BRAVE SAGA『死踏』 ◆0zvBiGoI0k



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熱を、感じていた。
内と外の両面から僕、阿良々木暦は強烈な熱を知覚していた。

外気が熱い。

海に浮かんでいた豪華客船、僕のようなごくごく平凡な一般市民には一生縁がないセレブ御用達といった船。
丁度半分、予めそこに割れ目が付いてあったかのようにパッキリと折れていた。
切断面からは火があちこちに遠慮なしに吹いている。殆ど船全部を覆って特大のキャンプファイアーといっても納得し得る明るさと熱さだ。
けれどそれも長くは続かないだろう。燃料が、燃える個所がなくなれば火は止まる、ごく自然の成り行きである。
そもそも、船は海を渡るもの。当然海に浮いている。
支柱も折れ、熱で溶け切り造形を保てなくなった物質はやがて自重で崩れる。落ちる先は海面、即座に鎮火する。
「事故」で破損し海に沈んでいく豪華客船。某ハリウッドでお馴染みの光景だ。
だが当然、それを見て当事者たる僕らが喜ぶワケもない。
そんな、数十メートルは離れた距離からでも焼ける程の熱気よりも意識が向くのは、僕の手の平で感じる小さな熱だった。

浅上藤乃
螺旋を回す少女。その、成れの果て。
燃え尽きた命の残骸を僕は抱いている。
手から伝わっていた人肌の熱は、もうない。
秒針を刻む程に、命の残滓は消えていき熱が失われていく。
波を捻じ曲げるという荒唐無稽を実行に移し僕を救った代償に、彼女は命を落とした。
焼ける泥を浴びた体は、人体として足りないものが多すぎる。

内気が熱い。

またひとつ、背中に重みを感じる。
さっきは、僕にとって一番の存在を失った時はただひたすらに悲しかった。それ以外の感情を持つ余裕が一切なかったから。
浅上の死がそうではないのは、彼女でないことは確かにあるだろうけど、
本当に胸糞悪いけど―――そんな出来事にある程度の耐性が出来てしまったからかもしれない。
あの出来事で悲しむなんていう感情が許容を完全に振り切れてしまったのか。
死に慣れて、いらない余裕が生まれたしまったせいで、余計な感情が流れ込んでくる。
死んでしまったという悲しみ。
死なせてしまったという後悔。
救えてやれなかったという、怒り。

力のなさ、というのをこれほど恨めしく思ったことはきっと、かつてない。
あれほど捨て去ろうとしてきた力を今更欲しがるなんてのは都合が良すぎるが、それでも思ってしまうことはある。
僕の肉体が春休みの吸血鬼のままだったら、戦場ヶ原も、浅上も、他の皆も死ぬことはなかっただろうか。
学園異能バトルの主人公なんて肩書きを、背負う甲斐もあったのかもしれない。
間に会ったかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
そもそもそうなった僕は戦場ヶ原達と知りあうこともなかった。生きているのすら確信できない。
いずれにしても、それはif(もしも)のありえない話。
あの時取った選択の結果が今の僕であり、今ここで起きている悪夢のような出来事が現実なのだから。



鋼と鋼がぶつかり合う。金属音は怪鳥音。



すぐ傍で、戦いは続いている。
カタナを持った和服の少女と、鎧姿の悪鬼の殺し合い。
巻き込まれそうな近さなのにそうならないのは眼中にないのか、それとも巻き込まないように立ち回っているのか。
どちらにせよ、ここを離れれば助かるかもしれないというのはぼんやりと分かる。
……このまま、逃げる。
そんな単語にすら、苛立ちが募る。
でもそれ以外に選択肢なんてないのだ。逃げなければ、死んでしまう。殺されてしまう。
思いに潰されるのならともかく、あんな、人であるかも怪しいモノに殺されるなんてごめんだ。
そんな死に方をしたら、僕の背負う『思い』は、何処へ行ってしまう―――?

