第221話~第230話

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airi-kumai

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だれでも歓迎! 編集
605 :名無し募集中。。。:2009/10/06(火) 23:49:47.47 0
>>500
第221回

「でね、もうすごかったの。生徒会が生徒のためになることしちゃいけないのかなぁ」
友理奈先輩のつぶやきが、小さく中庭に響く。
お昼休み、私と先輩はみんなから少し離れてお昼ごはんを食べていた。
先輩は、今朝の生徒会の会議であったことを話してくれていた。

生徒会長が怒り、徳永先輩も中島先輩も随分怒られたらしい。
でも、2人とも何がいけないんだって突っぱねていたらしいけど。
そんな2人は、みんなに溶け込んでご飯を食べてる。
・・・図太いというか、すごいなぁ。

「私情だよねぇ、会長もさ」
「そんな気がしますね、なんとなく」
「うん・・・うち、二人にはすごく感謝してるけど、でも、悪いような気もしてさ」
「・・・でも、なんていうか・・・先輩たちすごく楽しそうだから、いいんじゃないですか?」
2人が、完敗っぷりが清々しくていいなんて言っていたけど
楽しそうだったから、だから、それでいいんじゃないかなぁ。

「ま、それもそうか」
バカ騒ぎをしてももやみやをからかう徳永先輩を見て、友理奈先輩はそう言った。
「とにかくあと3人だからね、なんとかしなきゃだね」
「そこで、まぁに心当たりが」
「「え??」
急に須藤先輩の声がして振り返ると、私たちの丁度間に須藤先輩が立っていた。
「ごめんごめん。いや、あと3人って言うからさ」
先輩はそう言いながら、間に座って話し始めた。

心当たりって誰のことだろう?


606 :名無し募集中。。。:2009/10/06(火) 23:50:28.86 0
>>605
第222回

「その名も、清水佐紀。どう?」
「はぁ?無理だよ」
「そうですよ、無理に決まってるじゃないですか」
「いや、そうでもないよ?」
「え?」
「ま、任せてよ」

須藤先輩はそう言い切ってどこかへ行ってしまった。
え?どういうこと?清水佐紀って生徒会長だよね?なんで?なんで?」
生徒会長が文芸部に?ない、絶対にありえない!
須藤先輩の自信は一体どこから出てくるんだろう?

友理奈先輩と2人で首を傾げていた。


今日も、放課後にはえりを誘って屋上へ繰り出していた。
私が勧誘するってわかってるのに、来てくれるのは・・・
・・・・やっぱりえりが私のことを好きだからなのかな・・・・。

「舞美」
「ん?」
「勧誘の最終日になって人が足りなかったら入ってもいいよ」
「ほ、ほんと?えりそれほんと!?」
「うん、でも、」
「でも?」
「条件として、私とデートしてよ」

えりはそう言って、可愛らしく微笑んだ。


607 :名無し募集中。。。:2009/10/06(火) 23:51:30.01 0
>>606
第223回

「え?」
「いやなの?」
「い、いやなことはないけど・・・でも」
「いやなんじゃん」
「あの、生徒会長とか友達なんでしょ?いいの?ももだっているよ?」
「なんだそんなこと」

私が勧誘しながらもずっと心配だったことを言うと、
えりはつまらないっていう顔をして口を尖らせた。

「ま、そういうことは入ったら考える。そう決めたんだよね。
それに入るって決まったわけでもないしさ。入部が決まったら、でいいし」
「どういう心境の変化?」
「ん~・・・・内緒」
「なにそれ」
「まぁ、いいじゃん。それでいい?」
「・・・うん。わかった。」
「よし、契約成立ってことでカンパーイ」

