今回の注意点
  • 虐待はありません
  • 今回はまだ終わりません
  • 俺設定が大量に
  • 一部「ぼくのかんがえたさいきょうのゆっくり」状態のゆっくりがいます。
  • その他諸々

それでも構わない方のみどうぞ


『被虐のみょん』

そのみょんの姿は異様だった。
体中に切り傷だらけ。
ゆっくりが切り傷を負う理由は大きく分けて二つ。
注意力散漫なゆっくりが散歩中、もしくは狩りの途中で木の枝に皮を引っかけてしまう、
もう一つは喧嘩などで相手の木の枝で切られる、もしくは体当たりされ、
吹っ飛んだときに落ちてる枝や石で切ってしまう。

このみょんはどちらなのだろうか。

「ゆっ、汚いみょんだよ! さっさとここから出て行ってね!!!」
「…」
みょんは反応を示さず方向転換する。

「何で無視するの!!! れいむ怒るよ!!!」
面白くないのはれいむ。
気に入らないゆっくりにはこびへつらわせねば満足のいかぬ性分なのだろう。

「みょんはゆっくり反省してね!!!」
ぴょーん
れいむは渾身の体当たりを仕掛ける。
みょんはひらりとかわし、何事もなかったかのようにどこかへと去ろうとする。

「ゆぎぃぃ!!! よけるなあああああ!!!」
ちょっと小突く程度でゆるしてやろうと考えていたれいむは避けられ、
何事も無かったかのように去ろうとするみょんに怒り狂った。

「汚いみょんはじねええええぇぇぇぇええ!!!」
体当たりの速度などは変わらないが、鬼気迫る顔は他のゆっくりならば怯え、
不覚を取ることとなっただろう。

しかしみょんは顔色一つ変えず、ひらりとまた避け、頬に装着していた木剣(子供の玩具)
を口にくわえ、着地したれいむ目掛け跳ねてゆく。

「ゆ!」
着地したれいむは憎いみょんの姿を捕らえようと振り返る。
その眼に映るのは木剣を咥え、短い跳躍で迫り来るみょんの姿。

ずぶり
「ゆぎゃっ! れいぶのお"め"めがあ"ああ"ああ!!!」
れいむは目玉から後頭部にかけ、木剣に貫かれた。

ずるっ
木剣を引き抜き、木剣を高く振り上げるみょん。

ずっ
木剣はれいむの正中線を射抜いた。
「ゆぎゃああああぁぁぁああああ!!! いだい! いだいよおおおぉぉぉおおおぉぉ!!!」
縦一文字に切られたれいむはあまりの激痛にのたうち回る。
もはやこのれいむが助かる可能性は万に一つもない。

「身の程知らずが」
みょんは吐き捨てるように呟き、その場を立ち去る。

その夜。
ドスん! ドスん!
「みょん! ここにいるのは分かっているよ!!!」
この辺り一帯を収めるドスまりさである。

「…うるさくて眠れないみょん」
木の洞で眠りについていたみょんは振動と大声に起こされ、
少し不機嫌だ。

みょんを取り囲むゆっくり達。
「やっぱりこいつだよ!!! こいつがまりさのれいむを殺したんだよ!!!」
その中の一匹のまりさがみょんの姿をみて叫んだ。
このまりさと昼間のれいむはどうやら夫婦だったようだ。

昼間、れいむがみょんに惨殺された。
許せないからドスまりさに仇を取って貰う。
大方そんな所だろうとみょんは考えた。

「だから何だみょん」

「いいわけしないd・・・ゆ?」
「ゆっ! やっぱりれいむを殺したのはみょんだったんだね!!!
ゆるさないよ!!! ドス! こんなゆっくりできないみょんはさっさと殺してね!!!」

あっさりとれいむを殺したことを認めるみょん。
てっきり言い訳するかと思いきや、すぐに認めたみょんに困惑するドスまりさ。
調子づいてドスまりさに殺せ殺せとはやし立てるまりさ。

群れのゆっくり達はというと
「ゆっくりできないみょんは死ね!!!」
「汚い田舎者は制裁されるのよ!!!」
「むきゅー!!!」
「わかるよー!!!」
大抵がみょんを殺せとはやし立てた。

