唯(最近ムギちゃんとの距離がかなり縮まってきた気がする…)
唯(だけどあと一歩が踏み出せない…)
唯(どうすればいいのかな…)
唯(うーん……)
唯(……考えてたら頭が痛くなってきちゃった)
唯(気分転換にネットサーフィンでもしよっ!)
☆数時間後
唯(ふぅ…あのゆるゆりSS面白かったな)
唯(どうなるかとハラハラしぱなしだったけど、最後は二人が無事結ばれて本当に良かったよ~)
唯(監禁から始まる恋愛かぁ)
唯(そういえば監禁してた女の子も『ゆい』って言ってたな)
唯(相手の女の子は金髪だし……)
唯(これはもう神様からのお達しってレベルだよね)
唯(ムギちゃんならきっと監禁しても…)
唯(『私、唯ちゃんに監禁されるのが夢だったの~』)
唯(って言ってくれるはず…)
唯(……)
唯(……ないない。いくらムギちゃんが優しい子でも、それはないよー)
唯(むしろ…)
唯(『私を監禁したかったの? もう…それなら言ってくれればよかったのに。うふふふ』)
唯(うんうん。たぶんこんな感じ)
唯(本気で嫌がったら、すぐにやめてあげればいいよね)
唯(そうと決まれば計画を練らなきゃ…)
>一週間後
唯「ねぇ、ムギちゃん。明日、私の家に泊りにこない?」
紬「唯ちゃんの家にお泊りっ!?」
唯「うん。どうかな?」
紬「みんなも一緒なの?」
唯「ううん。ムギちゃんだけだよ。ムギちゃんは二人きりじゃ嫌?」
紬「そんなことありません! 唯ちゃんと二人でお泊りなんてとっても楽しみだわ~」
唯「そう? じゃあお泊りの準備して遊びに来てよ」
紬「うん。とっても楽しみ~」
唯(うん。ムギちゃんとっても嬉しそう。これならきっと大丈夫)
唯(憂にはお父さんとお母さんのところに行ってもらおう)
唯(口実は…合宿に行くから、家に憂一人残しておくのは心配だからってことにしておこ)
唯(うんうん。完璧だよ~)
唯(…………嘘をついてごめんね、憂)
唯(あと一歩を踏み出すために必要なことなんだ)
>一日目
紬「こんにちはー」
唯「いらっしゃい、ムギちゃん」
紬「今日はよろしくね、唯ちゃん。これおみやげのケーキなの~」
唯「ケーキ!? ムギちゃんありがとう!」ダキッ
紬「もう…唯ちゃんったら///」
唯「じゃあ中に入ってよ」
紬「うん。お邪魔するね」
>リビング
唯「冷たいお茶を入れてあげるから、ムギちゃんは座って待ってて」
紬「あっ、お茶なら私が…」
唯「もう…ムギちゃんはお客さんなんだから、気を遣わなくていいのっ!」
紬「あっ…うん」
唯(じゃあこの麦茶に睡眠薬を入れて……)
唯「はい。ムギちゃんお茶だよ」
紬「ありがとー」ゴクゴク
唯「今日は熱いね~」
紬「本当ね。こんなに熱いと汗が沢山出ちゃう」
唯「後から一緒にお風呂に入ろ」
紬「一緒にだなんて/// ……あれ、なんだか……眠たく……」
唯「………………おやすみ、ムギちゃん」
紬「………唯ちゃん?……」
紬「……………………」
唯「ぐっすり寝ちゃったね、ムギちゃん…」
唯「さっ、早く運ばなきゃ」
唯「うんしょ」
唯「うんしょ」
唯「どっこいしょ」
唯「着いたよ…ここがムギちゃんを監禁する部屋だよ」
唯「といってもお父さんとお母さんの寝室なんだけどね」
紬「zzz」
唯「じゃあムギちゃんが起きる前に準備しなきゃ」
唯「まずは足枷だね」
唯「端が手錠状になってる長い鎖をムギちゃんの足にくっつけて……」ガチャリ
唯「もう片方はこっちの柱にくくりつけておこう」ガチャリ
唯「手はこのタオルで結んでおこう……固結びでいいよね」ギュ
唯「うん。これでムギちゃんは体の自由を失ったはず」
唯「定番の首輪もつけて……でも鎖はかわいそうだからやめておこう」
紬「zzz」
唯「ムギちゃんの寝顔かわいいな…」
紬「zzz」
唯「今ならキスしてもバレないよね」
紬「zzz」
唯「……でもやめとこ。フェアじゃないもんね」
――
紬「……?」
紬「……唯ちゃん?」
唯「あっ、ムギちゃん起きた?」
紬「ごめん。寝ちゃったのね。あれ…手が」
唯「うん。手は縛ったの」
紬「……足まで…これは首輪?」
唯「あんまり動けないと思うよ」
紬「唯ちゃん。これはなんの遊び?」
唯「遊びじゃないよ。ムギちゃんを監禁したの」
紬「…監禁?」
唯「うん。ムギちゃんを監禁」
紬「……何が目的?」
唯「……えっ」
