唯「あずにゃん、バレンタイン誰かにあげるー?」
梓「バレンタイン……? マイブラとかシューゲイザーとかそういうのですか」
澪「違うよ……2月14日にはチョコをあげるんだよ」
梓「チョコをあげる……誰にあげるんですか?」
紬「好きな人、にできればいいんだけど、ここ何年かは特に誰にあげてもいいのよ」
唯「そうそう~。私は憂にあげるんだ~。あずにゃんなら誰にあげるの?」
梓「……好きな人」
梓「……」じ~っ
澪「……えっ」
律「ほっほ~お目が高いですな~……ってあたし!?」
紬「さすが梓ちゃん、わかってる……あれ!?わたし?」
唯「あ~ずにゃ~ん」ギュッ
梓「……」
唯「ういやつじゃ、ういやつじゃ~」スリスリ
梓「……好きな人です」
紬「……」
律「うわっ! ムギが今まで見たことないくらいイイ顔してる!」
紬「へっ? ああ……ジュルリ。えっと、それで、どうしましょうか」
澪「そうだな、唯の家は憂ちゃんがいるし」
律「澪の家でいいじゃん」
唯「そうだね~」
澪「決定はやっ!」
紬「いいかしら澪ちゃん?」
澪「もちろん、悪いわけないよ」
梓「あの~……」
唯「なにかね? あずにゃん隊員!」
梓「私はこのあと用事がありまして」
唯「ええ~っ!」
律「そうなのか」
梓「はぁ。ご一緒はできないです」
唯「あずにゃん……」
澪「どうしても抜けられない用事なの?」
梓「はぁ。まぁ、そうですね」
紬「それじゃあ、仕方ないわね」
校門
唯「あばばば……ざ、ざぶいよりっじゃん……」
律「は、はは、歯でリズムが刻める……カチカチカチカチカチカチ」
紬「じゃあ、急がないとね」
梓「……あ」
澪「ん? どした?」
梓「忘れ物をしてきました。ここで今日はお別れしましょう」
澪「そっか。暗いから気をつけろよ」
唯「あばばああ、あずにゃん、ばだね~」
律「ぎぼつけて帰れよ~」
紬「またね」
梓「……」ぺこっ
音楽室
さわ子「……わたしはわるくないのよだってあのときのかれはあっちからきたくせにむかしのふくかってに
あさってそれでかってにあいそつかせていやもうきょうしやってけないわこれからどこではたらいたら……」
梓「……いた」
さわ子「ビクッ!!」
梓「あなたはまだ利用価値がある……」
さわ子「……こっ、来ないでー!! イヤアアアッ!!」
梓「先生にはこれから働いてもらうです。私のやりたいことのために」
……
―『裏不無』の使い手が、お前一人ではないことを教えてやる!
―まさか!? 『裏不無』は一子相伝のはず!?
憂「まだ
ニュースの時間になってない。お姉ちゃんが帰ってくる前に下ごしらえしなきゃ」
憂「えへへ。どんなのにしよっかな~」
憂「ハート型は……ベタすぎるかな~?」
憂「あっ、メッセージ入りとかいいかも」
憂「へへ~」
……
さわ子「で、なによ、スーパーまで連れてきて」
梓「バレンタインチョコというものを作りたいのです」
さわ子「バレンタインねぇ……そういえば世間はそんな時期ね」
―今年手作りあげるんだー。
―ウチなんてコンビニで済ませたよ。適当なラッピングのやつー。
さわ子「ケッ! どうせ来年は違う相手にあげることになんのよ!」
梓「そうなんですか」
さわ子「……まぁいいわ。とりあえず、作るんだったら生チョコ買わなきゃ。そのへんの普通のやつでいいから」
梓「生チョコ……」
さわ子「最後に手作りあげたのっていつだっけ……もう、終わった、恋」
梓「生肉はいるんでしょうか」
さわ子「……何作るつもりか自分でわかってるわよね」
秋山家
唯「澪ちゃんち!」
律「あーまぁ適当にくつろいでよー」
澪「ここ私の家だぞ……」
紬「フフッ」
澪「どうしたの、ムギ?」
紬「ううん。ほら、他所のお家の香りってあるじゃない? ここが澪ちゃんのお家なんだなーって」
澪「な、なんか恥ずかしいなぁ」
紬「すんすん。あぁ、ここで毎日澪ちゃんが裸になったり、色々な処理をしてるのね」
澪「処理って!」
紬「スゥーーゥッ……ハァーー……いいわ」
中野家
さわ子「はい、ではやってきました梓ちゃんち。今回取り上げるのはバレンタインのチョコ。いいですねー。恋人たちの季節ですねー。まさに今世界中が桃色!」
梓「あ、ゴ○○リ」
さわ子「……では、今回はシンプルなものを作っていきたいと思います。材料はコチラ」
梓「……速い」
さわ子「オッホン!! え~市販のチヨコレイト、生クリーム、それからココアパウダーなんかあるといいですねえ」
梓「……へへ、ガッチャ」
さわ子「あんた真面目にやる気あんのかコラァーーッッ!!」
秋山家
唯「あはは~澪ちゃん、今より目つきわる~い」つ卒アル
律「だろー? だから入学式の前日に泣きついてきて、『美容院ついてきてー』って」
澪「チョコ作るんじゃなかったのか!」
紬「まあまあまあまあまあまあ」
唯「プフゥッ! あっはっはっはっ、りっちゃん、なにこれー!!」
律「ああ、これは体育祭のときにカブキで行こうぜ!ってなってー」
澪「ダメだ……こいつらが揃ってたら遊ぶに決まってたのに……」
紬「あの……澪ちゃん、コレ」つパンツ
澪「わあああーーーっっ!!」
律「澪ちゃんはズボラですからな~」
澪「……もうっ、チョコ作らないなら帰ってもらうぞっ!」
唯「じゃあ、そろそろやろっか~」
律「そだな~。はいはい、まずは何をするんだっけ?」
紬「どうするの~?」
―…………
中野家
梓「ドウゾ」つギター
さわ子「え、なに?」
梓「ジャズマスターです。先生はこれでサーストン・ムーア遊びでもしてください」
さわ子「ちょっと! 呼んでおいてそれは」
梓「アンプイン」カチャッ
さわ子「キムのパンツが見たいのはだあぁれじゃあぁーーっっ!!」ギュオオオオオオッッ!!
