没作品
MONSTERS ◆dKv6nbYMB
ピシュン ピシュン
妙な音を立てながら移動するのは、最強のパラサイト後藤。彼は、地図上にある時計塔へ向かって走っていた。
彼が時計塔を目指す理由。あえてつけるとすれば、それは"なんとなく"だ。
黒との戦いは、後藤にとって素晴らしいものだった。
洗練された身のこなしに技術。なにより、様々な工夫を凝らしてくるのが嬉しかった。殺せなかったのは残念だったが、戦闘欲求はそれなりに満たされた。
ならば、なぜ戻って黒のあとを追わなかったか。もはや、"彼の気まぐれ"以外の理由を付けるのも難しい。
血の匂いを本能的に嗅ぎつけたからか、準備を整えた黒が次にどんな工夫をしてくるかに期待したからか、それとも、地図を見たときたまたま時計塔が目に留まったからか。
だが、どんな理由であれ、彼はもう『時計塔へと向かう』選択してしまったのだ。
この選択は、後藤に大きな影響を与えることになる。
それは、いうならば―――
◆
時計塔にたどり着いた後藤が発見したのは、頭部を半壊させ倒れている少女。
(既に死体か)
特に争った痕跡も見受けられなかったため、おそらくは不意打ちによる暗殺だろうと判断する。
(できれば生きたまま発見して、どんな工夫を見せてくれるか見たかったがまあいい)
とにかくいまはこれを食して腹を満たそう。
後藤が、転がる眼球を拾おうとしたときだった。
(...?なんだ、このハンカチは)
なにか文字が書かれているハンカチを拾い、それを凝視する。
『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』
「なんだ、これは」
パラサイトの後藤でさえ思わず呟かざるを得なかったこの一品。
後藤は考える。
(この状況...この女は、このハンカチを見て死んだのか)
このハンカチは、参加者による戦いの工夫ではないのだろうか。
このハンカチにより、背後を見させないようにして暗殺したか。
はたまた、思わず振り返らせることによって隙を作らせたか。
いや、もしかして、振り返った時本当に殺せる代物なのではないだろうか...
そんなことを考えれば、普通の人間なら振り返らずハンカチを置いて、そのまま立ち去るだろう。
(面白い)
だが、後藤は違う。彼は、恐怖とは縁遠いパラサイト。
どんな工夫を凝らしてくるか、僅かな期待を込め、なんの躊躇いも無く後ろを振り向く。
シーン...
反応、無し。
キョロキョロと辺りを見回す。鼠一匹の気配すらない。
「どうした?かかってこいよ。お前の工夫を見せてみろ」
声に出して煽ってみる。反応、無し。
「なにをしている!俺は逃げも隠れもしないぞ!時間稼ぎのつもりか!?逃げる工夫ではなく戦う工夫をしてみせろ!」
怒鳴って動揺を誘ってみる。反応、無し。
「......」
だらりと全身から力を抜き、油断したと思い込ませてみせる。やはり反応なし。
その他にも様々な行為を試してみたが、後藤がそれらが無駄な行為であったことに気付くのは、行為を全て終えた数分後のことだった。
◆
「ふん...くだらん」
ハンカチを捨て、再び餌に向き合う。
空腹を満たそうと、頭部を変形させようとした時、後藤は気づいた。
―――少女の破壊された頭部が、治りつつあることに
気が付けば、先程まで足元に落ちていた眼球が、少女の顔面に近づいている。
(自動修復...?)
パラサイトは、感情表現という行為自体に乏しく、めったなことでは動揺や恐怖、歓喜や驚愕などといった感情を表に出すことはない。
だが、このとき後藤は確かに驚きを隠せなかった。
後藤自身、身体の欠損の修復はできないことはない。
だが、目の前の女が自分と同じそれを、いやそれ以上のことを行っていることは、彼の経験上『有り得ない』ことだった。
後藤たちパラサイトは、寄生した人間の脳を喰らい、身体を乗っ取る。
それはすなわち、パラサイトがその人間の代わりの生命体となることである。
しかし、乗っ取った部分を変形できるようになろうとも、他の部分は人間のままであり、人体の急所である心臓を破壊されれば人間と同じように死んでしまう。
最強の後藤も例にもれず、心臓を破壊されればちゃんと死ぬ。ただ、後藤は己も含めて五体のパラサイトを一つの身体に統治しているため、欠損した部分を切り離し、新たにつけることはできる。
つまり、あくまでも他のパラサイトで補っているだけで、決して自己自動修復ではないのだ。
パラサイトですらできない真似をやってのけるこの女は一体なんの生き物なのか。
驚愕と同伴する興味が、後藤から一時的に空腹を奪い、目の前の存在の認識を『餌』から『観察対象』へと変えた。
このことは、横たわる少女、
鹿目まどかにとってこれ以上なく幸運なことだった。
◆
肉片が全てあるべき場所に戻り、幼さを残した少女の顔が復元される。
(こんな生き物は初めてだ)
パラサイトは、常に似た脳波を発しているため、近づけば互いに相手がパラサイトであるかどうかがわかる。
この女からは何も感じ取れない。つまり、パラサイトは一体も寄生していない。
ならば、こいつは人間か?と問われれば、どうにも違う気がする。
これも人間の科学の工夫の結晶なのだろうか。自己修復をこうも自然に行うこいつを人間と称していいのだろうか。
いや、コレは人間というよりむしろ...