「むきゅ! みんな! 待ってね!!!」
参謀役のぱちゅりーが皆を制した。

「みょん、どうしてれいむを殺したの?」
「みょんを殺そうとしたからだみょん」
みょんの言葉に動揺する群れのゆっくり達。
れいむがみょんを殺そうとしていたのならば、正当防衛が成り立ち、
みょんには何も罪がないことになってしまう。
それどころか、罪のないみょんを殺せ殺せとはやし立てた自分たちが悪いゆっくりとなる。


「ちがうよ!!! みょんがいきなりれいむに襲いかかったからだよ!!!」
まりさが叫ぶ。
群れのゆっくり達は「きっとそうだよ!!」と叫ぶ。
そうしなければ自分たちが悪であることを認めることになってしまうからだ。

「みょんの言う通りよ!!!」
一際高い声で一匹のゆっくりが叫んだ。
この群れの参謀ぱちゅりーの娘で、群れ一番の美ゆっくりとされるぱちゅりーだ。

「むきゅ! みんなよく聞いてね!!! ぱちゅもちょっとだけその現場を見たわ!!
ぱちゅが見たのはみょんに襲いかかるれいむと、そのれいむをみょんが返り討ちにしたところだわ!」
「ゆゆゆゆ! なにがどおなってるのおおおお!!!」
あまり頭の良くないドスまりさなのだろう。
頭から湯気を出して混乱する。

「まりさ! 嘘はいけないわ!!!」
「ゆぐっ!」
群れのゆっくり達はまりさが押し黙ったことから、みょんの言っていたことが事実で、
まりさの言いがかりであることを否が応にも理解せざるを得なかった。

「でも、みょん!」
美ぱちゅりーはみょんににじり寄り、
「いくら何でも殺すのはやり過ぎだわ!!! 過剰防衛よ!!!」
「ゆ! そうだよ! 過剰防衛だよ! やっぱりみょんは悪い奴だったんだよ!!!」

いつもであれば知ったことかと開き直るみょんだが、
みょんの瞳は爛と輝き、頬は薄く桜色になり、思考は美ぱちゅりーに占領された。
もっとも、その微妙な変化に気付けた者はいなかったが。

「ねぇ、どうなったの? ドスにも分かるように説明してね・・・」
「ドスは黙っていなさい!!!」
ぼんやりするみょんと神妙な群れの様子に困惑するドスまりさを
参謀ぱちゅりーが黙らせる。娘の舞台の邪魔をさせないために。

「・・・」
「むきゅ! 聞いてるの!?」
「ゆ? あ、ああ、それで、何だっけ?」
「むきゅ、聞いて無いじゃないの・・・まぁ、いいわ。
とにかく、みょんのは正当防衛どころか過剰防衛よ!」
群れのゆっくり達はまたみょんを殺せ殺せと叫び出す。

「で、どうするんだみょん? 結局みょんを殺そうって腹づもりかみょん?」
「いいえ、でも、罪は償って貰うわ!」
「そうだよ! ゆ? ぱちゅりー? みょんをやっつけるんじゃないの?」
「いいえ、みょんにはこの群れにいて貰って、みんなの為に働いて貰うわ!!!」
美ぱちゅりーの中ではみょんのように強いゆっくりがいれば、
ゲスゆっくりやレイパーゆっくりのようなならず者を退けてくれるであろうという算段があった。
群れのゆっくり達は無実のみょんを悪ゆっくりに仕立て上げた。という悪事を免れてほっとしていた。
まりさだけ、思い通りに行かずふてくされた。
参謀ぱちゅりーは愛娘の策に感心し、さすがは我が娘と褒め称え、
ドスまりさは参謀ぱちゅりーに説明して貰ってようやく理解できた。


そして次の日、
みょんは美ぱちゅりーからの指示で朝から食料調達部隊と共に食料調達に向かっていた。

一カ所に食料調達部隊が集めた食料が担当ごとに積み重なった。
みょんの山だけ他のゆっくりの集めた山より一回りほど大きく、
昨日のまりさからは嫉妬され、そのほかのゆっくり達からは尊敬を集めた。
しかし、みょんの傷だらけの顔はやはり怖いのだろう、みょんの側に寄る者はごくわずか。

