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第191話~第200話 - (2009/09/26 (土) 00:49:59) の編集履歴(バックアップ)
398 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:15:19.74 0
>>324
第191回
>>324
第191回
「おはよ、なっきぃ」
朝、教室で本を読んでいたら声がして顔を上げた。
白い制服のシャツから伸びた日に焼けた長い腕が目に入る。
この腕は、千奈美ちゃん。
白い制服のシャツから伸びた日に焼けた長い腕が目に入る。
この腕は、千奈美ちゃん。
「なっきぃさぁ、昨日熊井ちゃんのこと手伝ったよね」
「え、あ・・・し、してないよそんなこと」
その長い腕を組んだ千奈美ちゃんは問い詰めるような口調でそう言った。
私は、冷や汗が出て誤魔化した。
「うそ。バレバレだよ、会長も気付いてたし。何も言わなかったけど」
でも、あっさりバレてて・・・。あぁ、会長に怒られるのかな。
怖いなぁ。あんなにいつもイライラしてなくていいのになぁ・・・。
「え、あ・・・し、してないよそんなこと」
その長い腕を組んだ千奈美ちゃんは問い詰めるような口調でそう言った。
私は、冷や汗が出て誤魔化した。
「うそ。バレバレだよ、会長も気付いてたし。何も言わなかったけど」
でも、あっさりバレてて・・・。あぁ、会長に怒られるのかな。
怖いなぁ。あんなにいつもイライラしてなくていいのになぁ・・・。
「・・・・ごめん、放っておけなくて。それに向こうが頼んできて・・・」
「そういうの、よくないない。断らなきゃ。ミスは熊井ちゃんのミスなんだから。」
「で、でも、あれないと会議できなかったし・・・チームワークも必要かなって」
しどろもどろになって必死で言い訳を考える。
千奈美ちゃん、なんだか最近会長に似てきた。口調とか、そういうの。
「そういうの、よくないない。断らなきゃ。ミスは熊井ちゃんのミスなんだから。」
「で、でも、あれないと会議できなかったし・・・チームワークも必要かなって」
しどろもどろになって必死で言い訳を考える。
千奈美ちゃん、なんだか最近会長に似てきた。口調とか、そういうの。
「・・・・ふーん」
「ごめん・・・」
「なっきぃってさ、熊井ちゃんのこと好きだよね」
「へっ?あ、え?」
唐突に、そんなことを言われて私は一瞬固まってしまう。
「慌てすぎw」
千奈美ちゃんは笑いながらそう言う。
「・・・・だったらなんなの」
下を向いて、言い返しても、私の言葉に力はない。
「ごめん・・・」
「なっきぃってさ、熊井ちゃんのこと好きだよね」
「へっ?あ、え?」
唐突に、そんなことを言われて私は一瞬固まってしまう。
「慌てすぎw」
千奈美ちゃんは笑いながらそう言う。
「・・・・だったらなんなの」
下を向いて、言い返しても、私の言葉に力はない。
399 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/09/16(水) 02:17:10.83 0
>>398
第192回
>>398
第192回
薄々バレているような気はしてたけど、こうはっきり言われると恥ずかしい。
千奈美ちゃんやその友達の茉麻ちゃんが友理奈ちゃんを好きなのは
なんとなく態度でわかってはいた。
・・・ま、あの鈍感さんはどの好意にも気付いてはいなかったんだけどさ。
千奈美ちゃんやその友達の茉麻ちゃんが友理奈ちゃんを好きなのは
なんとなく態度でわかってはいた。
・・・ま、あの鈍感さんはどの好意にも気付いてはいなかったんだけどさ。
「あの、鈴木愛理って子・・・好きじゃないでしょ?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
好きじゃない、いや、ちょっと違う。気に入らなくて許せないだけ。
それに私はあの子のこと何も知らないし。