「う...ぅ」
意識が戻りつつあるのか、まどかが微かなうめき声をあげた。
「......」
殺戮マシーンとも評される後藤にしては珍しく、まどかが目を覚ますまで彼は何もする気はなかった。
だが、ものの数十秒で焦れてしまったのか、後藤はまどかの頬をペシペシと叩いた。
「起きろ」
「んっ...」
意識を取り戻したまどかの視界に入ったのは、タンクトップ姿の男性。
「ひっ!?」
あまりに突然の邂逅に、思わず声をあげてしまう。
だが、そんなことは後藤には関係のないこと。後藤は、己の知りたいことだけを端的に述べた。
「答えろ。お前はいったいなんなんだ?」
◆
意味がわからない、といった感じで首を捻りそうになったが、名前を教えろという意味だとまどかは解釈した。
「わ、わたし、鹿目まどかっていいます」
「名前じゃない。お前はなんの生物かと聞いているんだ」
どうにも会話が成立しない。それに、まどかは目の前の男が怖かった。
姿形は人間なのに、まるで別の生き物と話しているような...そんな嫌な気配がしていた。
「...えっと、その」
「まあいいか。戦いの中で判断するとしよう」
後藤の腕が、鋭利な刃物に変わる。
「さあ、お前の工夫を見せてみろ」
まどかの脳内に浮かび上がるのは大量の疑問符。
なぜ自分は眠っていたのか。この男はなんなのか。なぜ変形するのか。なぜ―――
だが、刃が眼前へと迫ったところで我を取り戻し、紙一重で後ろに飛びのいて躱す。
鹿目まどかは、まだ経験が浅いとはいえ、日々魔女と戦う魔法少女だ。
少なくとも、一般人よりは修羅場をくぐってきているし、異形は魔女で見慣れている。
そのため、攻撃をしかけてくる後藤に抵抗する判断を下すのに、時間はかからなかった。
ソウルジェムが輝き、まどかの制服がふりふりとした桃色の衣装に変わる。
「それもおまえの体質なのか」
だが、後藤は特に驚く様子もなく己の見解を述べる。
(とにかく、この人に大人しくしてもらわないと)
まどかが、己の魔力で作った弓と矢を創りだす。
最強のパラサイトと最強の力を持つ魔法少女。
両者の戦いが、火蓋をきって落とされた。
◆
先手を切ったのは後藤。まどかを切り裂かんと、刃と化した両手をしならせる。
まどかはそれを身を低くすることで躱し、弓を引き絞る。
狙いは足。
(脚さえ撃てば、動けなくなるはず...!)
当たらずとも、牽制の役割を果たすことができる。
殺害が目的ではないまどかにとって、狙うべき場所はそこしかなかった。
「なるほど。動きを封じてから確実に仕留める気か。狙いは悪くない」
だが、相手の眼球や手元の動きを読むことで銃弾を避けることができる後藤にとって、引き絞り・狙いを定め・放つといった動作を必要とする弓矢を躱すのは造作もないこと。
そのため、まどかという存在について観察・考察する余裕さえみてとれる。
(なにもないところから弓と矢を出した。これも人間の化学の工夫なのか?)
もちろん、観察しつつも己の攻撃の手を休めることはない。
まどかは、後藤からの攻撃を避けつつ、必死に足を狙うことになる。
「やめて下さい!わたし、殺し合いなんてするつもりはありません!」
攻防の合間に説得を試みるが、勿論その言葉が後藤に届くことは決してない。
後藤の伸縮する両腕を躱しつつ弓矢で反撃するまどか、まどかの動作を観察しつつ、両腕で攻撃をしかける後藤。
戦闘経験はあるものの、決して豊富とはいえない魔法少女と、己より弱い相手とはいえ、多くの戦闘から学んできたパラサイト。
殺さざる意思を持つ者と殺す意思を持つ者。時間が経てばどちらが優勢となるかは火を見るより明らかだった。
◆
もう、十ほどの攻勢が続いただろうか。
まどかの身体には、至る所に刃を掠めた跡がある。対して、後藤には全く外傷は見られない。
まどかが放った矢を、後藤は避けようとはしなかった。空いている手を使い、飛来する矢を掴みとった。
もう、彼女の矢の速さも強さも後藤には見切られていたのだ。
後藤が、矢を握る手に力を込める。すると、矢は壊れるのではなく、シュンッという音と共に消え去ってしまった。
「どうやらただの矢ではなさそうだが...それだけだな」
もうこれには飽きたと言わんばかりに、まどかを睨みつける。
「この矢はもう俺には通用しない。さあ、もっと工夫しろ。まさかこれが限界と言うんじゃないだろうな」
あまりの威圧感に、まどかはついたじろいでしまう。
後藤が、興味を失ったかのように吐き捨てる。
「つまらん。さっき戦った人間はもっと面白かったぞ。お前がなんなのかはわからなかったが、こんなにつまらないのならもういい。時間の無駄だ」
後藤が一直線に駆けてくる。今までと違う攻撃パターンに、まどかは慌てて矢を放つ。
だが、後藤は今度は避けることも掴むこともせず、変化した左腕の盾で矢を弾いた。
矢がその威力を発揮するためには、刺さることが必須となる。
ならば、斜めの角度で細胞を硬質化させた盾で受け流せば問題はない。
