※この章はゆっくり虐待一切無し。ストレスマッハ必至。
 罪の無いトカゲが死にます。

※今回、勝手ながらいくつかの作品を参考にさせて頂きました。
 タイトル等は伏せさせて頂きますが、この場にてお礼申し上げます。

※作者は元ネタの知識も無く、設定等適当なところがあります。
 すいません、ご了承ください。





「とかげのたまご ~たまご~」


人の営みから遠く離れた、深い深い森の中。
2日続いた大雨は夜の闇と共に過ぎ去り、辺りがだんだんと白みがかってゆく。
尾根から吹き降ろす風は、乳白色の朝霧をゆらゆらと運びながら木々の隙間を流れる。
森は雨季の到来に歓喜し、恵みの雨が草木の渇きを潤していた。
虫達は羽音を鳴らし、鳥や獣はその喉を鳴らして豊潤な季節の到来を祝った。

  「リーーーン・・・、リーーーン・・・♪」
     「オォォォォォン!!ォォォォォン!!」
「ピ~~、ピ~~、ピ~~~♪」
   「キャッキャッ!!キャッキャッキャ!!」

  「ゆ~♪ ゆゆ~♪ ゆわっ♪ ゆっくり!」

森中に歓喜の歌が響き渡る中、調子を狂わす奇声が混じり込んだ。
この森に住み着いた糞怪奇生首饅頭生物"ゆっくり"どもの歌声だった。
喜びの唱和は乱され、鳥獣たちは消沈しながらそれぞれの生活を始めていった・・・。


森のとある巨木の傍、むき出しになった地層に大きな横穴を掘り、一つのゆっくり一家が暮らしていた。
家族は体長30cmほどの親まりさと親れいむ、ソフトボール大の姉まりさ2匹と姉れいむ2匹、
そして生まれたばかりのプチトマトサイズの赤まりさ2匹に赤れいむ1匹だった。
天敵である雨が過ぎ去り、2日ぶりに家の外に出た一家は、他の鳥獣達とは違った意味で喜びの歌を歌っていた。

「雨さん止んでくれてよかったね。」
「あめしゃんくるとゆっきゅちできないよ」
「あめさん、もうこないでね。」
「れいみゅ、おなかいっぱいしゅいたよ」

降り続けた大雨で狩りに出掛ける事ができなかったゆっくり達は、巣の蓄えのみで空腹をしのいでいた。
その蓄えも昨夜のうちに底を尽き、そろそろ共食いが始まってしまう頃だった。

「ゆ!まりさ、ごはんを採ってくるよ! れいむはゆっくり子供達の面倒見ててね。」
「ゆっくりわかったよ。まりさもゆっくり気をつけてね。」

最愛のれいむ、そして子供達一人一人と頬を擦りあわす。「行ってらっしゃい」のすりすり。

「おきゃあしゃんがんばってね。ごちそういっぱいたべさせてね」
「赤ちゃん達ありがとね。じゃ、ゆっくり行って来るよ!」

そういって親まりさは茂みの中へと跳ねていった。

「さ!おちびちゃん達はお家の中でゆっくりお歌の練習をするよ!」
「「「「「「「「ゆーーー!!」」」」」」」」

親れいむに連れられて子供達が巣の中へと転がってゆく。そして穴の中から再び怪音波が響きだした。
そばの木に止まるカッコウが鳴いた。「カキーーーーーーーッ!!!!(黙れ!!糞饅頭ども!!!)」
怪音波から逃れるようにカッコウは飛び去って行った。


「あっ! おはよう鳥さん! ゆっくりしていってね!!」

頭上を飛び過ぎてゆく1羽の鳥を見つけた親まりさは元気よく挨拶した。
親まりさの帽子には、ホカホカの鳥の糞がべっとりこべりついていた。
そんな事にも気がつかず、親まりさは子供達の餌を探すため森を進んでゆく。
たんまりと水を吸った苔はクッションのように心地よく、幾重にも枯葉が積み重なった地面は昨夜までの雨を飲み込んでしまい、
親まりさも心置きなく跳び回る事ができた。
それでも残る水溜りは回り道をするか、倒木の上を渡るなどして森を進んで行った。