更に数日経ち。
「今日からここがまりさ様達のお家になるんだぜ!!!」
「田舎くさいところだけどありすは都会派だから我慢してあげるわ!」
「れいむの為に可愛いゆっくりを連れてきてね!!! れいむがすっきりーさせてあげるよ!!!」
「ほかの馬鹿共は奴隷にしてこき使ってやるんだよー! わかってねー!!!」
目に見えて分かる、ゲスの襲撃。

「な、何言ってるんだぜ! ここはみんなのゆっくりプレイスなんだぜ!」
「むきゅー! そうよ! みんなで仲良く暮らすところなのよ! 野蛮人は出て行きなさい!!!」
「お前らゲスだろ…汚い、さすがゲス汚い!」
本日の狩り役のゆっくり達が威嚇する。

「なに、お前らまりさ様達に勝てると思ってるの? 馬鹿なの? 死ぬの?」
「調子に乗ると痛い目見るんだよー! わかってねー!!!」
無計画に交尾し、家族が増えずぎた為に群れに攻め入るゆっくりであれば簡単な威嚇で逃げ出す。
しかし、このゲス達はこれまで小さな群れを何度も襲撃し、強くなり、数を増やしてきた。

「ゆ、どうしたのまりさ」
「ゆっくりできないゆっくりなんだね!!!」
「加勢するみょん!!!」
「ぱちぇはドスを呼んでくるわ! みんなはそれまで時間稼ぎしてちょうだい!!!」
自分たちの威嚇が効かず、動揺していたところ、騒ぎを聞きつけたゆっくり達が集まりだした。
今や群れのゆっくりが15匹、ゲス軍団10匹が対峙し、両者の闘いの火ぶたが切って落とされようとしていた。
はらり

舞い降りた木の葉を合図に、両者が激突した。
「わかるよー!」
「だぜええええ!!!」
「みょーーーん!!!」
「とかぃはあああああ!!!」
「こおおおおおん!!!」

ゲス達の迫力に気圧される群れのゆっくり達。
「こわいよおおお!!!」
「だずげでええええ!!!」
「たしかに攻めるのは勝手だがそれなりの攻め方があるでしょう?」
まさに烏合の衆と言った様相で群れのゆっくり達はゲス達に蹂躙されていった。

ゲス達と群れのゆっくり達が衝突するちょっと前。
「むっきゅ! むっきゅ!」
ぽよんぽよんとぱちゅりーが跳ねる。
「どうしたんだみょん?」
「むきゅ! 大変なの! 知らないゆっくり達が攻めてきたの!!!
ぱちぇはドスを呼びに行くからみょんはみんなを助けに行ってきて!!!」
そのまま、むきゅむきゅ言いながら跳ねてゆくぱちゅりー。

「やべでえぇぇぇえ!!! ずっぎりじだくないいいいぃぃいい!!!」
「どぼじでごんなごとずるのおおおおお!!!」
「いだいいいぃぃいいぃぃ!!! もうお家帰る!!!」
みょんが現場に向かうと、群れのゆっくり達はほとんど死んでおり、
生き残りの数匹がゲスの慰み者になっていたり、ボールと称して体当たりされたりしていた。

「酷い有様だみょん」
みょんが呟くと、近くの茂みがガサガサと音を立てた。

待ち伏せか!?
みょんが身構えると、そこにはてんこがガタガタ震えながら顔を出した。

「何だ、腰抜けか」
「お前にてんこの何がわかるってんだよ!」

みょんは何も言わずにてんこの側に寄り
「怖くても見るみょん。みょんがあいつら全員やっつけてやるみょん!」
「おい、やめろ馬鹿 てんことみょんの寿命は早くも終了ですね」
てんこはみょんを止めようとするが