そのまま、後藤の右腕の刃がまどかへ迫る。
まどかは何の反応もできない。もはや、己へと迫る死を待つだけだ。
が、後藤の刃は目前でピタリと止まる。
それはなぜか。『乱入物』を察知したからだ。
後藤の額へと向かってくるのは、成人男性の親指ほどの太さの木の枝を削って造られた槍。
気付くのが早かったのが功を制し、右の刃で槍を払い落とす。
その隙をつき、まどかが後藤から距離をとる。
後藤は、槍を投げた『乱入者』を発見する。
「魔法少女の次はバケモンか...やれやれ、どうにもロクでもない奴らばかりだぜ」
乱入者―――
空条承太郎は、学帽を直しながら呟いた。
★★★★★
「ジジイにアヴドゥルに花京院に
イギー...DIOだと!?」
空条承太郎は回収したデイパックの名簿に目を通して驚愕した。
仲間たちもいるだけではなく、まさか自分の最終目的であるDIOまで呼ばれていようとは。
理不尽に巻き込まれたこのバトルロワイアルだが、これは思わぬ収穫かもしれない。
なんせ、あれだけ探しても見つからなかったDIOとこの場で決着を着けられるのだから。
(となると、目指す場所は...DIOの屋敷だな)
安直かもしれないが、自分たちが近づいているのがわかったうえで、意地でもエジプトから離れようとしなかったことを考えると、DIOもまた館を目指す可能性はある。
それに、仲間たちもわかりやすい合流地点としてここへ集まる可能性は高い。
次いで、支給品とやらの確認をする。
支給品のひとつは、妙な形をした装飾品。ご丁寧に説明書までついている。
『名称:ワルプルギスの夜のグリーフシード。
概要:魔女の卵。魔女を倒すとたまに手に入る。
使い方:魔法少女のソウルジェムに当てると、ソウルジェムの穢れを吸い取ってくれる。ただし、穢れを吸わせすぎると魔女が産まれてしまうので注意しよう。』
(魔女...さっきの魔法少女が言っていたやつのことか)
奇しくもそれは、先に交戦した魔法少女...杏子が言っていた、魔法少女にとっての餌の卵であった。
と、なると、魔法少女はグリーフシードを狙って来る可能性がある。
だが、承太郎はそれでも構わなかった。
(あの小娘は、人間を『餌の餌』とぬかしやがった。DIOの野郎もそうだが...奴らのようなのも野放しにしておくわけにはいかねえ)
承太郎自身、人様に誇れるような優等生ではないと自覚している。喧嘩相手を必要以上にブチのめし、威張るだけの能無し教師にはヤキをいれ、代金以下のクソマズイ飯を出したレストランには料金を払わないこともザラにある。
だが、そんな彼でも許せない『悪』はある。自分自身のためだけに弱者を利用し、あまつさえふみつける奴らのことだ。
承太郎は、まだ魔法少女についてほとんど知らない。だが、杏子が語った魔法少女の理論は、彼にとって許せない悪の定義に当てはまっていた。
故に、例え女だとしても、魔法少女がそういう存在ならば、一切容赦するつもりはなかった。
そして、承太郎は歩き出す。仲間たちと再会するため、そして己の宿敵を打ち倒すために。
この時、彼はなぜ時計塔の方角へと足を進めたのだろうか。
彼は、周りの地形から、自分のいる場所がB-1であると判断した。。
DIOの館へ向かう最短の道は、東から南下するか西から南下するかの二択。
単なる偶然。
なるべく早く島の端がどうなっているか確認したかった。
森に潜んでいる、殺し合いに乗った杏子を自分に引きつけ、早々にケリをつけたかった。
手にした魔女の卵と魔法少女を繋ぐ因果の糸が絡み合った。
理由はいくらでもつけることができる。
いずれにせよ、言えることはひとつ。
空条承太郎はこの選択を後悔することになる。
◆
承太郎が時計塔に着いて発見したのは、交戦する一組の男女。
男の方は、刃に変形した両腕を振るっており、少女の方は妙な衣装で桃色の弓矢を放っている。
どうみても普通ではない。
そして、承太郎は少女の方には心当たりがある。
(やれやれ...いきなり第二の『魔法少女』か)
先に遭遇した赤毛の魔法少女は、魔法少女とは人間を餌の餌にすると言っていた。
ならば、この戦いは、男が仕掛けたものなのか、それとも魔法少女が男を狩ろうとしているのか...
どちらも危険性はあるため、承太郎はしばらく手を出さずに見極めることにした。
「やめて下さい!わたし、殺し合いなんてするつもりはありません!」
矢を放ちながらも説得を試みる少女。攻撃は足元ばかりで、ロクに殺気も込められていない。
さっきの魔法少女と比べると、まるでド素人のような体捌きだ。
「さあ、もっと工夫しろ。まさかこれが限界と言うんじゃないだろうな」
少女を煽るように言葉を重ね、本気は感じられないものの、容赦なく頭や胴体に刃を振るう男。
少なくとも、殺す気はあるようだ。
もはや一目瞭然だ。加えて、戦況は男に傾いている。
さっきは少女の同類に襲われたため、助ける義理などないが...
