麻雀残酷物語(後編)◆LJ21nQDqcs
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「なんだよ…!なんだよ、それ…!
お前の友達二人…!二人ともこっちに来てるってことかよ…!」
思わず立ち上がり、床のファイルを睨みつける。
「衣のために怒ってくれるのだな、カイジ。ありがとう」
衣は俺を見て微笑んだ。少し寂しげだった。
「だが、その怒りはとっておいてくれ。
このファイルを見て悟ったのだが、《UNKNOWN》は真の《清澄の嶺上使い》ではない。
他のものとは比べものにならないほど精緻ではあるが…心が無い。やはり木偶だ」
俺はそれを聞いてほっと肩を撫で下ろす。衣もそれは同じようで肩の力を抜いて笑ってみせた。
しかしだとしたら、確かに二億円払った価値はある。
衣の友達が、少なくとも一人は無事だってことだ。
人の命は金なんかじゃどうしようも無く重く、取り返しが付かないからな。
ざわっ
なんだこの違和感は…!なにか引っかかる…!
顎に手を当てて思案する。
まさか…いや、しかし…だとしたらどうして…ならば…!
「衣、お前、自分が世界一の打ち手だとか言ったよな?」
疑念を振り払うことも出来ず、小さな友人に尋ねる。
不安にさせてしまうかもしれないが、こちらもこの疑念を振り払わなければ不安でしょうがない。
「いや、それは言葉のアヤだが、確かに衣は同世代では、世界でも指折りの打ち手だと言う自負はある」
宮永照、神代小蒔、ニーマン、ブルーメンタール姉妹、そして《清澄の嶺上使い》と《はらむらののか》。
指を折って、自分に匹敵するであろう人間を上げる衣。
その顔は希望と興奮に包まれていた。おそらく早く対局してみたいのだろう。
「ならなぜ、その中で《はらむらののか》だけが、あいつらの手の中にある?」
へ?とはてなマークで顔中を支配させながら衣が答える。
「衣に対する抑止力、ではないのか?」
この島において、麻雀は相手の命を奪うことの出来る、殺し合いのシステムに組み込まれている。
確かに衣が麻雀を駆使すれば、麻雀勝負に乗った人間を殺しまくることが出来るだろう。
しかしそれでは一方的な虐殺だ。帝愛のヤツらがそんな簡単なゲームを許すはずが無い。
その抑止力としての《
原村和》。なるほど、その考えもある。
「だがよ、だったらそもそもお前を、抑止力として呼んだ方がいいんじゃねぇか?」
それに加えて殺すにしたって相手がいなければ、意味が無い。
殺し合いに乗った人間同士が、互いに麻雀勝負に乗る。
単純に考えて、そんな偶然が早々起こるはずも無い。
そのためだけに、抑止力がそもそも必要なのか。
「友といえども聞き逃せぬぞ、カイジ!衣がそのような誘いに応じるはずが無い!」
だろうな、お前は麻雀を愛している。麻雀に愛されている。
結果として相手を精神的廃人にすることはあっても、相手を直接的に殺すような真似は出来ないだろう。
だが
「お前の大切な友達、家族を《人質》に取られていたとしたら?例えば
龍門渕透華、だ」
ざわっ
波風が立つ。
強い横風が甲板の上に置いただけのファイルをバサバサと宙に回し、何処かへと連れ去っていく。
衣の顔は今にも泣き出しそうだ。俺はひどいことをしている。友達を泣かせるとか最低な行為だ。
「トーカは、衣の大切な家族だ。そして友達だ。色々と誤解もあったが、
それでも大会の後にはそれも消えて、これから家族として友達として、幸せな日々が続くと思っていた。
確かに衣にとってトーカは、これ以上無いほどに大切な人間だ。
人質に取られていたら、衣とて何をするか分かったものではない」
必死に涙をこらえて応える。
