澪「私は変なことしないって約束したからな」ニヤッ

律「・・・。ずりーっ!」

澪「はっはっは。先にあがるぞ」ガラリ

律「・・・うぅ」

律「・・・はぁ」

律「この先一生澪の掌の上な気がする・・・」

律「・・・」

律「・・・別にそれも悪くないかな」ボソッ

律「いやいや、やはりここは私が持ち前のリーダーシップを!」

律「・・・」

律「・・・あがるか」ザパッ

律「」ゴクッゴクッ

澪「・・・無駄な努力を」

律「・・・ふんっ」プイッ

澪「がんばってくれ、先に部屋行ってるぞ」

律「(澪とまでは行かないが・・・。梓との貧乳コンビは脱出せねば!)」ゴクゴク

ガチャ

澪「くーっ」Zzzz

律「・・・もう寝てるし」

律「ん?」

律「!!!」

律「おい!澪、起きろ!」

澪「・・・おはようのちゅー」

律「まだ夜だ!」

律「それより、お前あの箱出したか?」

澪「箱?」

律「お前のおもちゃだよ」

澪「いや、今日は触ってないぞ」

律「・・・」

律「・・・隠したクッションが裏側になってる」

澪「・・・それで?」

律「つまり誰かがこの箱を発見した可能性がある・・・」

澪「あくまで可能性だろ?箱に気付かなかったかもしれないし・・・」

澪「見つかったっていいだろ」

澪「私達、突き合ってまーす」

澪「ってむしろバラせば」

律「字が違う!」

律「えっとこの部屋に来たのは・・・、唯と梓と憂ちゃん・・・」

律「・・・あ!」

澪「どうした?」

律「料理中、憂ちゃんが妙に私を意識してたんだ・・・」

澪「・・・憂ちゃんか」

律「・・・まずいぞ」

澪「なにが?」

律「この前憂ちゃんが唯に変なこと教えたら許さないって・・・」

澪「・・・あ」

律「・・・」

澪「で、でも!唯はあの時普通だったじゃないか!」

律「・・・あぁ、そこが引っかかる」

律「・・・憂ちゃんが見てるのに唯が見ていないはずがない」

律「つまり、唯にはこれがなにかわからなかったってことだ」

澪「・・・」

律「もしくはネコミミとか見慣れたものに夢中で気付かなかった、とか」

澪「・・・それらないいんだが」

澪「にしても唯が知らないなんて・・・」

澪「他の人はおもちゃ使わないのか?」

律「・・・私達が特殊なんじゃないか?」

澪「そうかな?」

律「・・・とにかくこれは明日、唯達が来る前に澪の部屋に収容するぞ」

澪「・・・そうだな。突き合ってるなんて噂が学校に広まれば・・・」

律「さっきバラせって言ってなかったか?」

澪「あ、あくまで知り合いにはだ!」

律「そうか、澪にも常識が残っててうれしいぜ」

澪「朝一で運ぼう!」

律「おう!」

澪「というわけで早く寝ます!」

律「よし!」バサッ

澪「おやすみ!」

律「お、おう。おやすみ」

律「(うー。私はまだ気持ち良くなってないのに・・・)」

澪「(・・・なんて考えてるんだろうな)」

澪「(律の考えてることなんてお見通しさ)」

澪「(おあずけされる気持ちも律には知ってもらわないとな、うん)」


次の日!

ピンポーン

唯「りっちゃんおはよー」

律「おう、おはよう」

澪「おはよう、唯・・・ふぁ」

唯「ん?澪ちゃん寝不足?」

澪「・・・ちょっと早起きしちゃってな」

唯「そうなんだ、偉いね!」

紬「みんなおはよう」

律「おし、揃ったな」

律「では作戦会議を始めます!」

律「昨日の夜いろいろ調べたんだがな」パラパラ

唯「おー。りっちゃんすごーい」

澪「調べたのは私だろ!」ゴツン

律「いてっ!・・・それは置いといて」

律「ホワイトデーと言えばだいたいチョコ、ケーキ、クッキーとかそのへんだよな」

紬「そうね」

律「そこでだ、私達はクッキーを作ろうと思う!」

紬「どうして?」

律「バレンタインデーに梓達からチョコとケーキ貰ったからな」

律「どうせなら違う方がいいと思って」

唯「いいねぇ!それいいよ!」

紬「そうね。クッキーってお菓子作り入門みたいなイメージあるし」

律「うんうん。さすが私!リーダーシップあるね!」

澪「やれやれ」

唯「いろんなクッキー作ろうよ!」

律「もちろんそのつもりだぜ!」

律「普通だろ、チョコ、コーヒー、ジャム・・・」

律「それとバナナ、梓もきっとよろこぶぞ」

紬「さすがりっちゃん!」ガタッ

律「お、おう」

唯「そうだ、私もお菓子作りの本持ってきたんだよ」

律「ほう、これは頼もしい」

唯「クッキーも書いてあったからきっと役に立つよ」

律「うむ!では、スーパーに出陣だー!」

唯「おー!」



スーパー!