(このまま見殺しにするってのは、後味がよくねえものを残すぜ)
それは、先祖から受け継いだ紳士の血。強者に蹂躙される者を放っては置けないという、彼にも微かに宿るお節介焼きの甘ちゃんの性。
それに、どの道彼の仲間があの男に襲われる可能性もあるのだ。ならば尚更放っておくわけにはいかない。
(とはいえ、あの中に割って入るのはちと骨がいるな...ならば)
近くにある木から適当に枝を折り、鋭利に削り槍を作る。
少女に決定的な隙ができ、男がその隙をついた時
『オラァ!』
承太郎のスタンド『星の白銀(スタープラチナ)』が、渾身の力で槍を投擲する。
いくら木の枝とはいえ、その力での投擲を受ければ、充分な深手を負うことになる。
勿論この一撃で倒せれば問題はないが、倒せずともそれでよし。
注意さえ己に向ければそれだけでよいのだ。
そして狙い通り、男は槍を躱し、承太郎へと注意を向けた。
★★★★★
「なんだ貴様は?」
「その言葉、そっくりそのまま返すぜ。てめえはなんの生き物だ?」
後藤と承太郎が睨み合う。互いに退く気配はまるでない。
「見た通りさ。ただの野生生物だ。名簿には後藤と乗っている」
「そうかよ」
後藤が承太郎に歩み寄ってくる。承太郎は一歩も退こうとしない。
「そういうお前はなんだ?先程の槍、ただの人間に出せる速度ではなかったが」
「てめえには関係ないこった」
後藤は思った。眼前の人間は、戦闘欲求を満たすに足る相手だと。
承太郎は感じ取った。こいつは悪ではない。だが、人間とは根本的に違う『生物』だと。
「今度はこっちの質問に答えな。DIOという男は知っているか?」
「知らんな」
「そうかい。なら...」
両者は互いに確信した。目の前の敵は排除しなければならない生物だと。
後藤の足が止まる。承太郎もその一定の距離を保つ。
「てめえはもう用済みだ」
「お前はどんな戦いを見せてくれるんだ?」
風が囁き、草木を揺らす。両者の間に数秒の沈黙が流れる。
そして、風が止まった瞬間
「フンッ」
戦いのゴングは鳴った。
◆
先手を取ったのは後藤。刃に変化させ、数メートルほどに伸ばした右腕を承太郎へと振るう。
だが、承太郎はピクリとも動かない。
刃が承太郎に届くまであと30㎝。動かない。
後藤は疑問に思う。まさかこれしきの攻撃を躱せない程度ではあるまい。あと20㎝。まだ動かない。
このまま受け止めるつもりだろうか、それとも本当に躱せない...?あと10㎝。まだまだ動かない。
(どうやら反応できないようだな。とんだ期待外れだった。強い気がしたのは気のせいだったか)
後藤が失望しかける。あと3㎝。まだまだまだ動かない。
(まあいい。この大きさならかなり腹も膨れるだろう)
あと1㎝。後藤が勝利を確信する。
―――瞬間
『オラァ!』
気合一徹、承太郎の腕からスタープラチナの腕の像が出現し、首に届く寸前で後藤の刃を正確に掴みとる。
そのまま、承太郎の背後に星の白銀の全体像が現れる。
(なんだこれは?)
後藤は疑問に思いつつも、左腕を右腕のように刃に変形させる。が、しかし
『オオオオオォォォォォ――――!』
刃を掴んだスタープラチナが、渾身の力で後藤を引き寄せる。後藤の足が地から離れる。
さしもの後藤も、突如身体を浮かされては自由がきかず、変形も追いつかない。
『オラァ!』
スタープラチナの右拳が、後藤の頬に叩き込まれる。だが、スタープラチナの攻撃はまだ終わらない。
◆
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ――――ッ!!!』
スタープラチナの両の拳の弾幕が、後藤に雨あられのように降り注ぐ。あまりの衝撃に、後藤は後方へと吹き飛ばされる。と、同時に肩を押さえ、顔を歪める承太郎。
承太郎の肩から、血が滴り落ちる。
(ヤロウ...殴られながら俺の肩を貫きやがった...!)
近接パワー型のスタープラチナのラッシュをまともに受けながら反撃できる人間などいない。
だが、無傷での反撃は不可能と悟った後藤は、変形を諦め、皮膚の細胞を固めるだけに留めて受けるダメージを最小限に抑えた。
そして、スタープラチナが攻めに集中している隙をつき、離れ際にとっさに針のように変形させた足でスタープラチナの肩を貫いたのだ。
「なるほど。お前もよくわからない力を使うのか」
後藤が、何事も無かったかのように立ち上がる。否、確かに出血こそはしていないが、首が90度傾いたまま喋る様は人間としては異常としか見えないだろう。
「お前もパラサイトではないようだが、お前達も人間ではないのか?」
「さあな。少なくとも、てめえよりは人間だと思うがな」
ゴキリという音と共に、まるで人形を治すかのようにあっさりと首が元の位置に戻される。
「お前の人形...中々のパワーとスピードだ。だが、その人形が傷つけばお前も傷つくらしい」
承太郎が、心の中で舌打ちをする。
(やれやれ...思ったより厄介なバケモンらしい。長引かせると、ちとマズイな...)