俺に対して怒りをぶつけても十分な、そんな仮定に答えてくれる。友達の俺を信頼してくれているのだろう。
だが、俺はその信頼を踏みにじる。そうしなければこの疑念は振り払えない。
「しかし、龍門渕透華は死んだ。他ならぬ帝愛の手で、だ」
衣は俺の顔を思いっきりはたいくと、とうとう思いっきり泣き出した。
■
「カイジ!もうお前のような奴は友達ではない!絶交だ!」
涙を流しながら、衣は宣言する。そうだな、こんな最低なことを言う俺は友達なんかじゃない。
「殴るなら存分に殴れ。だが、考える事をやめるな、衣。考えをやめた瞬間、死ぬことになる」
ジャンケンカード、鉄骨渡り。
どちらも考えをやめた者たちから続々と消えていった。
帝愛が企画するこのゲームもおそらく、そう。
諦めなければ、まだなんとかなる。
幸い、衣は俺の話をなんとか聞く体勢には戻ってくれた。
「お前にとって《人質》としてこの上ない存在である龍門渕透華を、奴らは自分の手で殺してみせた。
真っ先に。いの一番に、だ。それは何故だ?」
考えろ、衣。お前だったら俺と一緒に答えに辿りつけるはずだ。
「それは。見てはいけないと言われた封筒を開けたから、だろ?」
そうだ、遠藤はそう言った。だがそんなのは口実だ。後づけだ。理由は明白…!
「いや、そもそも扉を開けて遠藤の前に来なければ、そうはならなかったはずだ。
俺もあの時飛び出そうとした。だが、出来なかった。鍵がかかっていたからな」
実際はこれは利根川から聞いた話だが、この際それは関係ない。
「カラクリは単純だ。つまり龍門渕透華の扉だけ鍵がかかっていなかった…!」
衣は相当衝撃を受けたようだ。家族がはめられて殺されたわけだ。そりゃそうだろう。
「だが、あの時、トーカが飛び出してくる保証はないはずだ!」
まだ信じられないのか、衣は食い下がる。
「龍門渕透華は名簿を見て飛び出した。お前の名前を確認して、な。家族の危機だ。そりゃ飛び出す。
そしてこう考えられないか?龍門渕透華の名簿は元から封筒などに入っていなかった…!」
俺たちの部屋の引き出しに入っていた封筒。
それが龍門渕透華のものだけ、むき出しで名簿が置いてあった。
龍門渕透華はそれを取り上げ、
天江衣の名前を確認する。
遠藤の合図で扉を開け、おそらくその瞬間龍門渕透華の扉の鍵だけ開いたのだろう、そしてあの爆発。
「見せしめとしてだけ呼ばれた人間。そしてそのための餌としてだけ呼ばれた人間。
それが龍門渕透華と、お前、天江衣なんだよ」
衣は涙を流し続ける。
こんなひどい畜生沙汰が、許されていいはずがない。
それが友達に対する仕打ちであるならば尚更だ。
「なんで、なんでこんなひどいことをする。
衣は、トーカはただ麻雀を楽しみ、家族と一緒に過ごしたかっただけなのに」
衣をこんなにも泣かせてしまった罪悪感で、俺の心臓がどうにかなってしまいそうだった。
そしてそれはそのまま帝愛への、主催への怒りへ転嫁される。
「分からない。それはまだ情報が足りない。
今の予測にしたって、お前や《清澄の嶺上使い》を除けてまで《はらむらののか》が主催側に居る、
その理由から考えたことだ」
衣がふと泣くのをやめる。そうだ、考えるのをやめるな、衣。
泣くのは簡単だ。だが、その行為は諦めだ。前に進むのを拒否したに過ぎない。
「《はらむらののか》が居る理由?知っていると言うのか、カイジ?!」
ひと息つく。タバコが欲しい。気分を落ち着かせたい。
こんなイライラする事を、腹立たしいことを話せばならない自分が嫌になる。
「恋人である《清澄の嶺上使い》を《人質》に取られたからだ…!」
■
衣が膝から落ちる。
