作者当てシリーズ


しーしーが出てきます。しーしーしてるゆっくりは出ません。
某ゆっくりの名称と設定をお借りしました。








 そのゆっくりぱちゅりーは、絵を描くのが凄く好きだった。

「むきゅー! ゆっくりーゆくりっ♪」

 今も口にどこからか拾ってきたクレヨンを咥え、歌を口ずさみながら、地面に置いた紙に描いている。

 その描かれている絵は実に難解な構図で、一見するとミミズのようだが、角度を変えてみると海藻サラダのようにも思えてくる。

 言ってしまえばデタラメに描かれた落書きなのだが、何故か近所の子ゆっくり達には好評を得ており、子供達の喜ぶ姿がゆちゅりーのモチベーションとなっていた。

 口に咥えたクレヨンを吐き出し、大きく飛び跳ねた。

「できたわーっ!!」

 何度も飛び跳ね、喜びを露わにしている。
 よく見ると紙は束になっており、ゆちゅりーが今日描いた絵は数十枚になる。

「むきゅーっ! これで子供達も喜んでくれるわ!」

 束を口で咥えると、ゆちゅりーはそのまま子供達の待っている広場へとなめくじ歩きで向かっていった。




「そこで ゆうかん に立ち向かうゆっくりがいたの!」
「ゆゆっ!」
「すごいね! かっこいいね!」
「そこで助けに入るなんて、とても とかいは なゆっくりね! ありすのともだちにふさわしいわ!」
「わかる、わかるよー」
「きょこん! きょこん!」

 広場に集まった子供達の前で、ゆちゅりーが地面に絵を一枚ずつ置きながら、熱く語っている。集まっていた子供達はれいむ種、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種と様々だが、みんながみんな目を輝かせ、集中してゆちゅりーの話を聞いている。

 普通の絵でも喜んでくれる子供達だったが、ゆちゅりーはもっと喜んでくれるにはどうしたら良いかと以前から考えていた。

 結論として、物語をつければいいと考えたゆちゅりーは、1日かけてお手製の紙芝居を完成させたのだ。

 脇に置いていた次の紙を咥え、子供達の前へ置く。

「むきゅっ! 見事そのゆっくりは 人間をたおしたの!」
「ゆゆっ!?」

 驚きの声と共に、子供達がゆちゅりーへと問いかけてくる。

「ほんとうに? ほんとうに人間にかったの?」
「むきゅ! そうよ! このゆっくりはつおいんだから!」
「でもにんげんだよ! すごくこわいよ!」
「むきゅきゅっ! でもこのゆっくりにはみんなたじたじなのよ!」
「すごいすごーい!!」
「なんて とかいは なの! すごくゆっくりしているのね!」

 それぞれが喜び、楽しみ、感動している。
 見かける度に暗い表情の目立っていた子供達も、絵を食い入るように見ている。
 その光景に、ゆちゅりーは紙芝居を作って本当によかったと満足していた。

 ゆちゅりー達のいるゆっくりの群は、人里の近くにある大きな森で暮らしていた。
 その広さから、普通の森よりも狩猟の被害は比較的少なかったのだが、今年の春になって突然、人によるゆっくり狩りが行われ、多くの群のゆっくりが犠牲になった。

 その犠牲者の中にはこの子達の親も何匹かいたので元気づけようと、ゆちゅりーは人に勝つゆっくりの話を考えたのだ。

「むきゅっ! それじゃ今日はこれまでにしましょ!」
「ゆゆっ? もう終わりなの?」
「もっとゆっくりしたいよぉ…」
「むきゅっ、だめよ! ゆっくりするにもじかんを守らないと、ゆっくりに叱られるわ!」

 強い口調に、子供達は名残惜しそうにゆっくりしながらも立ち去っていく。

 ところが少しして、1匹の子まりさが勢いよく戻ってきた。

「むきゅきゅっ!? ど、どうしたの!?」
「あ、あのね! あのね! ……さっきのゆっくりはなんていうゆっくりなの!」
「むきききぅっ!?」

 予想外の質問にゆちゅりーは思わず固まってしまった。話は考えたものの、細かな部分まで決める余裕はなく、あやふやなまま絵を描き始めていたのだ。どうして人間に勝てたのかはもちろん名前さえ、一度も気にした事さえなかった。