死にたいと思って生きてる奴なんて、いない。
浅上も、生きていたいと言った。
僕も、もっと、生きていたい

「あ…………」

感情がバラバラに散らばって混雑してる頭で立ち上がる。
全身が焼けつくように痛むが今となっては許容範囲だ。これまで味わった損害ランキングにはトップ3にも入らない。
どうにか歩ける程度には体は繋がっているようだ。
血は若干足りず、頭がうなだれる。下ろした眼に映るのは、少女の亡骸。

「―――――――」

こんな、目と鼻の先で戦いが起きていたらいつ巻き添えを受けてもおかしくない。
これ以上、彼女の姿を貶めたくない一心で体を抱える。
傷だらけの僕では持ちあげることも困難と思えたけどアッサリと持ちあがった。
それは傷が思ったより浅かったからではなく、抱えるモノが予想外に軽かったからだ。
とても人一人とは思えないほどに、軽い命のカケラ。

「…………ッ!」

泣き言もいえない。
後悔も懺悔も散々、しつこいくらいしてきたのだ。
ここで同じことをするなんてマンネリズムの極みだ。読者の配慮とかサービス心なんて余裕は一切ないし、
そんなのと関係なく、もうこんなことは嫌だ。
早く、終わらせよう。
そのために―――。

冴えた視覚の先に、白井と天江の姿が見える。生きている証もしっかりと見える。
グラハムさんと枢木は見えない。痕跡すら残さず消えてしまったのか、それとも泥に流されたのか。
生きていれば助けに来てくれるだろうが、いつ来るかも分からぬ救援を待つだけの気長さもない。

黒い大地で今も戦う殺人鬼を見る。
両儀式。殺し合いしかできないとうそぶく少女。そう言いながらも、ここで闘う彼女の姿を見ても、楽しんでるようには決して見えない。
その虚無の背景を僕は知らない。知ることもきっとない。

けれど式、僕はお前にきっと命を助けられた。
お前がいなければ、彼女の死を悲しむ暇もなくあの悪鬼に斬り殺されたに違いないんだから。
その行いが、意味のないことなんて言わせない。
そんな勘違いをしたまま死んでいくなんて、させやしない。
だから、死ぬなよ。

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火花が散りそうな感覚の中で、白井黒子は覚醒を維持している。
はじめから彼女の状態は軽症とはいえないものだ。
能力使用過多による負荷、肩口を抉る傷、丸一日以上活動を続けたことによる疲労。
数ある要素が重なり合って黒子の意識を外界との断絶しようとかかってくる。
事実、休息を取らなければ遠くなく自分は壊れるだろう。それを自覚できないほど思考が鈍ってるつもりはない。
その上で、黒子は目を瞑ることはしない。
ここで気を失えばそれこそ死活問題だ。
荒ぶる体風のように圧倒的な暴威。轟く火山の如き人の為す術なき猛威。
織田信長、その強さはもはや災害級だ。
船を叩き割り、地を己色に染め上げる。天変地異が擬人化したと思いたくなるほどに、人を逸している。
そんな地獄の象徴相手に立ち向かっていく影がひとつ。
両儀式。衛宮士郎を殺した女。自分を守る女。
彼女は戦う。殺し合う。それが自分の生きる意味だと言わんばかりに。
感情の行き先を抜きに結果だけを見れば、確かに白井黒子は両儀式に守られていた。

だからといって、黒子はその庇護をよしとしない。
まず、戦況がおもわしくない。
歩兵と騎兵、戦術に詳しくないものでもその不利は理解できる。
ただ走ることへ特化した4足獣の速度はそれだけで驚異的な脅威だ。
更に始末の悪いことに、騎手もまた地力で大きく上回っているとくる。
式もまた常識外の動きで斬りかかってくるがその全てを防がれている。
互角の立ち回りに思えてその実防戦一方。
それもいつ斬り崩されるかわからない。
このままでは、式は殺される。
黒子はそれを認めはしない。