それに私はあの子のこと何も知らないし。
「しゃべったことある?」
「ううん、ない」
「しゃべってみたくない?なんで、あんなの選んだのか、さ」
「・・・・・・・でも」
「今日のお昼休み、話に行ってみない?一人じゃ、あれだし」
「う、うん・・・・なにしゃべるの?」
「さぁ?その場の雰囲気じゃないの。あと、茉麻連れてくし。茉麻文芸部入ったから」
「うーん・・・」
「決まり!じゃあ、お昼休み迎えに行くから!後輩相手なんだから気ぃつかわないの!じゃ!」
「え、ちょ、千奈美ちゃん!・・・・って行っちゃった」
「ううん、ない」
「しゃべってみたくない?なんで、あんなの選んだのか、さ」
「・・・・・・・でも」
「今日のお昼休み、話に行ってみない?一人じゃ、あれだし」
「う、うん・・・・なにしゃべるの?」
「さぁ?その場の雰囲気じゃないの。あと、茉麻連れてくし。茉麻文芸部入ったから」
「うーん・・・」
「決まり!じゃあ、お昼休み迎えに行くから!後輩相手なんだから気ぃつかわないの!じゃ!」
「え、ちょ、千奈美ちゃん!・・・・って行っちゃった」
千奈美ちゃんは計画通り、なんていう風な笑顔を残して私のクラスを出て行った。
しゃべるって一体なにしゃべるのー・・・もう、困ったなぁ。
しゃべるって一体なにしゃべるのー・・・もう、困ったなぁ。
・・・でも確かに、ちょっと興味はある。どんな子なんだろう、とか
千奈美ちゃんの言うとおり、なんであの子を選んだんだろう、とか。
不安もあるけど、・・・でも、ちょっと楽しみだ。
千奈美ちゃんの言うとおり、なんであの子を選んだんだろう、とか。
不安もあるけど、・・・でも、ちょっと楽しみだ。
452 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/09/18(金) 02:18:55.56 0
>>399
第193回
>>399
第193回
お昼休みの少し前、須藤先輩からメールが入った。
お昼休みに教室に行くからいて欲しい、とのこと。
勧誘活動しなきゃいけないんだけど、そう言われたからには待つほかない。
私は、チャイムが鳴った後も教室で待っていた。
りーちゃんもいてくれると言ってくれたけど、悪いから部室へ行ってもらった。
お昼休みに教室に行くからいて欲しい、とのこと。
勧誘活動しなきゃいけないんだけど、そう言われたからには待つほかない。
私は、チャイムが鳴った後も教室で待っていた。
りーちゃんもいてくれると言ってくれたけど、悪いから部室へ行ってもらった。
なんだろう?ないしょの話なのかな。と、思っていたら・・・・
「愛理ちゃんごめーん、お待たせ」
「あ、いえ・・・あの?」
「うん、私の友達が愛理ちゃんと話してみたいって言うもんでさ。お昼一緒に食べない?」
「あぁ・・・・平気です。どんな方ですか?」
「2人いるんだけど、2人とも生徒会でさ。あ、でも安心して。文芸部はカンケイないから。」
「はぁ・・・」
「じゃあ、行こう。屋上だから」
「はい」
「あ、いえ・・・あの?」
「うん、私の友達が愛理ちゃんと話してみたいって言うもんでさ。お昼一緒に食べない?」
「あぁ・・・・平気です。どんな方ですか?」
「2人いるんだけど、2人とも生徒会でさ。あ、でも安心して。文芸部はカンケイないから。」
「はぁ・・・」
「じゃあ、行こう。屋上だから」
「はい」
私は須藤先輩に引っ張られるまま、屋上へとやってきた。
生徒会の人が私なんかに・・・・なんでだろう?心当たりないんだけど・・・。
生徒会の人が私なんかに・・・・なんでだろう?心当たりないんだけど・・・。
「どうも。徳永でーす」
「あ、ごめん急に。中島って言います。」
「こんにちは、鈴木です。鈴木愛理」
「あ、ごめん急に。中島って言います。」
「こんにちは、鈴木です。鈴木愛理」
屋上に着くと、以前の意見交換会で見覚えのある2人が地べたにシートを広げて待っていた。
手を振りながら、自己紹介をしてくれる。