「ゆゆっ? どうしたの? ゆっくり教えてね!」
「む……むきゅきゅ……」

 目を輝かせて答えを待つ子まりさを失望させるわけにはいかない。
 視線を逸らしながらあれやこれやと考えていた時、ふと脇に置いておいたゆっくりの絵がゆちゅり
ーの目に映った。

 丸く塗りつぶされた、真っ黒なゆっくりが。

「……黒ゆっくり」
「ゆっ!」
「むきゅっ! そうよ! あのゆっくりは黒ゆっくりっていうの!」
「ゆゆっ!! 黒ゆっくり!!」

 まりさの餡子に、黒ゆっくりという名前が深く刻み込まれていく。
 ゆちゅりーにお礼を言い、そのまま大きく飛び跳ねて立ち去っていく。
 その餡子の中では、黒ゆっくりの想像がいくつも飛び交っていた。






「おもしろかったね!」
「ちーんぽ! きょこーん!」
「むきゅー」
「黒ゆっくりはゆっくりのなかのゆっくりよ! ぜひいちど とかいは どうしで話をしたいわ!」
「まりさもそう思うよ!」

 お手玉のような大きさの体がいくつも飛び跳ねている。
 歩いている内に少しずつ別れていった子供の群は、今では5匹ほどの子供達が思い思いに喋っている状態だった。

 喋る楽しさに思わず我を忘れていた子まりさだったが、ふと会話に参加していない子ゆっくりの存在に気がついた。

「ゆゆっ? どうしたのれいむ?」
「……」

 4匹から少し離れて歩いていたれいむは、頭のリボンがはっきり見えるほど下を向き、沈んだ様子で応えた。

「……黒ゆっくりなら、ふくしゅうできるかなぁ……」
「ゆゆっ!?」

 子供達にゆっくりらしからぬ緊張が走る。
 れいむが呟いた言葉は、子ゆっくり達が覚えている言葉の中でも、特にゆっくり出来ない部類のものだった。

「だ、だめだよれいむ! ふくしゅうなんてかんがえたら!」
「ぺ、ぺにす! ぺぺぺぺにす!」
「ふくしゅう なんてみんなゆっくりできないっていってたわ! ゆっくりできないのは とかいは じゃないのよ!」

 押し止めるような言葉の激流にも、れいむの顔は上がらない。

「……れいむは、おかあさんがいないとゆっくりできないよ……」
「ゆ……」

 擦れ気味な声に、逆に子供達みんなが押し止まってしまう。
 ここにいる子供達で、れいむの心境が分からないゆっくりはいない。
 子まりさの親は健在だが、残りの子供達も皆、春先に親を失っているのだから。

 昨年の冬は、ゆっくりからすればすごくゆっくりした冬で過ごしやすく、人からしてみれば比較的暖かい、暖冬な年だった。この時期になればほとんどのゆっくりが雪の中に埋もれて絶命し、冷やし
饅頭となってしまうが、ゆっくりしていた今年は多くのゆっくりが生き残り、皆が皆、笑顔で雪解けを祝っていた。

 そんな幸せから一変して多くのゆっくりが狩られた事で、子供達の心に大きな傷が出来ていた。

 子れいむは思い出す。
 大きかったお母さんの背中を。
 目の前で笑顔を浮かべながら、体を大きく膨らませ、助けようとしてくれたお母さんの事を。

 2人の人間に掴まれ、そのまま連れ去られていったお母さんの事を。

 気づけばれいむの目から雫がこぼれ落ちていた。

「れ、れいむぅ……」
「た、たんしょぅ……」
「な、泣かないでれいむ……涙はゆっくりできないわ。……とかいは は涙もろいのよ」

 周りでオロオロしながらも慰めるが、れいむが泣き止む様子はない。
 次第に周りの子供達も涙を浮かべ、叫び始める。

「う、うわあああああああああんっ!」
「がまんじるぅうううううううううううっ!」
「うわああああああああああああああっ!!」
 悲しい空気を打ち破ったのは、ある一言だった。

