ゆっくりが出産をします
植物型で2日、胎児型で4日程度で生まれる設定となっています







まりさを譲り受けた次の日だった
「れいむの持ち主に連絡を取ったんですよ。そうしたられいむは家にいるって言うんですよ」
隣人である虐待愛好家の青年は驚くべきことを言ってきた
れいむ、青年のちぇんをにんっしんっさせたゲスれいむ
バッジはちゃんと付けてあるが怒りが有頂天を迎えた青年はそんなことはどうでもよかった
最悪、ガラスを割ったときに破片で怪我をしてそれが元で死んだとでも言うつもりでいた
それほどまでに青年は怒りを覚えていたのだ
ちなみに隣人はれいむの飼い主の元を訪ねておりキチンとれいむを確認している
それが件のれいむかどうかは分からないが
銀バッジは比較的簡単に取得できる
そして、紛失した際には簡単に新しいものがもらえるのだ
つまり、すぐさま手配をすれば野生のれいむに銀バッジを付けて偽装が可能である
金バッジの場合は手続きをすませた後、取得したゆっくりかどうかをバッジ委員会側のゆっくりが判別する
個体識別に関しては群を抜いているゆっくりだけあってそれは確かなものだ
こうしてれいむは飼いゆっくりではなくなった
それはつまり、この先どうなろうと誰も助けてくれないことを意味する
れいむはと言うとまりさと再開し再び子どもを宿していた
植物型のためもう既に何匹生まれるかが確定している
種別は分からないが、7匹のゆっくりが生まれ落ちることになる

「ゆゆ~ゆっくりうまれてきてね!」
この先自分の身に何が起こるかもつゆ知らず
れいむは自分の頭から生えた茎、そこに宿った赤ちゃん達の誕生を心待ちにしていた
母性が強いと言われるだけあり、れいむはとても嬉しそうにしていた
まりさも動けないとはいえ子どもの誕生は嬉しいようだ
ゆっくりだけあって先のことは何も考えておらず時折青年が投げ入れる野菜くずを
まるでそれが毎日、しかも当然のように与えられるものだと思い込んでいる
実際は今死なれては怒りの落としどころを失うのを青年が恐れてのことだ
「まりさとれいむのあかちゃんはもうすぐうまれるね!」
「あかちゃんがうまれたらゆっくりできるね!」
生まれた子ども達が一体どんな声でゆっくりしていってね!と挨拶をしてくれるか
それを考えるだけで二匹はとてもゆっくりして時間を過ごすことが出来た


一方、ちぇんはあまりゆっくり出来てはいなかった
青年がちぇん種なら飼ってくれるとは言ったもののもしれいむ種だったら殺されてしまう
胎児型でお腹を痛めて産む子がもし殺されてしまったら…そう考えるだけで身震いする
金バッジだけあって「お兄さんも自分の赤ちゃんを見たらとてもゆっくり出来る」などと言った楽観視はしていない
ちぇんに出来るのはちぇんと同じちぇん種が生まれてくれることを祈るだけだ
「ちぇんとおんなじゆっくりにうまれてね…」
お腹の子どもは一匹
この子どもがちぇんかはたまたれいむか
胎児型といえども数日中には生まれるだろう
ちぇんのゆっくり出来ない日は続く