えりは紙パックの紅茶を持ち上げて、私のペットボトルにくっつけた。
えらく、上機嫌である。
どうしたんだろう?えりには悪いけどちょっと心配になるほど。

何か裏があるような・・・いやでも・・・疑っちゃ申し訳ないしなぁ。
と、部員を増やせたのに、なのにどこか釈然としない気持ちの私は素直に喜べなかった。

それでも上機嫌なえりはそんな私には気付かずに、赤く染まり始めた空を見上げていた。


648 :名無し募集中。。。:2009/10/08(木) 00:32:10.14 0
>>607
第224回

次の日の朝、ももを捕まえて昨日の話をした。
私は自分の中での整理がつかず、事実を話すことしかできない。
ももは黙って聞いていたけど、微かに微笑んだり怪訝そうな顔をして聞いていた。

「・・・ってことになったんだけど、ももどうしよう?」
「・・・・・・・・・ま、いいんじゃないの」
「でも」
「舞美、えりかちゃんから聞いたんでしょ?」
「・・・・うん」
「その、ももがいいって言うからいいんだよ」
「だけどなんか変じゃない?嫌だって言い張ってたのに」
「いまさらもものこといじめたりしないよ。別に謝って欲しいとか思ってないし、
特に仲直りしたいとも思ってない。でも、ほんとに部に入ってくれるなら歓迎するし
・・・だいたい、ももに拒否権、違うな、誰にも拒否権なんてないんだよ」
「そりゃ・・・・そうだけど」

私は何か言いたいことがあったはずなのに上手く言葉が出てこなくてもどかしかった。
でも、当人同士が割り切っているのなら、私が何か口を出すべきではないのだろう。
結局私は二人のことを知っているつもりで全然知らないんだ。
何年も会っていなくて、急に現れてかき回した。
だから、もうこれ以上余計なことは言わないでおこう。

「ま、これであと2人なわけだ。もう時間もないしね、頑張ろうよ」
ももはそう言って笑い、握手を求めてきた。
私は軽く頷いて、ももの手を握った。強く、握った。
「もう、相変わらず手加減ってもんを知らないんだから・・・」

ももはそう言って、手を離した。強く握りすぎていたらしい。
私はごめん、って小さく謝って、朝の空気を吸い込んだ。


649 :名無し募集中。。。:2009/10/08(木) 00:32:51.63 0
>>648
第225回

お昼休み、ももとみやと私、の元祖?文芸部は3人で部室に集まっていた。
「あと1週間でテスト、んで土日は休みだし・・・もうあと5日くらいしかないよね、あと2人か」
みやが部室の壁にかけてあるカレンダーを見ながら言った。

今日は金曜日、リミットは来週の日曜日で
再来週の月曜日には生徒会へ部員数の報告と名簿提出の予定になっている。
ちなみにそれはテストの初日で、ここにいる3人は総じて危ない状況。
祝日も挟むから学校へ来るのは今日を入れてあと5日間だけ。
苦労しながらも着実に増えていった部員だけど、あと2人がなかなか決まらない。

梅田先輩のことは舞美ちゃんに朝聞いて、ももも教えてくれた。
ちょっと複雑だけど、みやも私も、ももがいいって言う以上何も言わなかった。
ただ、部員が増えてよかったねってそれだけ言った。

「そうだそうだ。須藤先輩がね、生徒会長さんを部員に引き入れる・・・って言ってたんだけど」
「はぁ?」
みやが大袈裟とも呼べるほど、驚いた。でも、それもわかる。だってだって・・・ねぇ。
「愛理、それほんと?」
ももが眉をひそめてそう聞いて来る。
「うん、なんかちょっと自信有り気だったよ。なんでだろう?」
「・・・それ、ほんとになっちゃったらどうするの?」
みやがもものほうを向いて問いかけた。
「さぁ?・・・でも、ありえないよ。それより、愛理、友達で入ってくれそうな子いない?」

ももはほんとに、そんなのないよっていう口調で切り捨てると
すぐに話を変えた。私もありえないと思っていた。


650 :名無し募集中。。。:2009/10/08(木) 00:33:43.44 0
>>649
第226回

「よ、さーきちゃん」

お昼休み、熊井ちゃんや愛理ちゃんと別れて私が向かったのは、
佐紀ちゃん、こと清水佐紀がいつもお昼を食べている食堂の隅っこにあるテーブル。
佐紀ちゃんはいつもここにいるから探しやすくていい。