「ゆゆっ! わかったよれいむ!」
「……ゆっ?」

 体を左右に振ることで涙を飛ばし、前を見ると、そこには子まりさが威嚇するように体を膨らませ、威風堂々とした様子で立っていた。

「れいむのお母さんの敵をゆっくりとるよ!」
「ゆゆっ!?」

 まりさの餡子が込められているような、決意に満ちた声だった。

「ほ、ほんきなのまりさ!?」
「ほんきだよ! まりさが敵をとってみせるよ!」
「まじざぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

 今度は滝となって、れいむの瞳から涙が流れ落ちていく。

「むきゅ。でもどうやって敵をとるの? 人間さんはぜんぜんゆっくりしてないのよ?」
「そうよ! 人間はぜんぜん とかいは じゃないんだから! わたしたちもゆっくりできなくなるわ!」

 心配そうな声が上がるも、まりさは自信に満ちた様子で言い切った。

「黒ゆっくりだよ!」
「……ゆ?」
「ゆゆっ?」
「まりさが黒ゆっくりになって、人間達をおどかすんだよ!」
「ゆーっ!!」

 その手があったかと、全員が思わず声を上げていた。

「さすがまりさね! とかいは な作戦にありすのこころも たかなったわっ!」
「きょこん! きょこん!」
「むきゅー! あれだけつよい黒ゆっくりなら、人間も怖がって逃げていくわ!」
「ゆゆーん!」

 顔を大きく上に向け、下脹れな体を大きく膨らませる。鼻が高いと言わんばかりの、実に自慢げな様子だ。

「でも黒ゆっくりは真っ黒よ? どうやって真っ黒になるのまりさ? なにかとかいは な方法があ
るの?」
「……ゆ?」

 伸びた鼻は一瞬でへし折られた。
 子まりさは思い出す。ゆちゅりーの描いていた絵を。
 全身真っ黒に塗りつぶされたゆっくり。黒ゆっくりになるなら、自慢の金髪もぷにぷにの白い肌も、大きな瞳も全て隠さないといけない。それはとても苦痛なことだけど、仲良しの子れいむの為となれば躊躇するつもりはない。
 けれど、どうやって真っ黒になるのか。
 対策なんてまるで浮かばなかった。

「ゆ……ゆゆーゆっ! ゆゆゆゆー!!」
「お、おちついてまりさ! あたまがどんどんふくらんでるわ! とかいは というより きのこ みたいよ!」

 迷走するまりさの思考に、助け船が出される。

「むきゅっ! わたしにいい考えがあるわ!」
「ゆゆゆゆゆ……ほんとぱちゅりー!?」
「むきゅきゅっ! まかせておいて! まりさをりっぱな黒ゆっくりにしてみせるわ!」

 子まりさの表情に笑顔が戻る。これでもう、問題はなくなった。

「ゆっ! みんな、ちからを合わせてゆっくりしようね!」
「ゆっくりしようね!」

 まだ見ぬ敵を思い浮かべ、ここに子供達は一致団結した。






 春の風は心地良い。
 普段なら朝早く起きても外に出てこない男も、暖かくも爽やかなその風に誘われ、外に出て背伸びをしていた。

「う、ううーん。……ふわーあ……」
「おや、犬神さん。おはよう」
「あ、……ど、ども。おはようございます」

 近所の人の声に、恥ずかしいところを見られたと慌ててあくびしていた口を閉じた。

「ずいぶん朝早いね、どうしたんだい?」
「いやぁ……なんだか目が覚めてしまって……せっかくなんで散歩でもしてこようかと」
「そうかいそうかい、健康的でなによりだよ。犬神さんには頑張ってもらわないといけないんだから、体には気をつけてね」
「ははっ、ありがとうございます」

 返事の笑顔に満足したのか、近所の人はそのまま立ち去っていった。

 犬神は今、この村の中でも特に期待されている若者だ。
 村では当時、冬に入る前から暖かい日が続いていた為、今年はかなりの数のゆっくりが生き残るだろうと予測し、作物が荒らされる危険を恐れていた。

