常務『話は聞いたよ。伯爵』
伯爵『……』
私は現在、『常務』殿と個人的な会議を開いている…
用事は資金についてだ
この間の騒動で、私はポケットマネーが危うくなった
『会長』に株でもなんでも都合をつけようとしたが、MSCの管轄外の個人的な資産運用に手出しするのはちょっと。と、至極真っ当な答えが返ってきた。当たり前である
用事は資金についてだ
この間の騒動で、私はポケットマネーが危うくなった
『会長』に株でもなんでも都合をつけようとしたが、MSCの管轄外の個人的な資産運用に手出しするのはちょっと。と、至極真っ当な答えが返ってきた。当たり前である
常務『ただ、あまり期待はしないでくれ。そもそも貴方はギャンブルよりはコツコツと貯めるタイプだと認識していたのだが』
伯爵『……さすがに子供の会食が店を買えるくらいに膨れ上がるのはちょっと……』
常務『あ~…。了解だ。では、【私の部下の一人】が主催する、オーディションに参加するメンバーを集めて欲しい。そのプロモーションを生配信して、オーディエンスで優勝を決定する
配信料だけでも毎回結構な額になるから、メンバーさえ集めてくれれば、収入を山分けしようではないか』
配信料だけでも毎回結構な額になるから、メンバーさえ集めてくれれば、収入を山分けしようではないか』
伯爵『りょ、了解した! 恩に着る…常務殿!!』
そう言って、通信は切れる
隊長(伯爵)「う~む…。とは言ったものの。誰かそんなオーディション向けの人材とかいたかな…」
琴里は、以前歌わせて、結構な集客があったが、あまり何度もする気もなさそうだった
同僚の灰被りは、ゲリラライブだから一緒に歌ったものの、本来は顔出しNGの記録上死人だしな…
同僚の灰被りは、ゲリラライブだから一緒に歌ったものの、本来は顔出しNGの記録上死人だしな…
隊長「……とりあえず打診してみるか。いざとなれば特権も使って……」
――――
チキチキ! 明日の偶像は誰や!? オーディション~~!!!
ひらりとメイド服が翻り、マイク片手に番組が始まった
イヴェリア「では! 審査員の方のご紹介から!!
今をトキメク戦場の天使、「ミルキークラウン隊」や、その個別ユニット「Mica-Mi」を手掛ける敏腕プロデューサー。本大会の主催、真中次郎P!!」
今をトキメク戦場の天使、「ミルキークラウン隊」や、その個別ユニット「Mica-Mi」を手掛ける敏腕プロデューサー。本大会の主催、真中次郎P!!」
真中次郎(以後P)「本日も、本気の逸材を期待しているよ」
イヴェリア「そして、デビュー早々に全米大ヒット!!
街中を歩いてこの人の曲を聴かない日は無いのでは!? アタシもここに来るまでに聴きました!
深紫の歌姫、KISI~~!!」
街中を歩いてこの人の曲を聴かない日は無いのでは!? アタシもここに来るまでに聴きました!
深紫の歌姫、KISI~~!!」
キシ「本日は若輩者ながら、お招きありがとうございます。審査の程、頑張らせていただきます…!
……妻の好みにより近づくために…」
……妻の好みにより近づくために…」
イヴェリア「……うん?? 聞かなかったことにしましょう…!
続いて、最強! 無敵! 強靭! オンヴル・コープス首領。歴代最強、ジェネラル・ザワギ~!! …ってぇ!? なんでここに!?」
続いて、最強! 無敵! 強靭! オンヴル・コープス首領。歴代最強、ジェネラル・ザワギ~!! …ってぇ!? なんでここに!?」
ザワギ「ムハハハ!! 地球の文化に触れようと思ってな!!
とある筋に大枚はたいてこの席を勝ち取った!! 今日は存分に我輩を楽しませるがよい!!」
とある筋に大枚はたいてこの席を勝ち取った!! 今日は存分に我輩を楽しませるがよい!!」
イヴェリア「相変わらず二人も女の子侍らして!! このチャンネルが18禁になったら承知しませんからね!?
そして……、あれ? こっちこそなんでここに?? 「COLORS」試験運用研究所に最近やってきました、エキゾチック美少女、マル~~!!」
そして……、あれ? こっちこそなんでここに?? 「COLORS」試験運用研究所に最近やってきました、エキゾチック美少女、マル~~!!」
マル「はいは~い。ばっちり審査するよ~♪」
イヴェリア「本当になんで?? とりあえず、この審査員の前でそれぞれ演技を披露していただき、最終審査に残った人は、仮デビューが決定となります!!
では、さっそく一人目どうぞ~!」
では、さっそく一人目どうぞ~!」
カグラ「いいけど、いきなり一番最初なんてね…」
いつものように動きやすような衣装ではあるが、髪を結い、煌びやかな装飾とパレオのようなスカートが、彼女の健康的な身体を包み、いつもとは違う彼女の姿がそこにはあった
イヴェリア「…スタイルいいなァ……。はい! カグラさん! 今日申し込んだ訳は??」
カグラ「なんか知らないけど、いつの間にか出る事になってたのよ。スポンサーの意向? らしいんだけど…」
――――
隊長「よし。【市長】殿がエドガー司令に掛け合ってくれたようだな!