「「「「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」」」」」」
れいむの茎から赤ちゃんゆっくりが生まれ落ちた
内訳はれいむ種が3、まりさ種が4だ
どんなゲスから生まれようとも生まれ落ちたその瞬間はとても可愛く愛らしいのがゆっくりである
れいむとまりさは生まれた子ども達に目を奪われていた
つぶらな瞳、綺麗なおリボンと帽子、流れるような髪の毛、ゆっくりとした体付き
「「ゆっくりしていってね!!」」
感極まりながらも子どもに挨拶を返し、自分達が親だと認識させる
二匹の頭の中には子ども達をどう育てるか、それしかなかった
れいむに似た子たちはきっとお歌が上手に違いない。まりさに似た子たちには帽子を使った河渡りを教えよう
家族で食べるご飯はとても美味しいに決まってる
夢のような未来図が二匹の間に展開していった
「おきゃあしゃん!まりちゃはおなかがちゅいたよ!」
一匹の赤ちゃんまりさが空腹を訴えた
他のゆっくり達もお腹が空いた、ご飯が食べたいと言いだしたのでれいむは頭の上の茎を落とした
「あかちゃんはくきさんをゆっくりたべてね!」
赤ん坊のゆっくりが生まれて初めて食べる物はこの茎だ
この茎を食べることによって免疫能力などを得るとも言われている
赤ちゃんゆっくり達はこぞって茎を食べ始め、ものの5分もしないうちに茎は無くなってしまった
「おにゃかいっぱいだよ!」「まりしゃも!」「なんだかねみゅきゅにゃってきたよ?」「ゆっくりおひりゅねしゅりゅね!」
れいむの子守歌を聴きながら赤ちゃんゆっくりは昼寝をし始めた
動けないまりさも赤ちゃんがすりすりしてくれて感動の涙まで流していた
「れいむはおうたがじょうずだね!まりさもねむくなってきたよ!」
「ゆっくりてれるよ!あかちゃんたちがねたかられいむたちもおひるねしようね!」
二匹も赤ちゃん達につられる様に眠り始めた
「…そろそろか」
それを別室から見ていた青年はボウルと包丁、そして小麦粉を手にれいむ達の部屋へと向かった
眠り惚けているまりさを持ち上げ底面をよく見る
黒こげになったそれは自然治癒は期待できない
治すとなればそれこそオレンジジュースか新しい皮を用意するしかない
それを確かめると青年は包丁をまりさの底部へとあてがう
そして細心の注意を払い、黒こげになった部分を切り落としていく
まりさは「ゆゆ~あかちゃんたち、くすぐったいよ…」などと寝惚けていて気付く様子はない
黒こげになった底部を捨てると次に赤ちゃんゆっくりに手を伸ばす
眠っている赤ちゃんゆっくりから飾りを取り除く
それが終わると青年は赤ちゃんゆっくりを殺さぬように解体していく
顔の部分を残し、尚かつ中枢部の餡子を傷つけないように
全ての赤ちゃんゆっくりを切り終えると顔の部分の皮をまりさの底部につなぎ合わせる
小麦粉を溶かしゆっくりとなじませていく
また、小麦粉を使い赤ちゃんゆっくりの中枢餡子を覆うことにより親との同化を阻止する
6匹の赤ゆっくりを使いまりさの底部は復元された
1匹余ってしまったので青年はその使い道を考えているとまりさの人間で言う臀部から醜いものが顔を覗かせた
あにゃると呼ばれる排泄器官。丁度良いとばかりに最後に残った赤ちゃんれいむをその部分へと移植する
口の部分がちょうどあにゃると同じ場所になるように…


作業を終えると青年は野菜クズを撒くと部屋を後にした
この後の反応を見れば溜飲が下げられようか
途中でオレンジジュースとゆっくりフードをちぇんに与えることも忘れずに
「どうだ、もうすぐ生まれそうか?」
まよひがで不安な顔をしているちぇんにオレンジジュースを飲ませながら青年は優しく問いかけた
「もうすぐだねーきっとあしだだよーわかるよー…」
不安そうなちぇんを見ると青年の心にれいむに対する怒りの炎が燃え上がる
皮肉なことにちぇんが気にしているのは自分の子どもが青年に殺されないかどうかなのだが
「あの悪いれいむにはおしおきをするからちぇんは心配することはないよ」
「ゆゆ…」
ちぇんはゆっくりフードを食べ終えると心労から来る疲れでそのまま眠ってしまった
青年はれいむの制裁を固く誓った