無事だと思った友達が、最悪の形で殺し合いに関わっていた。
そんな事を知れば誰だって打ちのめされる。
まだ小さな少女である衣にとっては、殊更だろう。
「なんでそんな変なことを言う、カイジ!今すぐ訂正しろ!そんな事は有り得ない!」
なんとか持ち直し、ぺたんと座った膝と膝の間に両手をつき、俺を見上げて怒りをぶつける。
それでいい。少なくとも思考停止よりはだいぶマシだ。
「お前がここに居て、《清澄の嶺上使い》がいない。そして《はらむらののか》が主催側にいる。
だったら考えられる事態はそれしかない」
確認するように告げる。
「カイジ、だったら何故《清澄の嶺上使い》は主催側にいない!?麻雀の腕が目的だったら奴ほどの者を」
言いかけて衣は止まる。
そうだ。
麻雀の腕が目的だったら、衣がここに居るはずがない。
わざわざ有効な《人質》を、いの一番に殺す必要も、ない。
そして《清澄の嶺上使い》が主催側に居ないはずが、ない。
「明らかに奴らは《はらむらののか》を必要として、《清澄の嶺上使い》を《人質》とした。
そしてそれは麻雀の腕が目的ではない事は明白…!」
と、ここまで続けたのはいいが、実はなにが目的なのかまでは予想もつかない。
なにしろ魔法だの超能力だのロボットだの出てきているわけだから、もはやなんでもありだ。
想定出来る範囲が俺の常識を、遥かに超えている。
まぁここは衣から《はらむらののか》の情報を少しでも聞き出して、推理していくしかない。
「しかしなにを狙って、あやつらは《はらむらののか》を」
当意即妙…!まさにその返しを待っていた…!
「そこだ衣。なにか心当たりはないか?それが主催につながる鍵になるかも知れない…!」
衣は必死に記憶を手繰り寄せようと腕を組む。顎に手をやる。首をかしげ、あらぬ方を見る。
巨大ぬいぐるみを撫でながら、ひねり出すように出された答えは
「おっぱいが大きい!」
そこかよ!そうじゃないだろ!
「いや、衣、そう言うのじゃなくてだな。もっと他にあるだろ?」
そう言われて衣はまたも思案の海を漂いながら、ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。
最早原型を留めぬほどに捻りあげられたそれは、巨大な絞った雑巾のように見える。
お前、それを持ち主に返すんじゃなかったのか。
「あとは。あとは。そうだ!胸が大きい!」
おい。
そうじゃないだろ…!胸が大きいだの…!おっぱいが大きいだの…!それ、同じだろ…!
同じことを繰り返すって…!それは天丼…!紛れも無い漫才の技法…!俺たちはコントをやってるんじゃ…
「…そんなにでかいのか?」
ゴクリ、と喉が鳴る。おっぱいに惹かれてしまうのは、男なら仕方の無いこと…!
それが常軌を逸したおっぱいであるならば、至極当然…!必然…!
「おっきいぞ!こーんなだ!こーんな!」
衣は自身の腕を一杯に広げて円を描く。
それは…!でかい…!
「顔は…!?顔はどうだ…?!まさか腹が出ているとかそんなオチもだめだぞ…?!そんなのは論外…!」
いくら胸がでかくても、顔が不細工ではしょうがない。
腰回りもくびれていなければ意味が無い。
「容姿の美醜は衣はよく分からないが、トーカはアイドル対決の決着を付けると言っていたぞ。
あと胸以外はやたらと細かったな。ガリガリと言うわけではないが。アレでは胸に振り回されると思うぞ」
龍門渕透華。
記憶を辿ってみる。爆発する瞬間がフラッシュバックするが、そこは男の力で急速に巻き戻す。
そうだ、癖はあるが流れるような金髪。整った目鼻。意志をはっきりと湛えた蒼い瞳。
やや胸は貧しかったが、それを差し引いても美少女と言って差し支えないレベル…!
