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「いくら動物といえど知性はあるさ」(2008/10/06 (月) 21:52:38) の最新版変更点
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*いくら動物といえど知性はあるさ ◆dKBETGTMMY
目を覚ました時、ユーノ・スクライアがまず感じたのは「孤独」だった。
見たところ、どうやらここはどこかの建物、しかも個室らしい。暗くてよく見えないが、今はそれだけで十分だ。
思考をすぐさま切り替え、先ほどの光景を思い出す。キュウビと名乗る謎の獣――――使い魔、もしくは自分と同じように変身魔法を用いた人間。
天照と呼ばれた狼に、喋るリスの使い魔。そしてリスが殺された時に駆け寄ったこれまた喋るラッコとアライグマ。
極めつけは名簿にある知人、ザフィーラとアルフの名前……ここまでお膳立てされればどんな馬鹿だって気付く。これが、獣たちを集めた殺し合いなのだと。
だが自分は違う。今は確かに変身魔法でフェレットの姿になっているとはいえ、れっきとした人間だ。
自分がイレギュラーなのか、それとも他にも同じようなものがいるのか。今はまだ分からないが、取りあえずずっとフェレットのままでいる訳にもいくまい。
「どっちにしろ、人間の姿のほうがいろいろと便利だからね……あれ?」
――――おかしい、変身魔法を解除しても人間へと戻らない。というよりも、別の場所から魔力が送り込まれてそれが邪魔をしている。
何処から送られてくるのか探ろうとするが、そんな事せずとも何気なく首を曲げた時にわかった。
「首輪か……面倒だな。」
フェレットの小さな手でゆっくりと触れる。微弱だが魔力を感じ、それが流れ込んできているのも分かった。
外してみようにもこの体では無理という物。下手をすればあのリスの二の舞になりかねない……しかし、首輪を外さなければ人間に戻ることすら出来ない。
転移魔法でこの空間から脱出を試みたが、今度は逆に魔力が持っていかれ、魔方陣を描く事すらできない。
元よりここがミッドチルダ世界や――――皆と共に数々の事件を乗り越えた、あの世界でないことは気がついていた。
自分も無限書庫に潜ってさまざまな知識を得たと思うが、その中でもあのような力を持つ者はそうそういない。
ふと脳裏にプレシアの姿が過ぎるが……それとはまた違ったベクトルで常識を超えている。これほど大量の人々――実際は獣だが――を誘拐するだなんて、馬鹿げてる。
だが、自分たち三人が抜けたことを、管理局が気づいてくれるだろう。そうすれば、アースラを使ってきっとここの場所もいずれ見つけ出してくれる。
ならば、自分がする事は二つ。一つはアルフとザフィーラ、それに他の動物を保護して生き残ること。
(そして……主催側の調査。ちょっと厄介だけど、やるしかないよね。)
立ち上がり、決意を新たにする。とりあえずは他者との合流だ、喋れることは……殺し合いを開くと「言った」以上、大概は人間の言語が理解できるのだろう。
願わくば、扉を開いた先に話が分かる者がいてくれる事を――――そう願ってユーノは、ドアのノブに手をかけた。
「……あれ?」
――――かける事は出来たけど、まわす事までは出来なかった。
理由はいうまでもなく、身長の所為だ。止まる体感時間、硬直する肉体。そして沈黙を破る叫び声。
「……っえええええええええ!?」
辺りを見回し、踏み台になりそうなものを探す。だがユーノの体で動かせるような物は見つからなかった。
人間の姿になれない、部屋から出来ることも出来ない……一瞬、ユーノの頭を絶望が過ぎった。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。
幸い、拘束魔法の類は問題なく使えるらしい。それを使い、何とかドアノブを回せば……
「誰かいるのか?」
「ふぇ!?」
突如、扉の向こうから声がかかり、ユーノは驚きで変な声を出してしまった。人知れず短い腕で頭を抱える間に、少し強くなった声と共に戸がドンドンと叩かれた。
「おい、誰かいるのか!」
「えっと、はい!あの、すみませんがドアを開けてもらえませんか、僕の身長じゃどうも届かなくて……」
言ってから気づいた。自分がいる事は伝えたが、もし扉の向こうにいるのが殺し合いに乗った動物だったらどうする?