結局、れいむとまりさは翌日まで眠り続けた
目が覚めると赤ちゃん達は一匹もいなかった
「ゆ?あかちゃんたち!ゆっくりでてきてね!!」
れいむはポヨンポヨンと跳ねながら部屋中を探し回った
「かくれんぼしてないででてきてね!おかあさんおこるよ!ぷんぷん!」
探せど探せども赤ちゃん達は一向に見つからない
耐えかねたれいむが怒り出すほどだ
「ゆゆ…ゆっくりおきたよ!」
そのれいむの騒ぎ声によりまりさも目を覚ました
「たいへんだよまりさ!れいむたちのあかちゃんたちがいないよ!」
「ゆゆ!?ゆっくりさがすよ!」
それを聞いたまりさがポヨンと跳ねた
「ゆ?まりさのあしさんがうごくよ!」 「ゆげっ…」「ゆびっ…」
黒こげになりウンともスンとも言わなかった脚が動くようになった
その喜びでまりさは飛び跳ねる。ポヨンポヨンと
そのたびにどこからかうめき声がしていたが二匹は気にもとめなかった
「とってもゆっくりしてたからなおったんだね!でもはやくあかちゃんをさがすよ!」
二匹は手分けして部屋中を探し回ったが一匹も見つからない
そして動いたためにカロリーを消費し空腹となる
「ゆっくりごはんをたべてからあかちゃんをさがすよ!」
まりさはそう言って野菜クズを食べ始める
れいむも渋々ではあるが口にするが食べ始めれば
「「む~しゃむ~しゃ、しあわせー!!」」
と、満足の声をあげる始末
満腹になったことでまりさが生理現象を催した
トイレ、排泄行為だ
「ゆっくりうんうんするよ!」
下腹部に力を入れ、あにゃるから餡子をひねり出す
この餡子は人間基準で言うと少々痛んだ程度であるがゆっくりはこれを臭いといい極端に嫌う
「ゆびゃあああ!!くちゃいぃぃぃぃぃ!!!」
まりさがうんうんを出したときだった
突然まりさの後から赤ちゃんの声が聞こえてきたではないか
「あかちゃん!?ゆっくりでてきね!!」
れいむをまりさの後ろに回っても誰もいない
まりさが後ろを向いてもれいむがキョロキョロしているだけで赤ちゃんはいなかった
「うんうんはくちゃいよぉぉぉ!!えれえれえれ」
どこからか苦悶の声を上げて餡子をはき出してる赤ちゃん
しかし、姿は見えなく二匹の不安は募る一方だった
「ゆ?」
それに気付いたのはれいむだった
まりさのお尻の辺りにうんうんじゃないものがある
あれはなんだ?餡子だ。けど、うんうんじゃない
よく見てみるとまりさのあにゃるは何か変だ
目があって口があってこれではまるで…
「でいぶのあかぢゃんがああああああ!!!」
れいむは気付いてしまった。自分の赤ちゃんの居場所に
「どこにいるの!?まりさにもゆっくりおしえてね!!」
ポヨンを跳ねて方向転換しかし、目の前にいるのはれいむだけである
「あかちゃんは!まりさとれいむのあかちゃんはどこにいるの!?」
対するれいむは返事とばかりにまりさに体当たりをした
渾身の体当たりを受けてまりさは吹き飛ばされ底部をれいむに晒すことになった
「ゆげっ…」「ゆぶぅ…」「ゆっゆっ…」「いちゃいよぉぉ!!」「もうおうぢがえるぅぅぅ!!」
間違えることはなどない。確かにそこには自分が生んだ子ども達の顔があった
「どぼじであがぢゃんがばりざのあじざんになっでるのおおぉぉぉぉぉ!!!」
れいむの叫び声は青年のいる別室にまで聞こえるほど大きかった
それを聞いて青年は少し溜飲が下がる思いがした