「ゆん♪ ゆ~ん♪ ゆ♪ ゆゆ♪ ゆっくわ~♪」

森の潤った空気を頭一杯に吸い込み、親まりさはだんだんと楽しくなり、自然と笑みがこぼれてしまう。
そうして森を彷徨っていると、ある物が目に入った。
長雨により露出した木の根元に、白く小さな球体を十数個見てとれた。

「ゆゆゆっ!!!!」

親まりさは本能的にそれを"トカゲの卵"だと素早く理解した。食い物に関しては目がない。
他の動物にとってもそうであるように、ゆっくり達にとっても動物の卵は貴重な栄養源だった。
ゆっくりらしからぬ理解の速さで、親まりさはその卵に近づく。どうやら卵の主は近くに見当たらない。
その卵は球と言うよりもやや細長く、長さ5cm強ほど、殻は柔らかくまるで水風船のようだった。

「ゆぐっ、ありがとうございます!!ありがとうございます!!ぅっぐ、・・・」

一生に一度食べられるか分からないご馳走に、親まりさは感激の涙を流して喜ぶ。
親まりさは頭の帽子を脱ぐとそれをひっくり返し、慎重に卵をその中に詰め始めた。

「ゆ~っくり、ゆ~っくり・・・」

卵を詰め終えた親まりさは、帽子の唾をくわえてそれを引っ張り始めた。
帽子の中には卵があふれており、慎重に進まなければこぼれ落ちてしまいそうだった。

「ゆーんしょ!! ゆーんしょ!・・・」

卵がこぼれ落ちないように慎重に帽子を引っ張ってゆく親まりさ。
しかしその動きはゆっくりのご多分に漏れずどんくさく、ついに一つの卵を落としてしまった。

「ゆがーーーーーーーん!!」

顔面蒼白になる親まりさ。その視線の先には殻が破れ中身のこぼれた卵があった。
ドロリと地面に広がる黄色い液体。
親まりさはたまらずその黄身を舐めてみる。

「やぁっっっっべええええええ!! これありえねえええええええ!!!」

あまりのうまさに親まりさは卵が広がる地面にむしゃぶりついた。
口の周りを泥に塗れ、地面にこぼれた卵を舐め終えた親まりさは、再び帽子を引きずり子供達の待つ我が家へと向かった。


「ただいまー!! ゲプッ・・・、ゆっくり今かえったよー!!」
道中いくつかの卵を落としながらも、親まりさは無事に巣へと辿り着いた。卵の数は10個になっていた。
家の中には親れいむと子供達が白目をむいて寄り添っていた。ガチガチと歯を鳴らしながら親れいむが叫ぶ。

「遅い゛!! あまりに遅いよまりざぁ!!! ゆっくりしすぎだよ!!」
「ごめんね、れいむ。でも"おいしい"ご馳走をいっぱい持って帰ったよ。」
「ごぢぞうってなんだいっ?!!」

親まりさは親れいむに帽子の中身を見せた。

「おちびちゃん達ー!! ごはんだよー!!!」

瞳に輝きを点した親れいむが子供達を集める。

「おっせぇんだよ!!」
「どこほっちゅきありゅいてたんだよ!!」
「めしも満足に採ってこれねーのか!!」
「にゃんだよ、このちろいかたまりは!!」

口々に文句を垂れながら子供達が集まる。

「これはね”たまご”って言うんだよ。」
「たまご?」
「そうだよ。こうやって食べるんだよ。」

そう言って親れいむが卵の殻の天辺を噛み破って見せた。破れた口から透明な白身がこぼれ出る。

「さっ、ゆっくり飲んでごらん!」
「ゆっ! ゆっくり味見するよ。」

さっそく姉まりさが卵にしゃぶりつく。
目を瞑り、口の中でゆっくり咀嚼する姉まりさ。そしてその口から静かに言葉が並べられてゆく。

「口の中に・・・、トロリと広がる食感。そしてその鮮やかな黄色が、ますます食欲を誘い・・・、黄身の濃厚な味わい。・・・・・。間違いなく"美味"。」

姉まりさの評価を聞くなり、他のゆっくり達が一斉に卵に喰らいついた。
うまく食べられない赤ゆっくりを姉ゆっくり達が手伝ってやる。
皆、口の周りを黄身と白身でぐちゃぐちゃにしている。