彼女ならば注目も違い無しだ…!!」
彼女ならば注目も違い無しだ…!!」
今回のオーディション。ほぼこの男の差し金である。もちろん【特権】で
――――
カグラ「じゃあ…行くわよ。本来見世物じゃないんだけど…」
流れてくる、激しくもシンフォニックな音楽と共に、彼女は踊り唄い出す
するとどうだろう。その美しく可憐な姿が、まるで陽炎が揺らめくように、結晶が舞い散るように輝いて魅えるではないか…!
するとどうだろう。その美しく可憐な姿が、まるで陽炎が揺らめくように、結晶が舞い散るように輝いて魅えるではないか…!
P「おお…! これが彼女の【偶像波気[オーラ]】とでもいうのか…!?」
キシ「まるで会場全体が輝いているようですね…! 素晴らしい…!! ……活動的なのも魅力的かな?」
それもそのはず。彼女の【温度操作】によって、空気中に撒かれたミストが空気を揺らし、時に極小の氷を形成し、舞台に自然の映像効果をもたらしているのだ
会場はさながら熱砂に雪が舞い散る様に、幻想的な風景…
その中で彼女はただただ情熱的に歌い踊り、会場全体の空気が弾けると共に、演技は終了した
会場はさながら熱砂に雪が舞い散る様に、幻想的な風景…
その中で彼女はただただ情熱的に歌い踊り、会場全体の空気が弾けると共に、演技は終了した
イヴェリア「素晴らしい演技です! アタシしょっぱなから感動しちゃいました…!!」
カグラ「ま、こんなところかしら?」
彼女の爽やかな笑顔が映ると共に、視聴者はドンドン増えてゆく
イヴェリア「わ!? スゴイ事に…!!
では、興奮冷めやらぬうちに、次の参加者行きましょう!!」
では、興奮冷めやらぬうちに、次の参加者行きましょう!!」
サキ「……依頼って言われて来たけど、なんで私…?」
いつものツナギのような服装とは裏腹に、彼女の歳より育った身体を包むのは、露出は少なくとも、ボディラインを強調した優美な服装を纏っていた
イヴェリア「…ワオゥ…。巨乳シスべし……。いやいや! そんな私情より意気込みをどうぞ!!」
サキ「私情って……。とりあえず、私も本当は見世物にしたくは無いけれど、隊のみんなが喜んで送り出してくれたし、頑張るよ…!」
彼女が陣取る会場には、まだ芽も出ない苗たち…
しっとりとした、悲しげなメロディが流れると共に、ゆっくりと艶やかに唄い踊る…
しばらくは歌うだけで特に何も起きなかったが、サビに入ると共に、その苗が育ち、花を咲かせる
しばらくは歌うだけで特に何も起きなかったが、サビに入ると共に、その苗が育ち、花を咲かせる
ザワギ「おお!! これがかの物達の力であるか!! 怪しくも興味深い…!!」
キシ「まさしく妖艶な魅力と申しますか。よいパフォーマンスです…! ……こういうのも好きかな…?」
花の成長は、彼女の肉体にも及び、曲の流れと共に成長してゆきながら、最後には種へと至る…
その様に魅入っている間に、曲は終了していた
その様に魅入っている間に、曲は終了していた
サキ「…ふぅ。ありがとうございました…」
やりきったような彼女の言葉の後、配信のコメントが滝のように流れてゆく
イヴェリア「ブラボーです!! 巨乳は敵だけど…素晴らしい!!
では! このまま次へと参りましょう!!」
では! このまま次へと参りましょう!!」
エス「怪しい会合では無かったようですけど、それならば最後まで務めさせていただきます」
二人のようにアイドル…という感じではなく、まるで忍者のような、しかしフリルが所々あしらわれたカワイイ衣装だ
イヴェリア「お、思ったよりスゴイ…。では、演技をどうぞ!!」
エス「それでは、少し趣向を変えていきましょう…!」
ノリのいい太鼓や笛の音と共に、彼女のイメージとは裏腹な軽快なリズムが刻まれる
歌声共に、何人もの黒子が会場に乱入し、彼女へと襲い掛かった…!
歌声共に、何人もの黒子が会場に乱入し、彼女へと襲い掛かった…!
P「なんと!? 唄いながら戦う…! 演舞とは!!」
ザワギ「しかもあの身のこなし!! まるで先を見据えているかのような完璧な動きであるな!!」
SW隊が扮した黒子たちと長きに培った連携に「先読み」を加え、歌いながら右に左にあしらい、更には乱入した仮面の忍者が彼女に加勢する…!
曲の熱が最高潮に達した共に、全ての刺客は成敗され、最後は曲の締めと共に全員でフェニッシュを飾った
曲の熱が最高潮に達した共に、全ての刺客は成敗され、最後は曲の締めと共に全員でフェニッシュを飾った
エス「ふふ…っ♪ ありがとうございました」
そう言ってメガネの奥が微笑むと同時に、サムズアップマークがみるみるカウントされてゆく
イヴェリア「うわ! カッコいい!! でも、オーディション的にこれでいいの??
