どうも、ゆうさくです。
いつからかスズメバチに因縁をつけられる日々を送ってきた僕ですが、いまはなんと殺し合いに巻き込まれている最中です。
しかもこの会場にはあの恐ろしいスズメバチが。
奴が目の前に現れた時には、僕はもう諦めていました。もうね、刺すなら刺してください、早くこの恐怖から解放してくださいと。
けれど、そんな僕を助けてくれる子供が一人。
ええ、子供です。しかも可愛らしい女の子です。
今までそこそこの数のホモビに出演させていただきましたが、まさか女の子に抱かれる日が来るとは思いませんでした。
この少女に、僕は恥ずかしながら『魔法少女みたいだ』なんて印象を抱きました。
いい歳こいて抱く感想が魔法少女ってなに言ってんだって感じですよね。
けど、そう思ってしまったのは仕方ないんです。
だって、彼女はとても清く真っ直ぐな目を、人を希望に導くような目をしていたんですから。
☆
ゆうさくを抱きかかえた少女、スノーホワイトは、ふわりと地面へと降り立つ。
振り返り、追手のスズメバチを警戒するも、あのビンビンという羽音(?)や心の声は聞こえない。
どうやらだいぶ離れたようだ。
「もう大丈夫みたいですね」
かけられた言葉に、ゆうさくはホッと一息をつく。
助かった。
あの恐ろしきスズメバチから逃げ出し死なずにすんだ。
いまのゆうさくの胸の中は、奴への恐怖や不安は薄れ(消えたとは言っていない)、ただただ自分を救ってくれた少女への感謝の念でいっぱいだった。
「ありがとうございます」
だから、まずはその感謝を言葉に。
当然のことかもしれないが、案外極限状態に陥ると疎かにしがちなことである。
「い、いやそんな。当たり前のことをしただけですよ」
そうは言いつつも、顔の綻びを隠せないスノーホワイトに、ゆうさくもまた思わず顔を綻ばせる。
自分を助けてくれた時はずいぶんと清く凛々しく思えた彼女も、案外年相応なところをのぞかせ、思わず『可愛いな』と身内の子を愛でるような気分になってしまった。
それから周囲を見回し、改めて安全を認識した二人は、情報交換へと流れを持ち込んだ。
「ゆうさくです。きみの名前は?」
「スノーホワイトです」
ゆうさくが年上らしく先導したのが功を為したのか、ホモビ男優と現役女子という垣根があるにも関わらず、二人は妙な緊張もなく話を進めていた。
「俺は知り合いはいないんだけど...スノーホワイトちゃんはどう?」
「友達が一人と、知り合いが二人います。この三人の誰かに遭いませんでしたか?」
名簿の知り合いを指差しゆうさくへと見せるが、しかしゆうさくは首を横に振る。
魔法少女の誰一人として知らないという答えだ。
もしも遭遇していたら一緒に行動しているはずなので想定内ではあったが、ちょっぴり落胆せずにはいられなかった。
「それで、えっと...さっきの蜂?のことなんですけど」
そのことに触れた途端、ゆうさくの顔が一気に陰る。
あれだけ恐怖していたのだ。嫌がるのも無理はないだろう。
だが、あのゆうさくに瓜二つな蜂について知ろうとするなというのも無理な話であり、且つ知らなくては対策ができないのだ。
ゆうさく自身もそのことはわかっており、震える声でスノーホワイトに語る。
あの突如発生したスズメバチは、何故かわからないが自分にそっくりでしかも如何なる手段をもってしても自分を刺していくのだと。
それだけならば単なる怪奇現象だ。実際、スノーホワイトも魔法少女でありながらスズメバチに恐怖を抱いている。
だが、彼女の恐怖は、ゆうさくの『何度も刺されて死んだ』という言葉で瞬く間に霧散する。
「死んだ...?」
信じられないような表情のスノーホワイトに、ゆうさくは事実を述べる。
自分はあのスズメバチに何度も刺され、その度に死んでいると。