後藤は強い。今まで戦ってきたどのスタンド使いよりも厄介かもしれない。
今までのスタンド使いは、策や術を使い、己の能力が存分に発揮できるような状況を作ることを第一としてきた。
そのためか、こちらの能力を顧みることは少なかった。
だが、後藤は違う。まずはこちらの動きを冷静に観察し分析してくる。
加えて、本人がかなりのタフネスであるため、まともに戦えば否が応でも長期戦を強いられることになる。
そうなれば、自分の攻撃が完全に見切られるのも時間の問題だ。
故に、承太郎が狙うのは短期決戦。だが、ただ殴るだけでは難しいのは先の攻防でわかりきっている。
ならば、狙う点はひとつ。このゲームの参加者の誰しもが付けている首輪だ。
(いくら奴でも、この首輪が爆発しても死なねえということはないだろう。でなけりゃ、このバトルロワイアルが殺し合いとして成り立たないからな...)
もしも、後藤が首輪が爆発しても生きていられるならば、最早このゲームは殺し合いではなく、後藤による殺戮演技に成り果てる。
仮に後藤を脅かす者が現れても、後藤は禁止エリアに逃げ込めば安全が確保されてしまう。主催者である広川もその辺りはわかっているはずだ。
(もしも、後藤がDIOの刺客として何の制約もなしに襲ってきたらと思うとゾッとするぜ)
そういった意味では、後藤とDIOを連れてきた広川にはある意味で感謝すべきなのかもしれない。
(最も、広川のヤロウをブチのめすことにはかわりないがな)
◆
「...どうした。まだかかって来ないのか?待ちくたびれてアクビが出ちまうぜ」
承太郎があからさまな挑発をする。スタープラチナは、近距離での戦闘が一番能力を発揮するからだ。
もちろん、後藤とて、これがなにかの狙いがあることはわかっている。
「いいだろう」
だが、あえて挑発に乗る。
後藤が短気だとかいうわけではなく、敵の策も工夫も全てを叩き伏せることこそが、後藤の望む戦いのあり方だからだ。
後藤が右腕の刃を振るう。承太郎は、刃を躱しながら機を伺う。
いくらスタープラチナが頑強とはいえ、拳は拳。刀やカミソリのような刃物を殴りつければ、人間と同じく切られてしまう。
先程のようにラッシュを仕掛けられればいいが、刃を振るわれているいま、それは難しい。
故に、承太郎は待った。確実に首輪を狙えるチャンスを。
『オオオオォォォ!』
スタープラチナが右拳を握り絞める。後藤はそれを確認すると、左手の刃を盾に変える。
この時、一瞬だが、後藤の注意が拳へと向く。その瞬間
「!?」
突如、後藤の右膝がガクリと沈み、身体のバランスが崩れる。スタープラチナがロウキックをいれたのだ。
『オラァ!』
すかさず、スタープラチナが握りしめた右拳を放つ。
しかし、それは後藤の脳天へと届く前に押さえられる。いつの間にか、左腕の付け根からもう一本の腕が枝分かれしていたのだ。
だが、ここからが承太郎の本当の狙いだ。
握った拳を開く。そこから放たれるのは、スタープラチナの隠された奥の手。
『流星指刺(スターフィンガー)!!』
揃えられた中指と人差し指が、急速に伸びる。
目標は後藤の首輪。無防備に晒された首輪に当たり、破壊と共に爆発が生じる!
「やはり、首輪を狙ってきたか」
―――はずだった。
◆
流星指刺が刺さったのは、首輪ではなく後藤の首。後藤がわずかに首をそらしたのだ。
後藤は、スタープラチナの能力を知らない。だが、承太郎が挑発までして接近戦を望んだのだからなにかあるだろうとは予想していた。
そのため、何が起きても対応できるよう、スタープラチナの動作から目を離さなかったのだ。
「チイッ!」
とっさに指を横に薙ぎ、後藤の首を斬る。
溢れ出る血と、半分程に切れていまにも落ちそうな首は、一見するとかなりの深手であり、人間ならばまず助からない。
だが、承太郎は予感していた。この化け物はそうではないと。
確実に殺すために、もう一度首輪へと狙いを定める。
が、しかし、スタープラチナの腕は動かない。
両腕の付け根から枝分かれした二本、計四本の腕が、スタープラチナの腕と掌を押さえつけているのだ。
ならば、と蹴りを放とうとする。しかし、後藤はそれすらも許さない。動かそうとした右足を踏みつけ、次いで左足も踏みつける。
しかも、ただの踏みつけにしてもそこにパラサイトの力が加わるのだ。
頑強なスタープラチナだから激しい痛み程度で済んでいるが、もし本体の承太郎が受けていたら、骨の一つや二つ、容易く折れていただろう。
「終わりだな」
承太郎の予想通り、後藤は死ななかった。首の細胞を繋ぎ合わせて傷が修復される。
後藤の顔に、ピシリと亀裂が入り、巨大な口へと変貌する。
承太郎の背に、嫌な汗が流れる。
スタンドを一度引っ込めれば拘束からは解除される。だが、もう一度出現させる隙を後藤が許すとは思えない。
(だが...やるしかねえ!)