「「「「「「「「むーちゃー、むーちゃー、ちあわちぇーーーーー!!!」」」」」」」」

一家はまさに幸福の絶頂だった。なにより成長期の子供達にとっては最高の栄養源だったろう。
そんな中、親まりさだけは卵に飛びつかなかった。

「ゆ?まりさどうしたの? 食べないの?」
「ゆぅ・・・。まりさはいらないよ。」
「まりさ何だかおかしいよ? せっかくのご馳走がもったいないよ・・・。」
「ゆぅ・・・。あのね、れいむ。まりさは狩りの途中で我慢できなくて、森のきのこさんを食べちゃったんだよ。だからまりさは卵いらないよ。」
「ゆゆっ?! れいむや子供達はまりさの事心配してずっと待ってたんだよ!!
 まりさだけおいしい思いをするのはずるいよ!!」
「ゆぅ・・・。ごめんねれいむ。だからまりさの分も食べていいよ。」

そう言って微笑むと、親まりさは卵を差し出した。

「ゆぅ・・・。せっかくのご馳走だよ。本当にいいの、まりさ?」
「まりさはね、みんなが”しあわせー”ならそれで満足だよ!ゆっくりたべてね。」
「ありがとうね、まりさ。ゆっくり味わうよ!」

そうして、親れいむは2つ、姉ゆっくりはそれぞれ1つずつ、赤ゆっくりは3匹で一つ、親まりさは4つの卵を食べたのだった。


「「「「「「「「「ゆゲップ・・・」」」」」」」」」

卵を食べ終え、一家そろって満足げにゲップをかます。
子供達は空腹が満たされると1匹、また1匹と眠りだした。親れいむと親まりさの傍らで、スヤスヤ寝息を立てる子ゆっくりたち。
まりさの帽子の中には3つの卵が残っていた。
親れいむはその卵を見るとある事を親まりさに相談した。
それは卵をこのまま育てて、生まれたトカゲの子供を使って姉まりさ達に狩りの練習をさせようという事だった。
上の娘達はまだまだ子供とはいえ、そろそろ一人で餌をとる練習を始めても差し支えないくらいに成長していた。
動きの早いトカゲは狩りが得意な親まりさでも捕まえることが難しかったが、生まれたばかりの子トカゲなら娘達でもうまく捕まえられるだろうと考えた。
親れいむの提案に親まりさも賛同した。
日も暮れて、夕食時。
卵を喰わせろと子供達が駄々をこねたが、親れいむがゆっくり説得する。

「ゆっくり聞いてね。たまごをこのままゆっくり育てると、トカゲさんの赤ちゃんが生まれるよ。」
「トカゲさんのあかちゃん??」
「そうだよ。トカゲさんの赤ちゃんが生まれると、おちびちゃん達といっしょに遊んでもらえるよ。」
「ゆゆ!! れいむ、トカゲさんと一緒にゆっくりしたいよ!」
「まりしゃもとかげのあかしゃんとゆっくちちたい!」
「そうだね。だからみんなでトカゲさんの卵をゆっくり育てようね。」

そうして子ゆっくり達は卵に向かって「トカゲさん早く出てきてね。」と話しかけたり、歌を歌ってあげたりした。
赤ゆっくり達もトカゲさんに早く会いたい!と、卵の周りをコロコロ転がって踊って見せた。