まりさの底部に移植されたのは自らの赤ゆっくりであった
奇跡とも言える状態だが一匹とも死んではいない
親まりさの餡子に赤ゆっくりの中枢餡子は薄い小麦粉の膜に阻まれて同化していなかった
が、それでも顔面が地面に押しつけられるのは苦しくうめき声を上げだしている
もし森の中なら整理された平らじゃない自分に何回も顔をぶつけるという苦悶が待ち構えている
ある意味一番悲惨なのはあにゃる部分の赤れいむで彼女の口を親まりさのうんうんがダイレクトに通過することになる
そのため、嫌でもうんうんを味わってしまう
「どぼじでばりざのあがぢゃんがああああ!!」
底部を晒しているまりさもれいむの叫び声と赤ちゃん達の鳴き声で自分の体に起きた異変に気が付いた
赤ちゃん達は辛うじて生きている
しかし、これでは生かされているだけだ
まりさは底部を使えないとなれば狩りが出来ず、まりさが狩りを行い跳ねる度に赤ちゃん達は痛みを味わう
もはやどちらか片方しか生きられないのだ
「うごけにゃいよぉぉ!」「どぼじでいもうちょとおんにゃじにゃのぉぉぉ!」
赤ちゃん達もそれぞれ苦悶を上げるがそのたびに親れいむはおろおろするばかりだ
「まっててね!いま、おかあさんがたすけるからね!」
親まりさの底部に口を当てるとれいむはそのまま赤ちゃんの顔を傷つけないように剥がそうとする
当然親まりさは痛みを感じ、うねうねと底部を動かし抵抗する
「どぼじでばりざのあしざんをがむのぉぉぉ!!」
「あがぢゃんがだずげらでないでしょぉぉぉ!まりさはじっとしててね!!」
親まりさにもう一度体当たりをし、弱らせたところで親れいむは再び噛みつく
そのまま赤ちゃんを引きはがそうとするが…
「なんであんござんがででぐるのぉぉ!?がみのげざんはどこなのぉぉぉ!!!」
赤ちゃんは体ごと埋まっていると思っていたのか、親れいむは更に絶叫を上げる
しかし、髪の毛なぞあるわけもなく出てくるのは餡子だけであった
「もっちょ…ゆっくち…」
それが原因で赤ちゃんを構成していた餡子が漏れ出し死んでしまった
正確には親まりさと同化したのだが、その顔は死んでしまったゆっくりそのものであった



「わがるよおー!うばでるよー!」
別室にてちぇんが産気付いた
産道が開きそこから赤ちゃんゆっくりが顔を覗かせる
青年はそれがれいむ種かちぇん種かと覗き込む
「ゆっ!ゆっ!」
ちぇんは額に大粒の汗をたぎらせながらゆっくりと産道から赤ちゃんを押し出していく
「うまれりゅよ!ゆっくちうまれりゅよ!」
すぽんと景気よく赤ちゃんゆっくりは飛び出した
青年が敷いた毛布の上に
思わず青年は絶句した
ちぇんは赤ちゃんを産んで安心しきっていた
しかし、青年の顔を見て青ざめてしまった
「ちぇんのこどもはちぇんとおんなじなの?ゆっくりおしえてね!」
ちぇんは青年を急かしたがそのゆっくりはなんと…