「―――――――――」

ハッキリ言って彼女は嫌いだ。
初対面で黒子にとっての大切な存在を奪ったことは大きい。
事情がどうあろうと彼女は殺したのだ。制御できないほど強い思いを向けていた人を。
それを易々許せる程、黒子の人格は完成していない。
もちろん大きな理由であるが、全てではない。今の両儀式の在り方そのものに、黒子は憤っていた。
生きているのに、その命を機会があれば投げ出してしまいそうな執着のなさを。
まるで、胸に大きな虚が空いているように。
黒子にもそれは憶えがある。掛け替えのない慕う人がいなくなったあの虚無を。
生きる意味に絶望しかけてもいた。
でも自分は生きている。生きようと足掻いてる。
それは引き継いだから。人の意思を、思いを、侵されることのない幻想を。
彼女にそうなれとは言わない。境遇が違う以上心の在りようが異なるのも道理だ。

助けたいとは違う。
生きて欲しいとも異なる。

死なせない。

このまま、ただ殺し合いで式が死ぬことを何より黒子は許さなかった。

そのためには―――。



「…………くろ、こ」

力なく焦点の合わない目が漂う。呆とした顔でこちらを見上げる少女。
危急存亡の秋である現在、天江衣の存在は疑いなく枷であった。
故に身捨てようという意思は無論ない。式に言われるまでもなく彼女は守ると決めている。
だが式の援護に行くことは死地に行くも同義。そこへ連れていくことは彼女は勿論、黒子自身にとっても自殺行為だ。
だからといってここに置いていても果たしてそれが安全とは―――。

「いくのだ、くろこ」

「え―――――――」

聞き間違いかと思えるほどに小さく、考えの外を突く言葉。
それは紛れもなく衣の小さな口から出たものだった。

「―――それは、出来ませんわ。天江さんをこんなところに放りだすような真似をしては、ジャッジメントの名が廃りますの」

「衣はもう、だいじょうぶだ。回山倒海とはいえないが、衣はただ守られるだけの、こどもではない、のだ」

血液は失血分のまだ3分の1程しか輸血されていない。失血死は免れてるだろうが重度の貧血には違いない。
そうでなくとも頭部を損傷している。決して軽い痛みではない筈だろう。
ただ貧血で錯乱しての絵空事と捨てるのは簡単だ。事実衣の瞳は焦点が合わず空を見ている。
無理やりにでも説き伏せて安静にさせるのが最上だ。

「ともだちを、見捨ててはいけないのだ」

そんな勘違いを抱いている以上、なおさらに。

本当に、悪い冗談だ。
おそらく、朧げな意識の中で船での会話を聞いていたのだろう。
耳に残った断片的な情報で黒子と今戦ってる見知らぬ女性とを友達だと思ったのか。
実の話、船の中では一度たりとも言葉を交わしていないのだが。

「白、井…………ッ!」

「!?阿良々木さんっ!」

思考の外でこちらから近づく阿良々木と、抱える浅上に駆け寄る黒子。
阿良々木は手足の火傷がひどいもののそれを除けば他に重傷とよべるものはない。
だけど、浅上藤乃は―――

「ごめん、白井。守れなかった」

「…………………………」

謝る阿良々木と、お互いの傷の深さを見れば彼女がどういう行為を取ったのかおのずと予想は付く。
命を賭して彼女は阿良々木を守ろうとした。そして守りきった。
快楽で人を殺していた元・殺人鬼。
最終的に、黒子もまた阿良々木と同じ結論だった。
許しはしない。けど死ぬべきではない。
本気でその事を悔いているのなら、生きて償う道へ向かわせたい。
「生きる」以上に、「助ける」ことを優先した。
そこにある思いがなんであったのか。黒子には知りようのないことだ。
彼女の生はここで終えた。その意味を考える。

「阿良々木さん、申し訳ありませんが衣さんを頼みます」

ほぼ無理やりに阿良々木の手へ衣を預ける。もののような扱いだがそこにこれ以上言ってられない。

「いや、待て白井!行くなら僕が―――」

「あなたが行ってもどうにもなりませんわ。あの相手に半端な手なんて通じませんの。」
 むしろこちらが適任です。わたしでは衣さんを抱えても動けませんから。
 わたくしがあの人の援護に向かう方が、全員が生き残る確率は、すこしは上がりますわ」

