注意書き
  • タイトル通りのゆっくりが登場します。
  • 粘液が登場します。
  • 人間の死者が結構大量にでます。
  • 「なめくじれいむ」の外伝的お話であり、読んでないと意味がわからないと思います。

「ゆっ…ゅち……りぇき……にゃ…よ!」

青年はお皿の上に残ったなめくじ霊夢の残りかすを台所のくず籠に捨てた。
2つの小さな目玉とその残りカスがくず籠の底に落ち青年の復讐は終わった。


暗くジメジメとした腐臭が漂うくず籠の底で1匹のなめくじ霊夢が目を覚ます。
その霊夢は片目を失い、体の右半分と大半の水分を失い、満足に動く事も出来ない状態だった。
しかし霊夢は生きていた。くず籠の底で細菌や空気中の水分を吸収しながら体を再構築していた。

数週間後
霊夢は失った片目以外完璧に元の姿を取り戻していた。

「これでゆっきゅりできりゅりょ!」

霊夢は意気揚々とくず籠の下を探索した。
そこでもう1匹のなめくじ霊夢と出会う。

「ゆっきゅりちていっちぇにぇ!!」

その霊夢も自分と同じ様に片目を失っていた。
聞けば白い粉を浴びてゆっくり出来なくなったという所まで同じだった。

「ゆー、れーみゅとっちぇみょきゃわいちょうりゃよ!」

霊夢には霊夢の味わった苦痛が手に取るように判った。
霊夢は霊夢に近づき慰めるように頬擦りをした。

「ちゅ~り、ちゅ~り」
「ゆっ!ちょっちぇもきみょちぇいいよ!!」

もう1匹の霊夢も霊夢の動きにあわせて頬擦りのお返しをする。
次第に2匹の頬は高揚して赤みを帯びていく、2匹を包んでいる粘膜は絡み合う様にまざり、
頬擦りをしている間、粘液は次々に分泌された。

「ちゅ!ちゅ!ちゅ!ちゅっきりー!!!」

絶頂に達した2匹は体を大きく震わせ粘液を飛びちらせながら獣のように叫んだ。
二人の絡み合った粘膜の中には沈殿物のような小さな粒が無数に生まれる。
その小さな粒は直ぐに大きくなり、ただの球体ではないその形をはっきりと現した。

無数に生まれた小さな粒、その粒一つ一つが小さな小さななめくじ霊夢であり、2匹のなめくじ霊夢の子供たちだった。

「れーみゅのあかちゃん、ちょっちぇみょゆっきゅりちちぇいりゅにぇ!!」
「れーみゅのあかちゃんみょだよ!!ちょっちぇみょゆっきゅりりゃよ!!」

お互いのまとう粘液の中に居る自分達の赤ちゃんを見て2匹は喜びの声を上げる。

「ゆっきゅりー!!!」

総勢、300匹近くにも及ぶなめくじ霊夢の大合唱である。



なめくじ霊夢の子供は親である2匹のなめくじ霊夢の粘液の中で育った。
2匹は子供達の分まで大量の食事を取り子供の成長を待った。

2匹のなめくじ霊夢が次に求めたのは、自分達に酷い事をしたあの青年への復讐だった。
だが、今のままでは青年に対抗する手段がない。霊夢達は考えた。
青年に復讐するには、自分達を潰そうとしたゆっくり出来ない物に対抗する力と、
あの謎の白い粉に耐えうる体を手に入れる必要があると。

対抗する力は思いのほか簡単に見つかった。
それは自分達の中身に他ならない、中身を吐く事は霊夢達にとって死につながる行為であったが、
吐き出された中身はどんな物質でも溶かす強力な酸となる、酸性とアルカリ性を併せ持ちいかなる物質も溶かす最強の酸、
その酸に触れれば例え人間であろうとも溶かされてしまうだろう。

なめくじ霊夢は、中身を少量吐き出し、自身が纏う粘液に混ぜ、その粘液を人間の体に付着させるという攻撃手段を手に入れた。

「これりぇゆっきゅりちんりぇもりゃえりゅにぇ!」

次に霊夢達は白い粉に耐えられ方法を探してくず籠の底を彷徨った。
そこで見つけたのは青年が揚げ物を調理した時に出た油を吸った紙である。

霊夢は何気なくその紙を口にした。
それを口にした霊夢の粘液に変化が起こる。
水性だった粘液は油性に変化し白い粉により水分を奪われる事はなくなった。

しかし、この事実に霊夢自身は気づいていない。
ただ、その油を含んだものは霊夢達にとってとても美味しい物であり、
油性になった粘液はテラテラと輝きとても美しいものだった。

すべてのなめくじ霊夢が油性になった頃、既に霊夢達は白い粉の脅威を忘れていた。

そして思い出した様に青年への復讐を決行することとなる。



「みんにゃ!ゆっきゅりいきゅよ!!!」

2匹のなめくじ霊夢が先頭に立ち、子供達がその後に続く。
子供達は既に親でる2匹と変わらない大きさに成長しておりくず籠の底は、なめくじ霊夢に覆い尽くされていた。

霊夢達が行動を起こしたのは、深夜青年が寝静まってからである。
まず最初に1匹の霊夢が偵察としてくず籠の外にでて状況を確認する。

「ゆっきゅりできりゅよ!」

合図と共にすべてのなめくじ霊夢が外にでる。
霊夢達は青年を探した。一軒やとは言え青年が一人で暮らしている家でそれ程大きくはない。
10分ほどで布団で寝ている青年を発見し、2時間後にはなめくじ霊夢全員が集合した。