律「ふむ、さすがに手作りコーナーが充実してるぜ」

紬「ふふっ。たくさん売ってるわね」

唯「お、おいしそう・・・」

澪「こら、私達は手作りするの」

律「えっとまずは薄力粉っと」キョロキョロ

唯「これかな?」

律「おう、それそれ」

澪「それ、片栗粉だぞ・・・」

律「・・・」

唯「・・・」

律「じょ、冗談だって。な、唯」

唯「う、うん!あははっ、澪ちゃんたら」

澪「・・・」

紬「はい、薄力粉」

律「そうそうこれこれ、って!これは普通の小麦粉!」

紬「えへっ」

澪「早くしないと作る時間なくなるぞ・・・」

唯「ねぇ、りっちゃん」

律「ん?なんだ?」

唯「バニラエッセンスって知ってる?」

律「・・・あー、あれだろ?バニラアイスやシュークリームに入ってる黒い粒々だよ」

唯「あー、あれのことか」

律「そう、だからあの粒々を探して・・・」キョロキョロ

澪「それはバニラビーンズじゃ・・・」

紬「バターあったわよ」

澪「だからそれはマーガr・・・バターだった」

唯「りっちゃんのお家に型ってある?」

律「あぁ。でも丸とか四角とかの普通のしかないぞ」

唯「ハ、ハートはある!?」

律「・・・んーっ。なかったと思うなぁ」

唯「えへへーっ。追加ー」

律「・・・いやね、唯さん。追加はいいんだけどこの型は大きすぎないかな?」

唯「ふっふっふ。私の愛の大きさです!」フンス

紬「す、素敵ね!私も賛成!」

律「とまぁ、こんなもんかな」

唯「ふむ、結構な量ですな」

澪「・・・見慣れないお菓子も混じってるんだが」

唯「おやつだよ!」

律「よっし、帰るぞー!」

紬「おー!」

律「ただいまー」

唯紬澪「おじゃましまーす」

聡「あ・・・」

聡「・・・おじゃましました」パタン

唯「・・・またトイレに」

律「おっし、始めるぞー!」

紬「おー!」

澪「まずは普通のクッキーで試しだな」

律「うむ。その方がいいな」

唯「バタークッキーだね!」

紬「ふふっ。がんばりましょうね!」


一時間後!

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

唯「・・・りっちゃんが味見してよ」

律「な、なんで私なんだよ!」

澪「そ、そうだぞ!この企画の責任者だろ!」

紬「りっちゃん、がんばって!」

律「・・・っく」

律「おーい、聡ー」

澪「逃げたな・・・」

聡「なに?ねーちゃん」

律「ちょっとさ、これ食べてみてくれよ」

聡「え?も、もしかしてみなさんが?」

唯「う、うん!」

紬「えへへっ」

聡「・・・では」パクッ

聡「・・・」クラッ

律「さ、聡!」

聡「み、水!」ダダダッ

聡「」ゴクゴクゴク

唯「・・・」

紬「・・・」

聡「・・・はぁはぁ」

聡「・・・これ、味見した?」

律「いや、聡が初めて毒味した」

聡「どく・・・」

澪「ど、どうだった!?」

聡「・・・ちょっとでもいいから食べてみてください」

聡「その方が早いです」

唯「た、確かに・・・」

紬「う、うん。聡君が食べても死ななかったもの・・・」

聡「(死・・・)」

律「・・・どれ」カリッ

律「!!!」

律「しょ、しょっぺーーーー!」

律「み、水!」ゴクゴク

唯「・・・」ペロッ

唯「わお、舐めただけでしょっぱいよ・・・」

紬「塩クッキーね!」

澪「そのレベルを超えてるようだな・・・」

唯「塩と砂糖を間違えたみたいだね」

紬「お砂糖入れたのは唯ちゃんよ?」

唯「・・・でへへっ」

唯「だ、だってね。容器似てるから・・・」

律「あー、はいはい。次は気を付けるぞ」

澪「そ、そうだな。失敗したのは砂糖と塩の間違いだけだし」

紬「次はうまくいくわね!」

律「おう!次行くぜー!」

律「毒味係りはそこで待機!」

聡「え、えーっ」

律「美人なお姉さん達の手料理を食べられるなんて光栄に思え!」

聡「約一名美人じゃな・・・いたっ!」

聡「・・・」

聡「(でもよく考えろ、これって・・・)」

聡「(ハーレムじゃん!)」

聡「うへへっ」

律「うわっ、叩かれてよろこぶとかお前Mか?」

唯「ほら、2回目いくよー!」

律「お、おう!」

律「(聡、強く生きろよ・・・)」

澪「砂糖さえ間違えなければ次は大丈夫そうだな」


テイク2!

唯「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

律「・・・聡、・・・ほれ」

聡「・・・これを、食えと?」

聡「・・・この炭を?」

律「どうしてこうなった・・・」

唯「こ、今度は間違えてないよ!」

紬「うん。みんなで確認したわね」

澪「だいたいレシピが適当なんだよ。少々ってどのくらいだ?律の胸くらいか?」

唯「えー。それじゃ少なすぎるよ」

律「・・・お前ら、頭出せ」

唯澪「」グスン

紬「もう、今のは唯ちゃん達が悪いわよ」

唯澪「反省しました」

唯「ぐすっ、次は火加減に注意だね!」

紬「そうね!次は成功ね!」

澪「あぁ、失敗は成功の母だからな」

律「おっし、次行くぞー」

律「」シャカシャカ

唯「おー、りっちゃんうまーい」

律「へへっ、もう3回目だからな」

紬「んしょ!」コネコネ

澪「ふむ、みんな馴れてきたな」


テイク3!

唯「・・・ふむ」

律「・・・ちょっと焼き色薄くないか?」

澪「・・・こんなもんだろ?」

紬「・・・」

律「・・・聡、・・・ほれ」

聡「さっきよりはまともだね」

聡「」パクッ

聡「!」

聡「」ペッペッ

律「ど、どうした!」

聡「・・・生焼け」

律「・・・」

澪「ほら、やっぱり焼き時間足りなかったんだよ」

紬「今度は弱すぎね・・・」

唯「ならさっきと今の間の時間にすればいいんだよ!」

律「そうだな、よし!次行くぞー!」

聡「(・・・俺?死なないよな?)」


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最終更新:2011年06月14日 18:19