「おい! そこのゲス共!!!」
みょんは頬に付けた木剣を構え、声を上げる

ゲス達が一斉にみょんを睨み付ける。
「また馬鹿が殺されに来たんだぜ!!!」
「命知らずなんだねー。わかるよー」

みょんはてんこに離れるように言い、
てんこはカカッとバックステッポでみょんから離れる。

みょんは少しだけ前に進む。
「ゆー!」
ゲス達は三匹で同時に攻撃を仕掛ける。

「ふん!」
「ゆげっ!」
三方向から同時に体当たりしてきたゲスの内、一匹だけ木剣で突き刺し、
他二匹の攻撃を避ける。

「ゆっ!?」
「みょんはどこに行ったの!?」
さっきの同事体当たりは今まで誰にも破られたことが無い。
きっといつものように相手を跳ね飛ばし、勝負を決められるはず。
それが今、いつものように跳ね飛ばした感触が無い。
焦った二匹は後ろを見ればいい物をその場をきょろきょろし出した。

その間にみょんは突き刺したゲスに止めを刺し、
後ろからもう一匹を突き刺す。

「ゆぎぃっ!!!」
「ばりざぁぁぁぁあああ!!!」
ゲスを刺したままもう一匹に向けて木剣を勢いよく振る。
ずるっ、ビタァン!
遠心力により、みょんの木剣からゲスが抜け、饅頭弾丸としてもう一方のゲスにぶち当たった。

「「いだいいいぃぃいいいい!!!」」
「とどめみょん!」
みょんは思い切り振りかぶり、ゲスの近くで一回転した。
みょんの木剣は刃が研がれており、思い切り振れば饅頭の体などいともたやすく切り裂く。
木剣はゲス二匹を切り裂き、その命を奪った。


次々とゲス達はみょんの木剣の餌食になり、
あっといういう間にリーダー格のゲスまりさ一匹になった。
「ゆゆゆゆゆ…!」
「あとはお前だけだみょん」

「ゆ、ゆひひひひ!」
「恐怖で頭がおかしくなったのかみょん?」
「違うぜ! みょんには感謝してやるんだぜ!
あいつらはたかだかみょん一匹に勝てない雑魚なんだぜ!
死んで当然なんだぜ! まりさ様が手を下す手間が省けたんだぜ!
でもな、あのクズ共でも少しは役に立ったんだぜ!
みょんはもうバテバテなんだぜ! いまなら簡単に殺せるんだぜ!!!」

確かにその通りだった。
みょんは動きすぎた。しかも相手は並みのゆっくりではない。
これまで様々な群れを崩壊させてきた強者だ。
一瞬でも気を抜けばみょんが返り討ちにされてしまうほどに。
本当はドスまりさが来るまで適当に時間稼ぎをすれば良かったのだが、
みょんはドスまりさを待たずにこのゲス達を全滅させたかった。

(てんこが思うにみょんはゲスに勝てるんじゃないか?)
茂みに隠れてこちらを伺うてんこに自分の勇姿を見せるためだ。

「能書きはいいからさっさとかかってくるみょん」
「ゆっふふっ! 上等なんだぜえええええ!!!」
口にとがった石を咥え、体当たりを仕掛けてる。
体当たりが外れれば、石を吹き出して攻撃する算段である。
みょんは静かに峰の部分を咥え、ゲスに向き直る