それから数日後。
周りの奇声や振動に身の危険を感じたのか、「早くここを抜け出さねば!」と卵が孵ろうとしていた。

「おちびちゃん達!! ゆっくり卵が孵るよ!!!」

親れいむの声に子ゆっくり達が集まる。
ゆっくり親子が見守る中、1つ目の卵の殻が破られ、中からトカゲの子供が顔を出した。
辺りをキョロキョロと見回して「キュゥーー」と一声鳴く。

「「「「「「「わぁーーーーー!!!!」」」」」」」

初めて見るトカゲの"孵化シーン"に子ゆっくり達は目を輝かす。

「「「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」」」

子ゆっくり達が子トカゲに挨拶する。新たな生命の誕生に赤ゆっくり達はコロコロ転がって喜んだ。
子トカゲはそんなゆっくり達に目もくれず、巣の出口から入り込む光を見つけると、そこに向かって一目散に走り出した。

「ゆゅ!!! おちびちゃん達、よく見ててね。」

そう言うなり親まりさが、走り出した子トカゲに跳びかかった。
親まりさが生まれたばかりの子トカゲを逃がすはずが無く、子トカゲは親まりさにあっさり捕まってしまった。
捕まった子トカゲは親まりさに圧し掛かられ、先程とは違う苦しげな泣き声を上げた。

「キャキーーーー!!! キャキーーー!! キャキーーーーー!!!・・・」

「ちびちゃん達、見てたかい?こうやってトカゲさんを捕まえるんだよ。」
「「「「ゆー!! おかーさん、すごーい!!!」」」」

子供達の賞賛を浴び、親まりさは「ゆっへん!!」と得意げに威張ってみせた。
ほどなくして2つ目の卵が孵る。そして2匹目の子トカゲも出口に向かって駆け出す。

「今度はまりさがつかまえるよ!!」

そう宣言すると1匹の姉まりさが子トカゲに跳びかかった。尻尾に姉まりさが圧し掛かかり、捕まってしまう子トカゲ。
何とか逃げ出そうとジタバタもがく。

「れいむも手伝うよ!」

さらにそこに姉れいむが跳びのる。
二匹のゆっくりに圧し掛かられ断末魔のような鳴き声を上げる子トカゲ。

「キャキーー!!!! キャキーーー!!!!!!」

「ゆー!! まりさゆっくりできたよ!!!」
「おかーさん、ゆっくり見てくれた?」
「「「おねーしゃん、しゅごーーーい!!!」」」
「よくやったよ!さすがまりさとれいむの子供達だよ!」
「これでまりさ達も立派なゆっくりになれるよ。」

さらに3匹目の子トカゲが孵化をする。

「今度はまりさの番!! とかげさんゆっくりしていってね!!」
「れいむもがんばるよ!!」

あえなく3匹目の子トカゲも捕まってしまった。
初めての狩りの成功に歓喜する娘たちを見て、親ゆっくり2匹も感無量だった。

「おきゃーしゃん、れいみゅもとかげしゃんとあそびたいよ」

赤ゆっくりが訴える。

「ゆゆ、赤ちゃん達にはまだ早いから、赤ちゃんはトカゲさんを食べてゆっくりしようね。」

親まりさは捕まえていた子トカゲを口で3つに噛み千切って、赤ゆっくり達に分け与えた。

「ピギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

巣の中に子トカゲの断末魔が響き渡る。それに呼応するかのように他の2匹の鳴き声も激しさを増した。

「キピーーーーーーーー!!!! キピーーーーーーーーーーーーー!!!」
「キャキーーーーーーーーー!! キャキーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「とかげしゃんとってもおいちい!!」
「とてもゆっくちちたあじだよ!」
「とかげしゃんのちっぽ、コリコリうまうま」

生まれたてのトカゲの皮膚はやわらかく、赤ゆっくり達にも食べることができた。

「「「むーちゃー、むーちゃー、ちわわ・・・・」」」


   ド  シ  ン  ッ  ! ! !


巣全体が激しく揺れる・・・。





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最終更新:2022年03月15日 00:51