まあ凄かったからいいか!! 准将たちもお疲れ様でした!! では、次の方どうぞ!!」
まあ凄かったからいいか!! 准将たちもお疲れ様でした!! では、次の方どうぞ!!」
エメリア「ど、どうして私がこんな……。いくら開発部で資金が必要だからって…」
いつものキッチリとした制服とまるで違う、スパンコールな衣装を身に纏い現れる。露出も多く、普段の彼女の持つ印象とは180度変わっていた
イヴェリア「……これが、大人…!! では、演技を披露して頂きましょう! どうぞ!!」
エメリア「…こうなったら、プロモーションも兼ねて、全力です…!!」
激しくエキセントリックなギターの音色と共に、照明がギラギラと瞬く
その四つの光源。それは彼女自身が「統合戦術統括」にて操るドローン機器だ…!
その四つの光源。それは彼女自身が「統合戦術統括」にて操るドローン機器だ…!
キシ「わぁ…✨ とても素敵な演出…!! 私も米国でのパフォーマンスを思い出します!! ……自分の持ち味を押し出すのもいい…?」
P「うんうん。ある種の王道! ライブという感があるねぇ!」
そのドローンに彼女も飛び乗り、まるで重力を感じさせないような演技が会場を魅了する
そしてラストは曲芸飛行と共に、歌う彼女をゆっくり優しく会場へ降ろし、曲は終わりを告げた…!
そしてラストは曲芸飛行と共に、歌う彼女をゆっくり優しく会場へ降ろし、曲は終わりを告げた…!
エメリア「ふう…。みんな、ありがとう…!!」
彼女の汗が弾けると同時に、配信の投げ銭がジャンジャンバリバリ溜まってゆく
イヴェリア「うわぁァ✨ まさかこんな演技が続くなんて…!
私何度感動したらいいの!? では、トリを飾る最後の演目です! どうぞ~♪」
私何度感動したらいいの!? では、トリを飾る最後の演目です! どうぞ~♪」
ゼロ「ええっと……。ど、どうして……?」
そこにはフリフリの、ザ・アイドルといった感じの衣装に身を包んだ彼…今は彼女の姿がそこにあった
マル「ゼロ~♪ ガンバレ~~♪」
イヴェリア「…むむ。トランジスタとはこの事か…。とりあえず、ラストミュージックスタート!!」
ゼロ「ああ! もうこうなったらヤケだ!!」
流れる曲も、コテコテのアイドルソング。いままでと比べて、特段演出が凝っている訳でも無く、派手な演目とは言えないが…
P「…む!?」
ザワギ「ほう…!!」
キシ「こ、これは…!!?」
一挙一動がカワイイの具現。正直今までの演技と比べ完成度は低いが、その一生懸命さが逆に…あざといを通り越し、応援したいの領域まで達している…!!
まるで、『偶像』という「コーティング」を自らに施したかのように…!!
まるで、『偶像』という「コーティング」を自らに施したかのように…!!
カグラ「うわ、あざとい。これはあざとい」
サキ「なんか。すごいっていうか…」
エス「男性自身だから、そのツボを知ってる…。ですかね?」
エメリア「さ、さすがに恥ずかしい/////」
そして、演技の最中にも、全てのカウンターがガシガシ更新されてゆく…!
マル「いや~~。やっぱり私の見立てに狂いは無かったね! たくさん分身使って手取り足取りレッスンさせた甲斐があったよ♪」
イヴェリア「…こ、これは!? 今回の王者は決まったかーーッ!?」
――――
隊長「フハハハ!! これはすごいぞ!!」
減っていたクレジット残高が、見る見るうちに補填されてゆく…!
隊長「このまま私が送り込んだ参加者からアイドルが生まれれば、更に収入が入る!!
勝った! 勝ったぞ!! はーーーッはっはっは!!」
勝った! 勝ったぞ!! はーーーッはっはっは!!」
がちゃり
灰被り「た~いちょ♪」
隊長「…へ?」
琴里「…ダメだよ隊長。こんな事に『特権』使って…。収支どれだけなの??」
二人が持って来た請求書
各部隊への連絡や、そこからの人材派遣。この日のためのセッティングやレッスン費用
全くの外部であるSW隊総動員など、もう目も当てられない額が刻まれていた…
各部隊への連絡や、そこからの人材派遣。この日のためのセッティングやレッスン費用
全くの外部であるSW隊総動員など、もう目も当てられない額が刻まれていた…
隊長「…………許して」
灰被り「ちょいなッ♪」
鈍い音と共に、悪は倒れた
ちなみに、優勝者はデビューを断固事態し、ついてしまった各種追っかけの処理に、悪はまた頭を抱える事が増えたのだった…
ちなみに、優勝者はデビューを断固事態し、ついてしまった各種追っかけの処理に、悪はまた頭を抱える事が増えたのだった…