「なんだ、茉麻」
「なんだはひどいなー。あ、すいません、ちょっと2人で話したいんで席外してもらえます?」
「なに、珍しいね。てことなんだ、ごめん」
私は佐紀ちゃんのお友達に断りを入れて席から離れてもらうと、佐紀ちゃんの隣に座った。

「って、茉麻文芸部だっけ。私の嫌いな」
「なんで嫌いなの?」
「うざいじゃん。たった3人しかいなかったし、なくなっても誰も困らない部だったのに
意地張って部員集めだしてさ。あの鈴木愛理とかいうのも私にたてついたからムカツクし
嗣永もうざったい顔だから嫌い。辛気臭いんだよアイツ。頭も悪いし。
それに生徒会役員3人も連れて行かれてさ、心底腹立ってんの。」」
「おぉ、怖い怖い。」

佐紀ちゃんは積年の恨み、とばかりに文芸部と愛理ちゃん、もも先輩への悪口を並べ立てた。
まったく相変わらず口が悪いことで。
先生や地を見せない友達の前では絶対に見られない姿。
ま、こういうところ、佐紀ちゃん面白いから好きなんだけど。

佐紀ちゃんは紙パックの紅茶をちゅーちゅー吸ってから、
「で、何の用?」と切り出した。


651 :名無し募集中。。。:2009/10/08(木) 00:34:33.24 0
>>650
第227回

「あー、ちょっとお願いがあって」
「茉麻が文芸部辞めたら聞いてあげるよ」
「まぁ、そう言わないでよ」
「だからなに?」
「佐紀ちゃんさ、文芸部入らない?」
「はぁ?」

佐紀ちゃんは私に提案に、開いた口が塞がらないとばかりに唖然としている。

佐紀ちゃんと私は、中学のときからの付き合いで、何がきっかけだったかは
全然覚えてないないけど、気付いたときには学年を超えた友達になっていた。
それはきっと佐紀ちゃんの真っ黒な部分を聞いても引きもせず否定もせず
特に肯定もせず話を聞くことができたからだろう、とは思う。

同じ高校に入学したけど、学年も違うしほとんど話すことはなかったけど
たまにこうして話すのが楽しかった。

そんな佐紀ちゃんには、きっと自分自身も気付いていないことがある。
それを気付かせてやろうと思っているんだ。
気付いたら、きっと文芸部に入ってくれる。そう信じてる。
でもそれにはきっとものすごい抵抗をくらうだろうから、ちょっとだけ心構えが必要。

私がそれに気付いたのは、中学2年の冬だったかな。
佐紀ちゃんの様子を見ていてすぐにわかった。あぁ、青春だなぁって思ってた。

だから、もも先輩のこといじめてるって、結構えげつないことまでしてるって
本人から聞いたときちょっとびっくりしたけど、納得も出来た。

あぁ、愛情の裏返しなんだって。あぁ、そういえば佐紀ちゃんって素直じゃなかったんだ、ってね。


788 :名無し募集中。。。:2009/10/11(日) 02:32:37.12 0
>>651
第228回(補足・時系列的に>>606>>650-651で、今回のお話です)

「あれ、まーさお久しぶりだね」
「うん、えりかちゃんのこと避けてたし」
「またまたそんなこと言って」
「うん、冗談だけどさ、お願いがあって来たの」

あっさり佐紀ちゃんに入部を断られたお昼休み。
ま、それは想定内。簡単に核心を突いても面白くないじゃん?
もも先輩のことは、まだ言わない。

そのあとの放課後、私はえりかちゃんを訪ねてきた。
佐紀ちゃんの友達は私の(ryとまでは言わないけど、
佐紀ちゃんとの付き合いの中で仲良くなった先輩、だけどタメ口の聞ける人。