一か八か、承太郎が、後藤が己に喰らいつく前に、スタンドを消そうとした瞬間だった。
「あああああああああああぁぁぁぁ!!」
響いたのは、悲鳴にも似た少女の絶叫。
後藤も承太郎も、思わずそちらに意識を向ける。
瞬間、魔法少女―――鹿目まどかから放たれるのは巨大な桃色の光。
(―――マズイ!)
後藤と承太郎の両者に、全く同じ危機感が生じる。
後藤はすぐさまスタープラチナの拘束を解き、全力で細胞を硬質化させて護りにはいる。
承太郎は僅かに遅れてスタープラチナで身を護る。
が、時すでに遅し。
光の塊は、行く先にあるものを呑み込み、遙か彼方へと飛んで行ってしまった。
★★★★★
(なんだろう...あの人の後ろの幽霊みたいなの...)
鹿目まどかがスタープラチナを見た時に思ったのは、驚愕よりも先に、どこか自分に眠る既視感。
(そうだ...わたし、あれに似たものを見た気がする...!)
そして、まどかは思い返す。
自分がここに連れてこられた時に、なにをしていたか...
(あの時、たしか...)
名簿を見た。みんなの名前も載っていた。
いそいで時計塔を降りたら、すごい転び方をした。
そのあと、優しそうな青年に会った。
青年は、ハンカチを渡してくれた。
ハンカチを見たら、なにか書いてあった。
それで振り向いたら、変なのがいて...
「あ...いやあぁ...」
まどかは思い出した。なぜ自分がこんなところで眠っていたのか。
浮かび上がるのは、あの緑色の異形に殺されそうになるヴィジョン。
姿かたちは違うが、まどかは直感する。あれは自分を殺そうとしたものと同じだと。
生への本能と、スタンドへの恐怖心が、まどかの自我を奪い、身体を突き動かす。
己の生命を害する『敵』へと、矢を引き絞る。
「―――あああああああああああぁぁぁぁ!!」
そして、『敵』へ向けて彼女の力は牙を剥いた。
★★★★★
「はあっ...はあっ...ッ!」
彼女が我に返った時には全て終わっていた。
あの全身が変形する謎の男も、学ランを羽織った男性も。
地面の抉れた跡を残して、肉片ひとつ残さず消え去ってしまっていた。
「あ...あぁ...」
まどかはとうとうやってしまったのだ。
本来は人々を護るための力である魔法少女の力を、殺人に使ってしまったのだ。
「...な...さい...」
まどかは涙を流しながら、懺悔をするように頭を垂れる。
だが、今さら謝ったところでもうどうしようもない。
「ごめんなさい...ごめんなさい...!」
彼女は彼らを殺した。失われた命はどうやっても戻らない。
人が人の人生という物語を終わらせる。
そんな命の削り合いが当たり前に行われるのがこのバトルロワイアル。
最強のパラサイトと、一族の宿命を受け継いだ青年の物語は、ここで終わったのだ。
持ち主を失った学帽が、ふわりと地へと落ちた。
【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース ~完~】
◇
「ほーお、ならだれがこの空条承太郎の代わりをつとめるんだ?」
頭上からの声に、思わず顔をあげる。
「まさか、てめえのわけはねーよな」
そこには、怪我こそは負っているものの、たしかに生きている空条承太郎が立っていたのだ。
「ついでにいっちゃあなんだが...あのバケモン、盾で防いでたからおそらく生きているだろうぜ」
まどかは、彼の姿とその言葉で、疑問よりも彼らが生きているという事実に安堵した。
「よかった...無事で、本当によかった...」
涙を流しながら喜ぶまどか。しかし、対照的に承太郎はまどかを睨みつけていた。
承太郎が生きていた理由。
それは、まどかの巨大な矢を受ける直前に、スタープラチナに己を抱きかかえさせ、跳躍することにより、その直撃を免れたからだ。
しかし、余波までは躱すことはできず、木に背中を打ちつけてしまった。
挙句、その衝撃により、海でもとらなかった帽子も吹き飛ばされてしまい、ウール100%の学ランも2万円もするズボンも、ところどころ破れてしまった。
手強すぎる謎の生物に、魔法少女。こんなやつらにばかり当たることになるとは、まさに承太郎にとって災難であった。
承太郎は考える。
(いまの攻撃...俺の見間違いがなければ、俺を...いや、スタープラチナを狙っていた。なぜだ?なぜこいつはわざわざスタンドを狙ったのだ?)
