひどい目に合わせてやりたくなり、時には無残に殺してやりたくなるらしい。
これは心の奥底では理屈で説明できないこと(何故饅頭が動くのかなど)を無意識に恐怖を感じているのだが
それを違う感情で押しつぶしているらしい。どこぞの先生が言っていたことがどこまで真実かはわからないが。
よく問題視される『虐待癖』をもつ人たちの一部はこの病気を抱えているそうだ。だがそれならまだ良い方で悪い方向に転がるとゆっくりそのものを怖がる。
外にはゆっくりがいたるところに存在する。都市では路地裏、田舎では植え込みにいたるまでゆっくりを目にしない日はないのではないかと言うぐらいどこにでもいる。
それらに遭遇するのではないかと怖くなり、外出をも嫌がるのだ。
原因としてはゆっくりの声に含まれるある音が人間を不快にさせたり、不安を植えつけるとか、
ゆっくりの大きな声が猛獣の吠える声と体が誤解して恐れるようになるとか言われているが、
ゆっくりを見ると幼少時のトラウマがフラッシュバックしてそれがゆっくりへの恐怖に変換されるケースもあって、よくわかっていないのが実情だ。
一番有力なのはゆっくりに関わりが深いと発症しやすいことで、
小さい子とゆっくりを一緒にすると子供の発育に悪いとか言われて夫婦に子供ができると捨てられることが多い。

そういえばケンも前にゆっくりれいむを飼っていた。そのれいむを庭で遊ばせていたら野良猫がやってきてれいむを食い殺したとか。
相当ショックだったらしく、飯も喉を通らなかったそうだ。
俺は家の手伝いが忙しくてとてもゆっくりに構っている暇もなく、飼うことも遊ぶこともなかった。
ケンはぽつぽつと話しはじめた。

5日前、ケンは熱を出して学校を早退し、家に帰る途中のことだった。
足をふらふらさせながら歩いていると目の前にゆっくりまりさがいた。無視して通り過ぎようとするとまりさが
足下によってきて跳ねながら何か喚いたらしい。よく憶えていないが「あまあまさんちょうだいね!」と言ったかもしれないし、
そのゆっくりしてない様子から「ゆっくりしていってね!」と声をかけただけかもしれない。
ともかくまりさが邪魔だから避けようとしたら誤って踏み潰してしまった。
口から餡子を吐き、目と一緒に目があった場所から餡子が飛び出た。そのままにするのも躊躇われたが
どかしている余裕がなかったので家に帰った。
家に帰っても誰もいなくて自分の部屋の布団に直行した。そして気を失うように眠った。
その夢の中で以前飼っていたれいむが恨み言を言う。この悪夢は前にも見たことがあって食い殺された姿で訴えるのだと言う。
だが今回は違った。隣にはさっき踏み殺してしまったまりさがいてそいつもこちらに訴える。
二匹は無残な姿で「ゆっくりしたいよぉ」とか「いたいぃゆっくりできないぃ」と苦しみの声を上げるのだ。
耳を塞ぐこともできずに悪夢にうなされて、全身に汗をかきながら目が覚めると目の前にはれいむとまりさがいた。
今の窓が開いていたらしく、そこから進入してきたのだろうが、そのときは錯乱していて化けて出てきたのだと思ったそうだ。
その2匹を潰すと夢のなかの2匹とかぶり、気持ち悪くてあげてしまった。
その後も悪夢でうなされ、目が覚めたと思ったら潰れたゆっくりがいる悪夢の続きだったりと満足に眠ることもできないらしい。
外にもゆっくりがいて怖くて病院に行けない。養生することもできない悪循環に陥ったというわけだ。

ゆっくり恐怖症は生活に支障が出る病気として騒がれていて治療には根気強くカウンセリングに通うしかないのだが
それもいつ再発するか分からないため、完全ではない。これは友として俺が一肌脱いでやるしかないな。

「よし、ならば俺がどうにかしてみようじゃないか」
「でもどうするんだ?」
「俺に任せておけ、明日また見舞いに来るからよ。今日はこれで帰るぜ」

俺は家に帰らずにあるものを探しに行った。


そして次の日。約束どおりまたケンの見舞いに来た。

「お前のゆっくり嫌いを直すために今日はあるものを持ってきた」

そういって取り出したるは何と!な、何と!それは意外ッ!ゆっくり!
それもれいむ&まりさというもはや常識とも呼べるペアだ。
この2匹にはあるお兄さんをゆっくりさせることができたらあまあまをあげるといって任意同行してもらった。
間違っても無理やり拉致って来たわけではない。

「「ゆっくりしていってね!」」

自分たちがゆっくりさせられないものなどあるわけがないと信じきった顔でケンに近づく2匹。
ケンは体を重そうに動かしながら壁際によっていく。

「おにいさんゆっくりしていってね!」
「ゆっくりできたらあまあまさんちょうだいね!」
「俺の傍に近づくなァ――――!!」

早くもケンが狂いだしてきた。

「ほあああぁぁ!」
「ゆべし!」
「ゆでぶ!」

奇声を上げて瞬く間にゆっくりを何か別のものに変換していく。
だがこんなことは既に予想済み!ちゃんと代えのゆっくりも持参してある。

「そーれゆっくりだ!」

ゆっくりをケンに向かって放り投げる。それをすかさず迎撃するケン。

「ゆっくりs「あたぁ!」れべっ!」
「まだまだあ!」
「おそらをt「あちゃっ!」ぎゅぶっ!」
「つぎぃ!」
「ゆっくりして「りゃあ!」」
「ひぐう!」

ケンが打ち返したゆっくりが俺の顔面にジャストミートした。

「ゆっくりできないよ!」

俺の顔面に当たったおかげで命拾いしたゆっくりがそう言った。

「ゆっくりしていってね!と言うゆっくりが次の瞬間にはゆっくりできないと言う、
 まったくゆっくりの心変わりとは恐ろしいものよのお!」

ゆっくりを踏み潰して大声で笑った。

「はーっはっはっは!」

結局、騒ぎを聞きつけたおばさんにこっぴどく叱られた。



一週間後、そこには元気に野を駆けずり回るケンの姿が!

「もうゆっくりが怖いなんて言わないよ」

どうやら俺の『ゆっくりは友達作戦』は大成功だったようだな。
ゆっくりへの恐怖をゆっくりへの憎しみにひいては執念に上書きしてやったというわけだ。
今では一緒にゆっくりを虐待するぐらいにまで回復している。
ケンはゆっくりをサンドバックのように叩きのめしているが前とは違い、一発で死なせることはない。
そういう俺もゆっくりを捕まえて指でプニプニしている。だが徐々に強く突いていく。

「おにいさんやめてね!」
「ん~?聞こえんなァ」

人差し指をれいむのやわらかい腹(?)に突き立てる。

「七つの傷を!1!2!3!4!」
「ゆぎゃああああいだいいいいいい!」
「くれてやる!5!6!7!」
「どぼじでごんなごどずるのおおおおおお!!」

やっぱりゆっくり虐待は最高だな!










あとがき

SS書き始める前に考えたネタを掘り返して書き出してみました

ネタと混ぜ合わせてオチを誤魔化してみたり

なんか別物になった気がしないでもない



『オマケ』でした

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最終更新:2022年05月19日 13:32