「それは……そうだけど……!」

「……それに、浅上さんの行動を無駄にする気ですの?貴方を助けるために彼女はああなったのでしょう!?
 そのあなたが死んでは何のために彼女は―――」

「それでも、僕は白井にも式にも死んで欲しくない!」

理屈で白井が正しいのは明白だ。けれど阿良々木はそれでも捨てきれない。
たとえそれが正解でも、彼女達を置いていく選択を取りきれない。

その言葉を聞いて、少し呆けたあとにすぐ我に帰り、

「あら、だったら問題ないですわ。
わたくしも式さんも、生きて返ってくるんですから」

なんでもない、道に帰るような気軽さで黒子は微笑んだ。

「白井――――――」

「くろこ……………」

「……行ってきますわ」

恐怖を振り切るように、足早に走り出す。
こんなに心配させておいて、それを全部切り捨てるなんて、彼女はやっぱりおおばかものだ。
ああ、教えてあげなくちゃいけない。あなたが思うほど人は分かり合えないものじゃないと。

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これはきっと、過ぎ去ったあとの後日談。

その時私は刀を手にしていたのだから何かを思う事はない。
戦いに感情なんて不要だから。死合に人の機能なんて余計なものだから。

だからこれは、その戦いが終わったあとの回想。

過去にあった出来事を振り返る時、自分はどんなことを考えていたのか。何を思っていたのか。
その時感じたわけではないことを先取りして今思うことは卑怯な気がするけど、深くは考えないでほしい。
それくらいの都合(キセキ)なら、叶ってもいいものだろう。

その時がいつだったのかはわからないし、明かさない。だって、意味がないもの。
戦い終わって一息ついたころかもしれないし、何もかもが終わって無事還れた時かもしれない。実は既に死んだ私の走馬灯かもわからない。
だから、それはきっとどうでもいいことだ。
それを私が明かす日は来ないし、明かす気もない。全て私の独白、空想だ。
からっぽのこころで思う。それはきっと―――なんて、無様。

◇―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◇



分かりあい(コロシアイ)は続く。どちらかの命が尽きるまで。

「ふんっ!」

瘴気の刃が空を切る。第二、三と続けざまに死の波が殺到する。
それらをかわし、かわし、かわし続ける。
避け切ったことの安堵などなく、死は今なお式を離さない。
視界に飛び込む馬上からの剛剣。回避は、不可能。
刀で受けることは成功するも、受け切ったとはいえず後方へと弾かれる。
反動を分散しようと黒こげた地面を滑る。着物の裾を汚しながら衝撃を殺し切る。
緩慢に、気の緩みは一欠けらもなく立ち上がり敵を睨む。

強い。どうしようもなく強い。
分かり切っていたことだけど、それでも再認識する他ない。織田信長、こいつは間違いなくバケモノだ。
歴史上の人物だというが、本当はおかしな血を引き継いでるのではないか。
なんにせよ、人間に括っていい相手じゃない。
夕闇の政庁で殺し合った狂戦士以来、いやそれ以上かもしれない死の気配を漂わせている。
半身を削られた満身創痍であったことを含めれば、今の敵の方が強いことには疑いない。
戦ってる今でも勝てる気が湧いてこない。体を動かしてると思ってるのは私の意識だけで、現実では既に斬られているのではないかと錯覚するほどだ。

ずっと、ずっと待ち望んでいた最高の殺し合い。
生の実感を得たいがため。焦がれる衝動を吐き出したいがため。己の虚を満たしたいがため。
こいつに対しての殺人衝動もしっかり起きている。それを全て曝け出さなければ勝機なんてないだろう。
そのはずなのに。
こんなにも―――こころは空虚だ。