その彼女が張りあうほどのアイドル…!
しかも胸以外はスレンダー…!ここが重要…!脳裏に浮かぶのは超絶巨乳美女…!
素晴らしい…!ビューティフル…!パーフェクト…!
そんな美女とお知り合いになれるチャンスが…!
この
伊藤開司…!ついに人生のピークがやってきた…!
■
衣のジト目がなんとなく心に突き刺さってきたので、やや本題に戻す。
「いや、《原村和》の容姿はとりあえず置いておこう。彼女の打ち筋から見て、何か特徴的なところは無いのか?」
先ほどの熱意を自分の中に感じられないような気がしないでもないが、おそらく気のせいだろう。
例えば、この島でもし彼女と遭遇した場合に、その容姿を把握できてなかったら取り返しがつかない。
あれやこれやと推測を立てるよりも、彼女の肉体的特徴をつかんでおくことのほうが重要ともいえる。
だから先ほどより熱意がこもってなくとも当然。決しておっぱいトークをしたいわけではない。
「そうだな、先ほど言ったように《はらむらののか》は世界一のデジタル派。デジタルの権化といっていい。
リアルタイムでの刻一刻とした状況の変化も、アレにかかればすべて想定の範囲内。
故に常にノータイム。常に最良の手を最速で最短に指してくる。それだけの計算能力を有している」
そういや《のどっち》の打牌は常にノータイムだった。俺はアレをCPUだからと思っていたが。
「先の対局において、衣は何度か場の支配を消された。アレもおそらく《はらむらののか》の影響力であろう」
あぁ俺が一回、ほぼマグレで親倍ツモしたのはそれでか。
しかし、それでは麻雀の腕でしかない。わざわざ《はらむらののか》を選んだ理由には。
待てよ?計算能力?さっきの会議で誰かがそんなこと言っていた…!アレは…!
そうだ、
白井黒子…!あのババァみたいな声の女が言っていた…!
自分たちの超能力は、解析演算した結果生じる力だと…!計算能力の高いものほど才能を発揮すると…!
「カイジ、超能力について考えているようだったら、それは無理だ。
アレは長年の積み重ねによって、ようやく発生するものだと、あの女も言っていたぞ」
なかなかに鋭い。というか、聞いていたのかよ、お前。
「いや、そこは魔法だか魔術だかでちょちょいと」
我ながら情けない反論だ。無論いくらなんでもそんなことは出来ないだろうとは思う。
「なんの代償もなく、怪力乱神が力を貸すものだろうか」
魔法と聞いて、衣の表情が曇る。
うつむいた衣の内面を示すかのように、ウサ耳もしょんぼりと頭を垂れている。
「カイジ、衣は父母を失ってより数年、城に幽閉されていた。そう、丁度このような首輪をつけられてな」
首輪を指差して寂しげに続ける。
ひどい話だ。
いや、それにしても城って。まぁ、特別な環境に育ったのであろうことは分かる。
「衣が能力、場の支配はその頃顕現した。周りにたくさん"居た"玩具どもはあっという間に使い潰されていった」
衣はじっと自らの両手を見やる。なんとなく、その手の狭間に炎がともったように見えた。
「この力は煢独ゆえに生まれた力。もしくは幸福を代償として支払ったことにより得た力と思っていた」
自嘲気味に顔を歪ませる。幼い顔に似合わぬ苦々しさが、経験を物語っていた。
「だが、《清澄の嶺上使い》との出会いでそれは変わった。
あの大会で、あの出会いで、衣は友達が二人出来、そしてトーカとの誤解も消えうせた。
幸せになってもいいのだと、この力は特別ゆえのものではないと、そう思うことが出来た」
衣は再びぬいぐるみを抱き寄せると、ぎゅっと、さらにぎゅっと、強く抱きしめる。
「けれど、どうだ?幸せになってもいいのだと思ったその瞬間、衣はこの島に飛ばされた。
メイドたちとも引き離され、友達二人は虜囚の身。挙句トーカは、トーカは!」
もうどうしようもなく衣は泣き出す。また、泣かせてしまった。
「やはり衣は幸せになってはいけなかったのだ!父君と母君が死んでしまったのもきっと衣のせいだ!