「ぐっ!」
体当たりをぎりぎりで避ける。

「ゆっ!!!」
ひゅっ! かつん!
口から放たれた石を鎬と呼ばれる部分で防御する。

「ゆへへへへ! なかなかやるんだぜ!! でも、これはどうかななんだぜ!!!」
息もつかせぬ体当たりと投石。
みょんはどれもぎりぎりで避け、跳ね返した。

ゲスはみょんが攻撃できていない事を察知し、勝利が近いと確信した。

「きっと鬼の首取ったようにゲスまりさが騒ぎてんこは深い悲しみに包まれた」
心配そうに見つめるてんこ。

「ぜぇ、ぜぇ! そ、そろそろ止めなんだぜぇ!!!」
「ゆーーーー!!!」
疲れの出てきたゲスは一気に勝負を付けるために力を込めた体当たりを仕掛けた。

「いまだみょん!!!」
みょんはゲスの体当たりが当たらないぎりぎりの場所に移動し、
木剣を垂直に咥え、思い切り体をひねり一回転した。

「ゆーーーゅげげげええええええ!!!」
思い切り体当たりをしたはずのゲスはみょんの木剣に体を真っ二つにされ、
そのまま地面に転がった。

「ふぅ、たいしたこと無い奴だったけど、ちょっと疲れたみょん」
「みょん!」
てんこがみょんに駆け寄る。

「はぁ、はぁ、すごいよ! みょん!」
思わず普通のしゃべり方に戻るてんこ

「みょんはそれなりに鍛えてるからね」
「てんこは深い感動に包まれた!」
てんこが感激しているとやっとでドスまりさ達がやってきた。

「悪い子はドスがやっつけるよ!!! ゆ?」
「むきゅ! 悪いゆっくりはどこ?」
「遅い、さすがドス遅い! ゲス達はもうみょんがやっつけたあとなんだが?」
「ゆえっ!?」
「むきゅ! みょんが一人でやっつけたの!?」

「別にたいしたことじゃないみょん」
みょんがゲス達を退治したことはすぐに群れ全体に広まった。

「やったね! みょん!」
「なかなかの都会派ね!」
「さすがみょんだと褒めてやりたいところだみょん!」
傷だらけの不気味な格好の為、皆みょんから距離を置こうとしていたが、
ゲスを倒したヒーローとなると、逆に傷だらけの顔はみょんの勇姿を現している物のように
思えたのだろう。
皆みょんに群がり、褒め称えた。

特にてんこはみょんに弟子入りして謙虚なゆっくりを目指すと息巻いていた。

これが気に入らないのはまりさ。
「みょんはれいむを殺したわるいゆっくりなんだぜ!
なのに何でみんなみょんをかばうんだぜ! 意味わかんないぜ!!!」
未だにみょんに返り討ちにされたれいむのことを忘れられないのだろう。

単純に、醜いみょんがちやほやされているのが気に入らないだけ。と言うのもあるが。

それから、みょんに対して友好的に接する者と、みょんを敵対する者とに別れた。
てんこのようにみょんを尊敬し、師として尊敬する者や自分の子供もみょんのように
強いゆっくりになって欲しいと願い、子供をみょんの下で修行させようとする親ゆっくり達。

それらが是非にとみょんに頼み込むとみょんは
「わかったみょん。明日から修行をはじめるみょん!」
と快諾した。

それから、毎日餌の調達を終えると、弟子として何匹かのゆっくりを鍛えつつ、
子供達にも簡単な訓練を行わせた。

「みょん先生! まりさもぼうさんで遊びたいよ!!!」
「なにいってるのまりさ! れいむたちはみんなみょん先生としゅぎょうするんだよ!」
「でも、ちぇんたちもみょん先生みたいにぼうさんでたたかいたいよー。わかってねー!」

「まだ君たちには早いみょん。沢山勉強してもっと立派に、
もっと強くて優しいゆっくりになったら使い方を教えるみょん!」
「やそしょくだよー!」
子ゆっくりのように落ち着きのない者に木の枝だろうと渡せば怪我の元にもなりかねない。
だから、まずは群れの比較的に頭の良いぱちゅりーや礼儀正しいありすに依頼して
知識と礼儀を叩き込ませた。みょんは基礎体力を底上げする程度に鍛えるに留まる。

「師匠! 稽古を付けて欲しいのは確定的に明らか」
「ありすの華麗な剣技を見せてあげるわ!」
みょんが自分の弟子として取った者達は基本的にゲスの要素のない者達。
ゲスの要素があれば群れに危険を及ぼすであろうと予測しているのであろうか。

「ふげっ!」
「ただ振り回すだけじゃ駄目だみょん!!! もっと相手の動きを見るんだみょん!」
「次! 来るみょん!」
「だぜええええぇぇぇええええ!!!」
ばちぃん!