そうでなくとも、姿を見せずにドアを開けさせようとする自分を、相手は信じてくれるだろうか……否、疑ってかかるのが当たり前だ。
この通り扉の向こう側から返事は来ず、場を静寂が支配する。唾を飲み込む音が、いつもよりも強く響いた気がした。
「えっと……警戒するのも分かります。ですけれど、僕はあなたを信じm」
「今開く、少し待て。」
耐え切れずに話し始めたユーノを、扉の向こうの動物が遮る。疑問の言葉を投げかける前に向こうから指示が来た。
「死にたくなければドアから離れていることだ。」
それから一秒と経たずに聞こえてきた、何かを引き抜く音。直感でそれが何なのかを悟り、ユーノは隅のほうを向く。
もし「それ」が自分の予想通りの物ならば、いち早く逃げなければ、自分は扉ごとバラバラになってしまうだろう。
一秒――――。その場にいる二人が、同時に走りだす。「それ」はゆっくりと中を舞い、二回ほど回転していた。
二秒――――。ユーノは部屋の隅でデイパックを盾にし、動物は離れた場所で衝撃に耐える準備をした。
三秒――――。「それ」が床に落ちる。まるでゴルフボールのような軽い音を立て――――――――爆ぜた。
「うわっ!」
爆風に目をやられ、思わず目を瞑ってしまうユーノ。しかし、その煙をもろともせずに駆ける赤い影。
動きに気づく前に、首筋へと冷えた刃が押し当てられる。ようやく事態を把握したユーノの目が見開かれる。
チェーンバインドを……いや、相手はそれよりも早くこの刃を抜くだろう。目を見れば、その程度のことは自ずと分かる。
シグナムやフェイトにも匹敵するほどの鋭さ、ヴィータやザフィーラにも劣らない力強さ。間違いない、この男はこの殺し合いの中でも強者の類に入ることだろう。
どうする、どうする、どうする。思考が堂々巡りを繰り返しても、答えは一向に出てこない。
ピクリ、と刃が動く。これまでかと、覚悟を決めて視界を閉じ――――
「手荒な真似をしてすまない。戦場では一時の油断が命取りになるからな。」
――――直後、すぐに開けた。ユーノは、改めて、真っ直ぐその赤い影の姿を見る。
つり上がった鋭い目に赤い皮膚、額から左頬に走る傷は歴戦を潜り抜けてきた証なのだろうか。ベルトも只のベルトに過ぎないのに、異様な存在感を醸し出している。
適度に湿り気を帯びた肌は暗闇の中でも一際輝いており、その手に握られたバターナイフも、持つものが変わればこんなにも雄雄しく……え、バターナイフ?
「あの……あなたはそれで何をするつもりだったのですか?」
「何を言っている、見た目は悪いが立派な武器になるだろう。」
「はぁ……」
率直に疑問を唱えたが、即効で返答が帰ってくる。ふと手に持っていたものが視界に入り、ああ、やっぱりと納得する。
拳大の大きさの爆弾、手榴弾。先ほど部屋の扉を一瞬で木片に変えたのもこれの仕業だろう、ダース単位で支給されているのか、ずいぶん量があるように見える。
だがこれでハッキリした、この動物……人は殺し合いに乗っていない。乗っているならば、今頃自分は消し炭になっているだろう。
「ほう、お前の支給品はガトリング砲か……性能としては並だが、よく手入れされているな。」
赤い男がユーノのデイパックから勝手にガトリング砲を取り出す。見られた事は特に咎めはしないし、そもそも今の自分ではどう足掻いても使うことは出来ない。
「ほら、お前にはこれをやろう。お前の背ならこれでも使えるだろう。」
そういって男は手榴弾をすべて投げてきた。思わず受け取ってしまうが、ただで貰うのはいまいち釈然としない。
「あの……いいんですか? 全部貰って……」
「構わん、代わりに俺はこのガトリング砲を貰うがな。」
……ああ、この男の人柄が少し分かった気がする。基本的なところで真面目だが、意外とちゃっかりしているところがある。
とはいえ、まだあって間もないし、そもそも自己紹介すらしていない……って、ふつうあって間もない者に手榴弾を渡すのだろうか。
「というか……どうしてそう簡単に僕に渡すんですか? もし僕が殺し合いに乗っていたら……」
「簡単なことだ。俺はお前に負けないし、先ほどのやり取りで既に乗っていないのは見抜いた。」
何のこともない様に言うが、実はすごいことを言ってる。ユーノは内心唖然として、この姿に何か引っかかる感覚を覚えた。
何かに似ているような、うまく出てこない……雨の日にいるあの……若干湿っている……あ。
「……カエル。」
「カエルではぬわぁぃッッ!!」