梓「背が高いからお似合いです。わからなくなったら呼びますから」
スーパー
唯「インターネットって便利だね~」
律「そう、時は30世紀、人類は肉体を捨て、ディアスポラ計画を……」
澪「ほら、はやく買って帰るよー」
紬「出来たら色々デコレーションもしたいけど」
澪「そうだなー。ラッピングとかも後でそろえよっか」
唯「あ! ねえねえ、これおいしそうだよ~イチゴ味だって」
澪「ああ、でも、生チョコじゃないと」
唯「……もうコレでいいんじゃないかな~」
澪「オイッ!!」
中野家
さわ子「これが私の嫌いな歌よーっ!!」
梓「先生」
さわ子「ホワッツ? スチューデント梓!」
梓「このチヨコというのは、どうすればバラバラになるのでしょうか」
さわ子「手で砕いてもまぁいいけど、包丁で細切れにするのよ」
梓「はぁ。なるほど」
さわ子「ちょっと! なんで指ではさんで持つのよ! 包丁使ったことないの!?」
梓「すいません、生まれてからギターより重いものを持ったことがないんです」
さわ子「ずいぶんヘビーな人生ねぇ!」
秋山家
澪「はい、まずはチョコつぶして~」
唯「わぁ、チョコいっぱ~い……」
澪「食べちゃダメだぞ」
唯「わ、わかってるよぉ」
紬「しゃらんらしゃらんら~」
律「おお! ムギの手によってチョコがどんどん小さくなってゆくっ」
唯「うん、おいひいよムギひゃん~」ポリポリ
澪「やっぱり食ってる……」
中野家
さわ子「バァ~ニンスピャ~!!」キイイイイィィィィィッッッ!!
梓「ふんふん」
さわ子「すすんだー?って……」
梓「はぁ。だいぶてこずりましたが、なんとか」
さわ子「ちょっと!! 指切りまくってチョコがイチゴチョコに!」
梓「あ~……」
さわ子「バンソコバンソコ!」
梓「これが私の血まみれのバレンタイン」
さわ子「はい。梓ちゃんなんとかチョコを細切れにしました。
では~次は生クリームを沸騰しないほど温めます。
さっそくいきましょう!」
梓「生クリーム……先生」
さわ子「はぁい、なんですかー?」
梓「アンコはダメですか? たい焼きにはアンコとクリームがあります」
さわ子「はぁい。梓ちゃん、今日何を作るのか、そこからやりなおしましょ~」
秋山家
紬「それで、次は生クリームね」
澪「そうそう。とりあえずグルグル回して」
唯「おほ~う。なんか、もうおいしそう」
澪「唯、さっきから食べてばっかだぞ」
唯「はい! 仕事します! 仕事ください!」
澪「じゃあ……そうだな、ラッピングを適当な大きさに切ってくれるかな、唯隊員?」
唯「合点承知の助!」
中野家
梓「ブクブクしてきました」
さわ子「うん。それじゃあ、中にチョコを入れて」
梓「ふむ」
さわ子「よく混ぜましょう」
梓「ふむふむ」
さわ子『このときチョコはちゃんと溶かしてね! さわちゃんのワンポイントアドバイス!』
梓「誰と話してるんですか?」
秋山家
唯「なんか、こういう作業してると止まらなくなっちゃうな~」
律「ゆーいー、生クリームでけたぞー」
唯「あっ、見せて見せてー!」
紬「ほらっ」とろろーん
唯「わぁ……ちょっとひと口」つ
澪「あっ!」
唯「……ん~」
澪「どうだ?」
唯「生クリームだった。それ以上でも以下でもない」
律「おおっ、でました! 鉄人のお言葉ー!」
唯「それ以上でも以下でもない!」ふんす!
澪「はーい、チョコと混ぜるぞー」
澪「入れマース」
律「あ~今~てぇつじんが~生クリームに先ほどのチョコを~投入~」
唯「わぁたしの記憶が正しければ、先ほどの生クリームは生クリーム以上でも以下でも」
澪「はいはい。混ぜマース」
唯「私はその混ぜたチョコを味わうことにしたのだぁ」つ
澪「ガアァツ!!」
唯「冗談だよぅ」
中野家
さわ子「で、ラップして、数時間冷ます」
梓「にゃ」
さわ子「あとは出来てからのお楽しみ……梓ちゃん」
梓「はい」
さわ子「なんで唯ちゃんたちと作らないの? 一緒にやろうって言ってたじゃない」
梓「……」
さわ子「まあ私はけっこう楽しいけど~」
梓「……先輩たちの力を借りたくなかったんです」
秋山家
唯「型どれにしよっかー」
紬「ブロック状もいいねー」
律「ハート型って私なんかなぁ」
澪「いいじゃん、ハート」
律「そら、ピュアピュアなお方はそうですがな」
澪「なんだよー」
唯「あ、そだ! 憂とあずにゃんに経過報告!」
最終更新:2010年02月16日 00:48