この力は、衣はやはり人を不幸にしてしまう!幸せになる資格などない、そんな人間だったんだ!」
「違う!そんなことはない!誰だって幸せになっていいはずだろ?!そんな、資格とかあるはずがない!」
即答する。そうだ、幸せになるのに資格なんて必要ないはずだ。
鉄骨から落ちていく人間の顔が思い浮かぶ。石田さんも佐原も、幸せになることを夢見ていたはずだ。
そんな人間から夢や幸せを奪い去った、主催!帝愛!
その代償がでかいことを思い知らせてやる!魔法だろうと超能力だろうとぶち破ってやる!
衣はすぐさまの反論と、俺の態度に呆気に取られていたが、やがてまたぽろぽろと泣き出した。
泣いている事実は同じ。しかしその質は違っていた。そのはずだ。
「カイジ、すまない。そんな風に言って貰えるなどと、絶交とまで言った衣にそんな事を言ってくれるなどと。
やはりお前は衣にはもったいない友達だ。本当に、ありがとう」
ありがとう、衣。今までひどいことを言い続けて来たのに、それを流してくれるお前こそ、素晴らしい友達だ。
だが、俺はやはり最低の人間だ。友達など出来なくて当然なのかもしれない。
衣がくれた感謝の言葉もよそに、俺の中ではある考えが、仮定が、疑念が、渦巻いていたのだから。
魔法…!代償…!人質…!生贄…!殺し合い…!島という閉鎖空間…!
ざわっ……ざわっ……
だとすれば、だとすれば俺たちは!
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ふと脇を見てみれば、うつらうつらと揺らぐ衣の姿があった。
「カイジ、衣は生来、長く起きているということが出来ぬ。今まで起きていたこと自体が不思議なくらいだ」
興奮させすぎたし、考え疲れたのかもしれないな。
俺は腰を落ち着かせると、隣をバンバンと叩いて言う。
「なら眠れ。俺が見張っててやるから」
衣はふらーっと座ると俺によっかかった。
「すまない、カイジ。やはり友達は素晴らしい。衣は今この刹那、福楽を得たぞ」
そのままスースーと寝息を立てる。
ええい、涎がかかる。
でもまぁ、安心して寝てもらえるってのは、信頼されてる証だよな。
俺は傍らに置いてあったリモコンヘリを操って、周りを巡回させる。
とりあえず周囲には誰も居ない。無論、既に船の中に入っていたら感知できないわけだが。
監視、という面だけで言うならばこの二時間以上、なにもやっていない。
その間、どうやら何もなかったのは、幸運というほか無い。
ほらな、衣。
お前は別に誰かを不幸にしているわけじゃない。
むしろ幸運の女神かも知れんぞ。女神と言うには、ちみっちゃいが。
ヘリを巡回させつつ、先ほどの考えに没頭する。
ふざけた魔法やら超能力やら全てを受け入れ、とりあえず全てを信じよう。
その上で考えてみるに、魔法に代償は付き物だ。代償として考えられるのは、
やはり生贄。人間だろう。
生贄、つまり殺すための人間を用意し、実際に殺すのは、現代社会では難しい。
あえて上げるのならば戦争くらいでしか、そのような状況は用意できないだろう。
翻って、いま自分の置かれている状況を考えてみる。
閉鎖された島で、最後の一人になるまで殺しあわされる、クソッタレのゲーム。
つまり参加者64人、いや見せしめとしてだけ殺された龍門渕透華も含めれば、65人か。
そのうち64人までが確実に死ぬゲーム。
生き残った一人も優勝直後に殺されても、おかしくはない。
生贄の儀式を行うには、これ以上無いほどのロケーションといえる。
だが、ただ殺すだけならいつでも出来たはずだ。
例えば俺たちを連れ去った時点で、例えばこの首輪を一斉に爆発させることで。
それをしなかったのは、殺し合いという状況自体が生贄の儀式に必要なのか。
それとも単なる時間稼ぎなのか、もしかしたら複数の思惑が絡んでのことなのかもしれない。
無論帝愛の考えることだ。
単に儀式のついでの余興として、ゲームを用意しただけ、ということも十分考えられる。
いずれにしても、このゲーム自体が儀式なのだという予測は、なんとも俺を納得させるに十分だった。
金だけでは手に入らない魔法があったのか。
それとも帝愛以外のなにものかが、儀式を完成させるために帝愛を利用しているのか。
どっちにしろ、ふざけるな、と言いたい。
俺は、俺たちはお前たちの、道具でも…!生贄でも…!望みをかなえるべく用意された代償でもない…!
