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ヘタレないとイイナ - (2008/10/07 (火) 22:23:07) のソース
*ヘタレないとイイナ ◆idJgve9t0Y 夜空の星々はこの殺し合いの場においても、いつもと変わらず慈悲深く輝いている。 そして、殺し合いに巻き込まれたあの女も いつものように美少女で いつものようにマイペースで いつものようにおしとやかで いつものように可愛いもの好きで いつものように紅茶を嗜好し いつものようにほぼ全裸だった ☆ ☆ ☆ 「はぁー、やな夢見ちゃった……現実なのね」 白ウサギのぬいぐるみは大樹に寄りかかり、しんみりと呟いた。 彼女こそ、自分で世界を危機に追い詰めたのと同じくらいの数、世界を救った英雄、マイメロディ、通称マイメロである。 この程度の事件で動じるはずもない。マイメロがこれまでいた世界にも お隣さんの家をゴミだらけにしたり クラスメイトを全員男にしたり 地球に隕石を落としたり 裸でバイオリンを弾いたり 世界を滅亡させたり 可愛いマイメロを怖がったり と、変わった人その他存在がたくさんいた。だから、みんなに殺し合いをさせる人間がいてもおかしくない。まさに「そういう人もいるのよね」である。 とはいえ、あんな命令をする人は悪い子だろう。だから、彼女は自分のなすべきことをする。 「さっきの人、そんなことしちゃ、めっだよ」 通称マイメロは空間を叱り飛す。胸の中が清清しい達成感に満たされた。 あとは大好きなウサミミ仮面さんに任せれば良い。彼女の唯一の装着物、ピンク色の頭巾をまさぐった。 だが、そこには彼を呼ぶためのメロディタクトはおろか、空飛ぶ傘すら見当たらない。 彼女はガックリとどこにあるのか分からない肩を落とすと、デイバッグがぶら下がっていたことに今頃になって気づいた。 ――30分後 「はぁ、紅茶がおいしい」 これで3回目の休息。マイメロディは探索を中断して、支給品の紅茶セットを活用する。ダージリンの優しい香りが肉体的疲労をほぐしていく。 だが、生きたぬいぐるみとは実に欲張りだ。彼女はお茶だけで満足できず、茶菓子まで欲しくなってきた。 デイバッグにないなら他所で調達すればよい。 マイメロは地図を広げると、西のメイドカフェに目が留まった。もしかすると、そこにケーキやクッキーがあるかもしれない。 最低、小麦粉や砂糖さえ見つかれば、キッチンでケーキやクッキーを作れることができる。というよりも、菓子は自分で作る方が好きだ。たくさん作れば皆にも分けてあげられるだろう。 マイメロはランチシートをデイバッグにしまうと、亀のような速度で軽やかに足を振り上げる。だがその刹那、背後から強い衝撃を受けて視界が暗転した。 ☆ ☆ ☆ 荒野の盗賊、ハイエナヤムチャは首の冷たい感触を確かめていた。 こんな首輪を付けられたら、彼らに逆らえるわけがない。参加者全員を殺して優勝するしかない。 もちろん、彼は盗賊であって殺し屋ではない。生き残るためとは言え、無差別に他人を虐殺するのは気分が悪い。 だが、地面に這い蹲り、彼らに媚び諂ってもタダで立ち上がる気は皆無だ。 そこでひとつの策がある。そう、ドラゴンボールだ。 殺し合いから生還した後、ボールを7つ集めて参加者を生き返らせるのだ。そして、遺族から礼金をちゃっかりせしめれば大儲けできる。 女の子にあがらなくなるという願いは、その後でも良いだろう。 だが、ヤムチャの楽観的な未来予想図は、数分も経たぬうちに亀裂だらけになった。一瞬の気の緩みを突き、何者かが彼の背後に滑り込んできたのだ。自分との距離はおそらく10m。 ヤムチャは身構えたまま、すばやく振り返る。鎧のような出で立ちの人型ロボット。無表情のマスクが彼を嘲笑したように見える。 