あの不意打ちは、対応できるようなものではなかった。もし狙いが承太郎本人だった場合、おそらく彼は死んでいた。
たまたまスタンドに近かったのが後藤であったにすぎないのだ。
(やれやれ...どうにも、メンドクセェことになっちまったな)
いまならば、疲弊しているように見えるこの魔法少女を始末することはできる。
しかし、些細な疑問が残るのは事実だ。
それに、目の前の少女からはどうも敵意が感じられない。
こうして泣いているのも演技である可能性もあるが、あれほど巨大な力を持ちながら、いまさら演技をするとは考えにくい。
故に、承太郎は尋ねる。いまもっとも知らなければならないことを。
「答えな...てめえら『魔法少女』は、いったい『なんなんだ』?」
【A-2/一日目/深夜から黎明にかけて】
【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]: 疲労(中) 左肩に刺し傷(小) 背中に打撲 両足の甲に激しい痛み
[装備]: ところどころ破れた学ランとズボン
[道具]: 基本支給品一式 ワルプルギスの夜のグリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ その他不明支給品0~2
[思考・行動]
基本方針: 主催者とDIOを倒す。
1:目の前の魔法少女を尋問する。返答次第によっては魔法少女は敵とみなす。
2:仲間たちとの合流
3:後藤とDIOはこのバトルロワイアル内で倒しておきたい
※参戦時期はカイロでDIOの屋敷を探しているときです。
※魔法少女への警戒心が強くなりました。魔法少女は人間を餌の餌にしていると思っています。
※ワルプルギスの夜がどの程度の吸収で孵化するかは他の方に任せます。
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]: 全身にかすり傷 魔力消費(中~大) 疲労(中) ソウルジェムの濁り(半分~四分の三)
[装備]: 魔法少女の服装
[道具]: 無し
[思考・行動]
基本方針: ゲームに乗らない。みんなで脱出する。
1: 死者が出ていない事への安堵感
2: スタンドに対する恐怖心
※参戦時期は、魔法少女の素質がかなり高い時期からの参戦です。既に契約済みです
※制限は加えられていますが、この会場にいる
暁美ほむら、
美樹さやか、巴マミ、
佐倉杏子の誰よりも魔力は高いです。
※『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』と書かれたハンカチは、時計塔の近くに落ちています。
◆
彼らから少し距離を置いた森の中、身を潜めながら二人を凝視する影が一つ。
影―――
花京院典明は迷っていた。
花京院は、幸運にも、承太郎より早く彼の存在に気付くことができ、森に隠れながら距離を取りつつ承太郎を追跡していた。
そのため、後藤と承太郎、そして鹿目まどかの戦いを一部始終見ていたのだ。
結果は見ての通り、後藤はどこぞへと吹きとばされ、残る二人も疲弊している。
ならば、なにが彼を躊躇わせるのか。
自分が殺したはずの少女がなぜ生きているのか...いや、今の彼にとって既にそれは些細なことだ。
根本的な問題はひとつ。
(わたしは...本当に奴らを殺せるのか?)
それは恐怖。
花京院は、DIOを目の当たりにしたとき、死への恐怖による動揺を突かれて肉の芽を埋められた。
肉の芽を埋められた後も、死への恐怖は消え去らない。加えて、その肉の芽も制限により、花京院の精神は根底からDIO一色とはいかなくなっている。
DIOに従っていれば、DIOの次までは生きられる。
だが、この場で目の当たりにしたのは三体の怪物。
己の身体を変幻自在に操り、驚異の身体能力を持つ後藤。
その後藤と正面から渡り合うことができたスタンド使い、空条承太郎。
そして、その二人ですら比類しないほどの力を持った少女、鹿目まどか。
いずれも、正面から立ち向かえば勝ち目はない。
最早、先刻まどかに行った小細工染みた奇襲は通じないことは自覚していた。
少なくとも、死のリスクを背負わずに二人を倒すことは不可能とさえ思っていた。
もっとも、万策尽きたわけではなく、まだ彼に手段は残されている。
◆
声が、花京院に優しく囁きかける。
―――なんてことはない。ちょっと身を委ねるだけでいい。それだけで、きみの目的は達成されるのだ。さあ、花京院...
花京院は、眼を瞑り、息を吐く。そして―――
「うるさいぞ。まだわたしの意識を乗っ取ろうとするつもりなら、へし折るぞ」
『ま、待って!冗談だってばさぁ!ちょっとしたチャメッ気だよぉ~ん。やだなぁ、もう~。本気にした?』
説明しよう!
花京院が手にしている剣は、『アヌビス神』を暗示する、れっきとしたスタンドである。
特殊な例により、元々本体が存在しないこの剣は、鹿目まどかの支給品としてバトルロワイアルに呼び出された。
このスタンドの能力は、戦った相手の力・速さ・技術を一瞬にして経験として取り込むことだ。
更に、この剣自身が自我を持ち、この剣に触れた者を操ることができ、剣が壊されない限り、使い手を変えながら半永久的に戦えるという、極めて特殊なスタンドなのだ。
しかし、この会場では制限により、かなりの制約を受けている。
アヌビス神が受けた制約は3つ。
ひとつ。アヌビス神の強制的な精神の乗っ取りは不可能。
ひとつ。アヌビス神が精神を乗っ取れるのは、対象者の同意を得るか、対象者が気絶した場合に限る。
ひとつ。アヌビス神が乗っ取れる時間には制限時間があり、また、乗っ取った対象者の意識は剣を握っている間も完全には眠らない。
しかし、戦えば戦うほど強くなるこの刀剣。多くの制約を踏まえたうえでも、このバトルロワイアルではかなりの"当たり"の部類であろう。
◆
しかし、花京院はこの刀で戦うつもりは毛頭なかった。
花京院自身には、剣道経験どころか、ロクなスポーツ経験がない。
運動神経自体は悪くないが、精々、中学校のクラスにそこそこいるような、運動しなくてもそれなりに動けるやつ程度のものだ。
そんなド素人が、いくら強い剣を持ったところで勝てるだろうか。いや、無理だ。
刀を破壊されるか、本体を攻撃されてお終いだ。
ならば、この剣に意識を空け渡せばと言われれば、彼にそんなことはできなかった。
前述した通り、花京院典明は死を恐怖している。
そんな彼が、見ず知らずの刀剣に生死をかけた運命を託せるだろうか?いや、できるわけがない。
いまこの場で彼が信用できるものは、己のスタンド『ハイエロファントグリーン』のみだ。
この機を逃せば、承太郎たちを仕留めるチャンスは遠くなる。
だが、己のスタンドだけでは確実に仕留めれる自信が無いのもまた事実。一人を殺したところで、もう一人に殺されては仕方がない。
もし花京院典明が鹿目まどかを撃たなければ、後藤は何の興味も無しにまどかを捕食していた。
もし花京院典明が鹿目まどかを撃たなければ、まどかはスタンドへの恐怖から承太郎を撃つことなどなかった。
この闘争の元凶ともいえる花京院典明は、一人思い悩む。そして、彼が下した決断は...