特に意識せずに呟いたその一言が、気に障ったのだろうか。先ほどよりも強い威圧感をユーノは感じ取った。
「……俺は、ギロロだ。」
「あ、えっと。ユーノです、ユーノ・スクライア。」
少しの間の後、二人はようやく自己紹介を始めた。互いが殺し合いに乗っていない事、参加者内にいるそれぞれの知り合いなど。
……ギロロが「何でよりによってケロロしかいないんだ……」と呟いていたが、あまり詳しくないユーノはスルーしておいた。
数分後、それぞれの荷物を纏めた二人は他の参加者と合流する為、博物館の中を歩き始めた。
――――ユーノは魔法のこと、ギロロは宇宙人のこと。二人は互いに、意図せず隠し事を秘めていた。
【B-4/博物館内/1日目/深夜】
【ユーノ・スクライア@リリカルなのはシリーズ】
【時間軸】:第二期最終話、エピローグ前
【状態】健康
【装備】:なし
【道具】:支給品一式、手榴弾(11/12)@ケロロ軍曹
【思考】
基本:打倒主催。
0:ギロロと詳しい情報交換。
1:対主催のメンバーを集める。
2:ケロロ、アルフ、ザフィーラとの合流。
※参加者を使い魔か変身魔法を用いた人間だと思っています。
※会場はミッドチルダではないが、そこよりそう遠くない世界だと思っています。
※首輪について
人間化は魔力を流し込むことによって、
結界魔法などは魔力を吸収することによって妨害されています。
【ギロロ伍長@ケロロ軍曹】
【時間軸】:ガルル戦後
【状態】健康
【装備】:ガトリングガン@サイボーグクロちゃん、ベルト@ケロロ軍曹
【道具】:支給品一式、バターナイフ(現地調達)
【思考】
基本:殺し合いには興味なし。
0:ユーノと詳しい情報交換。
1:死ぬ気はさらさらないが、襲ってくるものには容赦しない。
2:ケロロ、アルフ、ザフィーラとの合流。
【手榴弾@ケロロ軍曹】
劇中で主にギロロが使用する兵器。対人兵器からドアの爆破までお手の物の優れもの。
【ガトリングガン@サイボーグクロちゃん】
クロの愛用武器。よく手入れされており、比較的使いやすい。残段の数は不明。
*時系列順で読む
Back:[[ニャースの謡]] Next:[[主に仕えし魔物の道は]]
*投下順で読む
Back:[[ニャースの謡]] Next:[[主に仕えし魔物の道は]]
|&color(cyan){GAME START}|ユーノ| |
|&color(cyan){GAME START}|ギロロ伍長| |
*いくら動物といえど知性はあるさ ◆dKBETGTMMY
目を覚ました時、ユーノ・スクライアがまず感じたのは「孤独」だった。
見たところ、どうやらここはどこかの建物、しかも個室らしい。暗くてよく見えないが、今はそれだけで十分だ。
思考をすぐさま切り替え、先ほどの光景を思い出す。キュウビと名乗る謎の獣――――使い魔、もしくは自分と同じように変身魔法を用いた人間。
天照と呼ばれた狼に、喋るリスの使い魔。そしてリスが殺された時に駆け寄ったこれまた喋るラッコとアライグマ。
極めつけは名簿にある知人、ザフィーラとアルフの名前……ここまでお膳立てされればどんな馬鹿だって気付く。これが、獣たちを集めた殺し合いなのだと。
だが自分は違う。今は確かに変身魔法でフェレットの姿になっているとはいえ、れっきとした人間だ。
自分がイレギュラーなのか、それとも他にも同じようなものがいるのか。今はまだ分からないが、取りあえずずっとフェレットのままでいる訳にもいくまい。
「どっちにしろ、人間の姿のほうがいろいろと便利だからね……あれ?」
――――おかしい、変身魔法を解除しても人間へと戻らない。というよりも、別の場所から魔力が送り込まれてそれが邪魔をしている。
何処から送られてくるのか探ろうとするが、そんな事せずとも何気なく首を曲げた時にわかった。
「首輪か……面倒だな。」
フェレットの小さな手でゆっくりと触れる。微弱だが魔力を感じ、それが流れ込んできているのも分かった。
外してみようにもこの体では無理という物。下手をすればあのリスの二の舞になりかねない……しかし、首輪を外さなければ人間に戻ることすら出来ない。
転移魔法でこの空間から脱出を試みたが、今度は逆に魔力が持っていかれ、魔方陣を描く事すらできない。
元よりここがミッドチルダ世界や――――皆と共に数々の事件を乗り越えた、あの世界でないことは気がついていた。
自分も無限書庫に潜ってさまざまな知識を得たと思うが、その中でもあのような力を持つ者はそうそういない。