 そこで一案を講じたのが犬神だった。

「外から人を集めましょう。冬溶けに大規模なゆっくり狩りを企画するんです!」

 他の村々に比べ、早急に手を打ち、多くのハンターや虐待愛好家達を呼び込めたのが何より大きかった。

 実際、近くに大きな森を要すこの付近には多種多様、多くのゆっくりが住んでおり、集まった人々の期待に応えるには充分だった。

 普段なら味の淡泊さから狩られない、しかしゆっくり繁殖の一番の原因である親ゆっくり達も、集まった人の勢いもあって連日の大猟。閑古鳥の鳴いていた宿泊施設も連日満員で大儲けとなり、ゆっくり狩りは大成功を収めた。

 以来、犬神の名は村中に知れ渡り、今後を大きく期待されるようになった。

 話の中で出た通り、犬神はそのまま表へ出ていき、散歩とばかりに外を歩いていく。
 しかし春といえど朝はまだ寒い。元来寒がりなこともあり、早くも家に帰ろうと踵を返す所だった。

「そこのお兄さん!!」
「ん?」

 上から聞こえてきた声に男が振り向く。
 見ると、太陽の中に三角形の影があった。

「……なんだぁ?」

 謎の光景に角度を変えて確認すると。

「この世にゆっくりがたくさんいても」
「むきゅっ! みんながゆっくりしたためしはないわ!」
「だから とかいは のありすが、えれがんとな とかいは にきょういくしてあげるわ!」
「かたきをとるよ!」
「どちょう! いんもーうっ!!」

 塀の上にいた4匹のゆっくりが、男を見て声を上げていた。

 もしこの光景を絵好きのゆちゅりーが見ていたら、発狂して中身のクリームを吐き出すぐらいの喜びを覚えるだろう。

 子ゆっくり達は塀に登る所から台詞まで、ゆちゅりーが書いた話をほぼ完璧に再現してみせたのだから。

 男の身長に合わせたのか、あまり幅のない塀の上で器用に立ち、横に並んでいる。少しでも体勢を崩したらそのまま落ちそうだが、復讐に燃える子供達に躊躇はなかった。
 しかしその4匹は男からすればどうでもよかった。それよりも──

「なんだありゃ?」

 ゆっくり達のすぐ近くにある、ゆっくりまりさの帽子が気になっていた。
 大きさからおそらく成体の帽子だが、肝心のまりさがまるで見当たらず、ただ帽子だけがそこに置かれている。

「ゆゆっ! どうやらこわくてゆっくりできないみたいだね!」
「むきゅ! いっしょうけんめい かんがえた おどしもんく がうまくいったわ!」
「まりさ! もっとおどかせてあげましょ!」
「うん! いくよみんな!!」

 その言葉に、降りてくるのかなと犬神は待ちかまえる。
 しかし、いくら待っても子供達は塀から降りようとしなかった。

「むきゅっ!? ど、どうしたのまりさ! はやくおりましょう!」
「ちーんぽ?」
「……ゆ、ゆゆっ! ま、前がみえないよおおおおおっ!!」
「むきゅーーっ!?」

 緊急事態発生。取り乱す4匹。
 しかしいくら取り乱しても、事態が変わることはない。

 突然慌ただしくなった中で、犬神は先ほどから声だけ聞こえてくるまりさはどこにいるのかをようやく理解した。

 あの成体用のゆっくりまりさの帽子、その中にまりさはいるらしい。大きさからして子まりさだろうと見当づける。

 子まりさがなぜ成体の帽子を被っているのか? 晴れたと思った疑問は更なる形を変えて犬神の好奇心を刺激した。

「む、むきゅきゅっ! ど、どうにかならないのまりさ!?」
「ゆ、ゆゆっ! むりだよ! 真っ暗で何もわからないよ! ゆっくりできないよ!」
「と、とかいはのありすもまっくらはゆっくりできないわっ!」
「きょこんーっ!!」
「……」