お前等のゲームになぞ乗ってやるものか…!いつか、その首筋にナイフを突きつけてやる…!
リモコンヘリは太陽に向かって飛び上がる。
そして時計の針は真上を指し、やがて第二回放送が始まった。
【B-6/ギャンブル船/一日目/昼・放送直前】
【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
[状態]:健康
[服装]:私服(Eカード挑戦時のもの)
[装備]:シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]:基本支給品、Draganflyer X6(残りバッテリー・15分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実
[思考]
基本:皆の命は皆で守るっ……!!
0:帝愛を……!主催の企みをぶっ潰す……!
1:エスポワールに近づく参加者を見張る
2:衣は大切な友達だ…!
3:魔法、超能力を認めようと努力するが難しく、ちょっと困ってる
4:『5分の退室可能時間』、『主催の観覧方法』が気になる。
5:胸とか…!おっぱいとか……!そんな事関係なしに超巨乳美女《はらむらののか》を助け出す……!
[備考]
※Eカード開始直前、賭けの対象として耳を選択した段階からの参加。
※以下の考察を立てています。
・《はらむらののか》は主催側が用意した《ゲスト》で、麻雀の腕以外のなんらかの能力を見込まれて選ばれた。
・《清澄の嶺上使い》は《はらむらののか》を拘束するための《人質》として島に来ている。
・主催側は何らかの魔法の儀式を行うために、バトルロワイアルを開催している。
・天江衣と龍門渕透華は、ゲームの見せしめとしてのみ用意された人間。
・澪と光秀は手を組んでいて、ゲームに乗っているかもしれない。
※エスポワール会議に参加しました
【天江衣@咲-saki-】
[状態]:健康 、熟睡中
[服装]:いつもの私服
[装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2 、レイのレシーバー@ガン×ソード
[道具]: 麻雀牌セット
[思考]
基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る
0:zzz
1:カイジは衣の友達だ!
2:《はらむらののか》と《清澄の嶺上使い》を救い出したい!
3:ギャンブルではない麻雀をして友達をつくる
4:グラハムが帰ってきたら麻雀を教える
5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(
C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる
【備考】
※参戦時期は19話「友達」終了後です
※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。
※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。
※エスポワール会議に参加しました
※軍用ジープと4500万ペリカを交換しました
銃器などとペリカを交換したかどうかは後にお任せします
ペリカ残量、最大1億3100万ペリカ(ペリカード分含む)
※会議室に以下の物が置かれています
基本支給品×3、神原のブルマ@化物語、ティーセット@けいおん!、特上寿司×21@現実、
空のワインボトル×4@現実、ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、
シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×26@現実、紬のキーボード@けいおん!