親れいむは混乱していた
赤ちゃんを助けようと引っ張り出したら、赤ちゃんの綺麗な髪飾りは全く出てこなかった
そして、何故か顔だけがちぎれて餡子が漏れ出したのだ
既に3匹の赤ちゃんが餡子が漏れて死んでしまった
親まりさも苦しそうにしている
何よりも赤ちゃん達が
「このゆっくちごろじ!」「ごっぢどないでえええ!!」「ちね!ちね!」
と、まるで自分を姉妹の仇のように睨んでいる
「れいむぅ…これいじょうしたらあかちゃんたちがしんじゃうよぉ…」
番であるまりさも弱音を吐いてる
更にれいむは混乱する
どうすれば赤ちゃん達を助け出せるか、まりさはあしはどうなっているのか
「ゆゆゆ…」
「なんだ、もう3匹も死んだのか」
そこに青年が入ってきた
青年は部屋に入るなり倒されているまりさとちぎれた底部を見て事情を察した
「あ~あ、まさかれいむが自分の赤ちゃんを殺すゆっくりだったなんて」
わざとらしい声で全員に聞こえるように青年はれいむが赤ちゃんを殺したという
「赤ちゃんはまりさの脚になっただけでちゃんと生きてたのにな」
「ゆっ!?」
親まりさはそれを聞き逃さなかった
赤ちゃん達は自分のあしになったがちゃんと生きていた
「でいぶぅぅぅ!!どぼじであかちゃんごろじだのぉぉぉ!!」
バッと跳ね起きるとまりさはれいむに詰め寄る
れいむは「ゆっゆっ…」とオロオロしてるだけだ
「ばでぃざもいだがっだんだよ!ぞれにあがぢゃんはいぎでだんだよ!!」
その場でダン!ダン!とヒステリック気味に飛び跳ねる「ゆっ!」「ゆげっ!」「ゆぶっ…!」
「こんなあしざんじゃばでぃざはがりにいげないよ!どぼじでぐれるうのぉぉ!!」
一気にれいむに詰め寄る。その脚からは動く度に餡子が漏れている
まりさの底部はれいむが赤ちゃんを助けようと噛みちぎったため穴が空いている
そう、噛みちぎったから…
「ばでぃざああああ!あがちゃんがあああ!!」
「ゆっ?」
れいむの叫び声を聞いてまりさは自分のあしへと視線をやると
「ゆびぃ…」「もっちょ…ゆっくち…」「ゆっくちしたきゃ…」「ゆっ…ゆっ…」
れいむが噛みちぎりまりさの底部の空間に空洞が出来た
そしてまりさが飛び跳ねた結果他の赤ちゃん達の餡子も圧力で流れでてしまった
「ゆがああああ!ばでぃざのあがちゃがあああ!!」
弱っていたのも影響し、赤ちゃんは死んでしまった
残っているのはまりさの底部の赤ちゃんれいむとまりさが二組ずつ、そしてあにゃるのまりさの5匹となった
「ばでぃざがあかぢゃんをごろじだああ!!」
「ぞもぞもでいぶがわるいんでじょおおお!!」
「なにいっでるのぉぉぉ!!」
親であるまりさとれいむは既に破局寸前
だが、それでは面白くない
「実は赤ちゃん達をまりさの脚に移植したのは俺なんだ」
青年は真実を告げた
二匹は激情し青年に「しね!しね!」と言いながら体当たりをしてきた
それを意にも介さず青年はさらに言葉を続ける
「お詫びにまりさの脚を治してあげたいんだけどどうかな?」
「ゆ!とうぜんだよ!はやくなおしてね!プンプン!」
「ばかなおにいさんはさっさとまりさをなおしてね!あまあまももってきてね!」
とりあえずれいむを蹴飛ばしてから青年はまりさを持ち上げて部屋を出る
台所には既に高温になっているホットプレートと小麦粉、オレンジジュース、それにバリカンが用意されていた
「じゃあ、治療を始めるからね」
先ずはじめに青年はまりさから帽子を取り上げた
ぼうしがないとゆっくり出来ないと騒ぎ出したが治療をするためとなだめた
バリカンのスイッチを入れるとテーブルに置いたまりさの髪を刈っていく
それもごっそり全て。まりさ種ご自慢の綺麗な金の髪は無くなってしまった
「だんでがみのげざんをどるのぉぉぉぉ!!!」
「こうしないと赤ちゃんを助けられないんだよ」
剃り落とした髪の毛をゴミ箱に捨てると青年はまりさの頭を思い切りホットプレートへ押し当てた
「ゆぎゃああああ!!あづいいぃぃぃぃいっ!!!ばでぃざのあだまがあああああ!!!!」
ゆっくりへの体罰の一つに底部を焼く、と言うのがある
底部が焼き焦げてしまうとゆっくりは自分で動けなくなり野生では死を意味する
そのため、虐待好きは皆最初に底部を焼くことから始めるという
「ゆっ…ゆっ…」と痙攣しているまりさを無視して包丁を取り出す
そのままずぶり、とまりさへと突き刺す
「ゆぎゃあああああああ!!!」
悲鳴を上げるが別にまりさの顔面には刺していない
これから行うのは赤ちゃんに施したことと似たようなものだ
綺麗にまりさの顔の皮だけを本体から切り離し、青年はそのまま中身の餡子をくるりと半回転させた
無論、赤ちゃんゆっくりの中枢餡は元の位置のままだが
そうしてまりさの顔も反対にし小麦粉とオレンジジュースで疵痕を消していく
結果としてまりさの頭は脚に、脚は頭になった
それに対応するように顔も逆さまに移植された
「ほら、できたぞ」
青年はそう言って帽子を被せてやる
勿論、帽子にも細工がしてある
親切なことに頭頂部にある赤ちゃんゆっくりの顔が見れるように帽子の一部を切り取ったのだ
「ゆぐっ…じじいは…しね…」
まりさは別の台の上に乗せられそこで体の感触を確かめる
ゆっくりの餡子脳では何が起こったか理解できない
しかし、脚が動かないことは理解できた
「ゆっあしさんがうどかないよ…それになんだかぐらぐらするよ!」
ゆっくりは基本的に下ぶくれであるが頭頂部に近づくにつれて細くなっている
そんなものを逆さまにしたのだ。バランスを取るのにはかなり苦労するはずだ
そう、まりさはいわば独楽のよう体になったのだ
「ゆがああ!たでないいぃぃ!!」
焼け焦げた脚でバランスを取ることは出来ずまりさは転んでばかりだ
「さぁ、れいむのところにもどるぞ」