【B-2/森/一日目/深夜から黎明にかけて】
【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:健康 死への恐怖
[装備]:額に肉の芽
[道具]:デイパック×2、基本支給品×2、油性ペン(花京院の支給品)、アヌビス神(まどかの支給品) 花京院の不明支給品0~2 まどかの不明支給品0~2
[思考・行動]
基本方針:DIO様を優勝させる。
1:準備を整えてから奴ら(承太郎とまどか)を殺すか、いますぐ殺しに向かうか...
2:ジョースター一行を殺す。(承太郎、ジョセフ、アヴドゥル)
3:他の参加者の殺害
4:DIO様に会えれば会いたい。
※参戦時期は、DIOに肉の芽を埋められてから、承太郎と闘う前までの間です
※額に肉の芽が埋められています。制限により支配度は弱まっていますが、これが無くならない限り、基本方針が覆ることはありません。
※現在の優先順位はDIO≧自身の命>二人の殺害です。
※肉の芽が埋められている限りは、一人称は『わたし』で統一をお願いします。
※後藤、承太郎、まどかの三人、特にまどかの強大な力に恐怖しています。
※この会場内のDIOが死んだ場合、この肉の芽がどうなるかは他の方に任せます。
※花京院がこの場から撤退するかどうかは次の書き手さんにお願いします。
【アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(まどかの支給品)】
※アヌビス神の制約は以下の通りです
- 精神乗っ取りは、対象が気絶するか、対象の同意が無ければ乗っ取れない。
- 通り抜ける力は使用可。
また、川に沈んでからの参戦ですが、キレイに修復されています。強さはアニメ本編でチャカが刀を手にしたときくらいの強さにリセットされています。
★★★★★
「ヌウウウゥゥ...!」
巨大な光にされるがまま、後藤は空を飛んでいる。本日二度目となる光線だが、先に受けたものとは大きさも威力もまるで違う。
当たる寸前に即興作りの盾にした左腕が、チリチリと焼けていくのがわかる。左腕が無くなるのも時間の問題だろう。
(マズイ...このままでは...!)
会場外に落ちる前に自分は死ぬ。そう直感した後藤は、この光線から逃れるための逃げ道を必死に探す。
途中見つけた建物に、前回と同じように足を延ばして引っかけるが、受け流す盾を作ろうとする前に後藤自身が圧しだされてしまう。
(こうなれば...!)
最早手段は選んでいられない。左腕は諦めて、右腕を受け流すための盾に変化させるための時間を作る。落下の衝撃はこの際多少は受けいれる。
やがて、左腕が限界を迎え、焼き切れる。と、同時に受け流す盾を無理やりすべり込ませて、盾の表面を滑らせて光線から逃れる。
後藤は、落下しながら遙か彼方へと消えていく光線を見届けた。
後藤が落下したのは、どこか異国の館のようだった。
だが、いまの後藤にとってそんなことはどうでもいい。
「グオオオオオオオォォォォォォォッ!!!」
後藤は吼えた。
スタープラチナによる全身のダメージは確かに残っている。しかし、それすらも顧みずにただ怒りのままに吼えた。
あの男を仕留めるチャンスを逃したことに。左腕を失ったことに。
なにより、あの純粋な力の塊に恐怖した事実に。
「許さん...許さんぞ...!」
後藤は恐怖した。
あのちっぽけだと思っていた少女に。
あのなんの工夫もないただの力の塊に。
そして、同時に理解した。
あの少女は、自分に対して手加減していたことを。
「殺す...やつだけは必ず殺してやる...!」
怒りの赴くままに、一匹のパラサイトがもう一度吼えた。
もはや、その背中には『最強』と謳われた姿はなかった。
【B-6/DIOの屋敷/一日目/深夜から黎明にかけて】
【後藤@寄生獣 セイの格率】
[状態]: 激しい怒り 貧血(小) 空腹(中) 疲労(中) 左腕欠損 全身に打撲(小~中)
[装備]: 無し
[道具]: 無し
[思考・行動]
基本方針: 本能に従う。
1:なぞの生物(鹿目まどか)は必ず殺す。絶対に殺す。
2:もうどんな奴相手でも容赦しない。
3:とりあえず腹を満たしたい。
※消滅したのは左腕なので、三木を使うことはできます。
※まどかの名前は憶えていません。
※デイパックはとばされているうちにどこかへ落ちました。
※A-2からCー8の上空にかけてまどかの矢が飛んでいきました。この矢による被害はありません。
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最終更新:2015年05月23日 22:47