ふと脳裏にプレシアの姿が過ぎるが……それとはまた違ったベクトルで常識を超えている。これほど大量の人々――実際は獣だが――を誘拐するだなんて、馬鹿げてる。
だが、自分たち三人が抜けたことを、管理局が気づいてくれるだろう。そうすれば、アースラを使ってきっとここの場所もいずれ見つけ出してくれる。
ならば、自分がする事は二つ。一つはアルフとザフィーラ、それに他の動物を保護して生き残ること。
(そして……主催側の調査。ちょっと厄介だけど、やるしかないよね。)
立ち上がり、決意を新たにする。とりあえずは他者との合流だ、喋れることは……殺し合いを開くと「言った」以上、大概は人間の言語が理解できるのだろう。
願わくば、扉を開いた先に話が分かる者がいてくれる事を――――そう願ってユーノは、ドアのノブに手をかけた。
「……あれ?」
――――かける事は出来たけど、まわす事までは出来なかった。
理由はいうまでもなく、身長の所為だ。止まる体感時間、硬直する肉体。そして沈黙を破る叫び声。
「……っえええええええええ!?」
辺りを見回し、踏み台になりそうなものを探す。だがユーノの体で動かせるような物は見つからなかった。
人間の姿になれない、部屋から出来ることも出来ない……一瞬、ユーノの頭を絶望が過ぎった。しかし、ここで諦めるわけにはいかない。
幸い、拘束魔法の類は問題なく使えるらしい。それを使い、何とかドアノブを回せば……
「誰かいるのか?」
「ふぇ!?」
突如、扉の向こうから声がかかり、ユーノは驚きで変な声を出してしまった。人知れず短い腕で頭を抱える間に、少し強くなった声と共に戸がドンドンと叩かれた。
「おい、誰かいるのか!」
「えっと、はい!あの、すみませんがドアを開けてもらえませんか、僕の身長じゃどうも届かなくて……」
言ってから気づいた。自分がいる事は伝えたが、もし扉の向こうにいるのが殺し合いに乗った動物だったらどうする?
そうでなくとも、姿を見せずにドアを開けさせようとする自分を、相手は信じてくれるだろうか……否、疑ってかかるのが当たり前だ。
この通り扉の向こう側から返事は来ず、場を静寂が支配する。唾を飲み込む音が、いつもよりも強く響いた気がした。
「えっと……警戒するのも分かります。ですけれど、僕はあなたを信じm」
「今開く、少し待て。」
耐え切れずに話し始めたユーノを、扉の向こうの動物が遮る。疑問の言葉を投げかける前に向こうから指示が来た。
「死にたくなければドアから離れていることだ。」
それから一秒と経たずに聞こえてきた、何かを引き抜く音。直感でそれが何なのかを悟り、ユーノは隅のほうを向く。
もし「それ」が自分の予想通りの物ならば、いち早く逃げなければ、自分は扉ごとバラバラになってしまうだろう。
一秒――――。その場にいる二人が、同時に走りだす。「それ」はゆっくりと中を舞い、二回ほど回転していた。
二秒――――。ユーノは部屋の隅でデイパックを盾にし、動物は離れた場所で衝撃に耐える準備をした。
三秒――――。「それ」が床に落ちる。まるでゴルフボールのような軽い音を立て――――――――爆ぜた。
「うわっ!」
爆風に目をやられ、思わず目を瞑ってしまうユーノ。しかし、その煙をもろともせずに駆ける赤い影。
動きに気づく前に、首筋へと冷えた刃が押し当てられる。ようやく事態を把握したユーノの目が見開かれる。
チェーンバインドを……いや、相手はそれよりも早くこの刃を抜くだろう。目を見れば、その程度のことは自ずと分かる。
シグナムやフェイトにも匹敵するほどの鋭さ、ヴィータやザフィーラにも劣らない力強さ。間違いない、この男はこの殺し合いの中でも強者の類に入ることだろう。
どうする、どうする、どうする。思考が堂々巡りを繰り返しても、答えは一向に出てこない。
ピクリ、と刃が動く。これまでかと、覚悟を決めて視界を閉じ――――
「手荒な真似をしてすまない。戦場では一時の油断が命取りになるからな。」
――――直後、すぐに開けた。ユーノは、改めて、真っ直ぐその赤い影の姿を見る。
つり上がった鋭い目に赤い皮膚、額から左頬に走る傷は歴戦を潜り抜けてきた証なのだろうか。ベルトも只のベルトに過ぎないのに、異様な存在感を醸し出している。
適度に湿り気を帯びた肌は暗闇の中でも一際輝いており、その手に握られたバターナイフも、持つものが変わればこんなにも雄雄しく……え、バターナイフ?