「まり…さ…?」
戻ってきたまりさをみてれいむは我が目を疑った
美ゆっくり(れいむ規準)だったまりさの体は気味の悪い体になっている
脚が細くて頭が大きい、それに綺麗な髪の毛もない
極めつけは帽子だった。何か変だ、一部が切られている
そこをよく見ると…
「れいむのあかちゃん!」
赤ちゃん達がまりさの頭にいる
どうしてかは分からないが脚よりかはマシだろう…だが
「れいむぅ…ばでぃざはもうあどぅげないよぉおぉ…」
まりさは脚に怪我をして歩けないという
それに帽子が無ければまりさと分からないほど薄気味悪くなっている
れいむの中に「これが本当に自分のまりさなのだろうか?」という感情が芽生えてくる
そのまりさがバランスを崩し倒れた。その拍子に帽子が頭から落ちた
「ゆっ!?」
そこに気味の悪いハゲ饅頭が倒れていた
気色の悪いからだに気色の悪い頭、極めつけはその頭に赤ちゃんくらいのゆっくりの顔があることだ
既にれいむの中ではまりさが自分の番だったと言うことは消えた
一刻も早くこの気持ち悪いゆっくりから離れたい
「れいむにちかよらないでね!きもちわるいよ!!」
「なんてこいうの!?まりさだよ!!」
「れいむのまりさはそんなきもちわるいやつじゃないよ!!うそつきはしんでね!!」
すかさず、れいむは体当たりをする
動けないまりさにそれを避ける術はなく、吹き飛ばされたあとは上に乗られて踏みつけを受けるだけだ
「ゆっくりしんでね!うそつきはしんでね!ゆっくりできないゆっくりはしんでね!」
「もっちょゆっくち…」「おがああざあああん!」「ゆ…」
自分の子だということも忘れ、まりさの頭の顔を踏み潰していく
「もっと…ゆっくりじだがっだ…」
そうして頭が潰れた時点でまりさも永遠にゆっくりしてしまった
「これですこしはゆっくりできるよ!」
れいむは部屋を見渡して一匹でゆっくりし出した
しかし、餡子脳でも自分に赤ちゃんがいたのは覚えているらしく必死に探し出した
「れいむのあかちゃんどこぉぉ!はやくでてきてえー!」
その様子を青年はニヤニヤと見ていた
あのれいむが不幸になっている、それだけでも溜飲が下がるというのに嬉しい誤算もあった
青年はれいむを蹴飛ばしてどかすと部屋を片付けていく
「じじいがれいむのあかちゃんをかくしたんだね!じじいははやくあかちゃんをかえしてね!」
ゴミ袋にあらかたのゴミを詰め終えると復活したれいむが騒ぎ出した
「おまえのあかちゃんはまりさと一緒に死んじゃったじゃないか」
「あんなのれいむのあかちゃんじゃないよ!!それにれいむのまりさじゃないよ!!」
ぷんぷんと憤るれいむにやれやれという青年
「ゆ!れいむにはちぇんがいるよ!はやくあかちゃんとあわせてね!」
れいむが思い出したようにちぇんの名を口にする
そればかりか赤ちゃんに会わせろとなどと
昨日までの青年なら激昂しれいむを叩きつぶしていただろう
「仕方ないなあ、特別だぞ?」
だが、青年は上機嫌だった
れいむを透明な箱に閉じ込めるとちぇんのいる部屋まで連れて行った
「はやくあかちゃんにあわせてね!それからはやくだしてね!あまあまもちょうだいね!」
無造作に箱を投げ捨てるとまよひがのちぇんに声を掛ける
「ちぇん、れいむへのおしおきは終わったから赤ちゃんを見せてあげよう」