そんな心情をよそに、死に追いやる刃は間断なく続く。
赤よりも濃い、黒よりも深い。まるで「死」という概念を色彩で表現したような、泥のような色合い。
当たり前にかわし、あるいは払いのける。コレには物理的な重さもあるらしく姿勢を正して力を込めれば切ることは可能だ。
そこに映る線は、未だちらつくばかり。

地を叩きつける音源が迫る。聴覚だけでなく視覚、触覚、直感で来ると感じ取れる。
西洋の剣を持ち馬を駆り、鬼の形相で向かってくるその様は死を司る黙示の騎士を思わせる。纏う色は蒼ではなく、濁った紅だが。
筋肉の鎧で凝り固められた獣の疾走。かするだけでも骨を砕きかねない。
だからといって正直によけるのも得策とはいえない。これではまた繰り返しだ。
感情や疲労を排せるといえ限界というのはある。狂える英雄との経験で自分より「格上の存在」との殺し方のコツは掴んだといはいえ、
長持ちするものではない。
それ以前に、この怪物相手に悠長に持久戦に持ち込むという戦法自体が論外だ。
こちらに勝る点があるとすればせいぜいこの眼くらい。万物の死を捉えるこの眼なら、魔王とやらも確実に抹殺し切れる。
そのためには、馬が邪魔だ。
ヤツを遮るように前にいるし、なにより速く走る。加えて上から断頭台にように振り下ろされる剣があるのだから対応し辛い。
そうして、私は狙いを変更した。それで敵を殺せるなら、生存に繋がるのなら今の私は予め仕組まれた機械のように動く。
……思えば、それもまた逃避だったのかもわからない。
少なくとも、あの煩わしい思いを頭から締め出したかったのは本当だったから。

鬼が参る。あの暴れ様では1秒もかからない。
けれど、初速ならこちらにも分がある。退避を捨て、吹き飛ばんと迫る暴風を微動だにせずに待ち構える。
半秒経過と同時に、瞬転。
狙いは左。武器の持ち手の逆。身を豹のように低く屈み頭上からの間合いから外れる。
蹄で足蹴にされない微細な境界に身を置き、すれ違いに一閃。
剣道は、激しく上下する線を精確になぞる。
それで、太く隆起した筋肉に守られた脚の二本は綺麗に切り取られ、上に乗る魔王は地に落ちる。





「何処を狙っておる、余は此処ぞ!!」

幻聴ではないと気づくのに、約1秒。
声は、遥か頭上に浮かぶ騎兵より。
予め動きを読んでいたのか、あるいは反射で飛び退いたのか。
地上より10メートルはくだらない跳躍。乗り手が怪物なら騎馬もまたまともではない。

人の手に届かぬ天より、魔王の凶手が掲げられる。
処刑への宣誓。雄々しく、猛々しく、禍々しく、

「果てよ!!!」

破滅を抱く腕が振り下ろされる。
それはもはや斬撃と呼べる体をなしていない。高所より降り注ぐ滝と呼ぶに相応しい。
空振りに終わった隙だらけの体へ落ちていく黒き波涛。
まだ、間に合う。落下する速さは高速でこそあれそこ止まりだ。初撃のよりも範囲は狭い故にそこを離れれば頭から浴びるのは免れる。
伸び切った全身を引き戻し離脱するため疾走しようとする。
その時、空虚で無意識な心の中を。










                            死ね










悪質な言葉(のろい)が、障る。
小さな水滴音だが、それは確かに私の空虚に流れ落ちた。
その隙間にねじ込まれるように。
呪いの飛瀑が空より押し寄せてきた。



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289:傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 白井黒子 291:BRAVE SAGA『未来』
289:傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 阿良々木暦 291:BRAVE SAGA『未来』
289:傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 天江衣 291:BRAVE SAGA『未来』
291:BRAVE SAGA『絶望』 両儀式 291:BRAVE SAGA『未来』
291:BRAVE SAGA『絶望』 織田信長 291:BRAVE SAGA『未来』
291:BRAVE SAGA『絶望』 伊達軍の馬 291:BRAVE SAGA『未来』


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最終更新:2010年11月02日 14:35