「あの……あなたはそれで何をするつもりだったのですか?」
「何を言っている、見た目は悪いが立派な武器になるだろう。」
「はぁ……」
率直に疑問を唱えたが、即効で返答が帰ってくる。ふと手に持っていたものが視界に入り、ああ、やっぱりと納得する。
拳大の大きさの爆弾、手榴弾。先ほど部屋の扉を一瞬で木片に変えたのもこれの仕業だろう、ダース単位で支給されているのか、ずいぶん量があるように見える。
だがこれでハッキリした、この動物……人は殺し合いに乗っていない。乗っているならば、今頃自分は消し炭になっているだろう。
「ほう、お前の支給品はガトリング砲か……性能としては並だが、よく手入れされているな。」
赤い男がユーノのデイパックから勝手にガトリング砲を取り出す。見られた事は特に咎めはしないし、そもそも今の自分ではどう足掻いても使うことは出来ない。
「ほら、お前にはこれをやろう。お前の背ならこれでも使えるだろう。」
そういって男は手榴弾をすべて投げてきた。思わず受け取ってしまうが、ただで貰うのはいまいち釈然としない。
「あの……いいんですか? 全部貰って……」
「構わん、代わりに俺はこのガトリング砲を貰うがな。」
……ああ、この男の人柄が少し分かった気がする。基本的なところで真面目だが、意外とちゃっかりしているところがある。
とはいえ、まだあって間もないし、そもそも自己紹介すらしていない……って、ふつうあって間もない者に手榴弾を渡すのだろうか。
「というか……どうしてそう簡単に僕に渡すんですか? もし僕が殺し合いに乗っていたら……」
「簡単なことだ。俺はお前に負けないし、先ほどのやり取りで既に乗っていないのは見抜いた。」
何のこともない様に言うが、実はすごいことを言ってる。ユーノは内心唖然として、この姿に何か引っかかる感覚を覚えた。
何かに似ているような、うまく出てこない……雨の日にいるあの……若干湿っている……あ。
「……カエル。」
「カエルではぬわぁぃッッ!!」
特に意識せずに呟いたその一言が、気に障ったのだろうか。先ほどよりも強い威圧感をユーノは感じ取った。
「……俺は、ギロロだ。」
「あ、えっと。ユーノです、ユーノ・スクライア。」
少しの間の後、二人はようやく自己紹介を始めた。互いが殺し合いに乗っていない事、参加者内にいるそれぞれの知り合いなど。
……ギロロが「何でよりによってケロロしかいないんだ……」と呟いていたが、あまり詳しくないユーノはスルーしておいた。
数分後、それぞれの荷物を纏めた二人は他の参加者と合流する為、博物館の中を歩き始めた。
――――ユーノは魔法のこと、ギロロは宇宙人のこと。二人は互いに、意図せず隠し事を秘めていた。
【B-4/博物館内/1日目/深夜】
【ユーノ・スクライア@リリカルなのはシリーズ】
【時間軸】:第二期最終話、エピローグ前
【状態】健康
【装備】:なし
【道具】:支給品一式、手榴弾(11/12)@ケロロ軍曹
【思考】
基本:打倒主催。
0:ギロロと詳しい情報交換。
1:対主催のメンバーを集める。
2:ケロロ、アルフ、ザフィーラとの合流。
※参加者を使い魔か変身魔法を用いた人間だと思っています。
※会場はミッドチルダではないが、そこよりそう遠くない世界だと思っています。
※首輪について
人間化は魔力を流し込むことによって、
結界魔法などは魔力を吸収することによって妨害されています。
【ギロロ伍長@ケロロ軍曹】
【時間軸】:ガルル戦後
【状態】健康
【装備】:ガトリングガン@サイボーグクロちゃん、ベルト@ケロロ軍曹
【道具】:支給品一式、バターナイフ(現地調達)
【思考】
基本:殺し合いには興味なし。
0:ユーノと詳しい情報交換。
1:死ぬ気はさらさらないが、襲ってくるものには容赦しない。
2:ケロロ、アルフ、ザフィーラとの合流。
【手榴弾@ケロロ軍曹】
劇中で主にギロロが使用する兵器。対人兵器からドアの爆破までお手の物の優れもの。
【ガトリングガン@サイボーグクロちゃん】
クロの愛用武器。よく手入れされており、比較的使いやすい。残段の数は不明。
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|&color(cyan){GAME START}|ユーノ|035:[[Gallery Fake]]|
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