するとちぇんが恐る恐るまよひがから顔を出す
まだ恐怖は消えてないのか顔を半分ほど出しただけだ
だが、遊びたい盛りの赤ちゃんは別だ
ちぇんの後ろから飛び出してマジマジとれいむを見つめている
「あのれいむはゆっくりできないんだよー!わかってねー!」
れいむも赤ちゃんを見つめる
「…これがれいむのあかちゃん?」
そう、ちぇんから生まれたのはれいむ種ではなかったのだ
そのゆっくりは
「てんこー!ゆっくりしていってね!」
ゆっくりらんであったのだ
チェンジリング、取り換え子と呼ばれるそれは番である二匹のゆっくりとは別種のゆっくりが生まれる現象だ
ちぇんかれいむかどちらかは分からない。しかし、どちらかにゆっくりらんの因子があったために生まれたのだ
「らん!ゆっくりしないでおかあさんをたすけてね!」
れいむは恥知らずにもらんに助けを求めた
「うそつかないでね!らんのおかあさんはちぇんおかあさんとゆかりんおかあさんだよ!うそつきはゆっくりしんでね!」
希少種であり知能の高いゆっくりらんであったが、何故か自分はちぇんとゆかりんから生まれたと言い張るのだ
この三匹は元々結びつきが強く野生では一緒に暮らしている場合が多い
青年はそのさまをニヤニヤと見つめていた
らんがれいむを親だと認めないのは好都合だった
ちぇんじりんぐで生まれたらんを青年は飼うことにした
ちぇんとらんは二匹の方が良いと考えたのだ
「なぁ、らん。うそつきにはお仕置きをしないといけないよな?」
「てんこー!おにいさん!はやくうそつきにおしおきをしてね!」
「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!!」
青年はれいむをいれた箱を抱えると虐待愛好家の隣人の元へと向かった
「この箱、お返ししますね」
「別に1個くらいよかったのに…ところでこのれいむは?」
「あぁ、お礼ですよ。でいぶみたいなので可愛がってあげてくださいね」
隣人はニタァと笑うと礼を述べてれいむを引き取っていった
それから数日間、彼の家からはゆっくりの叫び声が耐えなかった




「ちぇえええええん!!」
「らんしゃまあああああ!!」
青年宅ではちぇんとらんの奇妙な光景が繰り広げられていた
本来ならばこの光景は普通だが、ちぇんが親でらんが子なのだ
子に「らんしゃまああ!!」というのはどうかと思いながらも笑顔でそれを眺める
「ちぇんおかあさん!ゆかりんおかあさんはどこにいるの?」
「わからないよー…ゆかりんはみたことないよー…」
らんはゆかりんに会いたがっているようだった
ちぇんはゆかりんと会ったことなど一度もない
だが、らんはちぇんじりんぐ、幸運をもたらす子
もしかしたら、ゆかりんと会える日もそう遠くないのかも知れない


















「ゆっかりしていってね!」










by お題の人
長らくお待たせしました
ようやく完結です
そしてタイトルですが「橙じりんぐ」です
wikiに掲載するときは以前投稿した3作と纏めてお願いします
感想などお待ちしております

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最終更新:2022年05月19日 14:29