ならば、何故生き返っているのか。その問いには、ゆうさく自身もわからない、気が付けばまた画面の中で乳首をさすっていたと答えた。
画面や乳首云々は置いておいて、ゆうさくの語った事実は、スノーホワイトに一縷の望みを見出させた。
この殺し合いに招かれているラ・ピュセルは本物である可能性が高いと。
ラ・ピュセルこと岸部颯太は、目も当てられないような惨状の遺体で発見された。
直接見ることは敵わなかったし見たいとも思えなかったが、その伝聞だけでも彼が確実に死んでしまったということは解っている。
だから、この名簿のラ・ピュセルに対しては半信半疑だった。
しかし、ゆうさくが気付かない内に何度も生き返っているというのなら、その何者かにそうちゃんも生き返らせてもらっているのかもしれない。
そんな玩具のように人の生死を操れる者への恐怖よりも、いまは大切な人にまた会えるかもしれないという期待と希望が遙かに上回っていた。
「ありがとうございました、ゆうさくさん」
ペコリと頭をさげるスノーホワイトに、ゆうさくは笑みを零す。
表情に活気が戻っている。
よくわからないが、自分とのやり取りで得るものがあったのならなによりだ。
一息おいて、これからの方針を決めようとした時だ。
『―――――――』
「え?」
スノーホワイトの魔法が、一つの声を拾った。
それは、荒々しく、しかしか細い少年のような声だった。
「スノーホワイト?」
「...ごめんなさい、ゆうさくさん。私、いかなくちゃ」
困っている人がいればすぐに駆けつけ力になる。
キャンディ云々は関係ない。
それがスノーホワイトの、姫河小雪の目指す清く正しく美しい魔法少女だからだ。
「私は、困っている人の声が聞こえる力があるんです。それを見捨てたら...私は、もう私じゃいられない」
「なら俺も行くよ。一人より二人だ」
間もおかずにゆうさくは同行を申し出る。
決して死にたいわけではないし、自分に大層な自信があるわけでもない。
しかし、ゆうさくは『ヴァーチャルウリセン』シリーズを見てもわかるように、ホモビだからといって手を抜かず、礼儀正しく尽くし、ホモガキからは汚いと言われる淫夢の人物とは思えないほど清潔で気遣いのできる男である。
少なくとも「げっ、靴下もかよ」などと愚痴を零したりはしない。
そんな彼が、恩義のあるスノーホワイトに協力しないという選択をすることはありえなかった。
スノーホワイトも、ゆうさくの申し出を嬉しく思っていた。
こんな殺し合いの場でもなお理想の魔法少女であろうとする自分に賛同してくれる者がいる。
それだけで勇気が湧いてくるし、理想を追い求めていてよかったと思える。
そんな彼女に、ゆうさくの申し出を断る選択肢はなかった。
「よろしくお願いします、ゆうさくさん」
「ハイ、喜んで」
そして、再びゆうさくを担ぎ、スノーホワイトは声の主のもとへとその足を急がせる。
だが、彼女は知らない。
声の主、一方通行は既に死の淵にあったこと。その下手人はゆうさくの天敵であるあのスズメバチであることを。
【F-4/一日目/黎明】
【スノーホワイト(姫河小雪)@魔法少女育成計画】
【状態】健康
【道具】基本支給品、ランダム支給品1、発煙弾×1(使用済み)
【行動方針】
基本:殺し合いなんてしたくない…
0:声のもとへ向かう
1:同じ魔法少女(クラムベリー、ハードゴアリス、ラ・ピュセル)と合流したい
2:そうちゃん…
※参戦時期はアニメ版第8話の後から
※一方通行の声を聴きました。
【ゆうさく@真夏の夜の淫夢派生シリーズ】
【状態】健康
【道具】基本支給品、ランダム支給品1~2
【行動方針】
基本:希望感じるんでしたよね?
0:スノーホワイトについていく。
1:スズメバチ対策をする。
2:スノーホワイトに協力する。
最終更新:2017年06月12日 17:36