レアメタルのボディから放たれる一片の温かみもない殺気、ヤムチャは握り締めた拳に湿り気を感じた。 ロボットは彼の焦りを無視してひとつの問いを放つ。 「ゼロというアンドロイドを知らないか」 「知らないな。アンタはそいつを見つけてどうするつもりだ?」 「……アイスボム、ボンバーシュート!」 ロボットは直接問いに答えず、左手から爆弾を生み出して地面に叩きつける。半径数十mの大地が瞬時に薄氷で覆われる。 「な、なんだ、奴はロボットなのに妖術使いなのか!? くそっ、こんなにツルツルしてたらまともに戦えねえぜ」 わざわざ敵に弱音を吐くヤムチャは弱り目に祟り目、ロボットは天高く舞い上がり、貪欲な鷹のように地上の男に狙いを定める。 最悪の事態。彼はプライドを投げ打ち、何度も転びそうになりながらその場を走り去った。 これは敗走ではない、明日へと向かう戦略的撤退だと自分を励ましながら。 ☆ ☆ ☆ ヤムチャは息を切らして後ろを振り返る。天は彼に味方した。死神はいない。わざと見逃された気もしたが、深く考えないことにする。 彼はあのロボットの強さを直に確認したわけではない。もしかすると、全力を尽くせば撃退できたかもしれない。 だが、こちらもただではすまないだろう。自分が目指すのは優勝、あれに勝つことではない。 (手始めにゼロとかいう奴を捜して、あのロボットの悪評を伝えてみるか) 殺し合いに対抗するフリをして仲間を集め、邪魔者を退治するのがよい。 そして後々は、仲間が油断したところで奇襲をかけ、彼らも一網打尽にするのだ。 (少し後ろめたいが、ドラゴンボールがあるからな) この会場に武天老師のような超人がいたら、不意打ちすら無理かもしれない。 だが、彼に首輪を付けられる者がいるはずはないと、その不安を一笑に付した。 それでも動揺してたのだろう、彼は足元がお留守になっていた。なにかもふっとしたものに躓き、地面に激突してしまった。 ヤムチャは自分の失敗を誰も見てないのを確認し、軽く安堵した。 「誰だ、こんなところにぬいぐるみを捨てたのは。 ……ん、このちっちゃいのもデイバックなのか。折角だから、俺様が有効利用してやるぜ」 荒野の盗賊はデイバッグをぬいぐるみごと持ち去った。 【D-6西部 一日目深夜】  【ヤムチャ@ドラゴンボールシリーズ】  【服装】盗賊の服  【状態】健康 【装備】なし 【持ち物】支給品一式、不明支給品0~3、マイメロディ(下記参照) 【思考】基本:優勝した後、ドラゴンボールで皆を復活させる 1:殺し合いに乗っていないふりをして仲間を集める 2:ゼロという人物を探す(アンドロイドという単語は失念してます) 【備考】ピラフ編でピラフ城へ行く直前から参戦 【マイメロディ@おねがいマイメロディシリーズ】  【服装】裸頭巾  【状態】気絶中  【装備】なし 【持ち物】支給品一式、紅茶セット、不明支給品0~2 【思考】基本:殺し合いには乗らない  1:メイドカフェでお菓子を作る 2:ウサミミ仮面さんを召喚したい 【備考】2期終了後からの参戦です 本人が小さいのでデイバッグもミニサイズです 【D-6東部 一日目深夜】  【MAX@ボンバーマンジェッターズ】  【服装】なし  【状態】健康 【装備】なし 【持ち物】支給品一式、不明支給品0~3 【思考】基本:優勝して帰還する 1:ゼロが参加していれば破壊して、己の優越性を証明する 2:長髪の男(ヤムチャ)をメッセンジャーとして利用 【備考】設定上、マイティが利用可能なボムはほとんど全て使えるはず 参戦時期は後の書き手にお任せします *時系列順で読む Back:[[第2話目に一番遠い男]] Next:[[無題(053)]] *投下順で読む Back:[[第2話目に一番遠い男]] Next:[[無題(053)]] ||ヤムチャ|[[]]| ||マイメロディ|[[]]| ||MAX|[[]]|