 取りあえず事情を聞くために、犬神は手を伸ばし、それぞれ子ゆっくり達を地面へと下ろしてやった。

「ゆっ?」
「ゆゆっ!! お兄さんありがとう!」
「むきゅ! かんしゃするわ!!」
「おもったより とかいは のお兄さんね! 仲良くしてあげてもいいわよ!」
「しゃせーい!」

 それそれがお礼の言葉を述べる。

「……」

 ただれいむ種だけは、無言のまま男をじっと睨みつけていた。

「で、なんなんだお前達は?」

 上を向いていた姿勢から、今度はしゃがみ込むようにして、ゆっくり達に話を聞き始める。
 大きな帽子から少し顔を出して、まりさもみんなと一緒に答えていく。

「ゆっ! まりさ達はふくしゅうにきたんだよ!」
「むきゅ! かたきをとるの!」
「敵かぁ……」

 身に覚えがないと言えば嘘になるが、ゆっくりなんてそれこそ星の数ほど食べ、駆除して来ている。どのことを言っているのか犬神にはさっぱり分からない。

 それに子ゆっくりの言うことだ。適当に言っているかもしれないと、真に受けないよう心がけた。

 それより気になるのは子まりさの帽子だ。

「その帽子はなんなんだ?」
「ゆっ! これは黒ゆっくりだよ!」
「……?」

 聞き覚えのない名前に首を傾げる。

「むきゅっ! 黒ゆっくりは真っ黒で、人間よりつよいの!」
「そうよ! お兄さんだってぶじじゃいられないんだから! 今なら とかいは のありすはみのがしてあげるわよ!」
「だめだよ! みのがさないよ! ちゃんとかたきはとるよ!!」
「きょこーん!」

 いくつか関係ない話も飛び交う中、犬神は考える。
 どうやら黒ゆっくりは、真っ黒のゆっくりで人間より強いゆっくりらしい。

「……」

 必死に思い出してみるが、犬神の記憶にそんなゆっくりの話は存在しない。人より強いゆっくりとはっきり言えるのはドスぐらいで、後は捕食種の話がせいぜいだ。

 危険なゆっくりほど噂になりやすい。

 にも関わらず、聞いたことのないゆっくりが人より強いとは考えづらかった。
 本当にそんなゆっくりがいるのだろうか? 子ゆっくりの話だけにかなり疑わしい。

「さぁお兄さん! ゆっくりかくごしてね!」
「むきゅ! もうにげられないわよ!」
「ゆっくりしんでね!!」
「……」

 物騒なことを言っている子ゆっくり達だったが、犬神は気にせず、まずは話を持ちかけた。
 子ゆっくり達に討たれて敵をとらせてやろうとはもちろん考えていない。今の犬神の興味は黒ゆっくりだ。

「まぁ待て。それより腹が減ってないか?」
「ゆ?」
「ゆゆっ?」

 言ってすぐ、もぞもぞと全員が動き始める。どうやらちょうどお腹は減っているらしい。好都合だ。

「腹が減っては敵もとりづらいだろう。ここは1つ、腹ごしらえをしてからにしようじゃないか」
「ゆっ?」

 思ってもみなかった提案に戸惑う5匹だったが、しばらくして子みょんが、我先にと犬神に飛びついていった。

「ちーんぽ!」
「ゆっ!? みょんだめだよ、ゆっくりしてね! れいむのことも……」
「だめよまりさ!! きょうせいするゆっくりはきらわれるのよ! あわてず とかいは な ふるま
い でお兄さんについていきましょう!」
「むきゅっ! 黒ゆっくりのこうかね。人間もしたがうなんてすごいわ! ご本はあるかしら?」
「ゆ、ゆゆ……」

 子みょんが飛びついてからは早く、まりさを除いた3匹はもうご飯を貰う気になっている。
 ただれいむだけは最初の警戒を解こうとはせず、犬神から距離を取り、ずっと睨み続けていた。

「……」

 どうやられいむの恨みはかなり深いらしい。
 睨まれるのは気分が悪いものの、ついて来ているので気にしないことにし、犬神は元来た道を戻り始めた。






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最終更新:2022年05月21日 23:32