「にゃぎゃにぇんにょうりゃみ!きょきょりぇはらきゃきぇちぇもりゃうよ!」

青年が起きないよう静かにそっと言い放ち臨戦態勢へと移る。
口から少量の中身を吐き出し、それを薄く地面に延ばした後、その上を転がり体を覆う粘液に馴染ませる。

準備のできた霊夢から青年の寝ている布団に潜り込み青年の体へとまとわり付く。
霊夢の粘液に触れた青年の体は一瞬で皮膚を溶かされ筋繊維を破壊された。
青年が体中がヒリヒリする感覚に目を覚ます頃には全身の皮膚が溶かされ筋肉がむき出しになり、
肉の薄いところでは骨が露になっていた。

目を覚ました青年は悲鳴を上げて助けを求めようとしたが、首には2匹のなめくじ霊夢がまとわり付いていた。
2匹によって喉は溶かされ骨だけになっていており、同様に両手両足の腱も溶かされ身動きをとる事も出来なかった。

「ゆっきゅりちんりぇいっちぇにぇ!!!」

薄れ行く意識の中で青年の目に最後に映ったのは隻眼の二匹のなめくじ霊夢の姿であった。


復讐を果たしたなめくじ霊夢達は宴を開き勝利の美酒に酔いしれた。
死んだ青年の肉体はご馳走となり、滴り落ちる血液は極上の美酒となった。

そして戦いで高揚した霊夢達は夜が明けるまで頬擦りをしていた。



翌朝
なめくじ霊夢は総勢5万匹に達していた。とは言えまだその大半は子供である。
しかし、青年一人では5万匹ものなめくじ霊夢の食欲を満たす事はできない。
親である300匹の霊夢達は食べ物を求めて青年の家を出た。

その後、人間の暮らす地域では、寝ている人間が突如白骨化して見つかる事件が相次いだ。
それらは全てなめくじ霊夢によるものである。

油性の粘液を手に入れた事により、なめくじ霊夢が好んで食べる物は変わった。
それまでは水分を多く含む植物の葉が主な食料だったが、
油性の粘液を保つために脂肪を多く含むものを求めるようになったのだ。
なめくじ霊夢にとって人間は脂肪分豊富な餌となった。

人間がなめくじ霊夢の脅威に気づいたのは既に数百万人の被害を出した後だった。
人間達は急いでなめくじ霊夢を駆除し始めた。所詮小さななめくじであり捕まえる事はそう難しくはない。
だが迂闊に潰そうものなら漏れ出した中身により甚大な被害を被る。

粘液に覆われたなめくじ霊夢を捉える為に専用の道具が開発された。
粘液で滑らず、酸にも耐えられる物質で作られたゴミ拾いに使う火ハサミの様な道具である。
この道具でなめくじ霊夢を捕まえ火をつけて燃やす。油性の粘液が燃え尽きる頃にはなめくじ霊夢は消し炭となっている。

しかし、いくら駆除しようとなめくじ霊夢による被害はなくならなかった。
なめくじ霊夢は人の目に付かない場所に潜むようになりより発見しにくくなった。
更になめくじ霊夢の子供は人の目では小さすぎて発見するのは難しい。
どんなに対策をしても何処からとも無く家の中に進入し寝込みを襲われる。


なめくじ霊夢の中には人間を恐れ森の中に逃げ延びるものも居る。
森に逃げ延びたとは言え、人間に被害をもたらさなくなった訳ではない。

遊びに夢中になっている子供達が、かゆみに似た痛みに気づくと、そこには大抵なめくじ霊夢が這っている。
粘液の酸が弱いときであれば火傷をする程度の傷で済むが、直前に粘液に中身を混ぜていた場合、元に戻らない程の傷がつく。
なめくじ霊夢の脅威をしらずに握りつぶそうものなら指の1~2本は溶かされてしまう。



「む~ちゃ♪む~ちゃ♪ちあわちぇー!!」

血肉を剥き出しにして横たわる人間の死体に何匹ものなめくじ霊夢が群がり、
それを囲むように同じ服を着た数人の人間が捕獲用の火バサミを構えている。
その後ろでは一人の女性がすすり泣いていた。

「ゆっ?……わーい♪おちょらをちょんちぇるみちゃい♪」

火バサミを持った人間は、なめくじ霊夢を一匹ずつ捕まえ、専用の容器の中に入れていく。

「ゆゆ?みんにゃどこにいっちゃにょ?」

最後の1匹となったなめくじ霊夢がようやく自分達を捕まえる人間の存在に気づく。
だが、臨戦態勢に入る前に火バサミによって捉えられてしまった。

「ゆー!はなちぇ!ゆっきゅりはなちぇー!!ゆぷぷぷっ!!」

捕らえられたなめくじ霊夢は唾を吐く様に中身を吐き出して攻撃する。
しかし吐き出された中身は人間にまで届く事はなく地面へと落ちる。

この日10万匹のなめくじ霊夢が死に、300万匹のなめくじ霊夢が生まれた。
人間となめくじ霊夢の戦いはまだ始まったばかりである。




作者:なめくじ大好きあき


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最終更新:2022年04月17日 00:07