とても気の良さそうな、優しそうな2人の先輩たちに、見えた。
手を振りながら、自己紹介をしてくれる。
とても気の良さそうな、優しそうな2人の先輩たちに、見えた。
521 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/09/20(日) 03:11:31.55 0
>>452
第194回
>>452
第194回
「・・・だめだ、完敗」
「同じく」
「同じく」
茉麻が愛理ちゃんを送っていって、屋上には私となっきぃが残った。
2人がいなくなって、私は開口一番そう口にした。
「・・・・隙がないし、可愛いし、性格もいいし、頭もいいねあの子」
「だね。なんてことない子に思っていたけど実際話してみるとよくわかった」
2人がいなくなって、私は開口一番そう口にした。
「・・・・隙がないし、可愛いし、性格もいいし、頭もいいねあの子」
「だね。なんてことない子に思っていたけど実際話してみるとよくわかった」
私もなっきぃも、始めは萎縮して緊張してる愛理ちゃんを少々からかい気味に話していた。
嫉妬もあるし、悔しいのもあるから素直に優しくできようものか。
と思っていたんだけど、話せば話すほど欠点のない子であることがわかって
自分のささやかな自信も、嫉妬もバカらしくなった。
なっきぃも、きっとそう思っているんだろう。
嫉妬もあるし、悔しいのもあるから素直に優しくできようものか。
と思っていたんだけど、話せば話すほど欠点のない子であることがわかって
自分のささやかな自信も、嫉妬もバカらしくなった。
なっきぃも、きっとそう思っているんだろう。
もちろん、熊井ちゃんがあの子のそういう部分を好きになったわけじゃないことはわかる。
熊井ちゃんはそういうこと、欠点のない子、にあまり関心がないからだ。それは知ってる。
なぜなら、自分がそういう人間だから。同じような人には興味がない。
熊井ちゃんはそういうこと、欠点のない子、にあまり関心がないからだ。それは知ってる。
なぜなら、自分がそういう人間だから。同じような人には興味がない。
じゃあ、あの子の何がよかった。
熊井ちゃんほどではないにしても、愛理ちゃんは自分と同じような人間のはずなのに。
それは話せば話すほどわかった。
熊井ちゃんほどではないにしても、愛理ちゃんは自分と同じような人間のはずなのに。
それは話せば話すほどわかった。
愛理ちゃんは、温厚で優しくてとても笑顔が多いのだ。大らか、そんな言葉よく似合う。
熊井ちゃんは少々気難しいところもあるから、愛理ちゃんの笑顔が好きなんだろう。
それに、愛理ちゃんは自分が何でもよくできるということをあまり自覚していない。
だから全体的に自信がないように見えた。
・・・・自分に自信を持て、と育てられたと語っていた熊井ちゃんとはその点で対照的過ぎる。
熊井ちゃんは少々気難しいところもあるから、愛理ちゃんの笑顔が好きなんだろう。
それに、愛理ちゃんは自分が何でもよくできるということをあまり自覚していない。
だから全体的に自信がないように見えた。
・・・・自分に自信を持て、と育てられたと語っていた熊井ちゃんとはその点で対照的過ぎる。
だからこそ、熊井ちゃんは愛理ちゃんを選んだんだ。・・・・私は、勝てない、そう思った。
522 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/09/20(日) 03:12:18.43 0
>>521
第195回
>>521
第195回
「茉麻は強いなぁ。きっと、わかってただろうに」
「・・・だねぇ。私には、無理・・・でも、好きなんだけどね」
「そりゃ、うちだって好きだよ」
「茉麻ちゃんは、わかってても好きで、奪い取ってやるって自信があるんじゃないかな」
「・・・さすが、まあさ。いや、まあさすが」
「なにそれ」
「さぁね・・・・なんか気が抜けた・・・・はぁ」
「うん・・・・・はぁ」
「・・・だねぇ。私には、無理・・・でも、好きなんだけどね」