ペリカード(3000万ペリカ)@その他、1億100万ペリカ@その他
※スイートルームにレイのレシーバー@ガン×ソードが置かれています。
【注釈】
このSSは意図的ではあるが、主にカイジの主観でのみ出来上がっている。
故に正確でない記述も多々ある。
よってここで注釈をつけよう。
「同性同士の恋愛くらい普通のことであろう。」
…いくら咲-Saki-世界であろうと、倫理観は我々の世界と何ら変わらないはずである。
天江衣は周囲の異常性に気づいていないだけだ。
「同性間でも子供は作ることが出来る。それくらい常識だろうに」
…作ることは出来るだろうが、そこまで容易なわけではないし、咲-Saki-世界でも実用化はされてないはずである。
「こーんなだ!こーんな!」
…いくらなんでもそこまで大きくはない。
「《清澄の嶺上使い》」
…アニメ19話終了時点では天江衣は、この打ち手の名前を把握出来ていない。
「《はらむらののか》は世界最高の、いやおそらく世界一のデジタルの打ち手だ。」
…多分過大評価だと思うが、原作の進行次第では真実になるかも知れない。
「《清澄の嶺上使い》のツガイでもある」
…天江衣の主観に基づく関係である。彼女のニュアンスとしては"刎頸の友"くらいの意味合いであろう。
「黒服から《のどっち》"以外"の者が参加している牌譜を買い上げた。」
…《清澄の嶺上使い》の能力が、《はらむらののか》によって打ち消されている可能性を考えたのであろう。
「衣は場を支配する打ち手だ。確率や統計など問題ではない。
そして、それは《清澄の嶺上使い》にも当てはまる。衣と同じ地平に、あやつは居る」
…最高潮の時でさえ、衣は場を支配しきれていない時があった。《清澄の嶺上使い》も同様である。
故にこれは衣の自信過剰・過大評価である、と言える。
「宮永照、神代小蒔、ニーマン、ブルーメンタール姉妹」
…衣の性格上、人の名前を正確に把握することは、ほぼ不可能なはずである。
が、いちいち名前を崩したりするのも意味が無いことなので、ここでは割愛した。
「強い横風が甲板の上に置いただけのファイルをバサバサと宙に回し、何処かへと連れ去っていく。」
…二億円が海の藻屑である。
「恋人である《清澄の嶺上使い》」
…衣はあえて突っ込まなかったが、これはカイジの勝手な憶測である。
真実をついているとも言えるが、アニメ公式的には二人の間に結ばれているのは恋愛感情ではなく、友情である。
嘘じゃねぇよ、この澄んだ瞳を見て下さい。
「先の対局において、衣は何度か場の支配を消された。アレもおそらく《はらむらののか》の影響力であろう」
…アニメ・原作中において、《はらむらののか》の能力は度が過ぎたデジタルでしかない。
相手の特殊能力を封じる、などといったオカルトではないはずである。故にこれは衣の主観、憶測に過ぎない。
「衣が能力、場の支配はその頃顕現した。」
…原作・アニメともにそのような表記はない。ただ能力めいたものを発揮しているのは幽閉後からである。
「周りにたくさん"居た"玩具ども」
…アニメ・原作中で明記はされていないが、国広一が衣と初めて会った際、衣は龍門渕透華に
「金剛不壊に出来てる?」と聞いている為、玩具以外のものも壊していたのであろう。
「《はらむらののか》がいたからだ」
…アニメ19話終了時点では、天江衣は《はらむらののか》と対局したことがない。
さらに言えば、おそらく天江衣は牌譜自体を検討した経験も、あまりないはずである。
衣の感覚は超常的ではあるが、《はらむらののか》が主催側に居る、というこの憶測自体信憑性は低いと言える。
そして、この憶測が間違いであった場合、衣・カイジ両名が発展させていった一連の仮説は、根底から覆される。
常套句を使わせていただければ、後の書き手諸氏にお任せします、といった次第である。
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最終更新:2010年01月17日 12:29