唯(えっと……こういうときは)
唯「……えっと、ムギちゃんが他の女の子と喋ってるのが気に入らないから、監禁したんだー」
唯(嘘だけど)
紬「……………………嘘」
唯「えっ?」
紬「……話してる途中に目線を少し下げるのは、嘘つく時の唯ちゃんの癖」
唯「……ぅ」
紬「……お金?」
唯「えっ」
紬「……どうしようもないほど辛いなら相談にのるわ。だから…」
唯「なんでそんなこと言うの、ムギちゃん!! 私、お金なんて!!」
紬「いいから拘束を解いて!」
唯「嫌…」
紬「唯ちゃんっ!! 解きなさい!!!!」
唯「ひっ」ビクッ
紬「早く!!!」
唯「嫌っ!」
紬「解きなさいって言ってるの!!!」
唯「もうっ…ムギちゃんなんてこれでも咥えてて!!」
紬「うーうー!」
唯「ふぅ……ふぅ……念の為に用意しておいた口枷を噛ませちゃったよ……」
紬「うーうー!」
唯「…………一回部屋から出よう……」
紬「うーうー!」
唯(なんでこうなっちゃったんだろ……)
唯(ムギちゃん本気で怒ってた…)
唯(もう帰してあげようか)
唯(だけど…今別れたら、絶交されちゃうよね)
唯(絶対に元の関係には戻れない…)
唯(ムギちゃん……)
唯(ごめんなさい、ムギちゃん……)グスグス
唯(私…私…馬鹿だった)グスグス
唯(許して…ムギちゃん)グスグス
唯「…」グス
紬「うーうー」
唯「ごめんね、ムギちゃん、今外してあげるから」グス
紬「…唯ちゃん…泣いてるの?」
唯「ごめんね、ムギちゃん」グス
紬「どうして……」
唯「…何も聞かないでくれる」グス
紬「拘束を解いてはくれないの?」
唯「ごめんね、ムギちゃん。自分の考えが上手くまとめられないの」グス
唯「…」グスグス
紬「…」
唯「…」グスグス
紬「…」
唯「zzz」
>二日目
唯「zzz」
唯「zzz」
紬「…」
唯「うーん…もう朝かぁ……あれ、昨日は……あっ、ムギちゃん」
紬「おはよう」
唯「うん、おはようって、ムギちゃん!?」
紬「うん、そうだよ」
唯「あっ……監禁したんだった」
紬「そうだね」
唯「あははは。私、泣き疲れて寝ちゃったんだ……」
紬「……」
唯「ムギちゃん昨日の夕御飯食べてないからお腹へってるよね」
紬「……うん」
唯「ちょっと待ってね。今何か作ってあげるから」
唯「…できたよ」
紬「うん」
唯「目玉焼きはちょっと不恰好だし、ベーコンはちょっと焦げちゃってるけど…‥」
紬「そうだね」
唯「…食べないの?」
紬「食べれないの」
唯「あっ、そっか……手を結んであるんだった」
紬「唯ちゃんが食べさせてくれるの?」
唯「うん。はい、あーん」
紬「…」パクッ
唯「どう?」
紬「ちょっと苦い…」
唯「やっぱり…」
紬「でも、全部食べるよ。お腹空いてるから」
唯「ムギちゃん…」
唯(なんだかムギちゃん昨日と違って大人しいね…)
唯(逃げるのを諦めちゃったのかな…)
唯(……)
唯(でも、全然仲良くなれそうな感じじゃないよ)
唯(……どこで間違っちゃったんだろ)
唯(……)
唯(そういえば、昔ムギちゃんが言ってたな)
唯(仲良くなりたいなら、一緒に甘いもの食べるのがいいって)
唯(あずにゃんが軽音部に溶け込めたのも、お菓子がきっかけだったし……)
唯(うん。ムギちゃんにお菓子を作ってあげよう)
唯(それで駄目だったら……拘束を解いてあげよう)
唯(きっと、それ以上はムギちゃんも私も傷つくだけだから…)
唯「私、ちょっと用事があるから、しばらく一人で待っててくれる?」
紬「…待って!」
唯「…?」
紬「…おしっこ」
>カット
唯(さて、お菓子を作ろう)
唯(カップケーキは作るのが簡単って、憂が言ってた気がする……)
唯(プリントアウトして……)
唯(材料は家にあるものだけでできそう……)
唯(気合を入れて作らなきゃ)
唯(あっ……粉が流しにこぼれちゃった)
唯(うわっ、焦げてる焦げてる……はぁ、やり直そう)
唯(上手く膨らまない……やり直そう)
唯(出来た! ……あれ、甘くない……砂糖入れ忘れた!?)
唯(出来た! うーん。……憂が作ってくれるやつほど美味しくないけど、まぁまぁかな)
唯(これをムギちゃんのところへ持って行こう)
唯(これで仲良くなれなかったら……)
唯(……先のことを考えるのはやめよ。暗くなっちゃう)
最終更新:2012年07月24日 12:11