「そりゃ、うちだって好きだよ」
「茉麻ちゃんは、わかってても好きで、奪い取ってやるって自信があるんじゃないかな」
「・・・さすが、まあさ。いや、まあさすが」
「なにそれ」
「さぁね・・・・なんか気が抜けた・・・・はぁ」
「うん・・・・・はぁ」
私はため息をついて、屋上に寝転がった。
暑いし、熱い。
そして、空は不自然なほど青い。
夏はもう本番だ。
生徒会もどんどん忙しくなる。
秋には学園祭がある。
暑いし、熱い。
そして、空は不自然なほど青い。
夏はもう本番だ。
生徒会もどんどん忙しくなる。
秋には学園祭がある。
文芸部はどうなるんだろう。
・・・・なんだか、応援してあげたくなるな。会長はきっと怒るけど。
それも、あの子の魅力なんだろうか。だとしたら、すごい子だ。
・・・・なんだか、応援してあげたくなるな。会長はきっと怒るけど。
それも、あの子の魅力なんだろうか。だとしたら、すごい子だ。
目を閉じて、想い人を思い浮かべる。
背が高くて美人で頭がいい、そんな人。
でも、ちょっと気難しくてたまにとんでもないことやらかして
みんなを巻き込んで泣きそうな顔でごめんね、って言う。
背が高くて美人で頭がいい、そんな人。
でも、ちょっと気難しくてたまにとんでもないことやらかして
みんなを巻き込んで泣きそうな顔でごめんね、って言う。
そんな、そんなところが好きなんだ熊井ちゃん。
「んー・・・・!」
と、背伸びをして目を開けた。
と、背伸びをして目を開けた。
523 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/09/20(日) 03:13:54.21 0
>>522
第196回
>>522
第196回
「・・・ってことがあったんです」
「えぇ、聞いてないなぁ」
「でも、楽しかったです。3人とも、すごく優しくて」
「そっか。なら・・・まぁ、よかった」
「先輩のお友達と仲良くなれるのって嬉しいです」
「うん、うちも嬉しいよ」
「えぇ、聞いてないなぁ」
「でも、楽しかったです。3人とも、すごく優しくて」
「そっか。なら・・・まぁ、よかった」
「先輩のお友達と仲良くなれるのって嬉しいです」
「うん、うちも嬉しいよ」
お昼休みが終わる少し前、先輩の教室へ行って報告をした。
徳永先輩も、中島先輩も2人ともすごく優しくしてくれた。
はじめは怖いかなぁってちょっと思ってたけど・・・でも、
話していくと笑わせてくれし、気を使ってくれるし、
すっごく楽しい時間だった。・・・緊張はしたけれど。
徳永先輩も、中島先輩も2人ともすごく優しくしてくれた。
はじめは怖いかなぁってちょっと思ってたけど・・・でも、
話していくと笑わせてくれし、気を使ってくれるし、
すっごく楽しい時間だった。・・・緊張はしたけれど。
「そうだ、矢島さん・・・いやいや舞美ちゃんって呼んでって言われてた」
「え?」
「放課後、屋上に来て欲しいって言ってた」
「そう、ですか・・・直接いえばいいのに」
「なんとなく会いたくない。とか言ってた」
「なーんだそれは・・・もう」
「楽しい話じゃないからね。重たくて辛い話だから・・・本人も構えみたいなのが必要なんだよ」
「・・・なんとなく、わかります」
「気を張らずに、聞いてあげて。・・・一人で抱えきれないなら
いつでも胸を貸すから。今日は遅くまで生徒会だし、学校にいるよ」
「はい。」
「え?」
「放課後、屋上に来て欲しいって言ってた」
「そう、ですか・・・直接いえばいいのに」
「なんとなく会いたくない。とか言ってた」
「なーんだそれは・・・もう」
「楽しい話じゃないからね。重たくて辛い話だから・・・本人も構えみたいなのが必要なんだよ」
「・・・なんとなく、わかります」
「気を張らずに、聞いてあげて。・・・一人で抱えきれないなら
いつでも胸を貸すから。今日は遅くまで生徒会だし、学校にいるよ」
「はい。」
先輩が、私を勇気付けようと微笑んでくれる。私も微笑を返した。
そして、放課後はすぐにやってきた。