「いだいぃぃいいい!!!」
「闇雲に突っ込むなみょん! 相手に行動を読まれるみょん!」

みょんは一通り稽古を付けるとそれぞれに合ったアドバイスをする。
「ちぇんは早いからそのスピードを活かして相手を攪乱するんだみょん」
「わかったよー!」
「れいむは目をつぶる癖があるみょん。
他のゆっくりと稽古すれば自然に目をつぶらなくても済むようになるみょん」
「がんばるよ!!!」
「ありすは見栄を張った動きをするなみょん」
「なんでえええぇぇぇええ!!!」
「てんこは筋が良いけど、いちいちせりふを挟むなみょん」
「てんこは台詞のカットにはどちかというと大反対だな」
「まりさは…」
「うるさいよ! まりさは十分強いよ! 自分で修行するからみょんは余計な口を挟まないでね!!!」

ドスまりさの娘のまりさである。
なかなかの美ゆっくりであるが、ドスまりさが甘やかして育てたため少々傲慢な所があった。
実力については他のゆっくり達より頭一つ分飛び出てる程度。

「おい、やめろ馬鹿! 今日の修行は早くも終了ですね」
「まりさ! みょんに失礼よ!」
美まりさはふんとひねて帰り路についた。

「仕方がないみょん。今日の修行はここまでみょん。」
「ゆー! まりさの口の悪さは日に日に悪くなっていってるよ!
れいむ、もう怒るよ!!!」
「怒っても仕方ないみょん。」

美まりさはみょんが気にくわなかった。
ドスとなり群れの長として君臨した自分の親。
愚鈍だがドスになったお陰で自分の将来は安泰だ。
さらに前の長で現参謀ぱちゅりーの娘の美ぱちゅりーとの婚約も出来た。
そんなまりさの前に現れたのがみょん。傷だらけで汚いみょん。
あんな汚いゆっくりを師と仰ぐなどまりさのプライドが許さなかった。
しかし親であるドスまりさや参謀ぱちゅりー、そして婚約者の美ぱちゅりーの説得によって、
みょんの下で修行することを了承した。

きっとみんなみょんを利用してある程度強くなったらあの汚いみょんを殺すんだと考えたが、
他のゆっくり達は皆みょんを尊敬しており、ほんの少しもみょんを殺そうなどと考える者はいなかった。
それも気に入らなかった。
以前は自分が皆からちやほやされ、傷だらけの者や薄汚れた者は皆に嫌われ、
美まりさは先頭に立ってその者達を馬鹿にしていた。

それが、どうだ。
みょんが強いと分かったらみんなみょんに尻尾を振り始めたではないか。
それに合わせるかのように美まりさに言い寄るゆっくり達もめっきり減った。
別に言い寄るゆっくり達なんてどうでもいいが、それでも自分のアクセサリを取られたかのような
錯覚に陥ったのだ。
そして、なによりも、みょんが自分を見る目が少しおかしい。まるで色目。
「汚いゆっくりの分際でまりさをしかんするなんて百年早いよ!!!」

とにかくあの汚いみょんが嫌いだった。

「…」
帰り道、そんな美まりさを伺う一匹のゆっくり。
初日にれいむを殺されたまりさだ。

みょんを嫌っているのはこのまりさと美まりさだけでない。
それまで狩り名人と呼ばれていたれいむ、喧嘩が一番強かったちぇん。
預けられた子ゆっくりの父ゆっくり(預けていたのは母ゆっくりがほとんど)
など、結構な数がいる。

まりさはなんとかみょんを殺す機械は無いかと思案する。
しかし、餌を集めているときも、寝ようとしているときも木剣を放そうとしない。
木剣有りでは絶対勝ち目がないと踏んだまりさは、暗殺を何度も諦めた。
否、怖くて実行できなかった。それは他のゆっくり達も同様だった。
だが、何としてでもみょんを殺したかった。

そんな中、みょんに対して一人で愚痴を言う美まりさを見つけたのだ。
みょんに師事しているため、もはや群れのゆっくり数匹掛かりでも勝てないほどに成長した。
実力は問題ないだろう。しかも、ドスの娘。
美まりさなら憎いみょんを殺してくれる。
「精々可愛い自分の教え子に殺されるんだぜ!!!」

まりさは美まりさの下へ跳ねていった。



続く

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最終更新:2022年04月16日 22:18