「えりかちゃんさ、文芸部誘われてるんでしょ?舞美ちゃんに聞いた」
「茉麻相変わらずだね」
「まあね、まあだからね。」
「はいはい。でも、入らないよ?」
「いやいや、そんな単純な話じゃなくてさ。」

えりかちゃんに、私がしようとしていることを話した。
えりかちゃんのことはある程度信頼してるから、全部話した。
だいたい、えりかちゃんだってバカじゃないんだから勘付いてるはずだし。

「そりゃまだ壮大っていうかなんていうか」
「舞美ちゃん好きなんでしょ?いいじゃん、媚売っときなよ。入部すれば一緒にいられんだしさ」
「・・・・全くもう、好き放題言って。」
「でも、そういうまあのこと好きでしょ?」
「さあね」
って言ってえりかちゃんは横を向いてしまった。


789 :名無し募集中。。。:2009/10/11(日) 02:34:32.50 0
>>788
第229回(このあとに>>606(第222回)の後半部って感じでわかりにくくてすまん)

「それに絶対入部するわけじゃないんだしさ。ま、するだろうけど」
「・・・わかったよ。佐紀の素直なとこ、私も見たいし」
「よし、契約成立ってことで。協力してね。一筋縄じゃいかないんだから」
「うん、任せて。ってなんもできないけど。」
「あぁ、そうだ、もも先輩のことは大丈夫なの?」
「入れって言ったやつが何言ってんのーもう」
「いや、考えてなかった」
「まぁ、入ったとき考える」

って言う感じで少々強引に話をまとめてえりかちゃんの協力を取り付けた。
よし、佐紀ちゃんに絶対自覚させてやる。
そんでもって、絶対文芸部に引き入れてやる。

「で、何するの?」
「んー、とりあえず、直球ぶつけてみる」
「それ作戦じゃないしー」
「ま、とりあえずだって。明日の朝、佐紀ちゃんの教室行くから」
「うん、まぁ、わかったよ」

えりかちゃんは渋々って感じだけど、まぁ、いいや。
なんて切り出そうか、考えているとワクワクしてくる。

あの腹黒い佐紀ちゃんがなんて言って反論してくるか。楽しみだなぁ。
「はぁ?ありえないし。バカじゃないの茉麻」は確実に言うよなぁ。

さてさて、明日はまだかな・・・。


870 :名無し募集中。。。:2009/10/13(火) 01:47:53.74 0
>>789
第230回(>>648(第224回)と同じ時間帯な感じです)

「さーきちゃん、おはよ」
「なに?」

佐紀ちゃんの教室の入り口で佐紀ちゃんに声をかけた。
佐紀ちゃんはめんどくさそうな顔をして座っていたイスから立ち上がって
そばまで寄ってきてくれる。
ついでに、後ろにはえりかちゃん。そういや一緒のクラスだっけ。
あれ、特進ってことはえりかちゃんって頭よかったんだ。

「あのさ、ちょっと話。」
「もう、昨日のくだらない話だったら怒るよ?」
「まぁまぁ、こっちこっち」

廊下の隅に佐紀ちゃんを呼んで、えりかちゃんと2人で佐紀ちゃんを囲む。

「ちょっと、えりかまでなんでいるの?」
「あぁ、ちょっとね」
えりかちゃんは笑って誤魔化す。
「あのさ、聞きたいことあって。」
「なに?」
「・・・・佐紀ちゃんってさ、もも先輩のこと好きでしょ?」
「はぁ!?ありえないし。バカじゃないの茉麻」
でた、予想通り。いや、ちょっと言葉が強めかな?

「いや、絶対好きだと思うんだよね。意識していじめちゃったの?」
ちょっと煽るように、怒らせるように話を向けていく。
「ありえないっつーの。あいつ辛気臭い顔してウザイからいじめただけだし」
佐紀ちゃんは相変わらず、黒い。でも、それは本心じゃない。
それに気付いているから、佐紀ちゃんが否定したって、強がっちゃってwとしか見えなくって。

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